両手仲介と不動産の囲い込みDUAL AGENT BROKERAGE AND ENCLOSURE OF REAL ESTATE

不動産売買をするなら知っておきたい
「両手仲介」「囲い込み」

不動産業界で古くから続く商慣習に、「両手仲介」や「囲い込み」と言われる手法がありますが、これは不動産業者の利益のためのだけの行為であり、売主や買主にはけっして良い影響はもたらしません。

それでは両手仲介と不動産物件の囲い込みとはどのようなものなのでしょうか。

両手仲介とは

1つの物件の不動産売買取引において、1社の不動産会社が、売主と買主の双方の仲介を行い、その両方から仲介手数料を受領することを、不動産業界では俗に、「両手」や「両手仲介」と呼ばれています。不動産会社にとってこの形態は、もっとも多くの収入が得られ、相当数の不動産会社はこれを目指しているのが現状です。

両手仲介

これに対して、売主と買主のそれぞれに、別々の不動産会社が仲介を行うことを、業界では、「片手」や「片手仲介」と言います。

片手仲介

不動産・物件の囲い込みとは

不動産会社が、より収益の多い「両手仲介」を執拗(しつよう)に目指すがために、売主から売却の依頼を受けた不動産物件を、他の不動産会社に取り扱わせないようにする行為のことを、不動産会社では、「囲い込み」(不動産・物件の囲い込み)と言います。

囲い込み

これにより、売主の希望の金額での成約機会が妨げられるケースも多く発生しています。

両手仲介利益相反?

不動産を「より高く売りたい」と思う売主と、「より安く買いたい」と思う買主の要望は相反しているため、これをひとつの不動産会社が同時にかなえることは、構造的に困難です。

ほとんどの業界関係者は、もちろんこのことに気づいています。
しかし、せっかくの収益を減らすようなことには、及び腰というわけです。

弁護士による利益相反に関する見解(当社紹介文)

両手仲介・囲い込みを行っている業者の見分け方

01売買仲介実績からわかる両手仲介の現状

主要な不動産流通会社の情報は開示されているものがあります。過去の売買仲介実績データから、不動産会社ごとに受領している仲介手数料の平均料率を試算することができます。

不動産会社が売買仲介をしたときの報酬は「物件価格の3.3%+6.6万円」が上限と法律で定められています。2023年度の主要不動産流通会社の売買仲介実績(住宅新報社発表、主要不動産会社37社)によると、上限を上回る数値が出ています。

主要不動産流通各社の2023年度(24年3月期)の売買仲介実績

企業・グループ名 取扱高 手数料収入 取扱件数
金額
(百万円)
1件当たり取扱高
(百万円)
金額
(百万円)
1件当たり手数料
(百万円)
手数料料率 件数
1 東急リバブル 2,080,149 68.73 88,622 2.93 4.26% 30,265
2 三井不動産リアルティグループ 1,934,599 50.02 91,609 2.37 4.74% 38,680
3 住友不動産販売 1,392,869 44.22 70,158 2.23 5.04% 31,502
4 野村不動産ソリューションズ 1,221,849 119.74 47,750 4.68 3.91% 10,204
5 センチュリー21 696,026 24.91 33,349 1.19 4.79% 27,937
6 三井住友トラスト不動産 652,496 76.60 26,212 3.08 4.02% 8,518
7 三菱UFJ不動産販売 576,491 138.08 24,253 5.81 4.21% 4,175
8 みずほ不動産販売 537,395 139.66 22,188 5.77 4.13% 3,848
9 三菱地所リアルエステートサービス 494,719 352.62 15,126 10.78 3.06% 1,403
10 東宝ハウスグループ 301,113 41.83 14,376 2.00 4.77% 7,198
11 積水ハウスグループ 250,478 39.24 11,980 1.88 4.78% 6,384
12 住友林業ホームサービス 201,525 45.88 8,708 1.98 4.32% 4,392
13 大和ハウスグループ 200,964 46.21 9,843 2.26 4.90% 4,349
14 大京穴吹不動産 166,864 36.91 7,109 1.57 4.26% 4,521
15 東京建物不動産販売 163,119 148.70 5,153 4.70 3.16% 1,097
16 大成有楽不動産販売グループ 157,479 52.18 6,467 2.14 4.11% 3,018
17 福屋不動産販売 153,599 19.49 7,610 0.97 4.95% 7,882
18 スターツグループ 146,650 65.26 6,867 3.06 4.68% 2,247
19 三菱地所ハウスネット 143,510 66.23 6,307 2.91 4.39% 2,167
20 近鉄不動産 124,587 28.61 6,023 1.38 4.83% 4,355
21 伊藤忠ハウジング 107,829 54.40 2,123 1.07 1.97% 1,982
22 長谷工リアルエステート 105,529 45.35 4,100 1.76 3.89% 2,327
23 リストサザビーズ
インターナショナルリアルティ
103,139 73.25 4,929 3.50 4.78% 1,408
24 中央日土地ソリューションズ 92,855 265.30 3,554 10.15 3.83% 350
25 ポラスグループ 77,098 28.70 3,592 1.34 4.66% 2,686
26 Megroup 59,864 28.68 4,123 1.98 6.89% 2,087
27 メルディアリアルティ 56,566 47.14 2,211 1.84 3.91% 1,200
28 小田急不動産 45,469 42.42 2,174 2.03 4.78% 1,072
29 ナイス 44,517 41.96 1,795 1.69 4.03% 1,061
30 ハウスフリーダムグループ 39,738 28.40 2,015 1.44 5.07% 1,399
31 REDS 36,476 58.93 708 1.14 1.94% 619
32 阪急阪神不動産 33,587 45.45 1,456 1.97 4.34% 739
33 京王不動産 28,315 44.87 1,252 1.98 4.42% 631
34 西鉄不動産 24,494 33.01 1,206 1.63 4.92% 742
35 朝日住宅 23,668 35.01 949 1.40 4.01% 676
36 相鉄不動産販売 20,649 37.75 1,080 1.97 5.23% 547
37 京急不動産 17,738 38.39 832 1.80 4.69% 462
37社 計 12,514,012 55.83 547,809 2.44 4.38% 224,130

出所:本表は「住宅新報」発表記事(昨年・今年)より当社で作成。
※原則売買仲介のみの実績で、両手仲介は1件で計上。 ※センチュリー21は加盟店実績合計
※三井不動産リアルティグループは賃貸仲介・管理収益等を含む ※住友不動産販売は賃貸仲介を含む 
※東急リバブルは賃貸仲介等を含む ※スターツグループはピタットハウスのみの集計 
※三菱地所ハウスネットは賃貸仲介を含む ※伊藤忠ハウジングは新築マンション販売代理を含む

上記の表は住宅新報発表の『主要不動産流通各社2023年度通期の売買仲介実績』を取扱高が多い順に表したものです。既に当社REDSは電鉄系不動産流通各社を凌ぐ取扱高を誇りますが、なによりも手数料料率が「1.94%」と群を抜く低さとなっており、いかにREDSの仲介手数料が安くお得なのかを、この表でご確認いただけるのではないでしょうか。

宅建業法の定めでは、不動産会社が売主または買主の一方から【片手仲介】で受領することが許される仲介手数料の上限は物件価格の「3%+6万円」までとなっており、これを著しく超える手数料料率の場合は、売主と買主の双方から仲介手数料を同時に受領する双方仲介【両手仲介】を多く行っていると考えられます。

また、不動産会社が一つの売買仲介でより多くの仲介手数料を受領できる両手仲介に拘るために発生する「不動産の囲い込み」は、売主と買主の経済的利益・機会利益を逸することになり、信義則違反はもとより背信行為とも疑われる業界悪習です。

02大手不動産は取引の半分で欧米ではタブーの両手仲介?

2023年度の不動産会社の仲介手数料率(上記表では「手数料収入」の「手数料料率」で表示されています)は、37社平均で4.38%となっています。不動産の仲介手数料は、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)により、取扱高が400万円以上の場合、その上限額は取扱高の「3%+6万円」と決まっています。それなのにトップ3の手数料率は5.07~6.89%、その他の34社の手数料率平均も4.36%と、宅建業法の上限額を超えてしまっているように見えます。この料率が成り立つ理由は、不動産取引の売買の仲介手数料は、売主と買主の双方から上限値までもらうことができるからです。これを「両手仲介」といいます。両手仲介に対して、売主または買主のどちらか一方の依頼者からのみ報酬を受け取る場合は「片手仲介」といいます。

欧州の一部の国の法律や米国の州法では、不動産会社は売主もしくは買主のどちらか一方の依頼しか受けることができず、両方から依頼を受けることは禁止されています。売主の利益と買主の利益は相反すると考えられるからです。当事者の両方の代理になっても当事者の利益を追求することができないため、禁止されているのです。 日本の民法でも108条で「双方代理」は禁止されています。
しかし、日本の不動産取引を規定する宅建業法では「仲介業務は当事者の法律行為の代理ではなく、その成立を手助けする行為であるから、双方から依頼を受けることができる」という解釈がなされています。このため、多くの不動産会社は効率を上げるため、両手仲介を目指すようになります。 売買当事者の両方から仲介手数料をもらえる「両手仲介」を実現できると、不動産会社は最大で「6%+12万円」を報酬として受け取ることができます。単純に全取引の半分が「両手仲介」だとすれば「4.5%+9万円」の報酬を受け取ることができるという計算になり、上記の大手不動産会社が受け取った手数料率とほぼ一致しています。

このように、不動産会社ごとの売買仲介実績も、その会社の営業方針の判断材料となり得ます。 「知っているお客様(当社のお客様)のみをご案内します・・」などと言って、いっけん依頼者を安心させようとする説明は、裏を返せば「物件を公開する対象者は自社のお客様に絞ります・・」と、あらかじめ言っているのと同じことの場合もあります。 両手仲介を目的とする囲い込みの被害にあわないようにするためには、大手業者だから地元業者だからと安心しきらずに、様々な情報をしっかりとご自身の目で見極めることが大切です。

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