堀 茂勝(宅建士・リフォームスタイリスト)
購入は煽らず、売却は囲い込みせず、寄り添います。
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公開日:2024年8月3日
皆様こんにちは。
首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)です。
不動産の購入を検討するにあたっては、いろいろ「落とし穴」に気を付けなくてはなりません。今回も、宅建マイスター認定試験を実施している、公益社団法人不動産流通推進センターが発行している『不動産仲介トラブル事例集』に掲載された事例を参考に取り上げて、そこからお話を広げて、わたくしなりに解説してみたいと思います。
今回は、まずは上記「トラブル事例集」の事例5に掲載されている「地中埋設物」について、意外と気づかない「落とし穴」について取り上げてみようと思います。
あなたは、下記の販売図面の土地を検討しているとしましょう。
一件、なにも落とし穴がありそうなようには見えないかもしれませんね。実際に現地を見てみると……。
特に不審な点も見当たりませんね。
「不動産仲介トラブル事例集」に掲載されている詳細情報によりますと、
「この契約では、契約不適合責任の通知期間は引渡し後3か月とする特約が付されていました」…(略)…「引渡しを4か月を経過して」…(略)…「建設会社が杭打ち作業にかかったところ、旧建物のものと思われるコンクリートガラや鉄骨等が大量に残存していることが判明しました」「このままでは工事が進められない!」…(略)…「売主Xの告知説明義務違反及び仲介会社の調査説明義務違反であるとして、(撤去費用及び工事遅延を理由とする)損害賠償を求めてきました」
という事例です。
このケースでは、「旧建物の解体及び整地を、売主が自ら解体業者に依頼しておこなっておりましたので、解体工事の遂行状況を確認して埋設物の残置を把握(認識)できる立場にいたにもかかわらず、埋設物の残置を認識せずに「物件状況確認書」の作成において土地の正確な状況を告知説明する義務を怠った点が問題になりました」
そして仲介会社については、解体業者の発注に関わっておらず、「残置物の存在を認識する事は不可能であり、調査説明義務を怠ったとは言えない状況でした」と記載されています。
実はわたくし「マイスターエージェント堀」は、以前「新築戸建ての建売分譲」を主な業務としている企業で、土地の仕入れから販売までを担当していました。
その企業では、土地を購入(仕入れ)して建物があれば解体し、宅地造成(平坦地でなければコンクリート擁壁などの工事をして、道路や水路、上下水道、ガスや電気を配して戸建てが建てられる宅地をつくる)をして、新築を建てるという一連の業務に携わってきました。
その業務の中で「地中埋設物」が出てきてしまったというケースは、決して珍しいことではありませんでした。つまり、結構な頻度で出てきてしまうのです。
長期間、駐車場として利用されていた平坦地などは、特に「危険な香りがプンプン」します。なぜならその前に建っていた建物が解体されたのが昔であればあるほど、現在の売主(所有者)の前の代に行われていたりしますので、その時の状況を売主は知らず、大昔の解体時に「屋根瓦」や「建物の基礎を壊したガラ」を(おそらく処分費用をケチって)その場所に埋めてしまっている可能性が、少なからずあるからです。
私が仕入れを担当して分譲地を造った際も、以前の基礎がまるまる地中に埋まっていたり、瓦を割ったようなガラが大量に出てきたりしたこともあり、すべてその撤去費用は「売主」様にご負担いただきました。
「更地」の危険性を述べてきましたが、「現況、古屋あり」の場合についても注意点があります。
その「古屋」がずいぶん古い建物である場合(しかも床下を覗かせていただいて見てみたら、昔よく見かけた「布基礎」の物件であった場合など「地盤改良」がされていない場合は特に)その建物の下に埋設物がある可能性を疑う必要があります。
今の古屋は、解体時にきちんと処分してもらうとしても、その古屋が建つ前の大昔に、その前の建物の解体時に、そのガラを埋めてしまって、その上に基礎を築いて建物を建ててしまった……などという可能性が、ないとは言えないのです。
「埋設物」のリスクを軽減するためには、買主が購入後に古屋を解体する場合はもちろん、「現況古屋アリだが、売主による更地渡し」の場合も、建物解体時に基礎を壊したうえに、土地を少し深くさらってもらって、ガラなどの「埋設物」が見つからないかチェックしてもらうようお勧めします。
解体時に、土地を少し深くさらって「ガラ」が出なかったとしても、そこで安心してはいけません。地盤改良のために、「柱状改良」をおこなう数mぐらい、もしくは「小口径鋼管杭工法」をおこなう場合で、10m以上の深さまで地盤改良をしようとしたときに、「埋設物」に当たってしまうこともあります。
地盤補強工法
ジオテック株式会社HPより
必ず「契約不適合責任の通知期間」の間に、必ず「地盤調査」をおこなって、もしも瑕疵(契約不適合)があった場合には、売主負担で解消してもらわなければなりません。これを過ぎてしまうと、購入者が自己負担でおこなう必要がありえます。
「契約不適合責任の通知期間」を1か月や3か月に設定している売買契約のケースを見かけます。
しかし、私が最近担当しているお客様のケースでは、請負契約から基礎着工まで4か月以上かかるケースがあり、地盤調査の予定も4か月後のため、何も指示をしないと地盤調査で埋設物が発見できても、売主に負担してもらえなくなってしまいます。
このタイミングは建築会社によって全く異なります(以前担当したお客様のケースでは、かなり人気の建設会社を選んだ結果、請負契約から着工まで1年待ちのケースさえありました)。
この場合、基礎の設計ができる前であっても、少しコストは高くなりますが、土地の引き渡しを受けた後すみやかに土地の範囲をまんべんなく地盤調査しておくことが必要になります。
SWS試験
(スクリューウエイト貫入試験。旧 スウェーデン式サウンディング試験)
株式会社サムシングHPより
解体する古屋が、柱状改良や鋼管杭工法の上に建っていた場合、それが埋設されたままでは新たな新築戸建てを建築する際の支障になるケースもあります。
古屋の建築時の地盤改良の情報を入手して、新たな戸建てを建てる建築会社と、「埋設したまま」で工事を進めるのか、一部加工が必要なのか、すべて撤去が必要なのかを、よく打ち合わせる必要があります。できれば土地の契約前に、相談をしておくほうが、精神的なストレスや時間のロスも少なくできると思いますので、確認が必要ですね。
家族の幸せのための「新居」の建築ですから、「埋設物」のストレスで不幸にならないように、気をつけましょう!
【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝
<参考リンク・文献>
公開日:2024年6月25日
皆様こんにちは。
首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)です。
不動産の購入を検討するにあたっては、いろいろ「落とし穴」に気を付けなくてはなりません。そこで、宅建マイスター認定試験を実施している、公益社団法人不動産流通推進センターが発行している『不動産仲介トラブル事例集』に掲載された事例を参考に取り上げて、私なりに解説してみたいと思います。
今回は「位置指定道路」について、意外と気づかない「落とし穴」について取り上げてみようと思います。
あなたは、下記の販売図面の土地を検討しているといたしましょう。
一件、なにも落とし穴がありそうなようには見えないかもしれませんね。実際に現地を見てみると……。
特に不審な点も見当たりませんね。
道路の幅員は、現在では本来は最低4m以上が必要ですが、「2項道路」といわれる幅員4mを欠けてしまっている道路(道路と見なすことにされた道)も、特に都内ではよく見かけます。でもここは、現地の写真を見ても、道路幅がチョッとゆったりしている道路ですね。販売図面を見ると道路幅は5.4mあるようです。
幅員が4mしかない道路にくらべて、5.4mあれば、車庫入れの苦手なママでも、車の出し入れは心配なさそうですね。
今回の販売図面には「位置指定道路」と記載されております。
一般の方にはなじみのない「位置指定道路」という言葉ですが、簡単にいいますと、個人が所有している私有地を「(建築基準法上の)道路」として行政が認定して「指定」した「私道」のことです。
実際によく見かける販売図面では、「42条1項5号」と記載してあるケースが多いと思います。たとえば世田谷区では、下記のページのような記載がされています。
<世田谷区HP「建築基準法で定める道路について」>
さて、上の現地写真を見て、これが一般によくいう「公道」なのか、それとも「(多くは私道の)位置指定道路」なのか、見分けがつきにくいかもしれませんね。さて、なにを見れば、「位置指定道路」かどうか、わかるのでしょうか。
以前は、わざわざ役所に行って「建築基準法道路種別の図面を見せてください!」と言って見せてもらわないとわからなかったのですが、首都圏のほとんどの自治体では、インターネットのマップ情報によって、ご自宅で簡単に確認できるようになってきています。
たとえば世田谷区では、「せたがやi Map」で、簡単に確認ができるようになっています。
<せたがやi Map テーマ:位置指定道路>
上記のマップに薄オレンジ色に塗られている道路、「凡例」で「1項5号」と書かれているのが「位置指定道路」です。意外とアチコチにありますね。
この「位置指定道路」について詳しく知りたければ、役所に行って「指定道路台帳」を見せてもらって、写しをもらってくることができます。
さきほどの販売図面の道路について「指定道路台帳」が下記のようです。
ちなみに、この場所についての住宅地図を見ると、下記のようになっています。
整然とした街並みで、いかにも住みやすそうな土地にしか見えませんね。
この土地に、どんな落とし穴があるのでしょうか。
今回の物件の落とし穴は、「販売図面」にも「指定道路台帳」にも「幅員5.4m」となっているのに、現地を測ってみると、現況の幅員は「約4.9m」しかなかったことです。
街並みが整然としているように見えましたし、ゆったりした道路のように見えましたが、しかし「位置指定」の許可を受けた図面よりも、現況の幅員が約50cm足りなかったのです。
今回のケースでは、足りなかった50cmの幅を、道路の両側がそれぞれ約25cm(0.25m)後退して道路幅を確保する必要があります。つまり販売図面の土地のうち前面道路から約0.25mの範囲は、建物を新築する際に建築確認を取得する際の「敷地面積」に含めることができないのです。
販売図面によると、道路に接道している距離は約14.0mと記載されています。
接道幅約14.0m×後退距離約0.25m=約3.5㎡!
なんと、有効面積が約1坪も減ってしまう事態です!!
現地の写真を見ても、ゆったりした道路にしか見えませんでした。この道路幅が5.4mあるのか、約4.9mしかないのかは、ちょっと見ただけではわかりません。こんなことにならないように、現地を確認する際には、きちんと測ってみることが必要ですね。
【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝
<参考リンク・文献>
公開日:2024年5月17日
皆様こんにちは。
首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)です。
今回は、首都圏の中古マンションの販売動向について取り上げて、解説してみたいと思います。
「公益財団法人 東日本不動産流通機構」
「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」より
「レインズ(REINS)」を運用している「公益財団法人 東日本不動産流通機構」の「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」のデータを読み解いてみましょう。
レポートによると首都圏の中古マンションは成約件数が前年比で10カ月にわたって増加しており、3月の成約件数は3810件と、前年比プラス10.7%の2ケタ増となりました。
成約件数だけでなく販売中の物件数在庫件数も、前年比でなんと26カ月、2年超ものあいだ、連続で増加し続けています。
件数について、推移をグラフ化したものが下記になります。
「公益財団法人 東日本不動産流通機構」
「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」より
まず、赤色の棒グラフが成約件数。ほぼ横ばいで推移しながら、今年に入り若干右肩上がりの傾向が見て取れます。赤色の折れ線グラフが成約前年同月比ですが、2023年の6月ごろから前年同月比プラスに転じてから直近でかなり右肩上がりを維持しているのが分かります。
次に、背景に薄い紺色に塗られたグラフが在庫件数。若干右肩上がりながらほぼ横ばいで推移しています。紺色の折れ線グラフが在庫前年同月比ですが、右肩下がりながらも、まだ前年同月比でプラスを維持しています。
同じく、前出の「3月度サマリーレポート」より、価格についても見ていきましょう。
レポートによると、成約㎡単価は前年比で2020年5月から47カ月連続で上昇しており、3月は8.7%上昇しています。
一方、成約価格は前年比で2020年6月から46カ月連続で上昇しており、3月は前年同月比8.6%上昇しました。
価格について、推移をグラフ化したものが下記になります。
「公益財団法人 東日本不動産流通機構」
「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」より
赤色の棒グラフが成約㎡単価で、若干右肩上がりの傾向が見て取れます。赤色の折れ線グラフが成約前年同月比で、約2年間いずれも前年度プラス、しかも若干右肩上がりに推移しているのが分かります。
薄い紺色に塗られた棒グラフが在庫㎡単価ですが、若干右肩下がりで推移しております。紺色の折れ線グラフが在庫前年同月比ですが、こちらは約2年間右肩下がりを続けており、昨年9月ごろからマイナスに入り、その後さらに下げ続けているのが分かります。
首都圏それぞれのエリアについて、推移を表したのが下記になります。
「公益財団法人 東日本不動産流通機構」
「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」より
例えば東京都区部(23区内)は昨年6月以降、成約件数も成約㎡単価も、ずっと黒色(プラス)で推移していますが、周辺の埼玉・千葉・神奈川では上下している様子がうかがえます。
コロナ禍で「リモートワーク」が増加し、その後に鎮静化して以降のオフィス環境の変化などにより、住居に対する考え方が多様化するなか、同じ首都圏でもエリアごとに傾向が若干異なっている様子が見て取れます。
とはいえ、東京都区部(23区内)は、いずれも「赤の上昇矢印↑」(件数+10%以上、㎡単価+3%以上)と、やはりコアエリアは上昇の傾向が強いようですね。
5月5日の日本経済新聞朝刊に、下記の記事が掲載されておりました。
日経新聞記事
(2024年5月5日朝刊)より
こちらは、「築10年程度の中古マンションの平均希望売り出し価格が、新築分譲時の価格の約3倍になった」(東京カンテイが近く公表)と報じる記事です。
わたくしも、日ごろ都心の中古マンションにお客様をご案内する際に、事前に分譲時価格を調べることがありますが、現在の販売価格が分譲時の数倍になっている物件に意外とよく出合うので、この報道は実感があります。
本来は、「モノ」は使えば劣化しますので、使用期間が長くなればなるほど売却価格は下がってしまうのが常識的な考え方です。しかし、こと「都心の不動産」の場合については、「建物」の評価減よりも「土地・場所」の評価上昇のほうが上回ってしまうために、「長く使ったものでも高く売れる」という現象が起こってしまうのでしょう。
下記の表によると、「新御茶ノ水」駅や、「六本木一丁目」駅の周辺では、約2.5倍超にもなっているようです。
日経新聞記事
(2024年5月5日朝刊)より
でも、このエリアの「新築マンション」の購入はあまりに競争率が高くて、まるで宝くじに当たるような確率。そこで、築浅中古マンションにも人気が集まっているのが実情のようです。
この傾向は、ますます高まっていくのかもしれませんね。
【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝
<参考文献>
公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ2024」
日経新聞記事「都心の中古マンション価格、新築時の最大3倍 円安で海外勢には割安感」(2024年5月5日朝刊)
公開日:2024年4月9日
皆様こんにちは。首都圏一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント、【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)でございます。
最近では夫婦の共働きが増えていることもあり、住宅ローンを夫婦で借りるケースも増えてきましたが、この夫婦で住宅ローンを借りるパターンには大きく分けて3つあります。
収入合算と呼ばれる「連帯保証型」、そして「連帯債務型」、共同借入である「ペアローン」です。このうち「ペアローン」は、ご存じのようにご夫婦などの複数の借り手が共同でローンを組む仕組みですが、つい最近、新しい団信を組み込んだ商品も出てきました。今回はその「新しいペアローン」について解説します。
まず、ペアローンのメリットから解説します。
一人では買えない高価格帯の都心住宅の購入が実現! ペアローンを利用することで、単独で借りられる額よりも高い金額を借りることができます。複数の借り手が共同で保証するため、金融機関はより多くの資金を提供する可能性があります。
複数の借り手が返済を分担するため、個々の負担も当然ながら軽減されます。経済的な負担を分散することで、月々の返済額が低く抑えられる場合があり、そのぶん可処分所得が増えるかもしれません。
ペアローンでは、複数の借り手の信用履歴や収入情報が考慮されるため、審査の際に有利になる場合があります。片方の借り手の信用履歴が弱い場合でも、もう一方が強力な信用履歴を持っていれば、単独でローンを組むよりも有利な金利や条件で融資を受けられる可能性があります。
ペアローンを組むことで、共同で資産を所有することができます。例えば、共同で不動産を購入した場合、所有権は共同名義となります。これにより、資産の利益や負債が公平に分配されることになります。
メリットがあれば当然デメリットもあります。デメリットについてもしっかりと知っておいてくださいネ。
ペアローンでは、複数の借り手が共同で責任を負います。したがって、どちらか一方の借り手が返済を怠った場合、もう一方がその負債を引き受ける必要があります。信頼関係がある場合は問題ありませんが、関係が悪化するとトラブルの原因となります。
ペアローンでは、複数の借り手が共同で信用リスクを負います。したがって、どちらか一方の信用履歴に問題がある場合、もう一方もその影響を受ける可能性があります。これは、将来的な借り入れや金融取引に影響を与える可能性があります。
ペアローンでは、複数の借り手の個人情報が共有されます。これにより、ペアローンを組んでいる人どうしの人間関係が悪化すると、プライバシーの侵害や情報漏洩のリスクが増大する可能性があります。信頼できる金融機関や専門家を選択することが重要です。
ペアローンで購入した共同資産(不動産など)の所有権を分割する際には、そもそも手続きが複雑になる場合があります。また、片方の借り手が不動産を売却したい場合や、関係が悪化した場合、所有権の分割や売却手続きが困難になる可能性があります。
最近たまに見かけるケースとしては、夫婦で共有していた自宅について、離婚して自宅を出て行ったパートナーが、所有していた自宅の自分の持ち分を、勝手に第三者に売却してしまうケースです。自宅に住み続けている人にとってみると、知らない第三者や法人が、その自宅の所有権を持って、権利を主張し始める可能性もあります。
その新たな所有者が、何を意図して「持ち分」を購入したのか……。場合によっては残りの持ち分についても安く買い叩いて入手しようとする悪徳業者でないことを祈るばかりです。
以上のメリットとデメリットを踏まえ、ペアローンを組む際にはどんなことに注意すればいいのでしょうか。
ペアローンを組む前に、共同借入者との信頼関係をしっかり確立して、将来的なリスクや問題に備えましょう。協力的な関係を築くことで、トラブルを最小限に抑えることができます。結婚相手であっても、デメリットを乗り越えられるか、しっかり話し合うことが大切です。
ペアローンを組む際には、将来的なシナリオに備えて計画を立てておくことも必要といえます。
ペアローンは、借り手どうしの協力関係や信頼関係がある場合に有益な選択肢ですが、万が一の返済遅延や関係の悪化、共同資産の分割などのリスクに対処するための対策も、強い愛情と信頼関係があるうちだからこそ、そのタイミングで考えておくことが、その後の「山あり谷あり」の夫婦の人生を円満に乗り越えていくためには非常に大事なことではないかと思うのです。
2024年3月14日の日経新聞に、「ペアローン」の記事が掲載されました。
2024年3月14日 日経新聞 朝刊
PayPay銀行やりそな銀行は加入者が死亡やがんなどで返済ができなくなった場合に、配偶者のローンも含めて残高をゼロにする団体信用生命保険(団信)を導入した、新しい「ペアローン」を2024年に導入するとのことです。
従来の団信では片方が死亡や病気などで返済が難しくなった場合、保険が適用されるのは働けなくなった人だけです。配偶者のローン残債は残ります。共働きの場合は、債務が残る配偶者も子育てなどのため転職や時短勤務で給与水準を下げなければならないケースも多く、返済負担が実質的に大きくなることがあります。
首都圏、特に都内では、ひとりの収入で住宅購入ができるのは、現実的にはほんの一握りの高収入の方だけです。
「子は鎹(かすがい)」と言いますが、「ペアローンで買った住宅」も、きちんと愛情と信頼関係を維持し続けることができれば「鎹(かすがい)」になり得ます。ぜひ上手に使って、幸せな家族の生活の場所を生み出してくださいネ。
【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝
<参考文献>
日経新聞記事「住宅ペアローン、死亡時返済ゼロ りそなやPayPay銀が団信、配偶者分も保障」(2024年3月14日朝刊)
公開日:2024年3月2日
皆様こんにちは。
首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のエージェント、【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)でございます。
新居選びにあたって、すでにご希望のエリアが決まっていらっしゃる方はよろしいのですが、まだこれから……という方も結構いらっしゃいます。
そこで、今回は「街選び」にお役立ちいただけるような情報をお伝えします。
弊社不動産流通システム【REDS】では、エリアで担当を分けておりませんので、東京・千葉・埼玉・神奈川の首都圏1都3県のすべての物件を、担当したエージェントスタッフがワンストップでお取扱いさせていただいています。
わたくしも今年に入ってからだけでも「東京湾岸エリアのタワマン」から、「小平市の低層マンション」「蒲田のエキチカマンション」「松戸市の矢切の渡し近くの戸建」「台東区根津のマンション」「多摩永山エリアのマンション」「亀戸のマンション」「町田市金森の新築戸建」「横浜市青葉区の戸建」など、いろいろな街での物件を、ご案内させていただいております。
それぞれの街に、それぞれの雰囲気があり、まったく生活環境が異なっていますので、それぞれ良いところもあれば、難点なところもございます。そこに住む方の嗜好や考え方によっても、その街の住み心地は変わります。
まだエリアを決めずにお住まい探しを始めていらっしゃる方の中には、いくつ物件を見学しても、なかなか絞り込めない方がいらっしゃいます。そのような場合は、やみくもに広範囲なエリアで物件を見学するのをやめて、まずは「街選び」をしてみて、エリアを絞って探してみてはいかがでしょうか。
さて、街選びをするにあたっては、まずそれぞれの街の人気度を参考にするといいでしょう。
不動産情報サイトのSUUMOでは、毎年『住みたい街ランキング』を発表しており、『首都圏版 住みたい自治体ランキング2023』によると1~50位は下記のようになっております。
【住みたい街ランキング】
1位 東京都港区
2位 東京都世田谷区
3位 東京都渋谷区
4位 東京都目黒区
5位 東京都新宿区
6位 東京都文京区
7位 東京都品川区
8位 東京都千代田区
9位 東京都中央区
10位 神奈川県鎌倉市
11位 東京都杉並区
12位 埼玉県さいたま市大宮区
13位 千葉県船橋市
14位 東京都中野区
15位 埼玉県さいたま市浦和区
16位 神奈川県横浜市中区
17位 神奈川県横浜市西区
18位 東京都武蔵野市
19位 千葉県浦安市
20位 東京都豊島区
21位 神奈川県藤沢市
22位 東京都練馬区
23位 東京都大田区
24位 茨城県つくば市
25位 神奈川県横浜市港北区
26位 埼玉県川越市
27位 東京都江東区
28位 千葉県市川市
29位 東京都立川市
30位 千葉県流山市
31位 千葉県柏市
32位 神奈川県横浜市神奈川区
33位 神奈川県横浜市青葉区
34位 埼玉県川口市
35位 茨城県水戸市
36位 東京都台東区
37位 東京都江戸川区
38位 千葉県千葉市美浜区
39位 千葉県千葉市中央区
40位 東京都墨田区
41位 神奈川県横浜市都筑区
42位 東京都北区
43位 神奈川県横浜市鶴見区
44位 千葉県松戸市
45位 東京都三鷹市
45位 神奈川県川崎市中原区
47位 東京都板橋区
48位 神奈川県海老名市
49位 埼玉県所沢市
49位 東京都八王子市
参考:SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版 ~住みたい自治体1位は?~
さらにエリアを絞って街選びをするにあたっては、SUUMOの『首都圏版 住みたい街(駅)ランキング2023』も、より参考になります。
【住みたい街(駅)ランキング】
1~50位は下記のようになっております。
1位 横浜(JR京浜東北線)
2位 吉祥寺(JR中央線)
3位 大宮(JR京浜東北線)
4位 恵比寿(JR山手線)
5位 新宿(JR山手線)
6位 目黒(JR山手線)
7位 池袋(JR山手線)
8位 鎌倉(江ノ島電鉄線)
9位 渋谷(JR山手線)
9位 東京(JR山手線)
11位 品川(JR山手線)
12位 浦和(JR京浜東北線)
13位 中目黒(東急東横線)
14位 武蔵小杉(東急東横線)
15位 表参道(東京メトロ銀座線)
16位 流山おおたかの森(つくばエクスプレス)
17位 舞浜(JR京葉線)
18位 船橋(JR総武線)
19位 立川(JR中央線)
20位 桜木町(JR京浜東北線)
21位 中野(JR中央線)
22位 さいたま新都心(JR京浜東北線)
23位 二子玉川(東急田園都市線)
24位 自由が丘(東急東横線)
25位 柏(JR常磐線)
26位 みなとみらい(みなとみらい線)
27位 有楽町(JR山手線)
28位 北千住(東京メトロ日比谷線)
29位 つくば(つくばエクスプレス)
30位 所沢(西武池袋線)
31位 和光市(東武東上線)
32位 千葉(JR総武線)
32位 海老名(小田急小田原線)
34位 川越(東武東上線)
35位 藤沢(JR東海道本線)
36位 三軒茶屋(東急田園都市線)
37位 たまプラーザ(東急田園都市線)
38位 新浦安(JR京葉線)
39位 三鷹(JR中央線)
40位 荻窪(JR中央線)
41位 代々木上原(東京メトロ千代田線)
42位 川口(JR京浜東北線)
43位 上野(JR山手線)
44位 川崎(JR京浜東北線)
45位 下北沢(小田急線)
46位 浦安(東京メトロ東西線)
47位 守谷(つくばエクスプレス線)
48位 赤羽(JR京浜東北線)
49位 秋葉原(JR山手線)
50位 豊洲(東京メトロ有楽町線)
横浜は、6年連続トップとのことです。
大宮(3位)、鎌倉(8位)、浦和(12位)、武蔵小杉(14位)、そして流山おおたかの森(つくばエクスプレス)(16位)と、ディズニーリゾートのある舞浜(17位)より上位になっていて、これらの首都圏からはずれた街が健闘しているのが面白いところです。
参考:SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版 ~住みたい街(駅)1位は?~
SUUMOには、もうひとつ面白いランキングが掲載されています。『穴場だと思う街、住みたい沿線ランキング』です。
【穴場だと思う街(駅)ランキング】
1位 北千住(東京メトロ日比谷線)
2位 大宮(JR京浜東北線)
3位 和光市(東武東上線)
4位 所沢(西武池袋線)
5位 練馬(西武池袋線)
6位 流山おおたかの森(つくばエクスプレス)
7位 赤羽(JR京浜東北線)
7位 川口(JR京浜東北線)
9位 守谷(つくばエクスプレス)
10位 立川(JR中央線)※
※複数路線が乗り入れている駅の代表的な沿線は、回答時に選択された路線のうち最も多い得点を獲得した路線を表示
1位の「北千住」は6年連続らしく、2位の「大宮」は「和光市」と入れ替わり、去年3位だった「川口」は7位にランクダウンとのこと。また「立川」は37位から大きくアップして今回トップ10入りしたようです。
【住みたい沿線ランキング】
1位 JR山手線
2位 東急東横線
3位 JR京浜東北線
4位 JR中央線
5位 東京メトロ丸ノ内線
6位 東急田園都市線
7位 東京メトロ銀座線
8位 東京メトロ日比谷線
9位 小田急線
10位 JR常磐線
沿線の人気は、「JR山手線」が1位ですが、私鉄では「東急東横線(2位)」「東急田園都市線(6位)」と、東急線が強く、「小田急線(9位)」が続いて入っています。
参考:SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版 ~その他(穴場だと思う街、住みたい沿線)のランキング~
SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版
これらのランキングを参考にして、気になる「街」を歩いてみるなどして、「街選び」を楽しんでみてください。そのうえで、そのエリアにある物件を探すことで、より具体的な生活イメージがつくのではと思います。ぜひ試してみてくださいネ。
【REDS】宅建マイスター:堀茂勝
公開日:2024年1月25日
皆様こんにちは。
首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント、宅建士・宅建マイスターの堀茂勝(ほり しげかつ)でございます。
今回は、不動産の共有持ち分の決め方についてのお話です。
ご夫婦で不動産を購入した場合、それぞれ「持ち分」を登記することになるのですが、この持ち分、どのように決めたらいいか悩む方も多いようです。
「住宅ローンを組むのは俺だけど、俺が稼いで家を持てたのも、払っていけるのも、家内の内助の功があってこそ。だから、持ち分は半分ずつにしたい!」というお客様も、実際いらっしゃいました。
すごく優しいご主人様の、この奥様への愛情、感動です。
でも、そのとおり1/2ずつの持ち分で登記してしまった場合には、奥様が実際に費用を負担していないにもかかわらず、持ち分を持たせてあげた分は「ご主人様から奥様への贈与」という扱いになってしまうことはご存じでしょうか。
贈与税の申告期限は、「贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日まで」です。この間にきちんと「贈与の申告」までおこなっていれば問題はないのですが、それを知らずに「贈与の申告」をしないままでいると、期限内に手続きを済ませなければ、本来の納付額だけでなく延滞税や加算税などの多大なペナルティさえも課せられてしまいますので、注意が必要ですネ。
持ち分を決めるのに参考にしていただくために、まず簡単な表を用意してみました。
この表は「購入にかかった費用」を支払うにあたって、それぞれの共有者が「いくらずつ、出資したのか」を明確にするものです。
持ち分についての基本的な考え方は、それぞれの出資者が「出資した金額」を分子、「購入にかかった総額」を分母にして比率を出したものが、それぞれの「持ち分」になるという考え方です。
実際に下記の例について、表に入力してみましょう。
今回、物件の売買代金は5,000万円であったとします。これを購入するのに必要な取得費用(登記費用や仲介手数料など)は400万円とします。これを足したのが「購入費用(C)」で、5,400万円かかったことになります。この5,400万円を支払うために、それぞれの出資額は下記のとおりでした。
ご主人(共有者①)は、自分で貯めた預貯金から200万円を出し、ご主人様名義の住宅ローンを4,500万円組みましたので、ご主人の出資額は4,700万円となりました。
そして奥様(共有者②)は、独身時代から貯めた預貯金から200万円を出し、自分の親から住宅購入のために500万円の贈与があり、これを支払いにあてましたので、奥様の出資額は700万円となりました。
この状況を、上記の表に埋めていったのが、下記の表です。
これにより、
・ご主人様の持ち分は、「5400分の4700」
・奥様の持ち分は、「5400分の700」
とするのが妥当そうであることがわかります。
案分して「54分の47」と、「54分の7」としてもかまわないですが、算数・数学ではありませんので、あとあとのわかりやすさでは、そのまま「5400分の4700」で登記するのがよさそうです。
ペアローンの場合、それぞれの借入額がはっきりしている場合は、上記の表にそれぞれの借入額を入力すればよろしいのですが、「連帯債務型」などで、借り入れが1本化している場合はどのようにすればいいのでしょうか。
簡単に言いますと、その「借入額」を「収入合算額のうちの、それぞれの収入額の比率」をかけたものを、それぞれの「借入額」として入力します。
たとえば4,500万円の連帯債務の住宅ローンについて、「ご主人年収600万円、奥様年収300万円収入合算は900万円」であれば、
・ご主人様の借入額は「4,500×(600÷900)=3,000万円」
・奥様の借入額は「4,500×(300÷900)=1,500万円」
と割り振ることになるわけです。
詳しくは
住宅ローンの連帯債務の持分割合の決め方は? シミュレーション付き解説
を参考にしてみてください。
購入時に必要な取得費用(登記費用や仲介手数料など)と書きましたが、実際に「取得費用」に入れることができるのは限られています。「購入後」の入居や居住にかかる費用は対象外になるものが多いので、注意が必要です。
・移転登記費用
・保存登記費用
・表題登記費用
・契約書印紙代(個人)
・建物建築請負代金
・建物取得費用
・土地・建物購入代金
・土地造成費用
・住宅ローン事務手数料
・住宅ローン保証料
・仲介手数料
・不動産取得税
・固定資産税清算金
・引っ越し代金
・火災保険料
・家具家電カーテン等
・インターネットCATV加入料
・住宅ローン金利
・つなぎローン事務手数料
・つなぎローン金利
・管理費・修繕積立金
(参考文献:知らなきゃ損する住まいの税金 第21版 まちの専門家グループ(株)ラックコンサルタント著)
なお、今回のブログの記載の内容については、おおまかな原則的な考え方を説明しているものですので、個別のケースについては、必ず税務署や税理士のアドバイスを受けていただくことが必要になります。
納税の申告漏れに、くれぐれもご注意くださいませネ。
最終更新日:2023年12月18日
公開日:2023年12月17日
皆様こんにちは。
首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のエージェント、宅建士・宅建マイスターの堀茂勝(ほり しげかつ)でございます。
今回のブログがいきつくところは、途方もない空想の未来のお話です。私の頭の中で、とりとめもなく勝手に創り出す、いわば『SFの世界』の中で「不動産売買の未来」を「想像」…「創造」してみるという試みです。
真面目に読んでいただいても、毒にも薬にもならない、まったく役に立ちそうもないブログですので、「お役立ちブログ」をお望みの方は、読み飛ばしていただくことをオススメします。
未来を語る前に、現在弊社REDSが主戦場にしてきている、『過去』と『現代』における「日本」の「不動産の売買」について触れてみましょう。
「中古戸建」や「中古マンション」を購入したい場合、20~30年ほど前の時代では「不動産屋さん」に行って、店頭に貼りだされた「物件情報パネル」を見て探していました。
(店頭の物件情報パネル)
「もっといい情報はないかなぁ」とおもむろに店内に入ると、「所在エリア」や「物件種別」ごとに整理して「物件情報カード」が大量に重ねて立ててストックしている箱がいくつもあるなかで、自分の希望に合いそうな箱の中のカードを、昔のLPレコードを掘り出すような手つきで次から次へ1枚1枚見て探します。
気になるカードがあったら、店員さんに伝えて、その物件が販売中かどうか調べてもらって見学に行く……といったシチュエーションで、街じゅう「住宅○○館」といった類(たぐい)のお店が、どんどん増えていった時代でもありました。
(物件情報カード探し)
この手法は現代でも、賃貸物件を扱っている駅前の不動産屋さんなどでは、まだ見かけることがありますが、ほとんどは廃れました。時代が進み、物件情報探しの主流は「物件情報カード」から、安価な雑誌やフリーペーパー(無料配布本)による「住宅情報雑誌」に、その役目が移っていきました。
(物件情報誌で物件探し)
そしてスマホやPCの普及が進んだ現代では、SUUMOやアットホーム、HOME’S、Yahoo不動産などの「不動産情報広告ポータルサイト」で検索して物件を探すのが主流になりました。
さらに本格的に物件探しを始めている方の多くは、能動的に物件情報を探しに行かなくても、自分の好みの条件をマイページに登録しておけば、条件に合う新着物件情報が、自動的にメールやLINEで通知してくれるようになりました。
民間の大手情報企業が、競争し合いながらそれぞれ切磋琢磨して使い勝手を競っている「物件情報ポータルサイト」の機能は、日進月歩で使い勝手がよくなっていき、ますます「自分好みの情報を見つけやすく」なって進化を続けています。
それに対して(業界の裏側的なお話で恐縮ですが)、皆様もおそらくご存じの、不動産のプロだけが利用できる「宅建業者専用の物件データベース(レインズ)」は、およそ現代のITデータシステムの進歩からすると、信じられないくらい「顧客の物件選びに対するサービスとしては、後ろ向きともいえるくらいの貧弱な検索機能」しかなく、まして物件探しのお客様のご希望条件を登録しておいて、新着情報を収集しやすくする機能もまさに貧弱なものであります。
さらに2021年に新システムに移行した際には、用意されていない機能を「自前のシステム」でデータを加工して、お客様向けサービスの向上を指向していた業者に対し、セキュリティー強化の優先を理由に、あえてそのような親切ができなくするよう、使い勝手をより殺すシステム改訂でした。
つまり、物件探しをしているお客様のことをトコトン考えながら収益につなげるために進化しているのが「民間のポータルサイト」であるのに対して、セキュリティー重視の下、法の下により、必要十分な情報の安定流通を使命とし、「不動産業界」の秩序や、業界内の既存の大きな力を持つ方面への配慮など、気を使いながら運用・制御をし続けているように見える、その結果、使い勝手が悪化しているのが「宅建業者専用のテータベース」というのが、わたくしなりの捉え方です。
このような業務環境である現状の日本において、従来は「不動産屋さんに行かないと、まともな情報が得られない」という時代は過去のものとなり、「ネットのポータルサイトなどで探すのが、一番早くて、しかも自分好み」という時代になっています。
(ネットで検索、物件探し)
我々REDSにお問い合わせいただくお客様のほとんども、ポータルサイトの機能を使って、物件をある程度、抽出し終えたうえで、その次のアクションとして、問い合わせていらっしゃっています。改めて整理すると、現代の「不動産売買の売買」においては、物件探しは「不動産会社」に頼る必要が希薄になり、「ネット検索」のウエイトが、より進化していく時代になってきたといえるでしょう。
このような「ネットで物件情報を入手できる」現代において、お客様が宅建業者に望むことは何でしょう。ネットの情報は、あくまで「売る側」に立った「広告」の情報でしかなく、「購入側」にとって肝心な「デメリットになる情報」までもが、すべて網羅して掲載されているわけではございません。
そこで不動産仲介会社、たとえは弊社REDSに対しては、下記のようなことを期待して、お問い合せを頂いているお客様が、圧倒的に多数になってきています。
●現在の販売状況の確認
●より詳細な情報の提供
●価格の相談や交渉
●諸費用、特に仲介手数料がいくらになるのか
●住宅ローンなどに関する情報提供
●現地見学の手配
●購入を前提とした調査やリスクの確認
●売買を前提とした重要事項説明、そして売買契約締結~決済、お引き渡しまでのフォロー
つまり、「現実に不動産を手にするため」には、専門的なプロフェッショナルの知識と経験を有した者によるお手伝いが必要であり、そのステップにおいて、より高品質かつ低価格な業務の提供を求めていらっしゃるのです。
(専門知識と経験を持った宅建士によるお手伝い)
「『物件選び』や『物件探し』は不動産屋さんでおこなう時代」ではなく、
「『物件選び』や『物件探し』は、ネットで、『見学から購入まで』は、REDSでおこなう時代」に
現代は移行されてきているのです。
現代の世の中では『価格破壊』や『業態の変換』が、当初は革命のように次々と起き、それが多くの業界では「あたりまえ」になってきております。
その一例が「コンビニ」や「100均」、スーパー化した「ドラッグストア」であり、流通、小売販売、運輸、サービス、そして生産や農業・漁業なども、多くの業界にわたってこの「価格破壊」の嵐は吹き荒れて広がり続けています。
しかしそのなかで、長年従来の営業スタイルからあまり脱却していないのが「不動産業界」。そこで、この「高品質でかつ低価格な提供」という「価格破壊」を不動産業界で実現し、より進化を続けているのがREDSです。ここまでが「現代」に至る、いままでの経緯のお話でした。
改めて申し上げますが、ここからは私の頭の中で、とりとめもなく勝手に創り出す、途方もない空想の未来のお話になります。
(空想のSFの世界)
占い師でも学者でもありませんので、あらゆる条件を考慮して「未来を占う(予想する)」ということではございません。あらかじめご容赦くださいませ。
まず「不動産売買の未来」について言及する前に、20年後、30年後にはどのような技術革新がおこって、世の中が変わっていくのかを想像してみます。
あまりに話を広げすぎると、空想とはいえブログの限界を超えてしまいますので、今年のトレンドである「注目のテクノロジー」を取り上げて、その未来について触れ、それによって「不動産売買の未来」がどのような進化がありえるのかを、想像してみます。
「未来をつくるテクノロジー」として、今年特に注目されたモノのうち、特に下記のキーテクノロジーについて焦点を当てて考えてみたいと思います。
●生成AI
●量子コンピューター
●核融合発電
●宇宙旅行
このうち、今回のブログでは最初の2つに絞って触れてみます。
こちらは、すでに説明は不要かもしれません。「ChatGPT」はじめ、今年は加速度的に利用がすすみ、対象は文字列から画像や動画にまで利用範囲が拡大進化しつつあります。
将棋の世界では、将棋AIの利用が当たり前になっていますが、おそらく不動産が扱う「物件情報の処理」や「業務進捗状況の処理」などについても、おそらく20~30年の間にAIが相当な影響を及ぼしていくと思われます。
そのようなAIが、さらに進化を遂げつつある「生成AI」とは、新しいコンテンツを「生成」するAI技術です。日経新聞の記事によりますと、生成AIの市場規模は2023年で約200億ドルと1年で倍増したものがさらに急拡大し、2027年には1210億ドル(約17兆円)に達する可能性があると、ボストン・コンサルティング・グループが予測したことを報じています。
出典:「生成AIとは 27年に17兆円市場の試算」日本経済新聞2023年8月4日2:00
量子コンピューターは、まだ一般的ななじみは薄いような気がしますが、その影響力の大きさから、「新しい産業革命が起きる」とさえ言われています。理化学研究所も日本製ハードウエアによる実機を稼働させるなど、2023年は日本にとって「量子コンピューター元年」となりました(NIKKEI Tech Foresight)。
莫大(ばくだい)な計算を行わせる場合には、従来のパソコンの延長にあるスパコンでも、多くの時間と電力エネルギーを要するのに対して、量子コンピューターでは瞬時にしかもエネルギーの消費も少なく計算できるようです。
「2019年にはグーグルが最先端のスパコンで約1万年かかる問題を、量子コンピューターが3分20秒で解いたと発表しました」と報じています(日経新聞の特設サイト内のコラムから)。
20~30年たてば、この「量子コンピューター」の活用は当たり前になっているかもしれません。現在使っている一般的なコンピューターみたいに、何にでも使えるモノではなさそうですが、得意な計算分野をスパコンに代わって担わせるような使い方になっていきそうです。
出典:特設サイト「分かる教えたくなる量子コンピューター」日本経済新聞2021年7月5日更新
出典:「国産量子コンピューターの衝撃、日本発の産業革命へ」NIKKEI Tech Foresight
不動産の売買では、いろいろな情報を扱っています。
●物件個別の情報(値段・広さ・構造・場所・形・色・素材・築年数など)
●周辺物件情報
●売れ行き情報や過去の事例
●物件の場所について、隣地や隣接する道路、河川、上下水ガスなどのインフラ情報
●かかわる法律や条令、都市計画などの情報
●購入する方の年齢・性別・家族構成・職業・お勤め先などの情報
●街の情報(人口構成、年齢、近隣施設、ハザード関連)
●注文建築に関する情報
●建築材料や資材に関する情報
●登記や法務に関する情報
●住宅ローンや、その審査に必要な情報
●火災保険などの情報
●家具、家電などの情報
●メンテナンスや修繕の情報
言えばきりがないくらいの数と量があります。これらがすべてデータであり処理が可能な情報の材料で量子コンピューターや生成AIのエサになるものばかりです。
現代では、これらについて、熟練の「不動産営業スタッフ(弊社では宅建士のエージェント)が調べて、整理し、わかりやすく加工し、必要なタイミングで説明したり、紙面やメールやLINEなどで、お伝えしたりお渡ししたりしています。しかしアウトプットする量と質や精度などは属人的。すべてそのスタッフの知識や経験、熟練度や性格、そしてセンスなどで左右されます。
あるスタッフが「あのお客様の好みからすると、おそらくこのような物件がよろしいのでは……」というのは、頭脳に入ったあらゆる情報のなかで「オススメ物件」を探し出したり、ひねり出したりする作業ですが、これらについても量子コンピューターと生成AIがどんどん取って代わって、よりセンスのいい提案を導き出してくれるようになっているのではと想像します。
20年、30年とたつ間に進化し、より使いやすくなっている量子コンピューターや生成AI、そしてロボットやドローンが連携して、前述の雑多で膨大な情報を放り込むとどうなるでしょう。
購入希望者の通勤経路や嗜好や趣味、よくお気に入りのお店や友人の住所、通っているジムなど、あらゆる追加情報も学習に使って、生成AIによって、おススメできる間取や条件、周辺環境なども導き出し、その傾向から物件データや地図データ、統計データなどをもとにその方におススメの物件を紹介。それだけでなく、街や駅、間取り、注文住宅のプラン、資金計画などを導き出して用意し、その方がほしいときにほしい情報が即座に取り出せるようになっている……。未来は、そんな不動産の選び方になっていそうです。
物件見学についても、実際の現物を見るのは、購入を決定した物件の「最終確認のときだけ」で、それまでは「バーチャル内見」で済ませるのがフツーになっていそうです。
どの物件も、希望者がいつでも「バーチャル内見」ができるように、売却準備の際に、室内や室外の隅々までマイクロドローンを飛ばして、自動で3次元測量と撮影をおこなっています。その情報をもとに、遠く離れた海外の方でも、バーチャル内見できるようになっているので、ほぼ現物を見るのと同じ感覚で、空間を移動しながら見て回れます。
しかも、多くの方のほとんどは、好きなときに好きな場所で好きな時間にできます。たとえば自宅で、就寝前のほんの30分の間に、家族と一緒に、「バーチャル内見」で昼間の様子や、朝の様子、夜の様子や通勤経路を実際に歩いてみる様子を再現した3Dの空間で確認できるようになっているでしょう。
ほんの30~40年前は、現在私が使っている小さなスマホで、あらゆる場所の映像を見ることができるなんて、誰も信じないSFの世界の中のお話でした。
ですから、あながち、さきほどの空想の話は、間違ってはいないと思うのですが、いかがでしょう。
【REDS】宅建マイスター:堀 茂勝
公開日:2023年11月9日
皆様こんにちは。
首都圏一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システムREDSエージェント、【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)です。
今回は、巷で若干気になりつつある「金利上昇の不安」に関連して、「変動金利を使うなら、オトクな金利差で貯蓄して防衛!」というテーマで解説します。
「変動金利」「固定金利」に関しましては以下のブログをご覧ください。おそらく「ファイナンシャルプランナー」を名乗っている方でも、ここまでの分析での比較をしている方は、なかなか少ないと思われます!
連載1:「金利が急上昇するかも? 変動より固定がいい?」2022年8月31日公開
連載2:「今後金利は急上昇する? 「固定金利」がいいの?「変動」は怖いの?」2022年9月12日公開
連載3:「固定金利と変動金利、トントンになる状況を知れば怖くない?」2022年9月28日公開
連載4:「住宅ローン金利上昇?『急上昇バブル』の再現で・・・」2022年10月5日公開
2023年10月7日の日経新聞朝刊で、「マネーのまなび 住宅ローン、変動型の備え」という記事がまるまる1面全体を使って掲載されていました。かいつまんでいうと「変動型と固定型の金利差が拡大しているので、ますます変動金利が人気。だが、金利が上昇しても家計が対応できるように、検証して準備しておくことが必要」といったお話です。
この記事はこちらでも読めます。
2023年10月7日 日経新聞朝刊「住宅ローン、変動型の備え 繰り上げ返済の資金を確保」
この記事の中に、「『変動型は低金利で毎月の返済が少ないぶん、運用などで余裕資金を増やすべきだ』とMFSの塩沢崇取締役は話す」という記述がありました。
最近びっくりしたのは、ある金融機関のネット系住宅ローン。弊社REDSが光栄にも「提携不動産会社」に選ばれたのですが、お客様がご自身でその金融機関のホームページから審査依頼するよりも、より安い金利が適用できるようになり、審査が通りさえすれば誰でも、たとえば2023年10月は「0.296%」の金利が使えるのです。
さらに、新居の電気の契約や、スマホの契約もセットで契約すると、さらに最大0.1%が差し引かれて、0.196%の金利が使えてしまうのです。
これに加えて「がん100%保障団信」なども、上乗せ金利なしでつけることができる!
このように、超低金利で住宅ローンが借りられる時代。でも、漠然と不安が残るのは、「金利が上がったらどうしよう!」ということではないでしょうか。
そのとおりですね。この低金利につられて、自分が月々払えるギリギリの月々返済額を目いっぱい使って、借りられるだけ借りてしまうと、ほんのちょっと金利が上がるだけで、返済がままならなくなる危険性があります。
先ほどの日経新聞の記事の中にも「ファイナンシャルプランナー(FP)の平井美穂氏は、『適用金利が2%程度上昇するケースまで想定しておきたい』と助言する。バブル経済後の変動型の適用金利をみると、年2%台半ばの水準だった時期もあるからだ」との記載がありました。
続いて記載されている事例を簡単にまとめます。
「4,000万円を35年、変動金利0.5%で借りて返済は月約10.4万円。5年後に0.5%上昇すると、月の返済額は11.2万円になる。1%なら12万円、1.5%なら12.8万円、2%まで拡大すれば13万円と、当初の返済額に比べて2.6万円の負担増になる」
そこで、この記事では「金利上昇した際に、一定の金額を繰り上げ返済すれば、元金と利息負担が減り、毎月の返済額を金利上昇前と同じ水準にできる」とすすめています。
この記事で、公認会計士で住宅ローンのコンサルティングも手掛ける中村岳広氏は、「危機感を持って、毎月の収支を見直し、貯蓄などで資金を確保したい」と、話しています。
そのとおり。わたくしも同感です。
先ほどの「0.196%」の変動金利に対して、たとえばある金融機関の35年間固定の金利は「1.76%」だったりします。
・4,000万円 35年 固定金利1.76%で借りて返済は月12.8万円
・4,000万円 35年 変動金利0.196%で借りて返済は月9.9万円
月々の返済額の差は約2.9万円ですからこれを積み立てると、元金だけで年間34.9万円。10年で約350万円! 35年間では約1,220万円にもなります!!
元金だけでこれだけ貯蓄できるのですから、つみたてNISAなどを上手に使えば、より増えているかもしれませんネ。
いざ急激な金利上昇局面になった場合には、これを繰り上げ返済に充てるつもりでいれば、何も怖くはありません。
さあ、皆様も「賢く自己防衛」してみてはいかがでしょうか。
公開日:2023年10月6日
皆様こんにちは。首都圏一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント、【宅建マイスター】の堀茂勝(ほりしげかつ)です。
今回のテーマは、2023年9月14日に発表された「横浜の次世代型大型テーマパーク」をとりあげます。
これまで横浜は「みなとみらい」など、ウォーターフロントの開発ばかりが目立ちました。前市長が推進していた「カジノを含む統合型リゾート(IR)」構想も、湾岸エリアの計画でしたが、この計画の廃止を公約にした新市長の当選により、計画は白紙になりました。
今回発表されたのは、2027年に開催される「横浜国際園芸博覧会 GREEN×EXPO2027」の跡地。場所は、「東名高速道路 横浜町田インター」と「国道16号線バイパス」が交差した付近の、南側のエリアに位置します。
広さはなんと51ヘクタール。これは東京ディズニーランドとほぼ同じ広さになります。ここは2015年6月に返還された米軍施設「旧・上瀬谷通信施設」の跡地です。面積は約242ヘクタールもあり首都圏でも貴重な広大な土地を使って、新たな街づくりをするにあたり、その一部を「テーマパーク」にする計画なのです。
この土地を利用して、2027年には「横浜 花博」とも呼ばれている「横浜国際園芸博覧会 GREEN×EXPO2027」が開催されます。
この「花博」は、2027年3月19日から9月26日まで、約半年間の花博イベント。この「花博」のあとに、2031年の開業を目指して作られるのが「KAMISEYA PARK(仮称)」なのです。
今回の計画では、三菱地所が名乗りを上げました。その計画によると、テーマパークゾーン、駅前ゾーン、公園隣接ゾーン、環4西ゾーンの4つのゾーンに分けて開発するイメージになっています。
具体的なコンテンツは未定ですが、アニメーションやゲームなどの魅力ある日本のカルチャーを生かし、仮想現実(VR)などの最先端技術を活用したアトラクションを構想しているということです。これから、いかに魅力あるコンテンツを誘致できるかが成功できるかどうかにかかっているといえるでしょう。
すでにこのエリアのすぐ近くには、東急電鉄が気合いを入れて再開発をおこなった「南町田グランベリーパーク」があります。こちらも、オープンモール型のアウトレット複合商業施設「グランベリーパーク」と、隣接する「鶴間公園」、そして中間部分に当たる「パークライフ・サイト」を合わせて、総面積約22ヘクタール、駅直結の新しい形のアウトレットパークです。
この大規模開発の成否は、横浜北部エリアだけでなく、町田~橋本まで続く国道16号北進エリアの不動産取引にも、非常に大きな影響が及ぶことが予測されます。不動産の活性化のためにも、ぜひ盛り上がることを期待しています!!
参考:2023年9月14日 日経新聞夕刊
横浜にテーマパーク 三菱地所、米軍施設跡地に
ディズニー級 31年ごろ開業
参考:2023年9月15日 日経新聞朝刊
三菱地所、横浜にテーマパーク 不動産開発を多角化
アニメ・ゲーム・VR活用 31年ごろ開業
参考:2023年9月15日 日経新聞朝刊
上瀬谷跡地にテーマパーク 横浜市、観光の起爆剤に
日本のコンテンツ軸 複合商業施設も整備
参考:国際園芸博覧会
参考:南町田グランベリーパーク
最終更新日:2023年9月4日
公開日:2023年9月3日
皆様こんにちは。
首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のエージェント、【宅建士】【宅建マイスター】の堀茂勝(ほり しげかつ)でございます。
今回のテーマは「プロパンガス」。「LPガス」とも呼ばれます。
「液化石油ガス」の略称が「LPガス」ですが、「家庭用LPガス」の主成分として「プロパン」が多く含まれていることから、家庭用では「プロパンガス」の名称が一般的に使われているようですので、LPガスとプロパンガスは通常、同じものを指します。
しかし、LPガスの成分は100%プロパンではなく、ほかにもブタンなど、いくつかの異なる成分が混ざっているそうです。ちなみに工業用LPガスの場合は「ブタン」が主成分だそうです。
プロパンガス、LPガスのほかに「都市ガス」というものがありますが、これはLPガスとは成分が異なり、メタンを主とする天然ガスです。石油が原料ではありません。
空気と比べてプロパンは約1.5倍、ブタンは約2倍の重さのため、万が一漏れた場合には、プロパンガスは低い場所に溜まります。一方、都市ガス(天然ガス)は空気よりも比重が軽く、高いところに溜まります。
このため、ガス漏れ探知機も、プロパン用は床に近い低い場所に取り付けられているのに対し、都市ガス用は天井近くに取り付けられます。ガス漏れで逃げるときは、「プロパン」は立って逃げて、「都市ガス」は這って逃げましょう!?
大震災後にクローズアップされたのは「災害に強いプロパン」でした。都市ガスに比べて復旧が早く、「プロパンの家」だけが、冬の災害時に暖房や料理にすぐ利用できたものです。
同じ量の単価でプロパンと都市ガスを比較すると、プロパンのほうが、かなり高価なイメージがあるかもしれません。
しかし、実は同じ量を燃やして出せる熱の量は、プロパンの方が都市ガスに対して約2.2倍もあるのです。
プロパンガス:約2万4,000Kcal/㎥
都市ガス:約1万1,000Kcal/㎥
たとえば同じお湯の量のお風呂を沸かす場合、プロパンガスの方が約半分のガスで沸かせるのですから、そのぶんオトク。それも加味して考えると、プロパンと都市ガスの値段差は、さほど大きな開きがなくなってきます。
おもしろいのはプロパンの価格は「自由料金制度」であることです。プロパンの料金は、昔から各販売店が独自の計算で勝手に自由に料金を決めてきたというわけで、なるべく安価でガスを提供しようという良心的な販売店がある一方で、必要以上に高い料金を設定することも簡単にできてしまいます。これがプロパンガスの料金幅が大きい主な理由です。
プロパンをお使いでしたら、ぜひ供給会社を比較して選択すべきです。
都市ガスが使えるエリアなのに、あえてプロパンを使っている中華料理店を見かけますが、その理由は、もうお分かりでしょう。
強力な火力で短時間でシャキッと仕上げる中華料理には「熱量が高いコンロが使える」のがとても大事だからです。
そのうえ、大量のガスを使いますので、価格交渉で単価を下げてもらったり、供給会社を比較して選んだりできるのも、大きな要因です。
都市ガスが使えるエリアなのに、あえてプロパンを使っているアパートや新築戸建を見かけますが、その理由は多少異なります。
その理由は「建築にかかる設備費用の一部をガス会社に肩代わりしてもらえるから」。
新築戸建がプロパン利用だった場合、ガスコンロや給湯器の設備費用はガス会社が負担しているケースがほとんどで、購入者はその設備については十数年の間「借りている」という形態をとっていたりします。
「ガス会社」は、購入者が支払うガス料金の中に「設備費用」の回収コストも上乗せして請求していますので、より割高な料金を払っていることになります。もっと安いガス会社に切り替えようとしたら、設備を利用した年数に応じて、費用の一括払いを請求されたりしますので、注意が必要です。
しかし、もともと新築購入時のコストが抑えられていて、購入価格がその分お安くなっていたと考えれば、多少は納得できるかもしれません。
アパート建築の場合も似たような話になりますが、こちらは「メリットを享受するオーナー」と「ワリを食う賃貸人」という図になります。
アパート建築時に、ガス会社に給湯器やガスコンロなどの設備機器をガス会社に提供させることはよく行われています。「都市ガス供給済エリア」なのに「プロパン」利用のアパートばかりなのはこのせいですね。
かかったコストは、ガス会社が「賃貸人」に請求するガス料金に当然、上乗せされますが、賃貸人には「ガス会社」を選択する自由はありません。そこに住んだら、いわれたままの料金を支払うことになります。
ガス機器だけならまだしも、冷暖房機やインターホンなど、ガスに直接関係のない設備まで提供させて、建築費を安くすませるオーナーもいます。そのツケはどんどん利用者である「賃貸人」に回ります。
23年7月25日付 日経新聞朝刊より
プロパンが「自由料金設定」であるとはいえ、そんなこと、いつまでもあっていいものではありません。この長年の商慣習に、とうとうメスが入るときがきたようです。
とうとう経済産業省は、都市ガスのない地域に多い液化石油(LP)ガスの料金に、ガス利用と直接関係ない設備の費用を上乗せすることを禁止し、罰則規定も設けました。これは、毎月のガス代の高騰につながっているとの指摘があり、不透明な商慣行の是正につなげることになります。
とはいえ、一気に是正されるかというと、そうはいかないようです。規制を始めたガス会社を所管している経産省に対し、ガス会社に設備提供を要求している建設業者やオーナーを所管している国交省は、強制力のない「通知」といった対応程度と温度差があり、規制に後ろ向きのようです。
この不透明な商習慣のツケは、ガス会社でも建設会社でもオーナーでもなく、入居者が払わされる。縦割り行政の弊害が、残念ながらここにも見て取れます。
参考:2023年7月25日 日経新聞朝刊
参考:2023年8月8日 日経新聞朝刊