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堀 茂勝(宅建士・リフォームスタイリスト)

購入は煽らず、売却は囲い込みせず、寄り添います。

4.9

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公開日:2023年7月28日

皆様こんにちは。

首都圏の一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)で、必ず不動産の「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることが注目されております、不動産流通システム【REDS】エージェント、【宅建士・宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)でございます。

ご無沙汰してしまいました。

今回は、これからご結婚されるご夫婦や、新婚ほやほやのご夫婦、そしてその親御さん世代の皆様にもお伝えしたい、不動産営業の現場でたまに見かける「新居のご購入、失敗あるある」のお話です。

若い夫婦

最近、ご自宅購入のご案内でお会いするお客様のご年齢が、平成一ケタ生まれでいらっしゃることも多くなりました。わたくしの娘も平成6年生まれですので、ほぼ親御さんと同世代。ですから、お子様連れでいらっしゃったりすると、発する言葉からしぐさまで、なにもかも可愛くて可愛くて、わたくしまでもたまらなく幸せな気分にさせていただき、まるでお孫さんを見るように目じりが下がってしまいます。

少し脱線してしまいました。

そんな若いご夫婦が、はじめてのオウチ選びをするにあたりましては、当初はいろいろと、高い理想ばかりを追いかけて、探し始めるものです。

たとえば新築戸建を選ぶお客様の場合、いろいろな要求が出てきます。

・ぜったい南道路!陽当たり良好
・土地は100㎡以上欲しい
・3階建てより2階建て!
・1階リビングなら、子供の出入りが確認できる「リビングイン階段」
・天井が高い「勾配天井」の2階リビングもいいなぁ
・休日に家族で丸テーブルで朝食ができる広々バルコニー!
・お庭にはウッドデッキ
・駅から平坦
・最寄り駅から徒歩9分以内
・閑静な住宅地
・コンビニやスーパーは歩いていける距離
・幼稚園、小学校、中学校はあまり遠くない距離
・繁華街は、便利さと治安のバランスを考えて、近すぎず、遠すぎず
・できればキャンピングカーが止められる広さの駐車場

どのご家族も、夢をふくらませて、さまざまなご希望が出てくるものです。このように、建物に求める要求、生活環境に求める要求以外にプラスして、最近の異常気象を反映して、「災害が起きにくい立地」も重要ポイントになっています。

今度は「マイナスな状況」をイメージして、いかに大切な家族を守るかを考えてのポイントになります。

・大雨が続いたときに、川が氾濫しない?
・短時間のゲリラ豪雨で、急に冠水したりしない?
・地震で揺れやすくない?
・液状化して建物が傾いたりしない?
・記憶に新しい武蔵小杉のタワーマンションのように下水が逆流したりしない?
・土砂崩れや土石流の被害にあわない?
・古い家屋が密集していて大規模火災に巻き込まれるようなエリアではない?
・急な坂が多くて、雨で滑りやすくない?
・雪の日に行き来が困難になるような場所ではない?

わたくしの不動産営業の経験の間にも、いろいろな災害がありました。

東日本大震災のあと、停電が続いていた時には、それまで人気であった「オール電化住宅」に住むお客様たちが、かなり苦労したということもありましたし、「都市ガス」物件が人気な中で「プロパンガス」物件が災害には強かった…ということもありました。

また多摩川の上流域が集中豪雨にあって、川崎の高津エリアや世田谷の二子玉川のエリアにある多摩川が氾濫したときには、実際に水没した賃貸住宅に住んでいたお客様たちが、住み替えのためにオウチ選びをされるのを、お手伝いもしてまいりました。

このように、どのお客様も、いろいろな条件を考えながら、オウチ選びをつづけていきます。

しかし、すぐに気づくのです。

「すべての条件がかなう物件など、ありはしない」
「せめて必須条件と思う条件でさえ、かなっている物件は高くて手が出ない」

実際に物件を見ていく中で「何を優先し、絶対に叶え、何をあきらめて、目をつぶるか」が重要であると。

・ある方は都内でさがして「2階建て」をあきらめ
・ある方はハザードマップを気にして「南武線沿いの平坦エリア」をあきらめ
・ある方は陽当たり眺望を優先して「山坂の傾斜のある通勤通学」であきらめ

……このように、オウチえらびについて、現実的な考え方が徐々に身についてきます。

さて、ここまで「オウチ選び」を経験してきた若いご夫婦が、陥る失敗があります。それは、特に心の優しい「親思い」の方に圧倒的に多いのです。それは、それまで家を買うことについて親には具体的に話してなかった場合、物件が決まって契約直前になってから、ポロっと親に言ってしまうことです。

親

この場合、8割がた、その物件購入は頓挫します。

「えっ!あんた、家を買うって!そんな急に!」
「急じゃないよ。探しているっていったじゃない!」
「そうだった? で、どこにあるの!」
「ここなんだけどさぁ……」
「なに、すぐに近くに川があるじゃない。危ないわよ!」
「でも、平坦で子供も通学楽だし」
「なにこの家、旗竿敷地で、陽当たりが良くないんじゃない?」
「そんなこといったって、整形地の物件は高いのよ!」
「わたしたちが遊びに行くときにも、ここじゃあ時間がかかって、駅からも時間がかかるじゃない。わたしは嫌だわ」
「別にお母さんが住むわけじゃないでしょ! わたしたちはさんざん理想と現実を見てきて、探して、自分たちの分相応な物件を見つけたの!」
「そうね。別に援助するわけじゃないしね」
「そんなにいうのなら、お母さんがいい家見つけてきてよ!」

……なんてやりとり、どのご家庭でも起こってしまいがちなのです。

若い夫婦の「事前に親に了解をもらいたいという、親思いの気持ち」が災いして、判断するための経験値を育てていない親に直前に話してしまい、親は「家選びに失敗してもらいたくないという子供思いの気持ち」から、心配の挙句に、選んだ物件のマイナスポイントばかり重箱の隅をつつくように指摘してしまうのです。いずれも本来は「やさしさ」や「相手思い」の気持ちが災いして起こることなのです。

さて、これを防ぐ方法です。

「親に話すなら、家選びの最初から巻き込んで!」

最初から一緒に家選びをやって巻き込んでいると、親御さんも理想と現実を一緒に身に付けていき、子供がきちんと選択眼を持って生きていることを理解すると、そのうち「もう、住むのはあんたたちだから、あんたたちで好きにしなさいよ」というタイミングがきます。そうなったあとは悲劇は生まれにくくなります。

自分たちで家選びをして決めてしまったのなら、親に言わずに契約するのが親孝行なんです。もう「親に言わずに勝手に契約する」勇気を持ちましょう。

家を買うことを直前に言われた親は、マイナスポイントを指摘するという「親の使命」「親の責任」を急に感じて、言わなくてよいことを言ってしまうことになります。すでに買ってしまった後に伝えられたら、そんな余計な仕事をさせることなく、「決めてしまったのなら、いまさらしょうがないわね」としか言いようがありません。

このようなアドバイス、若いご夫婦には何度もお教えしているのですが、それでも優しい方ほど同じ失敗をしているのを見かけます。

「優しさって、罪ね」。こんなドラマのセリフがありますが、その優しさが災いして、散々苦労して選んだ「オウチ選び」が破綻して、親子喧嘩や夫婦喧嘩に至らぬように、くれぐれもご注意を。これも「宅建マイスター」としての、リスク回避のお話でした。

【REDS】宅建マイスター:堀

 

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