畑中 隼一郎(宅建士・リフォームスタイリスト)
迅速・丁寧な対応を心掛けて参ります。
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公開日:2024年4月11日
REDSエージェント、宅建士の畑中隼一郞です。
子育て世代が新しい家を探す際、家族の安全や子供の成長に適した環境こそ何よりも重視することでしょう。今回は、子育て世代が考慮すべき安全で快適な住まいの条件を6つ挙げ、詳しく説明します。
子育て世代の家族にとって、最優先事項は安全な地域での暮らしです。子供が自由に外で遊べる公園や学校が近くにある場所を選ぶことが大切です。近隣のコミュニティが家族向けのイベントや活動を提供しているかどうかも考慮しましょう。
家族の安全を守るために、犯罪率の低い地域を選びましょう。地元の警察署や自治体のウェブサイトで犯罪統計を確認すれば、犯罪率が低く安心して暮らせるエリアを見つけることができます。
子供の安全を考える上で、交通の便や学校の近さも重要な要素です。通学路が安全で、自宅から学校や公園へのアクセスが容易な場所を選びましょう。通勤や通学の利便性は生活の質を左右します。
近くに学校や公共交通機関があることで、家族の移動がスムーズになります。学校の評判や教育水準も確認しましょう。子供たちの将来にかかわります。
家そのものが安全であることも子育て世代にとって不可欠な条件です。耐震性の高い建物やセキュリティシステムが整った住宅を選びましょう。幼い子供がいる場合は、階段や窓の安全対策も見逃せません。
家の建築や設備が安全かどうかを確認し、耐震性の高い建物やセキュリティシステムが整った住宅を選ぶことで、家族の安全を守ることができます。
子供の健康を考える上で、周辺環境の騒音や環境状況も重要なポイントです。交通量の多い道路や工場の近くなど、騒音や大気汚染が気になる場所は避けるようにしましょう。
緑豊かなエリアや静かな住宅地を選ぶことで、子供たちは家周辺で安心して遊べます。騒音や大気汚染の少ない静かな地域を選びましょう。
建築できる建物の種類や用途の制限を定めた用途地域は「住居系」「商業系」「工業系」の3つに分かれ、さらに13種類のエリアに分かれます。まずは「住居系」から探しましょう。用途地域は自治体窓口で確認できます。
子育て世代にとって、近くに子供向けの施設やアクティビティがあるかどうかも重要な要素です。公園や遊び場、図書館やレクリエーションセンターなど、家族で楽しめる場所が近くにあることで、子供たちの成長や交流を促進できます。
近くに公園や図書館、スポーツ施設があるかどうかを確認し、子供たちの成長をサポートする環境を整えましょう。
子供が成長するにつれて家のニーズも変わってきます。将来的に子供部屋や書斎が必要になるかもしれませんので、将来の拡張やリフォームがしやすい間取りを選ぶといいでしょう。
子供が成長するにつれて家族のニーズも変化します。将来的な子供部屋や家庭オフィスなどのスペースを考慮し、将来の拡張やリフォームがしやすい間取りを選びましょう。
子育て世代にとって理想的な住環境を見つけるためには、安全性や快適性を重視することが重要です。安全な地域の選択や交通の便、住宅の安全性、周辺環境の騒音や汚染、子供向けの施設やアクティビティ、そして将来のニーズに対応できる間取りなどの要素を考慮しましょう。これらの条件を満たす家を見つけることで、子育て世代の家族が安心して暮らせる環境を実現できます。
子育て世代の皆様、安心して子供たちを育てられる住環境を求めていますか。理想の住まいとして、安全な地域にあり、学校や公園にも近く、家族が快適に暮らせる空間が欲しいですよね。
弊社ではお客様からご相談いただいた物件に対して、安全性を重視した設計やセキュリティシステムが整った住宅であるかについて、アドバイスさせていただいています。さらに、周囲の環境も静かで犯罪率の低い地域か否かもお調べして情報提供しています。家族のニーズに合わせた物件や間取りや設備もご提案するほか、将来的な拡張やリフォームも考慮した間取りプランで、家族が成長しても快適に暮らせる空間を提供し、リフォームのアドバイスも行っております。
子育て世代の皆様、安心して子供たちを育てられる理想の住環境探しを弊社でサポートさせていただきますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。
公開日:2024年4月10日
REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの菊池です。私はこの不動産仲介という仕事が好きで、お客様から感謝のお言葉をいただけたときには、とてもやりがいを感じます。
どの業界においても専門的な資格があります。この不動産の仕事をする以上は、できる限りお客様の力になりたいと思っており、そのための手段として資格取得の勉強も日々の業務と並行して行っております。営業現場での経験と資格取得による専門的知識を組み合わせることで、不動産売買においてお客様に生じるトラブルをできるだけ減らしたいと考えております。
今回は私が取得している資格と、その意味についてお話ししたいと思います。
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産の仲介業務を行うために必須の資格となります。REDSの営業担当(エージェント)は100パーセントこの資格保有者です。宅建士は日本において不動産の売買・賃貸などの取引に関する専門知識を有しており、主に以下のような業務を行います。
宅建士は、宅地建物取引業法に基づく国家資格です。この資格を持つことで、不動産取引において法律や倫理規定に基づき適切な仲介やアドバイスを行うことが期待されます。
宅地建物取引士の業務は、試験に合格後、一定の条件を満たすことで宅地建物取引業を営むことができます。不動産取引は高額になるため、契約や手続きなど専門的な知識が必要です。そのため、宅建士は不動産取引の安全かつ円滑な進行をサポートする重要な役割を果たしています。
宅建マイスターは、聞き慣れない資格かもしれませんが、宅建士の上級資格で、より高度な不動産取引の専門家となります。宅建士は5年ごとに更新のために講習を受けますが、その講師となることもできます。
公益財団法人不動産流通センターによると、宅建マイスターの定義は以下のように定められています。
■仲介業務に特化して取引の安全と取引件数の拡大を達成する資格
資格取得に際しても要件があり、受験資格として以下のいずれかの資格保有者かつ、登録には一定の実務経験が求められます。
「管理業務主任者」とは、日本のマンションやアパートなどの共同住宅やオフィスビル、商業施設などの管理を行うために必要な資格を指します。不動産管理会社では必須の資格で、主に以下のような業務を担当します。
管理業務主任者は、特定の規模以上の共同住宅や商業施設を運営するために必要な資格であり、宅地建物取引業法に基づく国家資格として位置付けられています。
管理業務主任者は、共同住宅や商業施設などの管理運営において、適切な判断や指示を行い、安全で快適な生活環境や働きやすい職場環境を提供することが求められます。そのため、法令や規則に精通し、入居者やテナントと円滑にコミュニケーションをとることが重要です。
不動産コンサルティングマスターは、仲介業務の枠を超えたコンサルティング営業を行う資格で、主に以下の3点が業務です。
総合的なコンサルティング業務が可能となる資格です。
リフォームスタイリストは、住宅リフォームの相談・助言業務に携わる営業系相談員の資格です。 この資格は、消費者ニーズの高い「水廻り(キッチン・お風呂・トイレ)リフォーム」や、今後需要の拡大が見込まれる「省エネ(エコ)リフォーム」「バリアフリーリフォーム」について、施主からの相談に応じるために、一定水準以上の知識と能力を持ち合わせていることを、一般社団法人日本ライフスタイル協会が認定するものです。
リフォームスタイリスト資格制度は、消費者が安心してリフォームの相談ができる人材を育成することを目的としており、消費者目線で快適な暮らしの提案ができる「リフォーム相談のプロ育成制度」として、期待されています。また、住宅リフォーム業界は、クレーム・トラブルの未然防止に役立つ資格制度として注目しています。
住宅会社、住宅リフォーム会社、不動産会社、工務店、建材メーカー、建材店、住設メーカー、住設店、工事店など、住関連企業が活躍の場所になります。さらに、家具、カーテン、照明、寝具、家電、音響、エネルギーなどの住生活商品のメーカーや小売店も活躍の場所です。
不動産の世界はほかの業界に比べて変化は少ない業界ではありますが、それでも法律は改正され、お客様のニーズも絶えず変化しています。この世界で活躍するために、知識の定期的なアップデートをこれからも継続していきたいと思っています。
ぜひREDSを頼っていただければと思います。ご状況に合わせた最適な提案をさせていただきます。今後ともREDSをよろしくお願いいたします。
公開日:2024年4月9日
皆様こんにちは。首都圏一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント、【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)でございます。
最近では夫婦の共働きが増えていることもあり、住宅ローンを夫婦で借りるケースも増えてきましたが、この夫婦で住宅ローンを借りるパターンには大きく分けて3つあります。
収入合算と呼ばれる「連帯保証型」、そして「連帯債務型」、共同借入である「ペアローン」です。このうち「ペアローン」は、ご存じのようにご夫婦などの複数の借り手が共同でローンを組む仕組みですが、つい最近、新しい団信を組み込んだ商品も出てきました。今回はその「新しいペアローン」について解説します。
まず、ペアローンのメリットから解説します。
一人では買えない高価格帯の都心住宅の購入が実現! ペアローンを利用することで、単独で借りられる額よりも高い金額を借りることができます。複数の借り手が共同で保証するため、金融機関はより多くの資金を提供する可能性があります。
複数の借り手が返済を分担するため、個々の負担も当然ながら軽減されます。経済的な負担を分散することで、月々の返済額が低く抑えられる場合があり、そのぶん可処分所得が増えるかもしれません。
ペアローンでは、複数の借り手の信用履歴や収入情報が考慮されるため、審査の際に有利になる場合があります。片方の借り手の信用履歴が弱い場合でも、もう一方が強力な信用履歴を持っていれば、単独でローンを組むよりも有利な金利や条件で融資を受けられる可能性があります。
ペアローンを組むことで、共同で資産を所有することができます。例えば、共同で不動産を購入した場合、所有権は共同名義となります。これにより、資産の利益や負債が公平に分配されることになります。
メリットがあれば当然デメリットもあります。デメリットについてもしっかりと知っておいてくださいネ。
ペアローンでは、複数の借り手が共同で責任を負います。したがって、どちらか一方の借り手が返済を怠った場合、もう一方がその負債を引き受ける必要があります。信頼関係がある場合は問題ありませんが、関係が悪化するとトラブルの原因となります。
ペアローンでは、複数の借り手が共同で信用リスクを負います。したがって、どちらか一方の信用履歴に問題がある場合、もう一方もその影響を受ける可能性があります。これは、将来的な借り入れや金融取引に影響を与える可能性があります。
ペアローンでは、複数の借り手の個人情報が共有されます。これにより、ペアローンを組んでいる人どうしの人間関係が悪化すると、プライバシーの侵害や情報漏洩のリスクが増大する可能性があります。信頼できる金融機関や専門家を選択することが重要です。
ペアローンで購入した共同資産(不動産など)の所有権を分割する際には、そもそも手続きが複雑になる場合があります。また、片方の借り手が不動産を売却したい場合や、関係が悪化した場合、所有権の分割や売却手続きが困難になる可能性があります。
最近たまに見かけるケースとしては、夫婦で共有していた自宅について、離婚して自宅を出て行ったパートナーが、所有していた自宅の自分の持ち分を、勝手に第三者に売却してしまうケースです。自宅に住み続けている人にとってみると、知らない第三者や法人が、その自宅の所有権を持って、権利を主張し始める可能性もあります。
その新たな所有者が、何を意図して「持ち分」を購入したのか……。場合によっては残りの持ち分についても安く買い叩いて入手しようとする悪徳業者でないことを祈るばかりです。
以上のメリットとデメリットを踏まえ、ペアローンを組む際にはどんなことに注意すればいいのでしょうか。
ペアローンを組む前に、共同借入者との信頼関係をしっかり確立して、将来的なリスクや問題に備えましょう。協力的な関係を築くことで、トラブルを最小限に抑えることができます。結婚相手であっても、デメリットを乗り越えられるか、しっかり話し合うことが大切です。
ペアローンを組む際には、将来的なシナリオに備えて計画を立てておくことも必要といえます。
ペアローンは、借り手どうしの協力関係や信頼関係がある場合に有益な選択肢ですが、万が一の返済遅延や関係の悪化、共同資産の分割などのリスクに対処するための対策も、強い愛情と信頼関係があるうちだからこそ、そのタイミングで考えておくことが、その後の「山あり谷あり」の夫婦の人生を円満に乗り越えていくためには非常に大事なことではないかと思うのです。
2024年3月14日の日経新聞に、「ペアローン」の記事が掲載されました。
2024年3月14日 日経新聞 朝刊
PayPay銀行やりそな銀行は加入者が死亡やがんなどで返済ができなくなった場合に、配偶者のローンも含めて残高をゼロにする団体信用生命保険(団信)を導入した、新しい「ペアローン」を2024年に導入するとのことです。
従来の団信では片方が死亡や病気などで返済が難しくなった場合、保険が適用されるのは働けなくなった人だけです。配偶者のローン残債は残ります。共働きの場合は、債務が残る配偶者も子育てなどのため転職や時短勤務で給与水準を下げなければならないケースも多く、返済負担が実質的に大きくなることがあります。
首都圏、特に都内では、ひとりの収入で住宅購入ができるのは、現実的にはほんの一握りの高収入の方だけです。
「子は鎹(かすがい)」と言いますが、「ペアローンで買った住宅」も、きちんと愛情と信頼関係を維持し続けることができれば「鎹(かすがい)」になり得ます。ぜひ上手に使って、幸せな家族の生活の場所を生み出してくださいネ。
【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝
<参考文献>
日経新聞記事「住宅ペアローン、死亡時返済ゼロ りそなやPayPay銀が団信、配偶者分も保障」(2024年3月14日朝刊)
公開日:2024年4月8日
REDSエージェント、宅建士の佐藤亮介です。
不動産を購入されるお客様は、購入契約をされる前に、不動産業者(仲介業者または売主の不動産業者)の宅建士から、購入する不動産について書面を示して「重要事項説明」を受ける決まりになっています。今回は、重要事項説明書に書かれている内容が、実は「例外のオンパレード」だということについて、触れてみたいと思います。
「例外」というのは「なお」や「ただし」で書き始められる注意書きのような文章のことです。販売図面に記載されている内容をよく見たり、宅建士から説明されていた内容をよく考えたりして初めて気づかされることもあります。
今回は、私が重要事項説明書の作成やチェックした中で、経験したいくつかの例外事例をご紹介します。
たとえば、第1種低層住居専用地域では、建物の高さについて、絶対高さ制限(10m)が定められています。
売り出し中のマンションの4階の部屋を内覧された際に、隣接地がかなり広い土地の場合、将来的に何か建築されて眺望が阻害されないか心配になると思います。そこで、営業マンに「目の前に何か建築されて、眺望が悪くなったりしませんか」と質問したとします。
営業マンは、自信たっぷりに「このマンションは、近隣商業地域に建っているので、高くなっていますが、目の前は第1種低層住居専用地域なので、10mを超える建物が建つことはありません」と答えたとします。
実は、この説明は間違いです。
世田谷区の例ですが、「第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域(以下「低層住居専用地域」という。)内における高さが10メートルを超える建築物について、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるにあたっては、以下の基準によることとする。」となっています。
結論から先に言いますと、敷地や建物の条件によっては、12mの高さまで建築可能という意味です。12mとなれば、先の内覧の例でいうと4階部分と同じ程度の高さですね。
ただし、この緩和には条件があります。細かい点は省略してあります。
1.方位別斜線制限:建築物の各部分の高さは、当該部分から敷地境界線までの各方位別の水平距離に応じて、下記に定める数値をその限度とし、かつ、12メートルを超えないこととする。
※簡略化しますと、「建物は隣地から通常よりも離れた位置に建てなければならない」ということです。
2.歩道状空地または貫通通路の設置:認定に係る建築物の敷地には、前面道路に沿って設ける歩行者用の空地で幅員が2m以上で、かつ、通行可能な部分の幅が1.5m以上のもの(以下「歩道状空地」という。)又は、敷地内を動線上自然に通り抜け、かつ、道路、公園その他これらに類する公共施設相互間を有効に連絡する通路で幅員が3m以上で、かつ、通行可能な部分の幅が2m以上のもの(以下「貫通通路」という。)を設ける。
なお、歩道状空地は、原則として、前面道路の接するすべての部分にわたって設けることとし、歩道状空地及び貫通通路の長さの合計は当該敷地境界線の長さの1/4以上とする。
※簡略化しますと、「道路側に歩道状の空地、また敷地内に貫通通路(第三者も通り抜けできる通路)を設けなければならない」ということです。
3.外壁の後退距離の制限:建築物(認定に係る建築物の敷地内のすべての建築物)の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離は4m以上とする。ただし、歩道状空地又は貫通通路を設けた部分はこの限りではない。
今回は、内覧に行ったら「隣接地が広い土地」で説明しましたが、売買対象のマンションがこの特例を受けて建築されている場合は、重要事項説明書には、以下のような説明文を入れます。
「対象不動産建物の建築計画概要書に記載の建築物の最高高さは、11.98mとなっており、上記○―△建物の高さの制限 1.絶対高さ制限(10m)にかかわらず、世田谷区の第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における建築物の高さの制限の緩和認定をうけ建築されています。別添建築計画概要書をご参照ください。」
※建築計画概要書には、建築物の最高の高さが記載されています。
※今回のブログのご説明に関しては、世田谷区の「第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における建築物の高さの制限の緩和認定基準」から引用しました。
次回は、「前面道路による容積率の制限」について、「道路幅員によっては規定の容積率が制限され、希望の広さの建物が建たないことがある」について、ご説明したいと思います。
弊社では、購入される皆様に安心してご購入いただけますよう、エージェントがしっかり調査をし、重要事項説明書を作成しています。不動産は、大切な財産です。ご不明な点は、いつでもご質問ください。どうぞよろしくお願いいたします。
公開日:2024年4月7日
REDSエージェント、宅建士の有馬春志です。
日本の地熱発電は大きな可能性を秘めていますが、温泉事業者の反対や規制のハードル、険しい山地での建設という困難が伴うために、投資家の意欲が高まりにくい側面があります。
業務スーパーの創業者である沼田昭二氏は、スーパー経営で実績を積んだフランチャイズモデルを活用し地熱発電の推進を目指しています。
沼田氏は食品スーパーを1981年に創業。85年に神戸物産を設立し、フランチャイズ展開する業務スーパーの店舗数は1030に達し、時価総額は約1兆円といわれています。沼田氏はそんな神戸物産の経営を長男に引き継ぎ、2016年に地熱発電による中規模発電所開発を専門とする株式会社「町おこしエネルギー」(兵庫県加古川市)を設立しました。
同社のフランチャイズ型開発では、町おこしエネルギー社側が生産井(地熱発電で蒸気や熱水を取り出す井戸)・還元井(生産井から排出される地熱水のうち不用な熱水を地下へ還元するための坑井)掘削などまでを提供する一方、加盟者の地元事業者らが井戸権利料やロイヤルティーを支払うというのが大まかな仕組みです。初期投資をどちらが負担するかで2つの事業タイプに分かれています。
開発地の地形の険しさという難題を克服するために同社が開発した技術も利用することで、調査から操業までの期間を約15年から5年以下に短縮することができるそうです。
ブルームバーグNEFによれば、日本の地熱資源量は米国、インドネシアに次いで3番目に多いのですが、日本の地熱発電導入量は0.5GWで、日本が技術的に利用可能な地熱資源全体のわずか1.5%しか活用されていないといいます。政府は2030年までに1.5GWの地熱発電能力を導入することを目標としています。
町おこしエネルギー社は、約8000世帯の年間電力需要をまかなえる約5MWの中規模地熱発電所を、同一の発電条件で設計・開発します。通常、特定の開発地の条件に合わせて調整しなければならない大型の設備よりも、稼働までの期間を短縮することができます。
「日本の地熱開発で一番必要なのはスピード感だ」と沼田氏は指摘しています。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では、1万5000kW未満の地熱発電所には、大規模な発電所の約1.5倍高い価格が適用されます。また中規模施設の場合、通常、出力1万kW以上の大規模な施設では必ず実施される環境アセスメントを省略することができます。
町おこしエネルギー社は、地熱発電に関する開発をビジネスチャンスだけでなく、地域経済活性化プロジェクトとして位置付けています。熊本県小国町で開発中の同社初の地熱発電プロジェクトでは、温泉水をハウスでの野菜栽培に利用。オニテナガエビやヤマトシジミなどの養殖事業も試みています。
「発電所だけではそれほど多くの雇用は生まれませんが、農業など多様な産業に展開すれば、町も業者も潤います」と、同町の担当者。再生可能エネルギー開発はリスクを伴いますが、それを上回るメリットを地域が得られるよう期待しています。
地元と協力する取り組みは他の地域でも行われています。ビル・ゲイツ氏らが設立したベンチャーキャピタル、ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズが支援するベースロードパワージャパンは、岐阜県奥飛騨温泉郷で、くみ上げた熱水を発電利用した後、浴用に適した温度で地元の温泉施設に供給しています。
再生可能エネルギー発電事業などを手掛けるGPSSホールディングスは、新潟県の松之山温泉と協力して地熱発電所を建設し、試験運転を行っています。
町おこしエネルギー社は、技術や人材面でも独自の工夫をしています。従来の掘削機にかわり、狭い山道を自走する小型掘削機を開発しました。国内で不足する掘削技術者を養成するため、2022年4月には北海道白糠町で専門学校のジオパワー学園を開校し、卒業生4人全員が掘削関連会社に就職しました。2023年度は14人が入学し、将来的には年度あたり80人を募集する予定です。
2024年3月に送電網への供給を開始した小国町のプロジェクトは総工費約100億円。固定価格買取制度に基づく年間売上高は約15億円になる見込みです。
町おこしエネルギー社は間違いなく、日本の地熱発電の設備容量を増やすでしょう。開発期間の長さと設備投資の多さは、日本における地熱発電の大きなハードルの一つであり、同社はフランチャイズ事業でそれに取り組もうとしているとの見方を示しています。
公開日:2024年4月6日
こんにちは、REDSリフォーム宅建士の水谷です。皆さん、今回は2024年3月29日より交付申請が始まった「住宅省エネ2024キャンペーン」についてお話します。
「住宅省エネ2024キャンペーン」は、経済産業省、国土交通省、環境省の3省連携で実施。「2025年カーボンニュートラル」の実現に向け、家庭部門の省エネ強化を推進するため、住宅の断熱性の向上や高効率給湯器の導入など住宅の省エネ化を支援する4つの補助事業の総称です。
省エネにつながる家電や住宅設備の導入、窓リフォームなどをすることにより、国から補助金が交付される制度です。
では、カーボンニュートラルとはなんでしょうか?
地球温暖化は現代社会が直面する最大の課題の一つであり、その主な原因は人間活動による二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出です。これに対する解決策の一つが、カーボンニュートラルという概念です。
人間活動によるCO2排出量と、それを吸収・削減する活動を等しくすることで、ネットのCO2排出量をゼロにすることを指します。これにより、地球温暖化の進行を抑制し、持続可能な社会を実現することが目指されています。
なぜカーボンニュートラルが必要なのでしょうか。その理由は主に以下の3点です。
1.気候変動の影響を抑制する:地球温暖化による気候変動は、自然環境だけでなく、人間社会にも深刻な影響を及ぼしています。洪水、干ばつ、熱波などの極端な気象は、農業や水資源、人々の生活に直接的な打撃を与えています。
2.持続可能な社会を実現する:カーボンニュートラルは、再生可能エネルギーの利用促進、エネルギー効率の向上、森林保全など、持続可能な社会を実現するための重要なステップです。
3.経済的な機会を創出する:カーボンニュートラルへの移行は、新たな産業や雇用の創出、エネルギーコストの削減など、経済的な機会をもたらします。
このキャンペーンは、家庭部門の省エネを強力に推進するため、住宅の断熱性の向上や高効率給湯器の導入等の住宅省エネ化を支援することを目指しています。
この中でも、特に子育てエコホーム支援事業と先進的窓リノベ事業についてご説明します。
【子育てエコホーム支援事業】リフォームの場合、原則1戸あたり20万円ですが、子育て世帯・若者夫婦世帯の場合は上限30万円、しかも中古マンションなど既存住宅購入を伴う場合は最大60万円の支援があります。
対象要件は、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得、開口部や躯体等の断熱及びエコ住宅設備設置等の省エネ改修です。対象となる方はエコホーム支援事業者と工事請負契約を締結しリフォームする住宅の所有者であること、受付期間はすでに始まっており、予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)。
対象となるリフォーム工事は以下の3つのうちのいずれかの工事が含まれていることが条件です。
そのうえで、「子育て対応改修」「開口部の防災性向上改修」「バリアフリー改修」「空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置」「リフォーム瑕疵保険等への加入」に対して補助金が出ます。
例外として『先進的窓リノベ0204事業』『給湯省エネ2024事業』または『賃貸集合給湯省エネ2024事業』において交付決定を受ける場合は、1~3に該当する工事を含んでいるものとします。
※注)申請する補助額の合計が5万円未満の場合は対象外となります。
【先進的窓リノベ2024事業】1戸につき最大200万円の支援があります。
対象要件は、断熱性能に優れた窓・ドアへの改修です。工事内容に応じて定額を補助します。
対象となる方は窓リノベ事業者と工事請負契約を締結し窓もしくはドアのリフォームをする住宅の所有者等であることで、受付期間はすでに始まっており、予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)。
※注)申請する補助額の合計が5万円未満の場合は対象外となります。
補助金の申請手続きや補助金還付の手続きは登録事業者である不動産流通システムにて行いますのでご安心ください。
以上、住宅省エネ2024キャンペーンについての概要をお伝えしました。このキャンペーンを利用して、よりお得に省エネな住まいを手に入れてみてはいかがでしょうか。
公開日:2024年4月5日
こんにちは。REDSリフォーム、二級建築士・リフォームスタイリスト1級・宅建士の髙石彩也子です。ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
先月末からなんだか急に暑くなってきましたね……。すごく寒かったはずなのに、急に暑くなったり雨が続いて湿気でじっとりしていたりと、毎日何を着たらいいのか迷う日々です。4月はもっと過ごしやすい日が続くといいのですが。
それでは、前回から引き続いてZEHについてです。断熱のお話もちょっと絡めています。
そもそも、日本の住宅のエネルギー消費量は世界に比べてどのくらいなのでしょうか?
2018(平成30)年に「住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会」で発表された「家庭用 用途別エネルギー消費量の国際比較」では、日本の世帯当たりの消費量は、アメリカの半分、ドイツ他欧州各国の3分の2程度だとわかりました。
参照:第5回 住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会 家庭用エネルギー消費の動向 株式会社住環境計画研究所 資料より
特に消費量が小さいのが「暖房」です。これは、他国が暖房をつけっぱなしなのに対して、日本は居室内にいるときだけ暖房することが主流であるためとされています。つまり、効率的に暖房をしているからではなく、日本の住宅は暖房自体があまり使われていないということなのだと思います。
暖房されていないために部屋が寒く、暖房しようとすると断熱性がよくないために非常に光熱費がかかり、それを避けるとやはり寒くなる……といった悪循環に陥っているようです。
また、習慣の違いは「給湯」にも表れています。お風呂に入るのが非常に好きな日本人は、ヨーロッパ各国と比べると給湯の比率が高めです。次に消費が多い「調理・照明・家電」(青・灰色部分)などから、日本人は非常に寒い家で、お風呂にいっぱい入りながら、家電製品をたくさん使って生活している、という生活像がこのグラフから見えてきます。
それでは日本の住宅の断熱性はどうなっているのでしょうか。
2017(平成29)年度時点で、住宅ストック約5000万戸がどんな断熱状態かを示したグラフです。
現行基準を守っているのが10%、平成4年基準が22%、昭和55年基準が36%。約7割の住宅がほとんど無断熱の住宅でした。多くの人が、非常に寒い住宅で暮らしている、ということなのです。
こうした状態は、ご高齢の方にとっては多くのリスクも伴っています。東京都健康長寿医療センター研究所から刊行されているパンフレットからの引用ですが、2011年の1年間で、全国約1万7000人の方々がヒートショックに関連した「入浴中急死」に至っているそうです。交通事故で亡くなる方は年間で約4000人ですから、4倍以上もの方が亡くなってしまっていることになります。
亡くなった1万7000人のうち、1万4000人は高齢の方でした。ヒートショックは温度の急激な変化によって血圧が上下に大きく変動することが原因で起こります。浴室全体をシャワーの湯張りなどで暖めてあげることでヒートショックは防ぐことができます。
北海道では住宅が充分に暖かく造られているため、冬にお風呂で亡くなる方は少ないそうです。冬は、外が寒いからたくさんの方が亡くなってしまう、ということではないのです。
WHO(世界保健機関)では、健康な室温は21℃くらいであり、19℃以下になると健康リスクが現れるとしています。16℃以下になると、呼吸器疾患、心疾患などの深刻なリスクが現れ、0℃以下になると、ご高齢の方は低体温になってしまいます。ご高齢の方は、寒くても感じないことも多く、不快と言っていないから大丈夫というわけではないという認識を持たなければなりません。
もちろん、冬だけの話ではありません。夏はヒートアイランド現象で都市部を中心に日本全体が暑くなってきています。もはや、四季ではなく三季くらいになってしまっているのでは、と常々思っています(猛暑が終わって秋が来たかな、と思うと一瞬で冬の寒さが到来しますよね。秋、どこいっちゃったのでしょうか……)。
ここ10年で温度はもちろん、湿度も上がってきました。エアコンなしではなかなか過ごせず、毎年ニュースでは熱中症が話題にもなっています。熱中症というと、学校の校庭や運動中のシーンを想像されますが、実は住宅内での熱中症が一番多いのです。寒さ・暑さを感じにくくなっているご高齢の方にとっては、ヒートショックや熱中症になりやすい環境となってしまっているのだと思います。
住宅の建物外皮性能を高くし、断熱・冷暖房効率を上げてあげることで、健康リスクも防ぐことができるのではないでしょうか。
※参考:国土交通省 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の定義
断熱性を上げ、住宅エネルギーの消費量を20%以上削減し、再生可能エネルギーでゼロにすると、ZEH(ゼロ・エネルギーハウス)の住宅としてマークをもらうことができます。具体的には、高断熱基準はそれぞれの地域で外皮性能のUA値(外皮平均熱貫流率)を守った住宅としていて、関東などの6地域では0.6W/(㎡・K)という値を守らなければいけません。
UA値とは、中と外の温度差が1度あるときに、家全体で窓や屋根、外壁などの屋外の空気に触れている部材1㎡あたり、どれくらいの熱が逃げるかを示したものです。数値は低いほうがいいとされています。
設備を効率化して、20%以上の省エネをしたら5つ星がもらえ、残りのエネルギーを再生可能エネルギーで相殺した住宅がZEHと呼ばれます。狭小敷地のため太陽光発電で使用電力がまかなえない場合など、削減が75%以上のものはNearly ZEH(ニアリーゼッチ)と呼ばれます。ただし、家電製品を含んではいません。家電製品を除いたエネルギー収支がゼロになるという定義です。
ZEH居住者にアンケートを行うと、冬の室内については「快適だった」「やや快適だった」という結果が90%以上もあったそうです。断熱性能をきちんともたせると、快適な住宅に住めるのだということがわかります。ZEHは、エネルギー面が優れているだけではなく、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な空間を実現するということができるようになっています。
少しでも快適な暮らしができるように、断熱性を上げるリフォームもだんだん増えてきているように思います。マンションでは内窓の取り付けや、フルリフォームの場合はその機会に断熱材の張り増しなどをする場合もあります。
もし、“ちょっと聞いてみたい”がありましたらお気軽にご相談くださいませ。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
公開日:2024年4月4日
REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。
高低差のある土地で、側面の土が崩れるのを防ぐために設置される壁状の構造物を擁壁といいます。この擁壁がある不動産の売買において、最も重要なのは安全性です。擁壁の安全性が不動産売買にどう影響するのか解説します。
擁壁の安全性が不動産売買に与える影響について、主なポイントは以下の4点です。
1.安全な擁壁は売却への影響はない
国が定めた基準に従って設計・施工された擁壁は、大地震や豪雨で崩壊することはまずありません。安全性が確認された擁壁がある家や土地は、擁壁自体がマイナス要因になることはなく、相場どおりの価格で売却できます。
2.安全性が確認できない擁壁は売却価格に影響する
擁壁の安全性が確認できない場合、災害時の不安が払拭できないため、売却価格に影響します。特に、2000年以前に建てられた家の擁壁は、安全性が確認できないケースが多く存在しています。
3.擁壁の下の敷地でも売却に影響がある
他人地の擁壁であっても、売却に大きく影響を及ぼすことがあります。擁壁の高さによって建て替えの可能性が異なります。
4.検査済証だけでは安心ができないケースがある
検査済証は、検査をした時点の適合性を証明したものであり、売却時の適合性を保証するものではありません。経年劣化や法改正による影響も考慮する必要があります。
擁壁に関連する法律・法令には以下の3つがあります。
1.宅地造成等規制法
宅地造成等規制法は、盛土や擁壁などの土木工事に伴う崩壊や土砂の流出による災害を防止するための規制を行うものです。特定の高さを超える擁壁については、許可や確認申請が必要とされています。
2.建築基準法
建築基準法においても、擁壁に関する規定があり、擁壁の設置や安全性について、法律で定められています。
3.地方公共団体の条例
地域ごとに「がけ条例」と呼ばれる条例が定められています。これにより、擁壁の安全性や設置条件が具体的に規定されています。
宅地造成は、建物を建てたり駐車場を設置したりするために森林などを地均し(じならし)することです。すでに建物が建てられている土地や、駐車場や資材置き場が設置されている土地を再び地均しすることでもあります。
崖崩れや土砂災害が心配される区域内で乱暴な宅地造成が行われれば、大雨の際に土砂災害が発生し、多くの人命が失われるおそれがあります。このため、宅地造成等規制法では、崖崩れや土砂災害が心配される区域を「宅地造成工事規制区域」と呼び、同区域内で一定の範囲を超える宅地造成を行う際は、都道府県知事などの許可が必要であると規定しています。
許可を必要とする宅地造成は、切土(斜面を削る工事)により、高さが2mを超える崖(角度が30度を超える斜面)ができる宅地造成のほか、盛土(土を盛る工事)により、高さが1mを超える崖(角度が30度を超える斜面)ができる宅地造成、切土と盛土を同時に行うことにより、高さが2mを超える崖(角度が30度を超える斜面)ができる宅地造成があります。また、切土や盛土の有無にかかわらず、500㎡を超える宅地造成を行う場合もあります。
適切な工事が行われた場合、都道府県知事などが現場を検査し、検査済証が発行されます。適切に行われなかった場合は許可が取り消され、工事のやり直しを請求されます。
建築基準法において、擁壁は「法19条4項:敷地の安全に関する規定」と「法40条:地方公共団体の条例による制限の附加(通称:がけ条例)」で規定されています。
擁壁の高さが2mを超える場合、確認申請が必要です(施行令138条)。高さが2m以下の擁壁は、がけ条例も適用されず、建築基準法の具体的な規制はかかりません。
構造の規定としては、鉄筋コンクリート造、石造、その他これらに類する腐食しない材料を用いなければなりません。石造の擁壁については、コンクリートを用いて裏込めし、石と石とを十分に結合すること、擁壁の裏面の排水を良くするため、水抜き穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜き穴の周辺に砂利などを詰めることが決められています。
擁壁のある不動産を売買する場合、以下6つの注意点を考慮することが重要です。
1.擁壁の安全性を確認する
擁壁が安全であることを確認しましょう。国の基準を遵守して設計・施工された擁壁は、大地震や豪雨で崩壊することはほとんどありません。擁壁の検査済証を確認し、安全性が確認されたものであることを確認してください。
2.擁壁の高さに注意
高さが2mを超える擁壁は、開発許可や宅造許可、建築確認申請が必要です。これらの手続きを遵守しましょう。高さが1mを超える擁壁を築造する場合も、同様に申請が必要です。
3.擁壁の所有者になるリスクを理解する
擁壁の所有者になると、擁壁の安全性を維持する責任が発生します。擁壁の瑕疵担保責任を理解しましょう。
4.地質を考慮する
地盤の安息角(土を積み上げたときに崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度)内に基礎を設けることで、擁壁が決壊しても建物への影響を最小限に抑えられます。地質によって建て替えの可能性が異なることを理解してください。
5.検査済証だけでなく実際の状態も確認する
検査済証だけでなく、実際の擁壁の状態も確認しましょう。経年劣化や欠陥がないかをチェックします。
6.売却価格に影響を与える可能性を理解する
安全性が確認できない擁壁は、売却価格に影響を与える可能性があります。購入者は工事費用を差し引いた金額での購入を希望することが考えられます。安全性につきましては専門家に相談し、慎重に擁壁の状態を確認し、売買を進めることが重要になります。
公開日:2024年4月4日
REDSエージェント、宅建士の穗坂一也です。
武蔵小山駅は東京都品川区小山3丁目にある東急目黒線の駅です。武蔵小山駅は品川区に立地していますが、駅の西側に隣接する都立小山台高校を過ぎると目黒区目黒本町に入ります。「武蔵小山エリア」という視点で見ると、品川区だけでなく目黒区にもまたがるエリアといえます。今回はこの武蔵小山駅周辺の不動産事情について解説します。
(写真はイメージです)
武蔵小山駅の駅名の由来からお話しします。小山八幡神社(現在の荏原7丁目)が小高い山の上にあったことから、小山という地名がついたとされています。一方、この近辺が小高い山であることに由来する「小山」が語源とする説もあるそうです。
1923年に目黒蒲田電鉄(現在の東急目黒線)の駅として「小山駅」が開通しましたが、同名駅がすでに東北本線に設置されていたため、旧国名「武蔵」を冠して翌1924年に「武蔵小山」という名へ改称されました。
ちなみに目黒蒲田電鉄は東急電鉄創業のきっかけとなった路線です。明治の実業家、渋沢栄一が「田園都市構想」を掲げて洗足、多摩川台地域を宅地開発します。その地域から都心へ向かうアクセス路線として目黒蒲田電鉄を設立、1923年3月に目黒駅~丸子(現・沼部)駅間が、次いで同年11月1日に蒲田駅まで開通しました。時が流れて沿線一帯は住宅地化が進みましたが、どこかのどかな街並み、雰囲気が漂う街並みが広がっていました。
そんな目蒲線が2000(平成12)年に東横線の複々線部分を武蔵小杉駅まで走る東急目黒線(2008年に日吉駅まで延伸)と東急多摩川線に分割、武蔵小山駅は東急目黒線の駅となり、併せて目黒駅より都心方面へ向けて東京メトロ南北線と都営三田線の相互直通運転が開始、都心方面へのアクセスが便利になりました。
2006(平成18)年には駅の地下化工事が完了し、地上1面2線から地下2面4線に移設され現在に至ります。目黒線の地下化事業は、都市計画道路補助第26号線整備事業の一環として実施、これにより目黒駅付近から洗足駅付近にかけて約2.8kmの区間が道路と立体交差化され、武蔵小山駅前の開かずの踏切を横切る補助26号線の慢性的な交通渋滞が解消されました。
2023年には東急新横浜線が開業し、相鉄新横浜線との相互直通運転も開始されています。
駅の地下化、東急目黒線の誕生から始まる街の再開発によって利便性が向上し、「住みたい街」としても人気が高まっている武蔵小山。武蔵小山駅は目黒、大手町、永田町、日比谷へ1本という利便性の高さも人気の理由のひとつですが、駅周辺には2009年に駅前広場とバスロータリーができ、2010年に駅ビルが開業、駅前再開発によって2019年に誕生した商業施設(パークシティ武蔵小山THE MALL)に加え、全長800mある商店街「武蔵小山商店街パルム」、歴史ある温泉施設「清水湯」など、活気ある周辺環境も人気のポイントです。
住民の憩いの場、お散歩コース、ジョギングコースとなっている都立林試の森公園をはじめとした豊かな自然景観がある点も「住みたい街」に選ばれる理由といえます。
昭和31(1956)年にオープンした「武蔵小山商店街パルム」は完成当時「東洋一」と称えられ、現在も東京で最も長いアーケード商店街として知られています。アーケードに並ぶお店は約200店舗以上あり、飲食店や雑貨、服飾などバラエティ豊かなお店が立ち並び、雨の日でも傘をささずにショッピングが楽しめます。年間を通じてさまざまなイベントも開催され賑わっています。昔ながらの八百屋さん、パン屋さん、焼鳥屋さんなども元気に営業中。武蔵小山駅前を始端とすると中原街道まで至って終端となりますが、中原街道を越えるとすぐに今度は全長1.3km、都内最長の商店街である戸越銀座商店街につながります。
2019年にオープンしたパークシティ武蔵小山THE MALLは武蔵小山の新たな複合商業施設です。また、駅と直結するショッピングモールのetomo(エトモ)武蔵小山にはスイーツショップやベーカリー、無印良品、東急ストアなどが入っています。このほかオオゼキ武蔵小山店、ライフ武蔵小山店などの普段使いのスーパーマーケットも駅徒歩5分圏内にあります。
駅前には市街地再開発事業とし整備、建設されたパークシティ武蔵小山ザ・タワー(2019年築、地上41階建、総戸数628戸)、シティタワー武蔵小山(2021年竣工、地上41階建、総戸数506戸)の高層マンションが昔ながらの住宅、商店街と近接して立ち並んでいます。シティタワー武蔵小山には品川区役所の支所である荏原第一地域センターと荏原第一区民集会所も入っており、各種届出や住民票、マイナンバーカードの発行などに対応しています。
これらの大規模マンションは大規模な工場跡地を利用して建設されたマンションではなく、駅前の歴史ある商業地・住宅地の再開発事業として建設されたため、高層マンションが林立しておらず、新しい街並みと昔ながらの街並みが調和した住環境となっている点が特長といえます。
武蔵小山駅周辺は、2023年には東急目黒線と相鉄線の直通運転が開始され、新横浜へのアクセスなどの利便性も高まり、ますます発展が期待される注目エリアです。前記の再開発事業に続き、複数の市街地再開発事業が事業化に向けて検討が進められているそうです。
今後、新たにタワーマンションの建築予定や周辺の整備など、街のグレードアップが検討されていて、人気向上に伴う人口増加や街の付加価値アップが予想されています。
公開日:2024年4月3日
皆様こんにちは、不動産流通システム、REDSリフォーム、宅建士・1級建築施工管理技士補・リフォームスタイリスト1級の木須陽子です。
前回はさまざまなアスベスト(石綿)のばく露環境と疾患の関係についてお話しました。今回は建築物石綿含有建材調査の重要性と調査の流れについてお話します。
これまで見てきたように、石綿は大きな被害を発生させてきた発がん性物質であり、現在でも大量に残されています。残された石綿含有建材は、維持管理上、または除去や解体の過程で、リスクを評価し、評価結果に応じて適切に取り扱い、建築物の解体・改修時には適切に飛散防止措置を講じなければなりません。
建築物はそれぞれ石綿含有建材の種類が異なり、ハザードを把握し、リスク対策をするために調査が必要です。石綿のリスクは、健康リスクだけにとどまらず、評価損リスクも存在します。
2010(平成22)年4月からは、国内の企業会計に資産除去債務の考え方が導入され、有価証券の発行者は原則として、建築物に石綿含有建材が存在するか否かについて調査した上で資産除去債務を合理的に見積もり、除去に必要となる費用を資産除去債務(負債)として計上、これに対応する除去費用を有形固定資産に計上する会計処理を行うことが求められるようになりました。
国内企業が会計ルールをめぐる海外からの要請に応えていくためにも、建築物における石綿の使用実態の正確な調査は、重要性を増しています。
さまざまな場面で「リスク」という言葉が使用されていますが、一般に労働安全衛生の分野では、リスクとはハザード(危険有害の源)にそれが現実の危害をおよぼす可能性(確率)をかけ合わせたものとされます。
石綿のリスクは、〈石綿(ハザード)×ばく露(呼吸によって吸い込むこと)〉です。石綿は存在するだけではリスクは発生しませんが、力が加わり飛散し、ばく露が起きたときにリスクが発生します。成形板のように石綿繊維が固定されていればリスクは発生しませんが、吹付け石綿が劣化している空間に人がいれば、ばく露のおそれがあり、リスクが発生するということになります。
事前調査・相談
調査実施計画(調査目的確認・竣工の範囲の確認・調査範囲の計画)
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計画承認・契約
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図面等調査(設計図・竣工図・改修図・対策工事記録)
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発注者ヒアリング(竣工・改修履歴・利用状況・対策工事記録)
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書面調査整理(建物概要・使用された材料・竣工部位・石綿と疑わしい部材のリストアップ)
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データーベース等照合(石綿含有データベース・メーカー・業界団体HP)
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石綿含有のありなし仮判定(含有材・無含有材・不明建材)
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書面調査整理(部屋・竪穴区画ごとの仕様整理)
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目視調査準備(建物調査計画 手順・用具・要員等)
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外観観察(基本情報確認・構造仕上材・周辺建物)
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屋上・外構確認(仕上・防水処理・煙突・設備機器・配管ダクト)
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内部レイアウト確認(書面調査結果との照合(各部屋の用途等・すぐ見える内装材・見えない壁天井裏隠蔽部)
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各部屋調査(過去の改修痕・竪穴区画・層間・設備機器各部屋ごとの野帳スケッチや記録写真、ワークシート)
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現物確認(製品の表示、各種資料との確認、メーカー証明)※含有建材とみなして判定も可
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分析用試料採取(代表する検体・分析法に則した採取)
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分析(分析業者へ依頼)
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石綿含有のありなし(結果の確認分析結果から石綿含有のありなしの判定使用箇所特定)
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報告書作成(調査目的・範囲・総括表・詳細表・分析結果等)
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調査報告 調査結果を発注者へ説明
建築物調査では、まず建築物の所有者や建物管理を所有者より受託している業者などから竣工年、改修履歴などの情報を入手します。
次いで設計図や竣工図などの設計図書類の調査(以下「書面調査」)を実施し、現地調査時の確認ポイントなどを洗い出す作業を実施します。これらの書面調査の結果などを踏まえて現地調査を実施します。
実際の建物調査から分析による判断が必要な箇所を抽出した上で、的確に使用されている材料を代表する分析用試料を採取し、分析機関に依頼して分析します。
最後に、書面調査、現地調査、分析結果などを合わせて、建物調査報告書を作成。図面上では石綿含有建材が使われているように記載がある場合であっても、実際には使用した材料が同等品扱いで他の建材に変更され、石綿含有建材を使用せずに施工されていたり、改修などの際にすでに撤去済みであったりすることもありますので、書面調査、現地調査を踏まえて、石綿含有建材の疑いがあるものが存在しなかった場合は、使用箇所がない旨の建物調査報告書を作成し、依頼者に提出します。
一方、図面などの設計図書類が保存されていない場合や、所有者が変更されて調査の端緒となる情報源が少ない場合の調査作業には簡易の図面作成が伴うこともあります。
次回は建築建物石綿含有建材調査についてお話します。