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森山 賢治(宅建士・リフォームスタイリスト)

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公開日:2024年2月25日

REDSエージェント、宅建士の森山賢治です。違反建築物と既存不適格建築物の違いをご存じでしょうか? 「どっちもダメなんじゃないの?」とつい考えてしまいますが、両者には大きな違いがあります。

建築物

違反建築物とは

違反建築物とは、建築基準法や都市計画法などに定められた規定や条件に違反して建てられた建築物のことを指します。具体的には以下のような状況が考えられます。

●法令上求められる基準に違反している建築物:例えば、建築物が占める面積(建築面積)の敷地面積に対する割合を示す建ぺい率や、建物の延べ面積の敷地面積に対する割合を示す容積率、防火規制、用途制限などの基準に違反している場合です。

●手続に関する規制への違反がある建築物:例えば、建築した建物の構造・仕様が建築確認申請の際に提出した図面と異なる場合や、建築基準法6条1項各号に掲げられた建物の建築にあたって必要な手続きを踏まなかった場合です。

違反建築物は、安全面や衛生面、防災の観点から問題がある可能性が高く、その所有者自身も危険にさらされるおそれがあるばかりでなく、採光・通風・防火・避難・衛生などに不都合が生じ、周辺住民などにもさまざまな面で不利益を及ぼす可能性があります。

既存不適格建築物とは

既存不適格建築物とは、建築当時の建築基準法令には適合していたものの、建築後の法改正や用途地域の変更によって、法令に適合しなくなった建物のことを指し、違反建築物とは区別されます。

既存不適格建築物については、現行の建築基準法令の規定は適用されず、原則として、増改築・大規模修繕・大規模模様替えなどを実施する際に、現行の規定に適合させればよいとされています。ただし、政令の範囲内で行われる増築、改築等や軽微な修繕・模様替えなどを行う場合は、適合させる必要はありません。つまり、現行の建築基準法令に合わせるためだけに、既存不適格建築物に対して改築などの対処をする必要はないのです。

違反建築物の具体的事例

違反建築の具体的な事例としては以下のようなものがあります。

●建ぺい率オーバー:建築基準法では、敷地面積に対する建築面積の割合(建ぺい率)が定められています。しかし、この建ぺい率を超えて建築した場合、違反建築となります。例えば、建築確認申請とは異なる建築や増築、敷地の一部の売却などがなされるケースがあります。

●採光不良:建築基準法では、居室面積の1/7以上の開口部(窓)を設けることが求められています。しかし、隣地の建物との間が狭いことによって採光不良となるケースがあります。

●違法増築:10㎡を超える面積の増築には建築確認申請が必要です。しかし、この確認申請を行わずに増築を行ってしまった場合、それは違法増築となります。

これらの違反は、建築基準法や都市計画法などの法令に違反しているため、行政からの是正命令や使用制限などの指導の対象となります。また、違反建築物を購入した場合、ローンの取得が難しくなる、売却が困難になるなどのリスクもあります。不動産を購入する際には、物件が違反建築でないかをしっかり確認しましょう。

違反建築物かを調べる方法

違反建築物かどうかは、以下の方法によって確認できます。

●建築確認申請書類の確認:建築確認申請書類は、建築主が建築物を建てる際に、建築基準法に適合していることを確認するために提出するものです。この書類には、建築物の設計図や仕様、構造計算書などが含まれており、これらの内容が現状の建築物と一致しているかを確認することで、違反建築物かどうかを判断することができます。

●建築確認済証の確認:建築確認済証は、建築確認申請が行政から確認され、建築が許可されたことを示す証明書です。この証明書がある場合、その建築物は法令に適合していると認められています。ただし、建築確認済証があっても、その後の改築や増築が適切に行われていない場合、違反建築物となる可能性があります。

●専門家の意見を求める:建築士や不動産鑑定士などの専門家に相談し、建築物の適法性を確認することも有効です。専門家は、建築基準法や都市計画法などの法令を理解しており、違反建築物かどうかを判断するための知識と経験を持っています。

●行政への問い合わせ:建築物が所在する自治体の建築指導課などに問い合わせ、建築確認申請の有無や内容を確認するのもいいでしょう。ただし、個人情報保護法などの関係で、所有者以外の者が詳細な情報を得ることは難しい場合があります。

これらの方法を用いて違反建築物かどうかを調査することができますが、専門的な知識が必要な場合もあるため、不明な点があれば専門家に相談することをお勧めします。

違反建築物を購入することのメリットとデメリット

違反建築物を購入すると、どんないいことや悪いことがあるのでしょうか。

メリット

●価格:違反建築物は法律に適合していないため、不動産市場では一般的に低価格で取引されます。そのため、初期投資を抑えることが可能です。

●収益性:違反建築物はしばしば法定以上の面積を有しているため、法に適合した建築物よりも多くの家賃収入を得ることが可能です。

デメリット

●安全性:違反建築物は建築基準法に適合していないため、建物の構造的な安全性や機能性が確保されていない可能性があります。これは、災害時に特に問題となり得ます。

●行政指導:違反建築物は行政から指導を受ける可能性があり、使用制限がかかることもあります。最悪の場合、使用禁止の命令が下される可能性もあります。

●融資の問題:違反建築物の購入に対する金融機関の融資(住宅ローン)は厳しいとされています。そのため、ローンが利用できない可能性があります。

●売却の難易度:違反建築物はその性質上、売却が難しいといえます。特に、金融機関の融資が難しいため、購入希望者が限られてしまうでしょう。

ただ、違反建築物を購入する場合、その違法性を改善することができれば、融資も通りやすくなり、売却という出口も見えてくる可能性があります。ただし、そのためには改善に必要な費用や手間を考慮に入れる必要があります。

不動産は高額商品ですから、信頼のできる業者に依頼をしての物件選択が不可欠です。弊社REDSは全エージェントが宅地建物取引士ですので安心してご依頼をくださいませ。

 

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