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堀 茂勝(宅建士・リフォームスタイリスト)

購入は煽らず、売却は囲い込みせず、寄り添います。

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公開日:2024年4月9日

皆様こんにちは。首都圏一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント、【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)でございます。

最近では夫婦の共働きが増えていることもあり、住宅ローンを夫婦で借りるケースも増えてきましたが、この夫婦で住宅ローンを借りるパターンには大きく分けて3つあります。

収入合算と呼ばれる「連帯保証型」、そして「連帯債務型」、共同借入である「ペアローン」です。このうち「ペアローン」は、ご存じのようにご夫婦などの複数の借り手が共同でローンを組む仕組みですが、つい最近、新しい団信を組み込んだ商品も出てきました。今回はその「新しいペアローン」について解説します。

ペアローン

ペアローンのメリットとは

まず、ペアローンのメリットから解説します。

ペアローンのメリット(1):借入額を増やせる

一人では買えない高価格帯の都心住宅の購入が実現! ペアローンを利用することで、単独で借りられる額よりも高い金額を借りることができます。複数の借り手が共同で保証するため、金融機関はより多くの資金を提供する可能性があります。

ペアローンのメリット(2):返済負担を軽減できる

複数の借り手が返済を分担するため、個々の負担も当然ながら軽減されます。経済的な負担を分散することで、月々の返済額が低く抑えられる場合があり、そのぶん可処分所得が増えるかもしれません。

ペアローンのメリット(3):審査が有利になるかも

ペアローンでは、複数の借り手の信用履歴や収入情報が考慮されるため、審査の際に有利になる場合があります。片方の借り手の信用履歴が弱い場合でも、もう一方が強力な信用履歴を持っていれば、単独でローンを組むよりも有利な金利や条件で融資を受けられる可能性があります。

ペアローンのメリット(4):共同資産を所有することになる

ペアローンを組むことで、共同で資産を所有することができます。例えば、共同で不動産を購入した場合、所有権は共同名義となります。これにより、資産の利益や負債が公平に分配されることになります。

メリット

ペアローンのデメリットとは

メリットがあれば当然デメリットもあります。デメリットについてもしっかりと知っておいてくださいネ。

ペアローンのデメリット(1):責任を共有することになる

ペアローンでは、複数の借り手が共同で責任を負います。したがって、どちらか一方の借り手が返済を怠った場合、もう一方がその負債を引き受ける必要があります。信頼関係がある場合は問題ありませんが、関係が悪化するとトラブルの原因となります。

デメリット

ペアローンのデメリット(2):信用リスクも共有することになる

ペアローンでは、複数の借り手が共同で信用リスクを負います。したがって、どちらか一方の信用履歴に問題がある場合、もう一方もその影響を受ける可能性があります。これは、将来的な借り入れや金融取引に影響を与える可能性があります。

ペアローンのデメリット(3):個人情報を共有することになる

ペアローンでは、複数の借り手の個人情報が共有されます。これにより、ペアローンを組んでいる人どうしの人間関係が悪化すると、プライバシーの侵害や情報漏洩のリスクが増大する可能性があります。信頼できる金融機関や専門家を選択することが重要です。

ペアローンのデメリット(4):共同資産を分割することになる

ペアローンで購入した共同資産(不動産など)の所有権を分割する際には、そもそも手続きが複雑になる場合があります。また、片方の借り手が不動産を売却したい場合や、関係が悪化した場合、所有権の分割や売却手続きが困難になる可能性があります。

デメリット

最近たまに見かけるケースとしては、夫婦で共有していた自宅について、離婚して自宅を出て行ったパートナーが、所有していた自宅の自分の持ち分を、勝手に第三者に売却してしまうケースです。自宅に住み続けている人にとってみると、知らない第三者や法人が、その自宅の所有権を持って、権利を主張し始める可能性もあります。

離婚届

その新たな所有者が、何を意図して「持ち分」を購入したのか……。場合によっては残りの持ち分についても安く買い叩いて入手しようとする悪徳業者でないことを祈るばかりです。

ペアローンを組む際に注意したいこと

以上のメリットとデメリットを踏まえ、ペアローンを組む際にはどんなことに注意すればいいのでしょうか。

ペアローンの注意点(1):信頼関係の確立

ペアローンを組む前に、共同借入者との信頼関係をしっかり確立して、将来的なリスクや問題に備えましょう。協力的な関係を築くことで、トラブルを最小限に抑えることができます。結婚相手であっても、デメリットを乗り越えられるか、しっかり話し合うことが大切です。

ペアローンの注意点(2):将来のシナリオの検討

ペアローンを組む際には、将来的なシナリオに備えて計画を立てておくことも必要といえます。

ペアローンは、借り手どうしの協力関係や信頼関係がある場合に有益な選択肢ですが、万が一の返済遅延や関係の悪化、共同資産の分割などのリスクに対処するための対策も、強い愛情と信頼関係があるうちだからこそ、そのタイミングで考えておくことが、その後の「山あり谷あり」の夫婦の人生を円満に乗り越えていくためには非常に大事なことではないかと思うのです。

いよいよ「配偶者分も保証」の新しいペアローンが登場?

2024年3月14日の日経新聞に、「ペアローン」の記事が掲載されました。

日本経済新聞

2024年3月14日 日経新聞 朝刊

PayPay銀行やりそな銀行は加入者が死亡やがんなどで返済ができなくなった場合に、配偶者のローンも含めて残高をゼロにする団体信用生命保険(団信)を導入した、新しい「ペアローン」を2024年に導入するとのことです。

従来の団信では片方が死亡や病気などで返済が難しくなった場合、保険が適用されるのは働けなくなった人だけです。配偶者のローン残債は残ります。共働きの場合は、債務が残る配偶者も子育てなどのため転職や時短勤務で給与水準を下げなければならないケースも多く、返済負担が実質的に大きくなることがあります。

負担

最後に……子は鎹(かすがい)。ペアローンも鎹!?

首都圏、特に都内では、ひとりの収入で住宅購入ができるのは、現実的にはほんの一握りの高収入の方だけです。

「子は鎹(かすがい)」と言いますが、「ペアローンで買った住宅」も、きちんと愛情と信頼関係を維持し続けることができれば「鎹(かすがい)」になり得ます。ぜひ上手に使って、幸せな家族の生活の場所を生み出してくださいネ。

 

【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝

<参考文献>
日経新聞記事「住宅ペアローン、死亡時返済ゼロ りそなやPayPay銀が団信、配偶者分も保障」(2024年3月14日朝刊)

 

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