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森山 賢治(宅建士・リフォームスタイリスト)

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公開日:2024年11月21日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。今回は公道と私道の違いのほか、私道のトラブルについて具体例を挙げて解説します。

私道

(画像はイメージです)

公道の特徴

公道の特徴は以下のとおりです。

  1. 公共の利用:公道は一般の人々が自由に利用できる道路です。
  2. 管理者:国や地方自治体が管理・維持を行います。
  3. 維持費:道路の維持費用は税金でまかなわれます。
  4. 公共サービス:ゴミ収集や除雪などの公共サービスがあります。
  5. 交通規制:交通ルールや規制が厳格に適用されます。

私道の特徴

一方、私道の特徴は以下のとおりです。

  1. 限定された利用:私道は所有者や特定の住民のみが利用できる道路です。
  2. 管理者:道路の所有者や住民が管理・維持を行います。
  3. 維持費:道路の維持費用は所有者や住民が負担します。
  4. 公共サービスの制限:公共サービスの対象外となることがあります。
  5. 交通規制の自由度:交通ルールや規制が所有者や住民の裁量に委ねられることが多いです。

前面が私道の場合、公道と比べてのメリットとデメリット

前面道路が私道である場合のメリット5つ

  1. プライバシーの確保:私道は一般の通行が少ないため、静かでプライバシーが保たれやすいです。
  2. 交通量の少なさ:通行する車両が限られるため、交通事故のリスクが低くなります。
  3. 管理の自由度:私道の管理は所有者や住民によって行われるため、道路の維持や修繕に関する決定がしやすいです。
  4. 駐車の自由度:公道に比べて駐車の制約が少なく、住民専用の駐車スペースを確保しやすいです。
  5. コミュニティの形成:私道を共有する住民同士の交流が深まりやすく、コミュニティ意識が高まることがあります。

前面道路が私道である場合のデメリット5つ

  1. 維持費の負担:私道の維持や修繕費用は住民が負担する必要があります。
  2. 緊急車両のアクセス:私道が狭い場合、緊急車両のアクセスが難しくなることがあります。
  3. 資産価値の影響:公道に面している物件に比べて、資産価値が低く評価されることがあります。
  4. 法的な制約:私道の使用や管理に関する法的な制約やトラブルが発生する可能性があります。
  5. 公共サービスの制限:ゴミ収集や除雪などの公共サービスの対象外となることがあります。

私道におけるトラブル事例とは

私道をめぐるトラブルは通行に関するものと掘削に関するものの2種類があります。それぞれ解説します。

私道の通行をめぐるトラブル事例

  1. 通行妨害:私道の所有者が車を止めたり、バリケードを設けたりして他の住民の通行を妨げるケースがあります。
  2. 高額な通行料の請求:私道の所有者が突然高額な通行料を請求し、トラブルになることがあります。
  3. 所有者の所在不明:私道の共有者の一部が行方不明となり、管理や修繕のための合意が得られずトラブルになることがあります。
  4. 夜間の騒音問題:私道を通行する車の騒音が夜間に問題となり、所有者と通行者の間でトラブルが発生することがあります。

私道の掘削をめぐるトラブル事例

  1. 掘削承諾の拒否:私道の所有者が掘削を承諾せず、ライフラインの引き込みができないケースがあります。この場合、工事が進められず、住民が困ることがあります。
  2. 高額な承諾料の要求:私道の所有者が掘削の承諾に対して高額な承諾料を要求し、トラブルになることがあります。
  3. 所有者の所在不明:私道の所有者が所在不明で、掘削の承諾を得ることができず、工事が進められないケースがあります。
  4. 掘削後の復旧トラブル:掘削後の私道の復旧が不十分で、道路が損傷したまま放置されることにより、所有者や住民との間でトラブルが発生することがあります。
  5. 法的トラブル:掘削に関する法的な手続きや権利関係が不明確だと、所有者や住民との間で法的な争いに発展することがあります。

私道のトラブルを避けるために

  1. 権利関係の確認:私道の所有者や共有者の権利関係を明確にしておきましょう。法務局で登記簿謄本を取得し、所有者の確認を行うことが大切です。
  2. 使用許可の取得:私道の通行や掘削に関する使用許可を事前に取得しておくことが重要です。所有者からの書面による承諾を得ることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
  3. 法的規制の確認:私道に関する法的規制や条例を確認しておきましょう。特に掘削に関しては、建築基準法や民法の規定を理解しておくことが必要です。
  4. 近隣住民との協議:私道を共有する近隣住民との協議を行い、合意を得ておくことが重要です。良好な関係を築くことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

トラブルが発生した場合の解決方法

  1. 当事者間での話し合い:まずは私道の所有者と誠実に話し合い、問題の解決を図ります。相手の立場や意見を尊重し、互いに納得できる解決策を見つけることが重要です。
  2. 弁護士への相談:話し合いで解決できない場合は、弁護士に相談することを検討します。法的なアドバイスを受けることで、適切な対応策を見つけやすくなります。
  3. 調停や仲裁の利用:地域の調停機関や仲裁機関を利用して、第三者の仲介を通じて解決を図る方法もあります。これにより、公平な立場からの解決策が提示されることが期待できます。
  4. 裁判所への申し立て:最終手段として、裁判所に申し立てを行うことが考えられます。裁判所の判断により、法的に問題を解決することができます。
  5. 専門家の調査依頼:土地家屋調査士や不動産鑑定士などの専門家に調査を依頼し、問題の原因や解決策を明確にすることも有効です。専門家の意見を基に、具体的な解決策を検討します。

これらの方法を組み合わせて、状況に応じた最適な解決策を見つけることが大切です。
不動産売買において前面道路は大変重要な事項になりますのでご注意ください。

 

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公開日:2024年10月16日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。今回は、国土交通省による不動産の囲い込み規制と、囲い込みを回避する方法について解説します。

囲い込み

(写真はイメージです)

不動産の囲い込みは2025年から処分対象

2025年から国土交通省は不動産の囲い込み行為を処分対象とする新しい規制を導入します。この規制により、以下のような処分が行われる予定です。

  1. 是正指示:囲い込み行為が確認された場合、まずは是正指示が出されます。これは、違反行為を速やかに修正するよう求めるものです。
  2. 罰金:是正指示に従わない場合や重大な違反があった場合、罰金が科されることがあります。
  3. 業務停止命令:繰り返し違反を行った場合や特に悪質な場合には、一定期間の業務停止命令が出されることがあります。
  4. 免許取消:最も重い処分として、宅地建物取引業者免許の取消が行われる可能性があります。
  5. 社会的制裁:違反事業者名の公表も検討されており、これにより社会的な信用が失われるリスクがあります。

不動産の囲い込みとは

本来、不動産会社と専任媒介契約や専属専任媒介契約を交わしたら、国土交通省が提供するレインズに登録する必要があります。

レインズとは、不動産業界全体で物件情報を共有して買主を探すことで、不動産取引を円滑にさせるシステムです。レインズを通じて他社から購入希望や内覧の問い合わせがあれば、不動産会社は応じなければなりません。

不動産の囲い込みとは、不動産会社が売却依頼された物件を、他の不動産会社を通して買わせないことです。自社で物件の買主を探して、売却と購入を自社のみで成約させるためにおこなわれます。

つまり、不動産会社が他社から紹介された買主に物件を購入させず、自社の顧客にのみ紹介して収益を得ようとする行為、それが囲い込みです。

囲い込みの目的と理由とは?

なぜ不動産会社の一部は囲い込みをするのでしょうか。その目的や理由を5つ挙げてみます。

  1. 両手仲介の利益:不動産会社が売主と買主の両方から仲介手数料を得ることができるため、囲い込みを行うインセンティブが高くなります。
  2. 法的なあいまいさ:囲い込み自体は必ずしも違法ではなく、売主の承諾があれば合法とされる場合があります。
  3. 業界の慣習:囲い込みは長年にわたって行われてきた業界の慣習であり、特に大手不動産会社でも普通に行われています。
  4. 売主の無知:多くの売主が囲い込みの存在やそのリスクについて十分に理解していないため、不動産会社の行動を監視することが難しいといえます。
  5. 競争の激化:不動産市場の競争が激化する中で、少しでも多くの利益を確保しようとする不動産会社が囲い込みを行うことが増えています。

囲い込みをされるリスクとは

囲い込みに遭うとどんなリスクがあるのでしょうか。考え得るリスクを5つ挙げてみます。

  1. 売却期間の長期化:他の不動産会社からの買主紹介を拒むことで、売却活動が停滞し、物件の売却期間が長引く可能性があります。
  2. 売却価格の低下:囲い込みにより、物件の競争力が低下し、結果として売却価格が下がることがあります。
  3. 売主の利益減少:囲い込みによって、売主が得られるはずの利益が減少する可能性があります。
  4. 買主の選択肢の制限:囲い込みにより、買主が他の選択肢を知る機会が減り、最適な物件を見つけにくくなることがあります。
  5. 信頼関係の損失:囲い込みが発覚した場合、不動産会社への信頼が損なわれ、将来的な取引に悪影響を及ぼす可能性があります。

囲い込みをされているかを確認する方法は?

不動産会社によって囲い込みをされているのかどうか、確認する手段はあるのでしょうか? 有効な方法を2つ解説します。

契約している不動産会社にレインズの登録情報を確認する

契約している不動産会社にレインズの登録情報を問い合わせることによって、不動産会社を牽制できます。

不動産会社は、専属専任媒介契約の場合1週間に1度、専任媒介契約の場合は2週間に1度以上の頻度で、営業報告をしなければなりません。営業報告がない、もしくは自社の顧客のみを紹介し、他社からの反響がないようであれば、囲い込みをされている可能性があります。

レインズに登録できる取引状況には3つの項目があります。「公開中」「書面による購入申し込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」です。売却活動を継続していれば、本来は公開中になっています。どの取引状況を登録しているか、不動産会社に確認してみましょう。

他の不動産会社に問い合わせをしてもらう

囲い込みをされているかどうか知るために、他の不動産会社に問い合わせをしてもらう方法があります。不動産会社に勤務する知り合いがいれば、お願いをするのもひとつの手といえます。

もちろん弊社からの問い合わせも可能です。契約中の不動産会社の対応を確認すれば、囲い込みされているかどうかが判断できます。

国土交通省が処分方針を発表後の現状

不動産取引の透明性が向上し、消費者の利益が守られることが期待されていますが、大変残念なことに大手不動産会社を中心に囲い込みは続いています。

レインズ掲載物件に確認をしても「売主様の都合で他社には紹介できない」「引越し後でないと内見ができない」「リフォーム後でないと内見できない」「カギが届いていない」などの言い訳を繰り返して、囲い込みを続けています。

囲い込みを防ぐためには、信頼できる不動産会社を選び、レインズ(指定流通機構)への登録状況を確認することが重要です。今後売却を検討されている方も、現在売却中で囲い込みを心配されている方も、ぜひ囲い込みを一切おこなわない弊社REDSにお問い合わせをください。

 

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公開日:2024年9月5日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。今回は、賃貸住宅と持ち家は住むならどちらがいいのか、そのメリットとデメリットについて解説します。

賃貸と持ち家

(写真はイメージです)

賃貸住宅に住むことのメリットとデメリット

まず、賃貸住宅を住むにはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

賃貸のメリット

  1. 初期費用が低い:購入するよりも初期費用が低く済み、資金を他の投資や生活費に使うことができます。
  2. 引っ越しの自由度:転職や生活環境の変化に対応しやすく、新しい場所への移動が容易です。
  3. 修繕費用の負担が少ない:建物の修繕やメンテナンスは大家さんの責任であり、自分で負担する必要がありません。
  4. リスクが少ない:地震や災害などのリスクが発生した場合でも、所有者としての損失リスクはありません。

賃貸のデメリット

  1. 資産形成が難しい:家賃は経費となり、自己資産とはなりません。
  2. 自由な改装が難しい:自分の好みに合わせて自由に改装することは難しく、大家さんの許可が必要です。
  3. 家賃の上昇:物価や地域の人気度により、家賃が上昇する可能性があります。
  4. 退去時の手間:契約終了時には部屋を元の状態に戻す必要があります。費用がかかることもあります。
  5. 高齢になると借りられる物件が少なくなる:孤独死、病死等の確率が高くなるため、大家さんは高齢者との契約を拒む場合があります。

不動産を購入して住むことのメリットとデメリット

持ち家のメリット

  1. 資産形成:不動産は長期的な資産となり、資産価値が増加する可能性があります。
  2. 自由な改装:自分の好みに合わせて自由に改装することができます。
  3. 安定した生活環境:所有者として、自分の住む場所を自由に選び、長期的に住むことができます。
  4. 税制上のメリット:住宅ローンの利息控除や3,000万円控除など、税制上のメリットがあります。
  5. プライバシー:自分の家はプライバシーが保たれ、他人に気を使うことなく生活することができます。
  6. 団体信用保険加入:保険加入することにより、万が一の際はローンがなくなり同居者はそのまま安心して住み続けられます。

持ち家のデメリット

  1. 初期費用が高い:不動産を購入するための初期費用は賃貸に比べて高くなります。
  2. メンテナンス費用:建物の修繕やメンテナンスは自己負担となります。
  3. リスクが高い:地震や災害などのリスクが発生した場合、所有者としての損失リスクがあります。
  4. 流動性が低い:不動産は売却するまでに時間がかかるため、資金をすぐに手に入れることは難しいです。
  5. 固定資産税:不動産を所有していると、固定資産税の支払いが必要となります。

賃貸、持ち家、費用負担はどちらが得になるか

仮に35年間、賃貸住宅で家賃25万円を支払うのと、持ち家を1億円のローンで購入する場合を比較して、それぞれのコストを見てみましょう。

賃貸住宅

  • 月々の家賃:25万円
  • 年間の家賃:300万円
  • 35年間の総家賃:1億500万円

持ち家

  • 住宅ローン:1億円
  • 金利:仮に1.5%とすると、35年ローンで月々の返済額は約30万円
  • 年間の返済額:360万円
  • 35年間の総返済額:1億2,600万円

比較

  • 賃貸住宅:35年間で1億500万円
  • 持ち家:35年間で1億2,600万円

持ち家の方が総額では高くなります。しかし、持ち家は資産として残る点が大きなメリットです。また、住宅ローン控除などの税制優遇も考慮すると、実際の負担はもう少し軽くなる可能性があります。

※上記には賃貸更新料、持ち家の固都税、管理費などは含んでおりません。

賃貸、持ち家、どんな人が向いているのか?

賃貸が向いている人

  • 転勤が多いなど住む場所が確定できない人
  • 収入が安定していない人
  • 健康状態が思わしくない人
  • 借金(ローン)をしたくない人

持ち家が向いている人

  • 退職までに住宅ローン完済ができる人
  • 収入が安定している人
  • 賃貸には少ない4LDK以上の部屋数が必要な人
  • 貯蓄が潤沢な人
  • ずっとシングルの可能性がある人

考慮したい選択の基準

賃貸住宅と持ち家の選択は、個々の状況や価値観によって異なりますが、以下の基準を考慮するといいでしょう。

1.経済的安定性

  • 賃貸:初期費用が少なく、経済的な柔軟性が高い。
  • 持ち家:長期的には資産形成が可能だが、初期費用やローン返済の負担が大きい。

2.ライフスタイル

  • 賃貸:転勤や引っ越しが多い場合に適している。
  • 持ち家:長期間同じ場所に住む予定がある場合に適している。

3.将来の計画

  • 賃貸:将来の計画が不確定な場合に柔軟に対応できる。
  • 持ち家:家族の成長や老後の生活を見据えた計画がある場合に適している。

4.経済環境

  • 賃貸:金利や不動産価格の変動に影響されにくい。
  • 持ち家:金利上昇や不動産価格の変動に影響を受けやすい。

5.資産形成

  • 賃貸:資産形成が難しいが、他の投資に資金を回せる。
  • 持ち家:不動産としての資産価値が期待できる。

6.リスク管理

  • 賃貸:修繕費や災害リスクを大家が負担する。
  • 持ち家:修繕費や災害リスクを自分で負担する必要がある。

7.税制優遇

  • 賃貸:特に税制優遇はない。
  • 持ち家:住宅ローン控除や固定資産税の減免などの税制優遇がある。

8.生活の質

  • 賃貸:物件の選択肢が多く、生活環境を変えやすい。
  • 持ち家:自分の好みに合わせたリフォームや改築が可能。

9.老後の生活

  • 賃貸:老後の家賃負担が続く。
  • 持ち家:ローン完済後は住居費が軽減される。

10.心理的な安心感

  • 賃貸:住み替えの自由度が高いが、長期的な安定感に欠ける。
  • 持ち家:自分の家という安心感が得られる。

まとめ

これらの基準をもとに、自分のライフスタイルや将来の計画に合った選択をすることが重要です。

どちらにもメリットとデメリットがあるので、慎重に検討してください。

 

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公開日:2024年8月1日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。

不動産の売買契約の際に重要な役割を果たす「告知書(物件状況報告書)」について今回は解説します。

告知書

告知書(物件状況報告書)や付帯設備表の目的

告知書(物件状況報告書)や付帯設備表の主な目的は以下のとおりです。

  1. 透明性の確保:告知書は、売主が買主に対して不動産の状況を伝えるための書類です。これにより、買主は物件の状態を詳しく理解することができ、透明性が確保されます。
  2. トラブルの防止:告知書には、物件の瑕疵(欠陥)などが記載されます。これにより、売買後の契約不適合責任やトラブルを回避することが可能となります。

告知書・付帯設備表の記入漏れで生じるトラブルとは

告知書、付帯設備表の作成は、原則として売主が行います。記入漏れなどで書かれていない物件の瑕疵が引き渡し後に発覚すれば、売主は「契約不適合責任」を問われ、損害賠償などのリスクを負うことになるため、責任をもって内容を確認することが重要です。

告知書の記入漏れによるトラブル例

告知書の漏れや不備によって生じるトラブルは多岐にわたります。以下に具体的な事例をいくつか挙げてみます。

  1. 雨漏りの未告知:売主が過去に発生した雨漏りとその修繕を告知書に記載しなかった結果、買主が引き渡し後に雨漏りを発見し、売主に対して損害賠償を求めるトラブルがあります。
  2. シロアリ被害の未告知:売主が知っていたシロアリ被害を告知書に記載しなかった場合、買主が引き渡し後にその被害を発見し、駆除費用や修復費用を売主に請求するトラブルが発生します。
  3. 地盤沈下の未告知:売主が知っていた地盤沈下の問題を告知書に記載しなかった場合、買主が引き渡し後にその問題を発見し、地盤改良費用を売主に請求するトラブルが発生します。
  4. 近隣トラブルの未告知:売主が知っていた近隣トラブル(例えば、騒音問題や境界紛争)を告知書に記載しなかった場合、買主が引き渡し後にそのトラブルを発見し、解決費用を売主に請求するトラブルが発生します。

付帯設備表の記入漏れによるトラブル例

付帯設備表の漏れや不備によって生じるトラブル事例もいくつか挙げてみます。

  1. 給湯器の故障の未告知:売主が知っていた給湯器の故障を付帯設備表に記載しなかった場合、買主が引き渡し後にその故障を発見し、修理費用を売主に請求するトラブルが発生します。
  2. 空調設備の故障の未告知:売主が知っていた空調設備(エアコンなど)の故障を付帯設備表に記載しなかった場合、買主が引き渡し後にその故障を発見し、修理費用を売主に請求するトラブルとなります。
  3. 床暖房の存在の未告知:売主が付帯設備表に床暖房の存在を記載しなかった場合、買主が引き渡し後に床暖房がないことを発見し、「床暖房があると思って購入した」と補償を求めるトラブルとなりかねません。
  4. 設備の撤去の未告知:売主が引き渡し時に設備(組み込みの家電など)を撤去する予定であるにもかかわらず、それを付帯設備表に記載しなかった場合、買主が引き渡し後にその設備がないことを発見し、設備の再設置費用を売主に請求するトラブルが発生します。
  5. 設備の残置の未告知:売主が引き渡し時に設備(家具や家電など)を残置する予定であるにもかかわらず、それを付帯設備表に記載しなかった場合、買主が引き渡し後にその設備が残っていることを発見し、設備の撤去費用を売主に請求するというトラブルとなります。

告知書・付帯設備表のトラブルを解決する方法

不動産売買における告知書や付帯設備表のトラブルを解決する方法は以下のとおりです。

  1. 事前の確認:売主は、告知書や設備表を作成する際に、物件の状態を正確に把握し、全ての情報を詳細に記載することが重要です。また、買主もこれらの書類を受け取ったら、内容をよく確認し、疑問点があればすぐに売主や不動産業者に問い合わせることが重要です。
  2. 専門家の意見を求める:不動産の専門家や法律家に相談することで、適切なアドバイスを得ることができます。特に、法的な問題が発生した場合や、大きな金額が関わる問題の場合には、専門家の意見を求めることが有効です。
  3. 調停・訴訟:売主と買主の間でトラブルが解決しない場合、調停や訴訟を行うことも考えられます。ただし、これらの手段は時間と費用がかかるため、最終的な手段と考えましょう。
  4. 再契約:売主と買主が合意できる場合、再契約を行うこともひとつの解決策となります。たとえば、売主が買主に対して一部の金額を返済する、または買主が売主に対して追加の金額を支払うなど、双方が納得できる条件で契約を見直すことが可能です。
  5. 修理・改修:設備の故障や物件の瑕疵が発見された場合、売主が修理や改修を行うことで問題を解決することもあります。ただし、これは売主と買主が合意した上で行いましょう。

まとめ

これらの解決策は、具体的な状況や問題により異なるため、適切な解決策を選択することが重要です。また、不動産売買は大きな金額が動くため、専門家の意見を求めることをおすすめします。

重要事項説明書、売買契約書以外にも、告知書や付帯設備表は大変重要ですのでご注意ください。

 

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公開日:2024年6月19日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。

建築基準法に定められた道路と敷地に関する規定、「接道義務」について今回は解説します。

接道義務

接道義務とは?

接道義務とは、建築物の敷地が建築基準法に定められた道路に2m以上接していなければならないという決まりを指します。奥まった路地上の土地でも、道路に面する通路の間口が2m以上あることが求められます。

接道義務を満たしていない土地は原則として再建築不可となり、せっかく相続や購入で土地を手に入れても、家を建てることができません。

ただし、接道義務には例外もあります。接道義務の原則や例外を正しく理解することで、土地を賢く売ることや新しい家を建てることにも希望が持てます。

接道義務が必要な理由

接道義務が必要な理由は主に2つあります。

  1. 緊急車両の通行を確保するため。
  2. 建築物の日照・採光・通風を確保するため。

接道義務は、地域の人々が暮らしやすいようにするだけではなく、安心して生活できるように法律で定められているのです。

接道義務の例外

接道義務には主に3つの例外が存在します。

1.建築基準法42条2項道路に該当する場合:これは「みなし道路」とも呼ばれ、建築基準法が定められる前から存在している道路や、すでに建物が立ち並んでいる場合などが該当します。この場合、道路の幅が4m未満でも例外とされ、建物を建てることが可能です。

2.建築基準法43条但し書き物件に該当する場合:建築基準法上の道路に接していない土地でも、「特定行政庁が建築審査会の同意を得て建築を許可した土地」は例外と認められます。ただし、この許可は1回の建物建築に限ります。したがって、許可を得た建物を壊して再建築するときには、再度43条但し書き物件の許可を得なければなりません。

3.都市計画区域・準都市計画区域外で建築する場合:接道義務は、都市計画区域・準都市計画区域内でしか適用されません。そのため、これらの区域外で建築するときには、接道義務を果たさなくても建物の建築が可能です。

これらの例外を理解することで、接道義務を満たしていない土地でも有効に活用することが可能になります

路地状敷地(旗竿地)における接道義務

路地状敷地(旗竿地)における接道義務は、特に注意が必要な領域です。以下に主な注意事例を4つ挙げてみます。

1.部分的に借地をして接道要件を満たす事例:旗竿地(路地状敷地)の専用通路部分が幅員1.9mであれば、基本的には再建築不可の土地となります。しかし、隣接する地権者から幅10cm(以上)の土地を借りることで、建築確認を取ることが可能です。

2.敷地延長の通路部分を他人と共有している場合:敷地延長の通路部分が共有だった場合、共有持ち分にしか担保権を設定できないため、金融機関からは敬遠されやすいといえます。

3.通路部分は共有だが、仮に共有物分割したとしたら2m確保できる持ち分がある場合:4mの通路で、共有持ち分が1/2など、共有物分割(共有持ち分に従って敷地を分割して分け合う)したとした場合に、通路幅員を2m確保できる共有持ち分を持っているのであれば、その分割作業を実際にやるかやらないかは別として、取り扱いできる可能性は高まります。

4.通路部分のように見える部分が、建築基準法上の道路に指定されている場合:通路部分が、建築基準法上の道路に指定されている(位置指定道路)ならば、再建築可能であり、担保として取り扱えます。

路地状敷地での接道義務を満たす方法

路地状敷地(旗竿地)でも接道義務を満たす方法がいくつか存在します。主なものを3つ紹介します。

1.隣地の一部または全てを購入する:道路に接している通路の間口が2m未満の場合、建て替えることができません。そのため、隣の土地の一部または全てを購入し、接道義務を満たせば、建て替えることが可能です。

2.自分の土地と隣地の土地を交換する:たとえばAさんが接道義務違反の場合、隣人であるBさんの土地の一部を購入し、Aさんに全体を売却(またはBさんから全体を購入)し、AさんとBさんの土地を交換することで接道義務を満たすことが可能となります。

3.セットバックを行う:セットバックとは、道路の幅員が4m未満の2項道路の場合、道路の中心線から2mの線まで道路と敷地の境界線を後退させることで、幅員4mを確保する方法です。

これらの方法を理解することで、路地状敷地でも接道義務を満たすことが可能になります。ただし、具体的な建築計画を進める前に、各地方自治体の建築指導課などに問い合わせて確認しておくことをおすすめします。それぞれの地域によって、接道義務に関する具体的な規定や適用例が異なる場合があります。

不動産売買、不動産の価値判断には、接道義務は大変重要な事項になりますのでご注意ください。

 

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公開日:2024年5月11日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。

不動産の売買をする相手が知人や貸主、借主などですでに決まっている場合、不動産会社の介入なしで売買を締結した方が仲介手数料を節約できるため、省略してもいいものかとの相談がありました。不動産を個人間で売買する際の注意点を解説します。

個人間売買

不動産の個人間売買をする際の8つの注意点

不動産を個人間売買する際の主な注意点は以下の8つです。

1.価格の適正性:不動産の価格は、物件の立地、築年数、建物の状態などにより大きく変動します。売買価格が適正かどうかを把握するためには、同じような条件の物件の相場を調査することが重要です。

2.契約書の確認:契約書は、売買の条件を明確にするための重要な文書です。契約書には、物件の詳細、価格、引渡し日、ペナルティなどが記載されています。専門家に契約書をチェックしてもらうことをお勧めします。

3.物件の状態の確認:建物の構造、設備の状態、近隣環境などを必ずチェックしましょう。可能であれば、専門家による建物診断を受けることをお勧めします。

4.登記簿謄本の確認:登記簿謄本には、物件の所有者や抵当権などの重要な情報が記載されています。これらの情報を確認し、問題がないかをチェックしましょう。

5.税金や手数料:不動産の売買には、固定資産税や登録免許税、仲介手数料など、さまざまな費用が発生します。これらの費用を事前に確認し、予算内に収まるかを確認しましょう。

6.法律的な手続き:不動産の売買は、法律的な手続きが伴います。たとえば、売買契約の締結、登記の変更などです。これらの手続きは専門的な知識を必要とするため、専門家(弁護士や司法書士など)に依頼することをお勧めします。

7.物件の評価:物件の価値を正確に把握するためには、専門的な評価が必要です。不動産鑑定士による物件評価を受けることで、物件の適正な価格を知ることができます。

8.ローンの確認:不動産の購入には大きな金額が必要となります。ローンの金利や返済計画をしっかりと確認し、自身の経済状況に合った計画を立てることが重要です。

個人間売買で特に重要な登記簿確認

特に4の登記簿謄本の確認について、さらに詳しく説明します。次の9つのステップで登記簿を確認しましょう。

1.所有者の確認:登記簿謄本には物件の所有者が記載されています。売主が実際に所有権を持っていることを確認します。「甲区」の所有権に関する事項から確認ができます。

2.抵当権の確認:抵当権が設定されている場合、その詳細が登記簿謄本に記載されています。抵当権が残っている場合、売買価格以上の債権額がある場合は特に注意が必要です。

3.仮登記、差押の確認:抹消されていない仮登記はまだ効力があります。余白部分に本登記がされますと、この仮登記以降に本物件に受付された登記はすべて抹消されます。また、差押登記の後に所有権移転登記をすることは可能ですが、競売、公売手続き後、買受人が現れた場合、この差押登記以降に受付された登記はすべて抹消されます。事前に仮登記、差押登記を抹消する段取りを整えたうえで進めないとトラブルに発展してしまいます。

4.根抵当権の確認:根抵当権が設定されている場合、現時点で被担保債権の額がゼロであっても、根抵当取引が続いているのであれば、売買契約後も借り入れが行われる可能性もあります。したがって、売買代金が極度額の金額以上であっても、根抵当権者と債務者との取引内容によっては、根抵当権を解除できない場合があります。

5.地役権の確認:地役権が設定されている場合、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供することになり、他の土地に利用されていることになります。地役権は容易に抹消ができませんので容認できることか確認が必要です。

6.地目の確認:地目は土地の利用目的を示しています(例:宅地、田、畑など)。土地の利用制限を理解するために重要です。例えば地目が「田」「畑」の場合、現況が宅地であったとしても、所有権移転登記を行うに当たっては、農地法5条などの届出受理書もしくは許可書が必要になります。事前に取得しておかないと当日所有権移転ができなくなるため注意が必要です。

7.面積の確認:土地や建物の面積が登記簿謄本に記載されています。実際の面積と一致しているか確認します。増改築などの理由により、登記簿上の床面積と現況の床面積が異なる場合、金融機関から現況に合わせるように求められることがあります。土地家屋調査士に依頼をして現況に合わせて登記をするか、または増改築部分を解体するかになりますが、どちらにしても時間と費用が発生します。事前に取り決めが必要になります。

8.権利種類の確認:所有権以外にも、地上権や賃借権などの権利が存在します。これらの権利が設定されている場合、その詳細を確認します。地上権は地主の承諾を得なくても第三者に譲渡できますが、賃借権の譲渡には地主の承諾が必要です。事前に費用などの確認が必要です。

9.登記の日付と内容:登記の日付と内容を確認し、物件の過去の取引履歴を把握します。

まとめ

今回は、個人間売買の注意点と、特に登記簿謄本について詳しくご説明しました。安易な個人間売買はトラブル発生のもとになります。個人間売買といえども、信頼のできる業者に依頼をされたほうがいいでしょう。

弊社は全エージェントが宅地建物取引士ですので安心してご依頼くださいませ。しかも「仲介手数料割引~最大無料」で対応させていただきます。

 

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公開日:2024年4月4日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。

高低差のある土地で、側面の土が崩れるのを防ぐために設置される壁状の構造物を擁壁といいます。この擁壁がある不動産の売買において、最も重要なのは安全性です。擁壁の安全性が不動産売買にどう影響するのか解説します。

擁壁

擁壁の安全性に関するポイント

擁壁の安全性が不動産売買に与える影響について、主なポイントは以下の4点です。

1.安全な擁壁は売却への影響はない

国が定めた基準に従って設計・施工された擁壁は、大地震や豪雨で崩壊することはまずありません。安全性が確認された擁壁がある家や土地は、擁壁自体がマイナス要因になることはなく、相場どおりの価格で売却できます。

2.安全性が確認できない擁壁は売却価格に影響する

擁壁の安全性が確認できない場合、災害時の不安が払拭できないため、売却価格に影響します。特に、2000年以前に建てられた家の擁壁は、安全性が確認できないケースが多く存在しています。

3.擁壁の下の敷地でも売却に影響がある

他人地の擁壁であっても、売却に大きく影響を及ぼすことがあります。擁壁の高さによって建て替えの可能性が異なります。

4.検査済証だけでは安心ができないケースがある

検査済証は、検査をした時点の適合性を証明したものであり、売却時の適合性を保証するものではありません。経年劣化や法改正による影響も考慮する必要があります。

擁壁に関連するする法律・法令

擁壁に関連する法律・法令には以下の3つがあります。

1.宅地造成等規制法

宅地造成等規制法は、盛土や擁壁などの土木工事に伴う崩壊や土砂の流出による災害を防止するための規制を行うものです。特定の高さを超える擁壁については、許可や確認申請が必要とされています。

2.建築基準法

建築基準法においても、擁壁に関する規定があり、擁壁の設置や安全性について、法律で定められています。

3.地方公共団体の条例

地域ごとに「がけ条例」と呼ばれる条例が定められています。これにより、擁壁の安全性や設置条件が具体的に規定されています。

宅地造成規制法とは

宅地造成は、建物を建てたり駐車場を設置したりするために森林などを地均し(じならし)することです。すでに建物が建てられている土地や、駐車場や資材置き場が設置されている土地を再び地均しすることでもあります。

崖崩れや土砂災害が心配される区域内で乱暴な宅地造成が行われれば、大雨の際に土砂災害が発生し、多くの人命が失われるおそれがあります。このため、宅地造成等規制法では、崖崩れや土砂災害が心配される区域を「宅地造成工事規制区域」と呼び、同区域内で一定の範囲を超える宅地造成を行う際は、都道府県知事などの許可が必要であると規定しています。

許可を必要とする宅地造成は、切土(斜面を削る工事)により、高さが2mを超える崖(角度が30度を超える斜面)ができる宅地造成のほか、盛土(土を盛る工事)により、高さが1mを超える崖(角度が30度を超える斜面)ができる宅地造成、切土と盛土を同時に行うことにより、高さが2mを超える崖(角度が30度を超える斜面)ができる宅地造成があります。また、切土や盛土の有無にかかわらず、500㎡を超える宅地造成を行う場合もあります。

適切な工事が行われた場合、都道府県知事などが現場を検査し、検査済証が発行されます。適切に行われなかった場合は許可が取り消され、工事のやり直しを請求されます。

建築基準法における擁壁に関する規定とは

建築基準法において、擁壁は「法19条4項:敷地の安全に関する規定」と「法40条:地方公共団体の条例による制限の附加(通称:がけ条例)」で規定されています。

擁壁の高さが2mを超える場合、確認申請が必要です(施行令138条)。高さが2m以下の擁壁は、がけ条例も適用されず、建築基準法の具体的な規制はかかりません。

構造の規定としては、鉄筋コンクリート造、石造、その他これらに類する腐食しない材料を用いなければなりません。石造の擁壁については、コンクリートを用いて裏込めし、石と石とを十分に結合すること、擁壁の裏面の排水を良くするため、水抜き穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜き穴の周辺に砂利などを詰めることが決められています。

擁壁のある不動産を売買する際の注意点

擁壁のある不動産を売買する場合、以下6つの注意点を考慮することが重要です。

1.擁壁の安全性を確認する

擁壁が安全であることを確認しましょう。国の基準を遵守して設計・施工された擁壁は、大地震や豪雨で崩壊することはほとんどありません。擁壁の検査済証を確認し、安全性が確認されたものであることを確認してください。

2.擁壁の高さに注意

高さが2mを超える擁壁は、開発許可や宅造許可、建築確認申請が必要です。これらの手続きを遵守しましょう。高さが1mを超える擁壁を築造する場合も、同様に申請が必要です。

3.擁壁の所有者になるリスクを理解する

擁壁の所有者になると、擁壁の安全性を維持する責任が発生します。擁壁の瑕疵担保責任を理解しましょう。

4.地質を考慮する

地盤の安息角(土を積み上げたときに崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度)内に基礎を設けることで、擁壁が決壊しても建物への影響を最小限に抑えられます。地質によって建て替えの可能性が異なることを理解してください。

5.検査済証だけでなく実際の状態も確認する

検査済証だけでなく、実際の擁壁の状態も確認しましょう。経年劣化や欠陥がないかをチェックします。

6.売却価格に影響を与える可能性を理解する

安全性が確認できない擁壁は、売却価格に影響を与える可能性があります。購入者は工事費用を差し引いた金額での購入を希望することが考えられます。安全性につきましては専門家に相談し、慎重に擁壁の状態を確認し、売買を進めることが重要になります。

 

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公開日:2024年2月25日

REDSエージェント、宅建士の森山賢治です。違反建築物と既存不適格建築物の違いをご存じでしょうか? 「どっちもダメなんじゃないの?」とつい考えてしまいますが、両者には大きな違いがあります。

建築物

違反建築物とは

違反建築物とは、建築基準法や都市計画法などに定められた規定や条件に違反して建てられた建築物のことを指します。具体的には以下のような状況が考えられます。

●法令上求められる基準に違反している建築物:例えば、建築物が占める面積(建築面積)の敷地面積に対する割合を示す建ぺい率や、建物の延べ面積の敷地面積に対する割合を示す容積率、防火規制、用途制限などの基準に違反している場合です。

●手続に関する規制への違反がある建築物:例えば、建築した建物の構造・仕様が建築確認申請の際に提出した図面と異なる場合や、建築基準法6条1項各号に掲げられた建物の建築にあたって必要な手続きを踏まなかった場合です。

違反建築物は、安全面や衛生面、防災の観点から問題がある可能性が高く、その所有者自身も危険にさらされるおそれがあるばかりでなく、採光・通風・防火・避難・衛生などに不都合が生じ、周辺住民などにもさまざまな面で不利益を及ぼす可能性があります。

既存不適格建築物とは

既存不適格建築物とは、建築当時の建築基準法令には適合していたものの、建築後の法改正や用途地域の変更によって、法令に適合しなくなった建物のことを指し、違反建築物とは区別されます。

既存不適格建築物については、現行の建築基準法令の規定は適用されず、原則として、増改築・大規模修繕・大規模模様替えなどを実施する際に、現行の規定に適合させればよいとされています。ただし、政令の範囲内で行われる増築、改築等や軽微な修繕・模様替えなどを行う場合は、適合させる必要はありません。つまり、現行の建築基準法令に合わせるためだけに、既存不適格建築物に対して改築などの対処をする必要はないのです。

違反建築物の具体的事例

違反建築の具体的な事例としては以下のようなものがあります。

●建ぺい率オーバー:建築基準法では、敷地面積に対する建築面積の割合(建ぺい率)が定められています。しかし、この建ぺい率を超えて建築した場合、違反建築となります。例えば、建築確認申請とは異なる建築や増築、敷地の一部の売却などがなされるケースがあります。

●採光不良:建築基準法では、居室面積の1/7以上の開口部(窓)を設けることが求められています。しかし、隣地の建物との間が狭いことによって採光不良となるケースがあります。

●違法増築:10㎡を超える面積の増築には建築確認申請が必要です。しかし、この確認申請を行わずに増築を行ってしまった場合、それは違法増築となります。

これらの違反は、建築基準法や都市計画法などの法令に違反しているため、行政からの是正命令や使用制限などの指導の対象となります。また、違反建築物を購入した場合、ローンの取得が難しくなる、売却が困難になるなどのリスクもあります。不動産を購入する際には、物件が違反建築でないかをしっかり確認しましょう。

違反建築物かを調べる方法

違反建築物かどうかは、以下の方法によって確認できます。

●建築確認申請書類の確認:建築確認申請書類は、建築主が建築物を建てる際に、建築基準法に適合していることを確認するために提出するものです。この書類には、建築物の設計図や仕様、構造計算書などが含まれており、これらの内容が現状の建築物と一致しているかを確認することで、違反建築物かどうかを判断することができます。

●建築確認済証の確認:建築確認済証は、建築確認申請が行政から確認され、建築が許可されたことを示す証明書です。この証明書がある場合、その建築物は法令に適合していると認められています。ただし、建築確認済証があっても、その後の改築や増築が適切に行われていない場合、違反建築物となる可能性があります。

●専門家の意見を求める:建築士や不動産鑑定士などの専門家に相談し、建築物の適法性を確認することも有効です。専門家は、建築基準法や都市計画法などの法令を理解しており、違反建築物かどうかを判断するための知識と経験を持っています。

●行政への問い合わせ:建築物が所在する自治体の建築指導課などに問い合わせ、建築確認申請の有無や内容を確認するのもいいでしょう。ただし、個人情報保護法などの関係で、所有者以外の者が詳細な情報を得ることは難しい場合があります。

これらの方法を用いて違反建築物かどうかを調査することができますが、専門的な知識が必要な場合もあるため、不明な点があれば専門家に相談することをお勧めします。

違反建築物を購入することのメリットとデメリット

違反建築物を購入すると、どんないいことや悪いことがあるのでしょうか。

メリット

●価格:違反建築物は法律に適合していないため、不動産市場では一般的に低価格で取引されます。そのため、初期投資を抑えることが可能です。

●収益性:違反建築物はしばしば法定以上の面積を有しているため、法に適合した建築物よりも多くの家賃収入を得ることが可能です。

デメリット

●安全性:違反建築物は建築基準法に適合していないため、建物の構造的な安全性や機能性が確保されていない可能性があります。これは、災害時に特に問題となり得ます。

●行政指導:違反建築物は行政から指導を受ける可能性があり、使用制限がかかることもあります。最悪の場合、使用禁止の命令が下される可能性もあります。

●融資の問題:違反建築物の購入に対する金融機関の融資(住宅ローン)は厳しいとされています。そのため、ローンが利用できない可能性があります。

●売却の難易度:違反建築物はその性質上、売却が難しいといえます。特に、金融機関の融資が難しいため、購入希望者が限られてしまうでしょう。

ただ、違反建築物を購入する場合、その違法性を改善することができれば、融資も通りやすくなり、売却という出口も見えてくる可能性があります。ただし、そのためには改善に必要な費用や手間を考慮に入れる必要があります。

不動産は高額商品ですから、信頼のできる業者に依頼をしての物件選択が不可欠です。弊社REDSは全エージェントが宅地建物取引士ですので安心してご依頼をくださいませ。

 

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公開日:2024年1月22日

REDSエージェント、宅建士の森山です。日銀の金融政策の見直しで、長期金利に続き短期金利も上昇する可能性が出てきており、住宅ローンの金利はどれくらい上がるのか、家を買うことを検討しているみなさまの中には気になる方も多いのではないでしょうか。

住宅ローンの金利タイプには変動型と固定型があります。それぞれについて解説します。

住宅ローン

住宅ローン・変動金利型

変動金利型の住宅ローンは一般的には半年ごとに金利が見直され、金利の動きによって返済額が変わる可能性があります。

●メリット:金利が低ければ利息が少なくなるため、借り入れ当初の返済金額を低く抑えることができます。また、金利が下がれば返済額も減少します。
●デメリット:金利が上昇すると返済額が増加します。また、返済計画が立てにくいという点もあります。

住宅ローン・固定金利型

固定金利型の住宅ローンは、一定期間(全期間固定金利型)または借り入れから特定の期間(固定期間選択型)の間、金利が変わらず、返済額も一定です。

●メリット:金利が上昇しても返済額は変わらないため、金利上昇の影響を受けず、返済計画が立てやすいです。
●デメリット:変動金利型に比べて金利が高めに設定されているため、毎月の返済額が高くなり、借入可能額が少なくなる可能性があります。

どちらの金利タイプを選ぶかは、個々の金利観、ライフスタイル、リスク許容度などによります。それぞれの特徴を理解した上で、自身の状況に最も適した選択をすることが重要です。また、金利動向を定期的にチェックし、必要に応じて金利タイプを変更することも選択肢に入れておきましょう。

住宅ローンの保証料・手数料とは

住宅ローンを借りる際には、保証料と融資手数料という2つの費用が発生することがあります。それぞれの役割と違いについて説明します。

保証料

保証料は、借り手が返済できなくなった場合に、保証会社が返済を肩代わりするための費用です。保証料は、借入額と返済期間によって変わります。また、保証料には一括前払い型と金利上乗せ型の2種類があります。

融資手数料

融資手数料は、住宅ローンを借り入れる際の手続きの報酬として金融機関へ支払う費用です。「定率型」と「定額型」の2種類に分けられます。定率型では、住宅ローンの借入金額に対して一定の利率を掛けた金額を支払います。定額型では、手数料を数万円程度の少額に抑えられますが、かわりに借入金利が年0.2%ほど上乗せされるのが一般的です。

これらの費用は、金融機関によって異なります。大手銀行や地方銀行では、保証料の支払いが必要ですが、事務手数料は3万~5万円程度と定額です。一方、ネット銀行では、保証料が不要である代わりに、事務手数料は借入金額の2.2%程度もしくは数十万円の定額に設定されています。最近では大手銀行でも保証料型ではなく手数料型が増えてきました。

これらの特徴を理解し、自身の状況に合った住宅ローンを選ぶことが重要です。

元利均等返済、元金均等返済とは

住宅ローンの返済方法には主に「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。

元利均等返済

元利均等返済とは毎月の返済額が一定になる返済方式です。返済額は一定ですが、その内訳は、返済が進むほど元金が減るので利息額は減っていき、その分元金の返済額が増えていきます。

●メリット:毎月の返済額が一定なので資金計画が立てやすい。初期の返済額を少なくすることができる。
●デメリット:元金均等返済に比べて総返済額が多くなる。借入金の減り方が遅い。

元金均等返済

元利均等返済とは毎月の元金部分の金額を一定にし、それに利息部分を上乗せして返済していく方法です。元金部分と利息部分を合計した返済額は、初回が最も多く、返済が進むにつれて、少なくなっていきます。

●メリット:返済額は返済期間に応じて少なくなる。元利均等返済に比べて、総返済額を少なくすることができる。
●デメリット:返済開始当初の返済額が多く、返済負担が大きい。借入時に必要な収入も高くなるため、借入可能額が少なくなる場合がある。

これらの特性を理解し、自身のライフスタイルや将来の収入予測などを考慮に入れて、最適な返済方法を選ぶことが重要です。具体的なシミュレーションを行うことで、どの返済方法が自身に適しているかを見極めることができます。

団体信用保険とは

住宅ローンの団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、住宅ローンの残債をゼロにする保険です。以下に詳細を説明します。

団信の仕組み

住宅ローン利用者が死亡または高度障害の状態になった場合に保険が適用され、住宅ローンの残高を支払う必要がなくなります。団信に加入することにより、死亡または高度障害の状態になった場合に残りの住宅ローンの返済を免除され、家族はそのまま住宅に住み続けることができます。

団信の加入条件

団信に加入できるのは、新規の住宅ローン契約者または借り換えを行う人です。加入後に団信のプランを途中変更することはできません。健康状態によっては加入できない場合もあります。

団信の保険料

団信の保険料は金融機関が負担しますが、一般的に、団信の保険料相当額は住宅ローンの金利に含まれています。これらの特性を理解し、自身のライフスタイルや将来の収入予測などを考慮に入れて、最適な返済方法を選ぶことが重要です。具体的なシミュレーションを行うことで、どの返済方法が自身に適しているかを見極めることができます。

まとめ

住宅ローンにはさまざまな種類があります。信頼のできる不動産業者に依頼をして、お客様それぞれに最適な住宅ローンの選択が不可欠です。

弊社は全エージェントが宅地建物取引士ですので、安心してご依頼くださいませ。

 

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公開日:2023年12月13日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。土地の売買をするとき、その土地が軟弱地盤であるかどうか知っておく必要があります。その理由について解説します。

軟弱地盤

軟弱地盤を曖昧なままにした売買の問題点

土地の売買契約後に地盤の軟弱性が発覚した場合、売主は契約不適合責任に基づいて買主に損害賠償を請求される可能性があります。売主は、地盤の軟弱性を知らなかった場合や、その原因に責任がない場合でも、責任を免れない場合が多いです。

なぜなら売主は契約の目的を達成できるような状態で土地を売却しなければならないためです。仮に軟弱な地盤だった場合、買主が建物を建てる予定だったならば目的を達成することができていないことになります。

地盤の軟弱だと、建物の不同沈下や傾斜などの損傷を受ける恐れがあります。また、地盤改良工事を行う必要がある場合、その費用は数百万円程度と高額になることがあります。

地盤の軟弱性は、売買契約締結時に隠れた瑕疵として認められる場合がありますが、その判断は個別の事情によって異なります。買主が地盤の軟弱性を一定程度認識していた場合や、売主が地盤の軟弱性を明確に告知した場合は、隠れた瑕疵とは認められない場合があります。

軟弱地盤にはどのようなものがあるか

軟弱地盤とは、土木・建築構造物の支持層には適さない、泥や多量の水を含んだ常に柔らかい粘土や未固結の軟らかい砂から成る地盤の総称です。軟弱地盤には以下のような種類があります。

●有機質土・高有機質土(腐植土):植物の遺体や分解物が堆積した土で、水分や空気を多く含みます。圧縮性が高く、沈下や液状化の危険性があります。

●N値3以下の粘性土:N値とは、地盤の強度を示す値で、標準貫入試験で測定します。N値が3以下の粘性土は、水分を多く含み、圧縮性が高く、沈下や液状化の危険性があります。
●N値5以下の砂質土:N値が5以下の砂質土は、水の移動が容易に行える大粒の土で、地震時には液状化現象が起こりやすいです。

●海成堆積物・埋立地:海岸平野での海成堆積物や埋立地は、粘性土や砂質土が混ざった不均質な地盤で、沈下や液状化の危険性があります。

●腐植土:谷底に形成された腐植土は、有機物が多く含まれた黒色の土で、水分を多く含みます。圧縮性が高く、沈下や液状化の危険性があります。

軟弱地盤を見分けるには

最終的には専門家の調査によることとなりますが、現地を注意深く観察することや、公開されている資料を利用することで軟弱地盤かどうかを見分けることができます。

まず、売主から水はけの良しあし、過去の水害などについて確認します。近隣からもヒアリングする必要があります。郷土資料などによっても過去の自然災害を確認できます。

次に現地を観察することで軟弱地盤の可能性を推測することができます。

①建物や塀に傾きはないか、基礎が沈下していないか、擁壁の状況はどうか
②水はけが良いか悪いか
③水田や自然の池がある公園が近隣にあるか
④堤防や水門、調整池(調節池)・ため池などの人工構造物の存在
⑤近隣に傾いた塀がある、基礎や外壁に亀裂のある家が多い

また、一般に入手できる資料としては次のものがあります。

①ハザードマップ:水害ハザードマップ、液状化マップ
②古地図:対象土地が過去にどのような使われ方をしていたかを確認できます。
③年代別航空写真:対象土地がどのような変遷をしているかを確認できます。
④地質図(日本シームレス地図):地表付近の地層や岩体を、その種類や年代等によって区別して、それらの分布や重なりが分かるようにした地図です。
⑤土地条件図(国土地理院):防災対策や土地利用・土地保全・地域開発等の計画策定に必要な、土地の自然条件に関する基礎資料を提供する目的で、昭和30年代から実施している土地条件調査の成果を基に、主に地形分類(山地、台地、段丘、低地、水部、人工地形等)について示したものです。ハザードマップ作成の基礎資料として使われています。
⑥治水地形分類図(国土地理院):治水対策を進めることを目的に、国が管理する河川の流域のうち主に平野部を対象として、扇状地、自然堤防、旧河道、後背湿地の詳細な地形分類および堤防の河川工作物当を表示している主題図です。
⑦ボーリング柱状図:各自治体のHPで公開されており、軟弱地盤を判断する資料として活用できます。

軟弱地盤が見つかった場合の対処方法は

調査によって軟弱地盤であると分かったとき、主な対処方法は以下のようなものがあります。

●地盤調査を行う:地盤の強度や改良の必要性を調べるために、専門の業者に依頼するか、不動産会社に相談しましょう。

●地盤補強工事を行う:地盤が弱いと判断された場合は、地盤を強化する工事を行う必要があります。地盤補強工事には、柱状改良工法、小口径鋼管工法、既製コンクリートパイル工法、表層改良工法などがあります。

●地盤の状態や改良の費用を明示する:地盤が弱いことを知っている場合は、売主は買主にその事実を告知する義務があります。また、地盤改良の必要性や費用の負担についても、売買契約の前に明確に合意しておくことが望ましいでしょう。

軟弱地盤はその物件ごとにさまざまな問題がありますので、よりきめ細かな調査が必要になります。信頼のできる業者に依頼をしての売買が不可欠です。弊社は全エージェントが宅地建物取引士ですので安心してご依頼をくださいませ。

 

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