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菊池 弘之(宅建士・リフォームスタイリスト)

この仕事が好きです。

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公開日:2024年12月2日

こんにちは。REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの菊池弘之です。今回は借地権のついた物件購入にあたってのチェックポイントをまとめてみたいと思います。

借地権

(写真はイメージです)

借地権物件のメリット

借地権物件のメリットを5つ紹介します。

初期費用が抑えられる

土地を購入するのに比べ、借地権で土地を借りる場合は初期費用が少なくて済みます。土地を購入するには多額の資金が必要ですが、借地であれば初期費用の負担が軽減されるため、他の資金を建物や事業に活用しやすくなります。

購入に比べて税金負担が軽減される

土地を所有すると、固定資産税や都市計画税などの税金が課されますが、借地の場合は借主に土地の所有権がないため、これらの税負担がかかりません。これにより、固定資産税負担が軽減され、毎年の固定資産税のコストが抑えられます。

長期にわたる安定した土地利用が可能

一般的に、借地契約は20〜50年など長期間で契約され、再契約も可能です。そのため、安定して土地を利用し続けることができます。事業用の借地などでは、長期的な事業計画が立てやすくなります。

相続・資産管理の簡便さ

土地の所有権を持たないため、相続時の資産評価が低く抑えられることがあります。また、土地の売買や相続にかかる手続きが発生しないため、資産管理も比較的容易です。

私のお客様でも、実際に相続税対策として借地権のアパートを購入された方がいらっしゃいました。投資用物件では、購入価格が抑えられるので、所有権の物件に比べて利回りが高くなるというのも特徴です。

立地の選択肢が広がる

土地を購入する場合、高額なエリアには手が届かないこともありますが、借地であれば手が届きやすくなるため、立地の選択肢が広がります。

都心では借地の物件も多くありますので、借地の物件に目を向けるだけで、一気に検討できる物件の幅が広がります。

借地権物件のデメリット

一方、借地権物件にはデメリットもあります。5つ紹介します。

地代の支払いが発生する

借地契約に基づき、毎月(または年単位で)地代を地主に支払う必要があります。地代は契約によって変動することもあり、経済状況や土地の評価額によって増額される可能性もあるため、費用が予測しづらくなります。

建物に制限がある

借地に建物を建てる際、建物の種類や構造、利用目的に関して地主の許可が必要です。また、借地契約の更新や建物の増改築を行う際にも、地主の同意を得る必要があり、自由に建物を設計・管理するのが難しくなる場合があります。

一般的には、非堅固の建物の建築のみを許可しているケースが多く、その場合は木造住宅の建築目的のみに限られます。

借地権の更新や譲渡の際に費用が発生する

借地権の更新時には更新料が必要になることがあり、地主との再契約や更新の際に契約料の負担が発生します。また、第三者への譲渡に際しても、譲渡承諾料もしくは名義書換料という名目で費用がかかります。これは相続税評価額をもとに一定の割合で計算しますが、その土地の賃貸借契約の内容によって金額はさまざまです。

資産価値が土地所有に比べて低い

借地権は土地所有権と比べて資産価値が低いため、担保価値も低くなり、金融機関からの融資が制限される場合があります。また、借地権を売却する際も、土地そのものを所有している場合より売却が難しくなることがあります。

旧法借地権と新法(借地借家法)との違いについて

借地権といっても2種類あり、初回の借地契約がいつ締結されたかどうかによって、旧法の借地権が適用になるか、新法(借地借家法)が適用になるかが決まってきます。以下、解説します。

旧法借地権とは

旧法借地権とは、1992年に施行された「借地借家法」以前の旧借地法に基づいて成立した借地権のことです。旧借地法は、地主よりも借地人(借主)の権利を強く保護する内容になっていたため、旧法借地権にはいくつかの特徴的なポイントがあります。

◆旧法借地権の特徴

1.契約期間が長い

旧法借地権では、契約期間は通常30年(事業用などの特別な場合は短期契約もありますが、基本は長期間)です。また、更新時には20年の更新が可能となり、さらにその後の更新も可能です。

2.契約更新が容易で、借地権の強い継続性がある

借地人には契約更新の権利が認められており、地主が更新を拒否するには正当な理由が必要です。そのため、ほとんどのケースで借地権は自動的に更新され、借地人は長期間にわたり土地を使用し続けられます。

3.建物のある限り継続できる

旧法借地権の契約更新には建物が存在することが条件とされており、建物が存続している限り契約の更新を拒むのは難しくなっています。このため、建物が老朽化しても、建て替えを行うことで長期間にわたり利用を継続することが可能です。

4.借地権の譲渡や相続が容易

旧法借地権は借地人の財産権として認められているため、第三者への譲渡や相続が可能です。地主の承諾があれば、借地権を第三者に売却することもでき、その際には譲渡承諾料が発生します。

5.借地権の存続が地主よりも優先される場合がある

旧借地法に基づく契約は、地主が変わった場合でも借地権が保護され、通常どおり存続します。そのため、新たに土地を購入した人も旧法借地権を尊重しなければなりません。

新法借地権とは

新法借地権とは、1992年に施行された「借地借家法」に基づく新しい借地権の総称で、借地借家法の改正によって旧法借地権よりも柔軟に運用できるようになっています。新法借地権には、一般的な「普通借地権」と、地主が土地を返してもらいやすくなる「定期借地権」が含まれます。

◆新法借地権の特徴

1.普通借地権

  •  旧法借地権と同様に、契約の更新が可能な借地権です。
  • 契約期間:最初の契約期間は30年以上。更新時は20年、それ以降は10年ごとに更新されます。
  • 更新の自由:借地人には契約の更新権が認められており、借地人が希望すれば土地を借り続けることができます。
  • 建物の再築:契約期間中に建物を建て替えることが可能です。建て替え後も、契約期間は一定の更新期間を持って継続されます。

2.定期借地権

  • 借地の期間満了後に契約更新をしない「定期借地権」が導入されました。これは、土地の使用期間をあらかじめ決めて、終了後には必ず土地を返却するものです。
  • 種類:
    ・一般定期借地権(契約期間50年以上、期間終了後は建物を撤去して返還)
    ・事業用定期借地権(契約期間10年以上50年未満、事業専用での利用)
    ・建物譲渡特約付借地権(契約期間30年以上、期間終了後に建物を地主に譲渡)
  • メリット(地主側):土地の返還が確実に得られるため、資産管理がしやすくなります。
  • メリット(借地人側):土地購入に比べて初期費用が抑えられ、事業計画や生活設計に沿った利用が可能です。

3.借地権の譲渡や相続が可能

  • 新法借地権は旧法借地権と同様に、借地人の財産権として認められています。第三者への譲渡や相続が可能で、地主の承諾を得ることで売買や相続の際の自由度が保たれています。

新法借地権のメリットとデメリット

新法借地権のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

新法借地権のメリット

  • 柔軟性が向上:普通借地権と定期借地権の両方を選べるため、借地人と地主の双方が契約内容を目的に応じて調整できます。
  • 地主の権利保護:従来の旧法借地権に比べて、地主が土地を返還してもらいやすくなり、資産活用がしやすくなっています。
  • 用途に応じた契約の設定:特に定期借地権を活用すれば、商業施設や短期間の事業用地など、利用目的に応じた契約が可能です。

新法借地権のデメリット

  • 定期借地権では長期利用が難しい:定期借地権の場合、契約満了後に土地を返却するため、長期間にわたる使用が保証されません。
  • 建物の撤去義務:契約終了時に建物を取り壊して土地を返却しなければならないため、撤去費用がかかる場合があります。

新法借地権は、旧法借地権に比べて借地の利用方法が柔軟になり、地主にとっても借地人にとってもメリットがある契約形態です。特に、長期間の安定した借地を求める場合には「普通借地権」、一定の期間のみの利用を希望する場合には「定期借地権」といった使い分けができるため、双方のニーズに合った土地活用が可能になっています。

定期借地権とは

新法借地権の中でも、タワーマンションなどの大規模マンションに利用されることが多い「定期借地権」について解説していきます。

1992年の借地借家法で導入された借地権の一種で、契約期間が定められており、期間満了後は更新せずに土地を地主に返還することが基本とされています。これは、従来の借地権(旧法借地権)のように長期にわたる更新が認められる借地契約とは異なり、土地の使用期間をあらかじめ決めることで地主が土地を確実に返却してもらえる仕組みです。

定期借地権の種類と特徴

1.一般定期借地権

  • 契約期間:50年以上。
  • 更新:契約更新がなく、期間満了後は必ず土地を返還します。
  • 建物の処分:期間満了後、借地人は建物を撤去して土地を返還しますが、契約によっては地主が建物を買い取る特約をつけることも可能です。

2.事業用定期借地権

  • 契約期間:10年以上50年未満(事業目的の建物を建てるための借地)。
  • 用途:事業用の建物を建てるために土地を借りる契約で、個人の住居には使えません。
  • 更新:期間の更新がなく、事業終了後は建物を撤去して土地を返還します。
  • メリット:地主は確実に土地を返還してもらえるため、短期間の土地活用が可能です。

3.建物譲渡特約付借地権

  • 契約期間:30年以上。
  • 特約:契約終了後、借地人が建物を地主に譲渡することを条件に土地を返還します。建物を取り壊す必要がないため、双方にとってスムーズな契約終了が可能です。
  • 用途:主に事業や一定期間の住居目的で利用されます。

定期借地権のメリットとデメリット

●メリット(地主側)

  • 土地が確実に返還されるため、土地の資産管理がしやすい。
  • 定期的に土地を再活用できるため、資産運用の自由度が高まる。

●メリット(借地人側)

  • 土地の購入に比べて初期費用が抑えられる。
  • 契約期間がはっきりしているため、事業用地として計画が立てやすい。

●デメリット

  • 借地人は契約期間が満了すると土地を返還しなければならず、長期の土地使用が保証されない。
  • 居住用として利用する場合、住居を建てた後も土地が返却される前提での計画が必要なこと。

定期借地権が活用されるケース

定期借地権は、商業施設や事業用のオフィスビル、マンション開発などでよく利用されます。また、居住用としても、住宅ローンが取りやすくなりつつあるため、マンションなどの開発にも活用されています。

有名なマンションでいうと、

  • シティータワー品川
  • パークコート渋谷ザ・タワー
  • シエリアタワー中之島(大阪)

などがあり、優れた立地にもかかわらず定期借地権を利用しているため周辺相場より割安で、人気を博しています。

旧法と新法(借地借家法)の違い

1992年以降に施行された新しい借地借家法では、契約期間や契約更新に関する規定が変更され、特に「定期借地権」など、地主の立場がある程度保護されるようになっています。

そのため、新法の借地権は、旧法の借地権に比べて更新や契約内容が柔軟で、地主が土地を返してもらいやすくなっていますが、旧法借地権はそのままの規定が引き継がれ、更新や存続が保護されるケースが多いです。

まとめ

借地権の特徴を認識しておくことで、選択肢の幅が広がるかと思います。

地主が誰かによっても賃貸借契約の内容が大きく変わりますので、検討する際には不動産会社の担当者に詳しい説明を求めることが大切です。

 

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公開日:2024年10月23日

こんにちは。REDSエージェント、宅建士の菊池です。今回はマンション購入にあたってのチェックポイントをまとめてみたいと思います。

マンション購入

(写真はイメージです)

部屋の広さは十分か

何人で居住するかによって必要な広さが決まってきます。

1.一人暮らしの場合

一人暮らしの一般的な広さは、20〜40㎡程度です。具体的には、1LDK(30〜40㎡)の間取りが多く選ばれます。リビングダイニングと寝室が分かれているため、より広々とした生活が可能です。スペースに余裕があり、快適さを重視したい場合や、少しゆとりのある暮らしを求める人に向いています。

2.カップルや夫婦の場合

カップルや夫婦で暮らす場合、50〜70㎡が一般的な広さです。二人で生活する際には、リビングや寝室、必要に応じて書斎や趣味のスペースが確保できる広さが理想です。

・1LDK/2DK(40〜50㎡)

1LDKはリビングスペースと寝室が分かれているため、生活においてのプライベート空間が確保されやすいです。2DKの場合、ダイニングとキッチンが別であるため、食事の際のスペースがしっかり分けられます。

・2LDK(50〜70㎡)

リビングダイニングに加えて2つの寝室があるので、仕事部屋やゲストルームなどに使うことができます。部屋が多い分、スペースに余裕があり、ゆったりとした生活が送れます。

3.家族(3〜4人)で暮らす場合

子どもがいる家庭では、60〜80㎡が標準的な広さです。家族構成や子どもの年齢によって必要な部屋数や広さが異なるため、将来的なニーズを考えて選ぶことが大切です。

・3LDK(60〜80㎡)

リビングダイニングに加え、3つの独立した部屋があります。夫婦の寝室、子ども部屋、さらにもう1つの部屋を収納や書斎、客間などに使えるため、子どもが成長して個室が必要になった場合にも対応できます。

・4LDK(80㎡~)

より広い間取りで、4部屋あるため、家族の人数が多い場合や個室を必要とする家庭に適しています。広々としたリビングと十分な収納スペースを確保できます。ただし、近年ではマンションの4LDKタイプは供給が少なく、希少性が高い分価格も高くなっています。

4.ライフスタイルによる違い

部屋の広さの必要性は、ライフスタイルによっても変わります。在宅勤務が増えた昨今では、書斎や仕事スペースがあると快適です。1LDKや2LDK以上で、リビングとは別にデスクや仕事道具を置けるスペースを確保することで、効率的に仕事ができる環境が整います。ウェブ会議をしたときに隣の部屋の音や外部の音が気にならないかどうかもチェックしましょう。

設備の不具合の確認

不動産会社が売主の中古フルリフォーム済物件については、基本的に設備はすべて交換しているため問題ありません。

個人が売主の中古マンションは不具合がある状態で売却活動をしていることが多く、注意が必要です。使用後10年以上を経過している家電製品については、正常に作動しない可能性もあります。数年後に新しい設備にリフォームすることも念頭に置いた方がいいと思います。

湿気・眺望・日当たり・防音性

1階の部屋は特に注意が必要です。2010年以降くらいに分譲されたマンションであれば、湿気対策は設計時にかなり配慮されているためあまり感じませんが、2010年より前のマンションなどの場合は注意が必要です。特に、北側の居室についてカビっぽい臭いがしないかどうかを確認しましょう。

目の前に大きな敷地の駐車場などがある場合は、近々建物が建設される場合が多いため注意が必要です。

また、「商業地域」内のマンションは要注意です。ほかの建物の日当たりを考慮する「斜線制限」がないため、急に目の前に建物が建設されることはよくあります。日当たり・眺望が大きく変わりますので注意が必要です。

隣接する部屋や階の音が気になる場合、防音性を確認するといいでしょう。内見に行かれた際に、少し話をしない静かなタイミングを作り、バルコニーの窓を開けた状態と閉めた状態のそれぞれで、外の環境音や隣接住戸からの音を確認することをお勧めします。

最近のマンションでは複層ガラスと構造がよくなっており、遮音性は高いのですが、線路の近くや幹線道路の近くの物件は注意が必要です。

希望のリフォームが可能か

マンションの管理規約に則って、リフォームで利用できる材料が決まっていますので、以下に該当する場合は確認が必要です。

  • もともとカーペットを敷いているお部屋の場合、フローリングに変更可能か
  • 使用するフローリングの材質の等級は何か(一般的にはLL-45以上)
  • どこの壁が壊せて、どこの壁が壊せないか
  • 二重床か、直床か(水回りの位置変更に関係します)

リフォームの際は複数の会社に見積もりを取得することをお勧めします。

管理会社はどこか

マンションの管理会社は、マンションの資産価値を保つうえでの重要なパートナーです。以下、管理受託戸数が多い管理会社を並べたものです。財閥系、独立系ともに多く存在します。

まれに小規模な管理会社で管理業務が行き届いていない場合や、自主管理のマンションがありますので、その場合は管理内容をよく確認しましょう。管理会社が入っているマンションは適切な周期で大規模修繕工事や補修が行われていることが多いですが、自主管理のマンションですと大規模修繕工事のタイミングは理事会によりますので、一定の周期で行われていないこともあります。

また、大規模修繕工事を行うかどうか見極めるための調査も足りておらず、適切に大規模修繕工事を行っていないマンションの場合は雨漏りが発生する場合もあります。

(管理受託戸数が多い管理会社)

  • 日本ハウズイング
  • 東急コミュニティー
  • 大京アステージ
  • 長谷工コミュニティ
  • 三菱地所コミュニティ
  • 大和ライフネクスト
  • 合人社計画研究所
  • 三井不動産レジデンシャルサービス
  • 野村不動産パートナーズ
  • 住友不動産建物サービス
  • あなぶきハウジングサービス
  • 日本総合住生活
  • 穴吹コミュニティ
  • 伊藤忠アーバンコミュニティ

共用部と駐車場とペットと周辺環境

マンションの場合は、利用できる共用部分を確認し、可能であれば内見時に確認しておくことをお勧めします。特にタワーマンションには共用ラウンジ・ゲストルーム・フィットネスジムなど豪華な共用部分があり、共用部分を利用することが多い方は、事前に使用方法などについて確認しておくことが大事です。

都心部に多い機械式の駐車場では、収納できる車のサイズに制限があります。確認していなかったためにマンションの駐車場に入らず、車を買い替えなければならないといったことにもなります。

飼育したいペットが飼育可能かどうか確認しましょう。基本的に管理組合への届け出が必要になります。

マンションを選ぶ際には、周辺に嫌悪施設がないか、また近隣に必要な施設や店舗があるか、公共交通機関のアクセスがいいかどうかを確認しましょう。徒歩距離は当然ですが、利用できるバスや、繁華街からタクシーを利用した場合の費用なども頭に入れておきましょう。

まとめ

上記の項目は一部です。お客様それぞれに気にするポイント・重要視するポイントは異なると思いますので、内見の際には独自のチェックリストをご持参になるのもよいかもしれません。

不具合箇所や気を付けるポイントを説明しながら、物件をご案内させていただきます。ご不明点などございましたら、ぜひREDSにお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

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公開日:2024年9月14日

【仲介手数料最大無料・最低でも割引】不動産流通システムREDSエージェント、「リアル正直不動産」を目指している宅建士の菊池弘之です。

不動産を売りたい人と買いたい人をつなぐ不動産仲介業界は、国内の不動産取引において重要な役割を果たしています。今回はその歴史と進化の過程について説明します。業界の成り立ちを知ることで、不動産取引の本質が見えてくるかもしれません。

不動産業界の歴史

(写真はイメージです)

不動産取引の変遷

国内の不動産取引がどのように行われてきたのか、古い時代からたどってみましょう。

古代日本

古代日本は律令制度(7〜8世紀)のもと、土地の管理が行われていました。土地は国家のものであり、個人が直接所有することはほとんどありませんでした。土地の使用権は、国家からの賜物や公的な役職に基づいて与えられていました。

中世日本

中世の日本では、封建制度が確立し、土地は主に領主や武士階級によって管理されました。土地の所有権や利用権は、主に領主から家臣や農民に貸与される形で取引されました。取引や譲渡は、主に口頭で行われることが多く、文書による証明は限定的でした。

近世日本

江戸時代(17~19世紀)には、土地の管理や取引の仕組みはより体系的に整備されました。土地の測量や登記が行われるようになり、土地台帳や検地帳などが作成されたことは画期的なことでした。これにより、土地の所有権や使用権が明確化され、不動産取引がより制度的に行われるようになりました。

近代日本

明治維新後、日本は急速に近代化が進みました。不動産取引の制度もこの時期に大きな変革を迎えました。1871年に「土地取引法」が施行され、土地の登記制度が整備されました。

これにより、土地の所有権が公式に記録されるようになり、民間の取引もスムーズに行えるようになりました。法律に基づく「登記制度」が「所有」ということについて大きくかかわっているのですね。

現代日本

戦後日本では経済成長と都市化の進展に伴い、不動産市場も拡大しました。1960年代には、「不動産の取引の透明性を高めるための法律」などが導入され、仲介業者に対する規制が強化されました。

余談ですが、宅地建物取引業(宅建業)の免許番号は、昭和39年に宅建業が登録制から免許制になった際に割り振られるようになりました。宅建業の免許番号は、免許証に「国土交通大臣免許(1)第○○号」「東京都知事免許(9)第××号」のように記載されており、不動産会社のID番号のような役割を果たしています。

宅建業の免許番号のカッコ内の数字は、免許の更新回数を表しています。新規に免許を取得した場合は「1」という数字が記載されており、更新のたびに数字が増えていきます。更新回数が多いほど不動産業務に携わってきた老舗であることを示しますが、更新回数が少ない場合でも高いノウハウを有する会社もあります。

宅建業の免許の有効期間は5年で、有効期間満了日の90日から30日前までに更新の手続きを行う必要があります。更新手続きをしないまま免許期間満了日を迎えると、宅建業免許は失効します。

現代では、IT技術の進展により、オンラインでの不動産取引やデジタルプラットフォームの利用が一般化してきました。また、法律や規制も進化し、不動産市場の透明性や公正性がさらに強化されています。

以上のように、日本の不動産取引の歴史は、古代から現代にかけての社会や経済の変化に応じて変わってきました。時代ごとの制度や技術の進化が、現在の不動産取引の形を作り上げてきたのです。

現代の不動産業界とこれからの展望

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、インターネットが普及することで、不動産情報の検索や比較が容易になりました。不動産仲介業者は、オンラインでの物件情報提供やバーチャルツアーなど、テクノロジーを活用するようになりました。

具体的には、オンライン契約、ウェブ上での住宅ローン審査、登記のウェブ上での閲覧・申請などがあります。

最近では、AIやビッグデータを活用した不動産評価やマーケティングが進んでいます。これにより、より精度の高い価格設定やターゲットマーケティングが可能になっていますが、課題もあります。

AIやビッグデータによる簡易査定サービスが広がっていますが、物件によって異なる眺望や室内状況、管理状況はAI査定では反映されていません。安易にAI査定の金額をうのみにしないことが大切です。

特に売却を検討する際には、実際の成約事例と販売事例に基づいた価格設定をすることが反響を得るには大事なので、不動産営業マンに現地を確認していただき、その上で販売価格の設定をすることをお勧めいたします。

「囲い込み」の是正は時代の要請

不動産業界の直近のトピックとして、「囲い込み是正の動き」があります。

タイムリーなニュースですが、2024年8月、国交省は取引の透明性を高めるため、「囲い込み」を悪質だとして、2025年1月から囲い込みに対する行政処分を行う方針になりました。以下ご参照ください。

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方_新旧対照条文

囲い込みの問題点は、「他社のお客様で高値での購入希望者が現れても、自社で受けた購入希望を優先しようとするために、売主様が低い価格での売却を迫られ、売主様の利益を損ねている可能性がある」ということです。

この「囲い込み」が是正される方向になったのは、業界としてとても前進したことだと思います。

まとめ

これまでさまざまな経緯から成り立ってきた歴史のある不動産業界も、近年のIT化などの流れには逆らうことはできません。時代とともにお客様のニーズも変わり、不動産業界も変化を求められてきております。

弊社としては、21世紀を代表する不動産会社となれるよう、囲い込みなどの旧態依然の悪習慣を正していくことを目指しています。

最後になりますが、私は以下の5点こそ、不動産仲介業者・不動産営業マンの役割として重要だと考えます。

  • 売主様側の仲介に入るときには、物件について売主様よりも詳しくなること。
  • 買主様側の仲介に入るときには、物件の細やかな情報提供をすることと、客観的に見て悪い点があればしっかり指摘してリスクを表面化させること。
  • 売主と買主の間に立ち、双方が気持ちよく取引ができるよう、円滑なコミュニケーションを図ること。
  • 法律に基づいた重要事項説明書・売買契約書を正確に作成し、改めて契約内容に間違いがないかを確認した上で契約していただくこと。
  • よりよい住宅ローンを利用できるよう、買主様のサポートを行うこと。

皆様からの不動産売買のご相談をお待ちしております。

 

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公開日:2024年8月4日

【仲介手数料最大無料・最低でも割引】不動産流通システムREDSエージェント、「リアル正直不動産」を目指している宅建士の菊池弘之です(『正直不動産』9巻で弊社REDSが紹介されています)。

今回は、「不動産の売却はREDSで間違いない3つの理由」というテーマでお話させていただきます。

不動産の売却

理由1:囲い込みをしない、できない、させない社内システム

不動産業界の悪しき風習の一つである「囲い込み」を根絶したいという弊社の思いは、このブログをご覧になられている皆様もよくご存じかと思います。

REDSの営業マンは、新規で物件を売主様からお預かりした後に、すぐに社内とレインズに物件受任の報告を行います。物件登録は別のチームが行いますので、特定の物件だけ不動産ポータルサイトのたとえばスーモに登録されていないなどはありません。

売り物件が少ないエリアや競争率の高い物件においては、売却物件を預かった不動産会社は、自社の利益を最優先するために、あの手この手で囲い込みをしてきます。

「囲い込み」とは、不動産会社が買主・売主の両方を担当する両手仲介を目指すあまり、なりふり構わぬ手法で他社からの購入申込をブロックすることです。両手仲介をすれば、自社にひも付いた売主と買主の両方から仲介手数料がもらえるため、不動産会社にとっては収入が増えるというメリットがあります。

ただし、不動産を売却する側にとっては、本当に条件のいいお客様を逃している可能性もあります。

実際に私が受けた囲い込みの手法をいくつかご紹介します。売主側の不動産会社に購入の問い合わせ電話をしたときに、担当者が私に言い放った言葉です。

例1.売主様のご希望で、弊社のお客様のみのご案内となっております。
例2.物件担当者の立ち会いが必要なのですが、担当者の予定は今週末すべて埋まっております(自社のお客様は案内する)。
例3.売主様が旅行中なので2週間後に内見可能となります(1週間後には契約予定になっておりました)。

こういった囲い込みが売主様の利益になるのでしょうか?

通常はより多くのお客様を集めたうえで、他社含め最もいい条件のお客様を探すことこそ利益であるはずですが……。このような囲い込みを許してはなりません。

私が物件を預かった場合には、必ず情報をすべて公開して、他社のお客様にも必ず内見していただきます。そうすることで、より好条件での売却可能性が増えるからです。

もし弊社の社員が囲い込みをして売主様に機会損失を与えたりするようなことがあれば、それはもう会社に残れないような状況になるでしょう(笑)。

理由2:考えられる限り全てのお客様にアプローチ

不動産の売却時には、不動産会社との媒介契約の形態が大きく分けて2つあります。

  1. 不動産会社1社にしか依頼できない「専任媒介契約」
  2. 複数の不動産会社に同時に依頼する「一般媒介契約」

弊社REDSは1の「専任媒介契約」のみの取り扱いとさせていただいていますが、「一般媒介契約」のメリットも併せた販売活動となっています。なぜなら、弊社では囲い込むことはせず、広告掲載を制限していないので、一般媒介契約での主な効果である「他の不動産会社の自社メディアへの掲載」を行っております。

レインズという不動産業者専用の物件サイトに、新規で販売する物件を登録すると、大手不動産会社を含め多くの会社から、「広告掲載希望」の連絡が来るのです。そのため、大手不動産会社に掲載されている物件が実はREDSの専任物件だったというのはよくあることです。

弊社ではレインズの他に、自社での登録として以下3媒体に登録を行います。

  • スーモ
  • アットホーム
  • 健美家(投資用物件の場合)

下記資料の「不動産業者別 月間検索ボリューム」を見ても、スーモ・アットホームに加えて、他の不動産会社の自社サイトに掲載することで、ほぼすべてのお客様をカバーしていることが分かるかと思います。

不動産業者サイト別_月間検索ボリューム

このように他社の力を存分に借りながら最もいい条件のお客様を見つけることができるシステムにもかかわらず、内見などの交通整理は全てREDSが行いますので、売主様にとっては多数の不動産会社から連絡が来ることもなく、負担も少なく売却活動が可能なのです。

実際、他社で売却をご依頼中のお客様の中でも、REDSに変えたらすぐに買い手がついたというお客様の声も多くいただいております(この場合、他社では囲い込みされていたのかと思われます)。

理由3:他社に負けないサービス。一律で仲介手数料は割引もしくは無料というルールの強み

弊社での売却時のサービスとして、設備保証があります。

他社の各種サービスは「提携先」や「下請業者」によるものですので、コストが発生します。発生したコストを回収するためにもより一層「法定上限手数料」「両手仲介(囲い込み)」へと誘導が強くなっており、他社では、基本的には「3%+6万円」の法定上限の手数料を支払わないと利用できないサービスがほとんどです。

当社は設備保証も社内で行うなど、徹底的なコスト削減を行い、手数料でお客様に還元しています。これが無駄を排除し必要なものを厳選して提供する「売主様の利益の最大化」です。

REDSと競合他社のサービス比較_2024-07-22

仲介手数料についても明瞭です。都心高価格帯を中心に大手含め手数料値引きをしているところもあるようですが、「競合他社あっての割引」と、当社の「企業努力による割引」では全く意味が違います。

弊社のように仲介手数料の上限だけ決まっている会社では、お客様や案件ごとに仲介手数料の割引を決めています。例えば、「この物件は価格が安いから正規手数料の『3%+6万円』にしよう」や、「この案件は両手仲介ができるから少し割引しよう」などです。

このような料金の決め方では、同じ企業・同じサービスに対しても満足度が変わってきてしまいますが、弊社では成約価格に基づいて仲介手数料を一律で決めていますので、お客様ごとに不公平になることはございません。

また弊社では、実需物件については仲介手数料の上限を定めており、どんなに高額な物件であっても、上限は「168万3000円」となっておりますので、高価格帯の物件の際にはさらに割引幅が大きくなります。※例えば1億5000万円の物件であれば手数料1%+3万円です。

ここまで、「不動産の売却はREDSで間違いない3つの理由」というテーマでお話させていただきました。少しでもREDSにご興味を持っていただければ嬉しい限りです。不動産の売却はREDSで間違いありません。

 

カテゴリー:

公開日:2024年6月26日

【仲介手数料最大無料・最低でも割引】不動産流通システムREDSエージェント、「リアル正直不動産」を目指している宅建士の菊池弘之です(『正直不動産』9巻で弊社REDSが紹介されています)。

住宅価格が上昇しているなか、「価格が抑えられる」と築年数が経過しているマンションを検討されるお客様が増えてきました。個人的な意見ですが、権利関係や管理状況さえ問題なければ、築年数の古いマンションも十分検討していただいていいのではないでしょうか。

古いマンションの購入を検討する上で大切なポイントを5つまとめてみましたので、最後までお読みいただけますと嬉しいです。

旧耐震マンション

旧耐震物件と新耐震物件の違い

まず、今回の記事でいう「築年数の古いマンション」は「旧耐震基準の物件」と定義します。

1981年6月以前に建築確認を取得した物件が対象となります。この情報は「建築計画概要書」という書類に記載があり、契約前に不動産営業マンから情報をもらえるので、古めのマンションは確認しておくとよいでしょう。

旧耐震基準は、震度5強程度の地震でも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準となっています。

一方、新耐震基準は、震度6強~7程度の地震でも倒壊しないような構造基準です。

ポイント1:銀行の審査が通るかどうか

まず住宅ローンを利用してマンションを購入する方にとっては、ここから話が始まります。メガバンクですと、旧耐震物件の取り扱い可否は以下のとおりです。

  • 三井住友銀行⇒取り扱いあり
  • みずほ銀行⇒取り扱いあり
  • 三菱UFJ銀行⇒取り扱いなし(耐震適合証明書を取得している場合⇒取り扱いあり)

このように旧耐震基準のマンションに住宅ローンの貸し出しを行わない銀行もあります。どちらかというと都市銀行は可能なところが多く、ネット銀行は取り扱いがないところが多い印象です。

銀行融資が付かない物件として多いのが、違反建築である場合です(既存不適格の場合は融資可能な場合が多い)。貸し出しが限られる銀行が多いとはいえ、メガバンクで融資可能な銀行も2行ありますので、融資承認が出たのであれば問題ないでしょう。

ポイント2:修繕積立金の金額は適正か

修繕積立金について借り入れがある場合や、かなり少額しかない場合は注意が必要です。管理組合の財務状況が厳しかったり、ガバナンスが機能していなかったりするため、購入を検討する際に注意が必要です。

借り入れも内容によりますので、詳しいREDSの営業マンに意見を聞いてみていただければと思います。たとえば、もともと国の機関である住宅金融支援機構から低金利で借りていて、返済の目途もたっている場合などは検討してもいいでしょう。

ポイント3:立地条件のいいマンションか

立地のいい都心では、旧耐震物件であっても「ヴィンテージマンション」といわれて、高額で売買が続いています。特に港区、千代田区、渋谷区、中央区などの都心では、今後も再開発などで不動産の取引も多くありますので、価格が保たれる要因となります。

将来的に再開発などのエリアに含まれることがあれば、その際にはディベロッパーから金銭面の提案も十分にあると思います。そのため個人的にも、都心部の旧耐震物件の購入は「アリ」だと思っています。

ポイント4:共用部分がアップデートされているか

建物は経年劣化が避けられません。ただ、メンテナンス状況によっては、築30年のマンションより綺麗で、雰囲気のいい築50年のマンションも存在します。

こうしたマンションの中には、宅配ボックスの設置や、エレベーターの更新工事をすることで、アップデートしているものも多くあります。さらに欲を言えば、窓ガラスの改修・玄関の改修などもしているとポイントが高いと思います。窓ガラス・窓サッシは築年数の影響が住環境に直接影響する箇所です。

ポイント5:耐震診断を実施しており、かつ耐震補強をしている物件か

耐震診断と耐震補強、どちらも実施しているマンションは、旧耐震物件の中でもかなりポイントが高いので、あったらなおいいでしょう。

耐震補強を行い、耐震適合証明書が発行されれば、「新耐震基準」と同等のレベルとみなされるため、新耐震基準のマンションと同様に住宅ローン減税などさまざまな税金の優遇措置を受けることができます。耐震適合証明書は、仲介会社を通して建築士が発行してくれます。1通5万~10万円程度です。

最後に

以上、旧耐震基準のマンションを検討する上で大切な5つのポイントを紹介させていただきました。マンションは一点ものなので物件ごとに大きく管理状況や室内状況も違います。また、リフォーム物件は施工業者によっても室内グレードが違いますので、実際に室内を確認した上での判断が重要となります。

私はマンションの管理についての詳細な調査も得意としていますので、気になる物件やご質問がございましたらいつでもお申し付けください。

 

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公開日:2024年5月18日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの菊池弘之です。

住宅ローンには「変動金利」と「固定金利」があります。ほとんどの方が金利の低さが魅力の「変動金利型」を選択しますが、そのメリットとデメリット、オススメする理由などを解説します。

金利

住宅ローンは変動金利がオススメな理由

住宅ローンの変動金利型のメリットとデメリットは以下のとおりです。

■メリット:一般的には、固定金利よりも変動金利のほうが低い
■デメリット:金利変動の影響を受け、金利が高くなる可能性がある

上記のメリット・デメリットがありますが、私は変動金利をオススメします。上記に挙げたデメリットである「住宅ローンの金利が変動する可能性」が低いからです。

参考:日本銀行 統計データ 長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm/

参考:一般社団法人 住宅金融普及協会 金利について
https://www.sumai-info.com/loan-knowledge/loan_basis_rate.html

変動金利型の支払額シミュレーション

みずほ銀行の2024年5月の金利で、変動金利型住宅ローンと固定金利型住宅ローンの支払額をそれぞれ試算してみます。

【試算事例】
物件価格:5,000万円
ローン借入額:5,000万円
返済期間:35年(420か月)

〇変動金利:0.375%の場合(みずほ銀行 変動金利の最優遇金利)
→月々返済額:12万7,049円
総返済額:5,336万807円
利息分:336万807円・・・A

〇固定金利:1.90%の場合(みずほ銀行 固定金利の最優遇金利 35年借入の場合 2024年5月現在)
→月々返済額:16万3,076円
総返済額:6,849万2,312円
利息分:1,849万2,312円・・・B

A-B=1,513万1,505円(35年間固定金利の場合に、変動金利の場合より多く支払う金額です)

また、月々の返済額も、3万6,027円の差があります(※試算した金利はみずほ銀行の2024年5月現在のものです。今後変動、上昇する可能性があります)

比較してみると、35年間での総支払額の差が1,513万1,505円にもなりました。ファミリー用のミニバンを買った後に海外旅行に行っても、十分おつりが来ますね。

住宅ローン金利の決まり方

ここまで変動金利と固定金利の差について話してきましたが、そもそも住宅ローンの金利はどのように決まるのでしょうか。

基準金利とは

結論からいうと、金融機関ごとに決定する基準金利に連動して決められます。この「基準金利」とは、短期プライムレート(※1)などにコストや利益分を加えたもので、各金融機関によって異なります。

現在のみずほ銀行の基準金利は、2.475%です。この基準金利から、各金融機関がローンを借入する人に対して金利の引き下げを行い、借入金利が決まります。今回試算した0.375%は、基準金利の2.475%から2.100%の引き下げ適用の場合ということになります。

そして、実際の金利の決定はローンの本申し込み時点ではなく、実行時(決済時)となります。

※1:短期プライムレートとは、金融機関が優良企業に貸し出す資金のうち、期間1年未満の資金に対する最優遇金利のことです。これは、基準割引率および基準貸付利率や短期金融市場の動きを見ながら、各金融機関が独自に決定します。なお、みずほ銀行の短期プライムレートは、現在1.475%です(2009年1月13日から現在までこの利率が適用されております)。

基準金利の見直しと新しい融資金利の適用

住宅ローン借り入れ後の基準金利の見直しは、4月1日と10月1日の年2回行われます(実際には近年あまり行われておりません)。

新しい融資金利は、見直し時の基準金利をもとに変更され、一般的には6月または12月の翌月の返済分から適用されます。金利の見直しと新金利の適用時期は、金融機関によって異なる場合がありますので、詳しくは借入先金融機関の住宅ローン取り扱い窓口までお問い合わせください。

返済額の変更ルール

金利の見直しは上記のとおり半年に1回行われておりますが、毎回の返済額についてはまた別のルールがあります。

そのルールとは「毎回の返済額は、変動金利適用開始日から起算して約5年間変更されない」というルールです。気をつけたいのは、返済額(利息および元金の合計)が変更されない(毎月の支払額は変わらない)ため、金利が見直されると利息および元金の内訳が変化することです。

そして返済額の変更(約5年に1回変更の可能性がある)は、金利がどんなに上がっても、変更前の毎回の返済額の1.25倍までと決まっています。毎月の返済金額と残債金額については、半年に1回くらいの頻度で、銀行から案内のハガキが自宅宛てに送られてきます。

さらに詳細を聞きたいという方は、お気軽にお問い合わせください!(参考文献:全国地方銀行協会発行 変動金利型住宅ローンのしくみ)

固定金利型にもメリットはある

固定金利型のメリットとデメリットは以下のとおりです。

■メリット

  1. 固定金利のため金利変動の影響を受けず、ずっと返済額が変わることがない。
  2. 返済額が変わらないので、家庭の収支計画を立てやすい。
  3. 同じ年収でも、変動金利型より固定金利型のほうが借入額を増やすことができるので、あこがれの物件に手が届く可能性が高まる。

■デメリット

  • 金利上昇などがない場合、一般的に変動金利型よりも返済総額が多くなる。

メリットの3について詳細をご説明します。

変動金利型よりも固定金利型の方が借入額を増やせることができるのはなぜかというと、借入額を計算するための、銀行ごとの「審査金利」が違うからです。住宅ローンを利用する際、銀行が「このお客様にはいくらなら貸しても大丈夫なのか」という審査をします。各銀行は設定している返済比率(収入から住宅ローンの返済にいくら回せるかという計算)にしたがって、その返済比率に収まるのであれば、融資をしようという判断になります。

その際に使う金利が「審査金利」です(各銀行が設定している基準金利とは別物です)。変動金利型は金利変動の可能性があるので、審査をする際、余裕を持った審査金利を設定します(適用金利は0.375%でも、審査金利は3.3%など)。それに比べて、固定金利ですと、審査金利も固定金利と同じ数値になるので、年1.830%の審査金利となります(2024年5月9日現在)。

まとめ

変動金利と固定金利を比べてみましたが、どちらにもメリット・デメリットがありますので、ご家庭の返済計画に最適なものを選ぶことが大切です。

近年のインフレによる、日銀のマイナス金利解除などのニュースがあるため、変動金利は金利が高くなりそうな雰囲気がします。しかし、上記のような理由で単純に「固定金利」にするということではなく、金利上昇のリスクを取った上で変動金利にするのか、戦略のひとつとして固定金利にするのか、実際に住宅ローンを組むうえでしっかりと判断することが大事です。

 

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公開日:2024年4月10日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの菊池です。私はこの不動産仲介という仕事が好きで、お客様から感謝のお言葉をいただけたときには、とてもやりがいを感じます。

どの業界においても専門的な資格があります。この不動産の仕事をする以上は、できる限りお客様の力になりたいと思っており、そのための手段として資格取得の勉強も日々の業務と並行して行っております。営業現場での経験と資格取得による専門的知識を組み合わせることで、不動産売買においてお客様に生じるトラブルをできるだけ減らしたいと考えております。

今回は私が取得している資格と、その意味についてお話ししたいと思います。

資格

宅地建物取引士

宅地建物取引士(宅建士)は、不動産の仲介業務を行うために必須の資格となります。REDSの営業担当(エージェント)は100パーセントこの資格保有者です。宅建士は日本において不動産の売買・賃貸などの取引に関する専門知識を有しており、主に以下のような業務を行います。

  • 不動産の売買や賃貸の仲介・代理業務
  • 不動産の査定
  • 不動産の契約書類の作成や手続きの代行
  • 不動産に関する法律や規制に関するアドバイス

宅建士は、宅地建物取引業法に基づく国家資格です。この資格を持つことで、不動産取引において法律や倫理規定に基づき適切な仲介やアドバイスを行うことが期待されます。

宅地建物取引士の業務は、試験に合格後、一定の条件を満たすことで宅地建物取引業を営むことができます。不動産取引は高額になるため、契約や手続きなど専門的な知識が必要です。そのため、宅建士は不動産取引の安全かつ円滑な進行をサポートする重要な役割を果たしています。

宅建マイスター

宅建マイスターは、聞き慣れない資格かもしれませんが、宅建士の上級資格で、より高度な不動産取引の専門家となります。宅建士は5年ごとに更新のために講習を受けますが、その講師となることもできます。

公益財団法人不動産流通センターによると、宅建マイスターの定義は以下のように定められています。

■仲介業務に特化して取引の安全と取引件数の拡大を達成する資格

  1. 不動産のプロフェッショナルとして、「顧客の信頼感を得る幅広い知見」を持ち、「広範な取引実務の知識」を身につけ、「プロとしてのコンプライアンス意識」を持って仲介業務を行う。
  2. 仲介取引における「リスクの可能性を予見」し、「広範な物件調査能力」をもって、「トラブルを未然に防ぐ」ことで、「顧客利益の最大化」を実現する。
  3. 「顧客利益の最大化」を実現することが、「リピーターの増加」や「紹介客の拡大」につながり、「富裕顧客層の取り込み」につながる。

資格取得に際しても要件があり、受験資格として以下のいずれかの資格保有者かつ、登録には一定の実務経験が求められます。

  • 宅地建物取引士
  • 一級建築士
  • 不動産鑑定士

管理業務主任者

「管理業務主任者」とは、日本のマンションやアパートなどの共同住宅やオフィスビル、商業施設などの管理を行うために必要な資格を指します。不動産管理会社では必須の資格で、主に以下のような業務を担当します。

  • 共同住宅や商業施設などの管理運営業務の統括や管理
  • 入居者やテナントからの問い合わせやクレームへの対応
  • 定期的な施設や設備の点検、修理、メンテナンスの管理
  • 共同住宅の組合運営や総会の運営サポート

管理業務主任者は、特定の規模以上の共同住宅や商業施設を運営するために必要な資格であり、宅地建物取引業法に基づく国家資格として位置付けられています。

管理業務主任者は、共同住宅や商業施設などの管理運営において、適切な判断や指示を行い、安全で快適な生活環境や働きやすい職場環境を提供することが求められます。そのため、法令や規則に精通し、入居者やテナントと円滑にコミュニケーションをとることが重要です。

不動産コンサルティングマスター

不動産コンサルティングマスターは、仲介業務の枠を超えたコンサルティング営業を行う資格で、主に以下の3点が業務です。

  • 不動産取引の多様なニーズに対応して、不動産の流動化や証券化など高度化・複雑化するスキームを活用したコンサルティング業務
  • コンサルティング業務の対象は、相続対策、不動産の有効活用や投資、建物エバリュエーションなど
  • 不動産コンサルティングマスターは、依頼者との契約に基づき、不動産に関する専門的な知識・技能を活用し、上記の業務について、物件・市場等の調査・分析をもとに、依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように企画、調整し、提案する

総合的なコンサルティング業務が可能となる資格です。

リフォームスタイリスト

リフォームスタイリストは、住宅リフォームの相談・助言業務に携わる営業系相談員の資格です。 この資格は、消費者ニーズの高い「水廻り(キッチン・お風呂・トイレ)リフォーム」や、今後需要の拡大が見込まれる「省エネ(エコ)リフォーム」「バリアフリーリフォーム」について、施主からの相談に応じるために、一定水準以上の知識と能力を持ち合わせていることを、一般社団法人日本ライフスタイル協会が認定するものです。

リフォームスタイリスト資格制度は、消費者が安心してリフォームの相談ができる人材を育成することを目的としており、消費者目線で快適な暮らしの提案ができる「リフォーム相談のプロ育成制度」として、期待されています。また、住宅リフォーム業界は、クレーム・トラブルの未然防止に役立つ資格制度として注目しています。

住宅会社、住宅リフォーム会社、不動産会社、工務店、建材メーカー、建材店、住設メーカー、住設店、工事店など、住関連企業が活躍の場所になります。さらに、家具、カーテン、照明、寝具、家電、音響、エネルギーなどの住生活商品のメーカーや小売店も活躍の場所です。

まとめ

不動産の世界はほかの業界に比べて変化は少ない業界ではありますが、それでも法律は改正され、お客様のニーズも絶えず変化しています。この世界で活躍するために、知識の定期的なアップデートをこれからも継続していきたいと思っています。

ぜひREDSを頼っていただければと思います。ご状況に合わせた最適な提案をさせていただきます。今後ともREDSをよろしくお願いいたします。

 

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公開日:2024年3月5日

「リアル正直不動産」を目指しているREDSエージェント、宅建士の菊池弘之です。弊社REDSは売買専門の不動産仲介会社なので、賃貸物件は扱っていないのですが、今回は持ち家と賃貸のメリットを比較してみたいと思います。

持ち家と賃貸

賃貸住宅のメリット

賃貸住宅のメリットを紹介します。

●住宅ローンがないので心理的な負担が軽い:住宅ローンで巨額の借金を背負うことが心理的負担になる人もいます。そうした方にとっては住宅ローンを組むことはかなり大きな決断になるため、賃貸で毎月の家賃を払っていくほうがが心理的な負担としては軽いのかもしれません。

●初期費用が低い:賃貸住宅は住み始めるための初期費用が購入するよりも低いといえます。敷金や礼金などがかかりますが、せいぜい家賃の数カ月分ですから、家を購入するための頭金や諸費用よりも少なくてすみます。

●メンテナンス費用の負担が少ない:賃貸住宅では、建物や設備のメンテナンス費用は通常、所有者が負担します。修理や改装などが必要な場合でも、大抵の場合は賃借人が直接負担することはありません。

●柔軟性がある:ライフステージの変化があっても気軽に住み替えることができることが賃貸住宅に住む最大のメリットです。転勤が多い人や、将来の計画が不確かな人にとっては、賃貸住宅は簡単に退去できるため、購入よりも柔軟な選択肢となります。

●住居費が予測しやすい:賃貸住宅では、家賃以外に住居にかかる費用が予測しやすいことがあります。例えば、修理やメンテナンスの費用が発生した場合でも、大部分は所有者の責任であるため、予期せぬ大きな支出が発生しにくいといえます。持ち家の場合、マンションの場合は修繕積立金で積み立て、戸建ての場合は10年に1度くらいの外壁補修が必要になると想定されます。

●価格変動リスクの回避:住宅を購入する場合、地域の不動産市況や金利の変動などにより価値が変動する可能性があります。賃貸住宅では、これらのリスクを回避できます。

賃貸住宅のデメリット

賃貸住宅のデメリットを箇条書きにします。

●内装や間取り、設備などが自分で決められない
●大家さんに気を遣う
●一生、家賃の支払いが続く
●高齢になったとき契約を更新できないことがある
●2年ごとに更新料がかかる(地域による)
●住宅ローン控除などの税制のメリットを利用できない
●将来の資産価値の上昇というメリットがない

持ち家のメリット

持ち家のメリットについても紹介します。

●資産の形成と投資:持ち家は資産としての価値を持っています。住宅ローンを利用して資産を形成することができます。また、不動産市場の上昇や周辺環境の変化によって、資産価値が高まることもあります。

●住宅ローン控除:住宅ローンの利子や一部の費用に対する控除があります。これにより税金を節約することができます。

●安定した居住環境:持ち家は安定した居住環境を提供します。賃貸住宅よりも長期的に住み続けることができ、自分の好みに合わせて改装やカスタマイズが可能です。

●毎月の支出が安定:住宅ローンの返済は通常、金額が固定されています。これに対して、賃貸の場合は家賃が変動する可能性があります。

●家族の安定感:持ち家は家族にとって安定感を提供します。特に子供がいる場合、住環境が安定していることはプラスになるでしょう。賃貸住宅の場合、広い間取りの物件の供給が少ないため、選択肢が少なく、購入と比べると同じ広さで賃料が割高な場合もあります。

●自由度がある:自分の好みに合わせて自由に改築したり、庭づくりをしたりすることができます。住まいを好きにカスタマイズしても、原状回復をする必要もなく、心理的な負担はありません。

持ち家のデメリット

持ち家に住むことのデメリットもあります。以下、箇条書きにします。

●初期費用が賃貸よりも必要になる
●住宅ローンの審査がある(賃貸の審査よりも厳しい)
●持病がある場合、希望の銀行でローンを組めない場合がある

私が思う賃貸をおすすめする方

結局、どんな方が賃貸住宅に向いているのでしょうか。私が考えるのは以下のような方です。

●転勤が多く、購入したとしても長く住まない可能性が高い方。数年で売却する予定がすでにある方
●お勤め先から家賃補助が多くもらえる方
●給与が高く、広い家の家賃の支払いに余裕がある方
●近い将来、実家に戻る予定のある方
●短期間で様々な物件に住んでみたい方
●事業経営をされていて、家賃が経費で落ちる方

私が思う持ち家を勧める方

一方、持ち家に住むほうが向いているのは、こういった方々かもしれません。

●仕事の転勤が少なく、長くその地域に住み続ける予定の方
●住宅ローンを利用できる方
●住まいにこだわって間取り変更なども楽しみたい方
●特徴的な物件に住みたい方

まとめ

引越しを検討されている方は、この機会に、一度自身の理想の住生活について見直してみてはいかがでしょうか。その上で、購入のほうがいいということであれば、ぜひ弊社REDSの利用をご検討ください。

弊社REDSなら、一般に流通している物件であれば、ほとんどの物件について、仲介手数料が「無料か割引」でご購入いただけますので、購入にかかる諸費用を大幅に削減することができます。

 

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公開日:2024年1月26日

REDSエージェント、宅建士の菊池弘之です。人生で多くても数回の経験となる不動産の購入において、気を付ける必要のある物件について、マンション・戸建て(土地含む)と種別ごとに解説いたします。将来の売却に直結する事柄ですので、参考になれば幸いです。

要注意物件

要注意物件1:管理形態が自主管理のマンション

総戸数が少ないマンションで、築年数が経過しているとおおむね自主管理になりやすいといえます。というのも、総戸数が少ない場合は管理会社が介入すると費用が割高になることと、マンションによっては管理会社から管理NGとなることがあるからです。

また、情報の開示量がどうしても少なく、仲介会社担当者のヒアリング能力によることになるので、購入者が必要な情報が足りないことも多いのがネックです。

要注意物件2:旧耐震物件でかつ耐震適合していない、もしくは特殊な形状のマンション

1981年6月以降に建築確認された物件は「新耐震基準」、これ以前のものは「旧耐震基準」となります。旧耐震基準でも物件によっては頑丈で、住宅供給公社が分譲主となった団地などは、壁式構造である点と単純な構造のため、これまでの地震でも大きな被害はないと言われております。

2024年1月1日の石川・能登地方の地震で8階建てくらいのビルが倒壊している映像がありましたが、旧耐震基準かつ特殊な構造(1階部分はピロティ)のため、倒壊してしまったと言われております。実際に、ピロティのあるマンションは東京都が耐震の助成金を設け、将来の地震に備えるような指針が出ております。以下のURLを参照いただければと思います。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/06/01/18.html

旧耐震基準の物件は近年さらに住宅ローンの取り扱いが厳しくなっていると感じますので、売却の見据えた購入を考えることが大切です。

要注意物件3:半地下の部屋、1階の北向きのマンション

半地下の部屋、1階の北向きのマンションは購入時の価格は安いかもしれませんが、売却する際にかなり難航します。

マンションのメリットである眺望や開放感があまり感じられず、湿気と暗さにより、気分も上がりづらいです。余程その部屋が気に入った場合は問題ありませんが、私個人的にはお勧めしておりません。

要注意物件4:1階が飲食店の小規模マンション

1階が飲食店の小規模マンションでは、どうしても害虫が発生しやすく、気になる人にとっては注意が必要です。特に古いマンションの場合は隙間も多いため、どんなに気を付けていても害虫は発生しやすくなります。

要注意物件5:駅から徒歩20分以上のマンション

特に東京23区などの人口密集地では、一般的にマンションに求めるメリットとして、駅からの距離という利便性があります。徒歩15分以上となると需要としては限定的になり、徒歩20分以上となると、かなり需要が狭まってきます。

ただ郊外の大規模マンションで、車生活がメインのエリアなどはこの限りではありません。

要注意物件6:4階以上なのにエレベーターがないマンション

住宅供給公社などが分譲したバブル期以前くらいのマンションで多くあります。エレベーターなしで3階までは抵抗のない方が多いのですが、4階、5階となると大変ですし、抵抗のある方が多いです。実際、4階以上となるとかなり売却まで時間がかかると思われます。

その分を価格で補うような形になると思います。実際、私の祖母も団地の4階なのですが、階段が大変そうです。なかなか気軽に外に行きづらくなるとも思います。

要注意物件7:検査済証がない、古い擁壁に存する中古戸建て

坂の多い地域では、まだまだ古い擁壁が多く存在しています。新築の建売住宅の場合では、建築ができない擁壁はしっかりと是正をして新築していますが、中古の戸建てを支えている擁壁の場合、その擁壁をしっかり確認することが大切です。調べる方法としては、役所で擁壁の「工作物台帳」があるかどうかを確認すること、なければ外観から問題なさそうか判断することです。

私が近々触れた事例ですと、5mの古い擁壁があり、水抜き穴もなく、地震があった場合は今にも崩れてしまいそうな擁壁でした。(下記写真参照)

擁壁

このような擁壁のやり替え工事は、おおむね見積もりよりも高い金額になります。擁壁のある物件の購入には注意が必要です。

要注意物件8:道路下にある戸建て・土地

道路下にある土地や戸建ては、マンションの半地下・北向きの部屋と似ていて、湿気が多くなりがちなため、カビが発生しやすくなります。

要注意物件9:但し書き道路に接道している戸建て・土地

但し書き道路に接道していると再建築の際に建築物が制限されます。ただそのぶん価格は安いので、金額重視の方は向いているかもしれません。

要注意物件10:新幹線・電車・幹線道路沿いにある戸建て・土地

新幹線、電車、幹線道路沿いにあると、音と振動に悩まされることになります。音だけだと思いきや、意外と振動もあるので、ぐっすり眠りづらくなります。また洗濯物を干す際にも、すすが付きやすいこともあります。

新幹線の近くや電車の近くの物件については、朝から夜まで電車の音が続くので、慣れていない方には厳しいと思います。ただ今までこのような環境で暮らしてきた方にとっては問題ないことも多いです。

今回は上記のとおり、注意が必要な物件についていくつかの具体事例を挙げてみました。REDSは将来的な価値まで考えて、物件を提案させていただきますので、ご安心ください。

少しでも皆様の物件選びのご参考になれば幸いです。

 

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公開日:2023年12月18日

REDSエージェント、宅建士の菊池弘之です。今回は不動産(マンション・戸建て・土地)売却におけるポイントをご紹介します。この記事をご覧いただき、少しでもいい条件での売却につながればと願います。

不動産売却

根拠を持った価格査定をする不動産会社を選ぶ

いわゆる「不動産価格一括査定サイト」を利用する人がいます。登録して個人情報を入力することで複数の不動産会社が無料で査定をしてくれるというサイトで、「すまいValue」や「イエウール」などいくつも運営されています。こうした不動産価格一括査定サイトは、私はおすすめしません。

一括査定サイトでは、いちばん高い査定価格をつけた会社をほとんどの人が選んでしまいます。このため、お客様の気を引きたいがあまり、査定価格を不自然に高いレベルで提示する不動産会社が後を絶たないからです。

現在では、市場に出回る物件の99%が不動産ポータルサイトに掲載されており、購入を希望するお客様も不自然に高い査定価格にだまされることはほとんどありません。

査定価格はあくまで不動産会社が「売れると予想する価格」であり、不動産会社が「売れることを保証する価格」でも「売れない場合に買い取る価格」でもありません。高い査定価格を理由に不動産会社を選んでも、実際には、売れなくて売却期間が長くなり、値下げを繰り返すということになりかねないのです。

そうすると無駄に管理費や固定資産税の支払いもあり、販売期間の長期化による住宅ローンの支払いもあります(もちろん銀行の金利も含まれています)。

売却価格を変更するタイミングとしては、お客様の販売スケジュールにもよりますが、「内見が全く入らないか、入っても土日に1、2回程度」になったときでしょう。こうなったときに売却価格の変更を検討しましょう。勢いのある物件、売出価格が適正だと、土日で合計3回以上の内見がコンスタントに入るものです。こうなると、成約も近いといえます。

信頼できる会社に「専任媒介契約」で売却依頼するのがおすすめ

媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。専任媒介契約と専属専任媒介契約は、依頼できる不動産会社は1社のみという意味ではほとんど同じです。売却する不動産に適した媒介形態を選ばないと、売却までの時間が長くかかったり、価格の値下げを余儀なくされたりした場合に後悔することになります。

売主から見ると、不動産会社1社に売却を依頼する専任媒介契約や専属専任媒介契約よりも、たくさんの不動産会社に依頼できる一般媒介契約のほうが、売却のチャンスが増えるように感じるでしょう。不動産会社どうしに競争原理が働いて、より懸命に買い手を探してくれそうだと思うかもしれません。

しかし不動産会社にとっては、一般媒介契約だと販売活動が消極的になることがあります。不動産会社がせっかく努力し、売主にも助言をし、販売経費を使って販売活動をしても、他の不動産会社が契約を決めてしまえば、一銭の利益にもならないからです。

このため、ほとんどの不動産会社では、サービスや広告費をかけるのは専任媒介契約の物件に限定されています。一方で、専任もしくは専属専任契約は、買主さえ見つかれば必ず仲介手数料を不動産会社は売主からもらえますので優先度は高くなります。

不動産会社の担当者の知識は十分か

大手の不動産会社であっても、実際には特定の担当者と付き合うことになり、担当者の能力や意欲にも左右されることになります。

売却物件や不動産市況について細かい知識が十分にあるか、人ごとではなく自分ごととして売主様のことを考えてくれているか、買主様から質問があった時にしっかり対応してもらえそうか、打ち合わせの際に細かいところまで質問してみるといいでしょう。また「宅地建物取引士」の資格を持っているかも、その判断材料になるでしょう。

室内が汚れている場合はハウスクリーニング

築年数にかかわらず、売却物件は印象を高めたほうが有利になります。そこまでピカピカにする必要はありませんが、内見客を迎える前には掃き掃除や拭き掃除をしておきましょう。

ご自身で行うのが難しい場合はハウスクリーニング業者を入れることもおすすめです。内覧の際に印象が左右されるのは、玄関と水廻りのトイレ、キッチン、お風呂、洗面台、リビングの窓です。

準備しておくといい書類

事前に以下の書類を用意していただくことで、担当者としては紹介しやすくなります。

マンション

●直近の管理組合の総会議事録
●長期修繕計画書
●マンション購入時のパンフレット

上記は基本的には不動産会社が管理会社などに請求できない書類になりますので、もしお持ちであれば事前に準備していただけると売り出しの際もスムーズです。

戸建て・土地

●購入時の測量図、間取図
●私道が含まれる物件の場合は、私道の通行掘削に関する覚書

土地・戸建てを売却する際の注意点

マンションと違い、土地・戸建てについては個別性が高いので、より慎重に調査をする必要があります。具体的には以下の項目などがあります。

●私道の持分があるのか。私道承諾の覚書が必要か。
●隣地との境界で越境はないか(あった場合は将来是正の覚書の取り交わしなどを行います)。
●地中埋設物が出てきた後の対応はどうするか。
●用途地域について、しっかりした説明ができるか。
●土砂災害特別警戒区域に存する物件の場合、そのエリアはどこまでかしっかり調べられるか。

まとめ

担当者のスキルを測る方法としては、訪問査定で担当者と会った際に、「物件のリスク」を聞くのがいいでしょう。物件のリスクについてしっかり把握し、契約・引渡し後に何かあった場合でもしっかり対処できることがスキルだと思います。

大事な不動産の売却を行うにあたり、今回ご紹介させていただいた点などを参考にしていただけますと嬉しく思います。

 

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