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公開日:2024年9月14日

不動産業界の歴史と今後の展望。「囲い込み」はいずれなくなる?

【仲介手数料最大無料・最低でも割引】不動産流通システムREDSエージェント、「リアル正直不動産」を目指している宅建士の菊池弘之です。

不動産を売りたい人と買いたい人をつなぐ不動産仲介業界は、国内の不動産取引において重要な役割を果たしています。今回はその歴史と進化の過程について説明します。業界の成り立ちを知ることで、不動産取引の本質が見えてくるかもしれません。

不動産業界の歴史

(写真はイメージです)

不動産取引の変遷

国内の不動産取引がどのように行われてきたのか、古い時代からたどってみましょう。

古代日本

古代日本は律令制度(7〜8世紀)のもと、土地の管理が行われていました。土地は国家のものであり、個人が直接所有することはほとんどありませんでした。土地の使用権は、国家からの賜物や公的な役職に基づいて与えられていました。

中世日本

中世の日本では、封建制度が確立し、土地は主に領主や武士階級によって管理されました。土地の所有権や利用権は、主に領主から家臣や農民に貸与される形で取引されました。取引や譲渡は、主に口頭で行われることが多く、文書による証明は限定的でした。

近世日本

江戸時代(17~19世紀)には、土地の管理や取引の仕組みはより体系的に整備されました。土地の測量や登記が行われるようになり、土地台帳や検地帳などが作成されたことは画期的なことでした。これにより、土地の所有権や使用権が明確化され、不動産取引がより制度的に行われるようになりました。

近代日本

明治維新後、日本は急速に近代化が進みました。不動産取引の制度もこの時期に大きな変革を迎えました。1871年に「土地取引法」が施行され、土地の登記制度が整備されました。

これにより、土地の所有権が公式に記録されるようになり、民間の取引もスムーズに行えるようになりました。法律に基づく「登記制度」が「所有」ということについて大きくかかわっているのですね。

現代日本

戦後日本では経済成長と都市化の進展に伴い、不動産市場も拡大しました。1960年代には、「不動産の取引の透明性を高めるための法律」などが導入され、仲介業者に対する規制が強化されました。

余談ですが、宅地建物取引業(宅建業)の免許番号は、昭和39年に宅建業が登録制から免許制になった際に割り振られるようになりました。宅建業の免許番号は、免許証に「国土交通大臣免許(1)第○○号」「東京都知事免許(9)第××号」のように記載されており、不動産会社のID番号のような役割を果たしています。

宅建業の免許番号のカッコ内の数字は、免許の更新回数を表しています。新規に免許を取得した場合は「1」という数字が記載されており、更新のたびに数字が増えていきます。更新回数が多いほど不動産業務に携わってきた老舗であることを示しますが、更新回数が少ない場合でも高いノウハウを有する会社もあります。

宅建業の免許の有効期間は5年で、有効期間満了日の90日から30日前までに更新の手続きを行う必要があります。更新手続きをしないまま免許期間満了日を迎えると、宅建業免許は失効します。

現代では、IT技術の進展により、オンラインでの不動産取引やデジタルプラットフォームの利用が一般化してきました。また、法律や規制も進化し、不動産市場の透明性や公正性がさらに強化されています。

以上のように、日本の不動産取引の歴史は、古代から現代にかけての社会や経済の変化に応じて変わってきました。時代ごとの制度や技術の進化が、現在の不動産取引の形を作り上げてきたのです。

現代の不動産業界とこれからの展望

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、インターネットが普及することで、不動産情報の検索や比較が容易になりました。不動産仲介業者は、オンラインでの物件情報提供やバーチャルツアーなど、テクノロジーを活用するようになりました。

具体的には、オンライン契約、ウェブ上での住宅ローン審査、登記のウェブ上での閲覧・申請などがあります。

最近では、AIやビッグデータを活用した不動産評価やマーケティングが進んでいます。これにより、より精度の高い価格設定やターゲットマーケティングが可能になっていますが、課題もあります。

AIやビッグデータによる簡易査定サービスが広がっていますが、物件によって異なる眺望や室内状況、管理状況はAI査定では反映されていません。安易にAI査定の金額をうのみにしないことが大切です。

特に売却を検討する際には、実際の成約事例と販売事例に基づいた価格設定をすることが反響を得るには大事なので、不動産営業マンに現地を確認していただき、その上で販売価格の設定をすることをお勧めいたします。

「囲い込み」の是正は時代の要請

不動産業界の直近のトピックとして、「囲い込み是正の動き」があります。

タイムリーなニュースですが、2024年8月、国交省は取引の透明性を高めるため、「囲い込み」を悪質だとして、2025年1月から囲い込みに対する行政処分を行う方針になりました。以下ご参照ください。

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方_新旧対照条文

囲い込みの問題点は、「他社のお客様で高値での購入希望者が現れても、自社で受けた購入希望を優先しようとするために、売主様が低い価格での売却を迫られ、売主様の利益を損ねている可能性がある」ということです。

この「囲い込み」が是正される方向になったのは、業界としてとても前進したことだと思います。

まとめ

これまでさまざまな経緯から成り立ってきた歴史のある不動産業界も、近年のIT化などの流れには逆らうことはできません。時代とともにお客様のニーズも変わり、不動産業界も変化を求められてきております。

弊社としては、21世紀を代表する不動産会社となれるよう、囲い込みなどの旧態依然の悪習慣を正していくことを目指しています。

最後になりますが、私は以下の5点こそ、不動産仲介業者・不動産営業マンの役割として重要だと考えます。

  • 売主様側の仲介に入るときには、物件について売主様よりも詳しくなること。
  • 買主様側の仲介に入るときには、物件の細やかな情報提供をすることと、客観的に見て悪い点があればしっかり指摘してリスクを表面化させること。
  • 売主と買主の間に立ち、双方が気持ちよく取引ができるよう、円滑なコミュニケーションを図ること。
  • 法律に基づいた重要事項説明書・売買契約書を正確に作成し、改めて契約内容に間違いがないかを確認した上で契約していただくこと。
  • よりよい住宅ローンを利用できるよう、買主様のサポートを行うこと。

皆様からの不動産売買のご相談をお待ちしております。

 

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菊池 弘之
(宅建士・リフォームスタイリスト)

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