堀 茂勝(宅建士・リフォームスタイリスト)
購入は煽らず、売却は囲い込みせず、寄り添います。
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公開日:2024年1月25日
皆様こんにちは。
首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント、宅建士・宅建マイスターの堀茂勝(ほり しげかつ)でございます。
今回は、不動産の共有持ち分の決め方についてのお話です。
ご夫婦で不動産を購入した場合、それぞれ「持ち分」を登記することになるのですが、この持ち分、どのように決めたらいいか悩む方も多いようです。
「住宅ローンを組むのは俺だけど、俺が稼いで家を持てたのも、払っていけるのも、家内の内助の功があってこそ。だから、持ち分は半分ずつにしたい!」というお客様も、実際いらっしゃいました。
すごく優しいご主人様の、この奥様への愛情、感動です。
でも、そのとおり1/2ずつの持ち分で登記してしまった場合には、奥様が実際に費用を負担していないにもかかわらず、持ち分を持たせてあげた分は「ご主人様から奥様への贈与」という扱いになってしまうことはご存じでしょうか。
贈与税の申告期限は、「贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日まで」です。この間にきちんと「贈与の申告」までおこなっていれば問題はないのですが、それを知らずに「贈与の申告」をしないままでいると、期限内に手続きを済ませなければ、本来の納付額だけでなく延滞税や加算税などの多大なペナルティさえも課せられてしまいますので、注意が必要ですネ。
持ち分を決めるのに参考にしていただくために、まず簡単な表を用意してみました。
この表は「購入にかかった費用」を支払うにあたって、それぞれの共有者が「いくらずつ、出資したのか」を明確にするものです。
持ち分についての基本的な考え方は、それぞれの出資者が「出資した金額」を分子、「購入にかかった総額」を分母にして比率を出したものが、それぞれの「持ち分」になるという考え方です。
実際に下記の例について、表に入力してみましょう。
今回、物件の売買代金は5,000万円であったとします。これを購入するのに必要な取得費用(登記費用や仲介手数料など)は400万円とします。これを足したのが「購入費用(C)」で、5,400万円かかったことになります。この5,400万円を支払うために、それぞれの出資額は下記のとおりでした。
ご主人(共有者①)は、自分で貯めた預貯金から200万円を出し、ご主人様名義の住宅ローンを4,500万円組みましたので、ご主人の出資額は4,700万円となりました。
そして奥様(共有者②)は、独身時代から貯めた預貯金から200万円を出し、自分の親から住宅購入のために500万円の贈与があり、これを支払いにあてましたので、奥様の出資額は700万円となりました。
この状況を、上記の表に埋めていったのが、下記の表です。
これにより、
・ご主人様の持ち分は、「5400分の4700」
・奥様の持ち分は、「5400分の700」
とするのが妥当そうであることがわかります。
案分して「54分の47」と、「54分の7」としてもかまわないですが、算数・数学ではありませんので、あとあとのわかりやすさでは、そのまま「5400分の4700」で登記するのがよさそうです。
ペアローンの場合、それぞれの借入額がはっきりしている場合は、上記の表にそれぞれの借入額を入力すればよろしいのですが、「連帯債務型」などで、借り入れが1本化している場合はどのようにすればいいのでしょうか。
簡単に言いますと、その「借入額」を「収入合算額のうちの、それぞれの収入額の比率」をかけたものを、それぞれの「借入額」として入力します。
たとえば4,500万円の連帯債務の住宅ローンについて、「ご主人年収600万円、奥様年収300万円収入合算は900万円」であれば、
・ご主人様の借入額は「4,500×(600÷900)=3,000万円」
・奥様の借入額は「4,500×(300÷900)=1,500万円」
と割り振ることになるわけです。
詳しくは
住宅ローンの連帯債務の持分割合の決め方は? シミュレーション付き解説
を参考にしてみてください。
購入時に必要な取得費用(登記費用や仲介手数料など)と書きましたが、実際に「取得費用」に入れることができるのは限られています。「購入後」の入居や居住にかかる費用は対象外になるものが多いので、注意が必要です。
・移転登記費用
・保存登記費用
・表題登記費用
・契約書印紙代(個人)
・建物建築請負代金
・建物取得費用
・土地・建物購入代金
・土地造成費用
・住宅ローン事務手数料
・住宅ローン保証料
・仲介手数料
・不動産取得税
・固定資産税清算金
・引っ越し代金
・火災保険料
・家具家電カーテン等
・インターネットCATV加入料
・住宅ローン金利
・つなぎローン事務手数料
・つなぎローン金利
・管理費・修繕積立金
(参考文献:知らなきゃ損する住まいの税金 第21版 まちの専門家グループ(株)ラックコンサルタント著)
なお、今回のブログの記載の内容については、おおまかな原則的な考え方を説明しているものですので、個別のケースについては、必ず税務署や税理士のアドバイスを受けていただくことが必要になります。
納税の申告漏れに、くれぐれもご注意くださいませネ。