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公開日:2025年12月10日  菊池 弘之

【大阪VS東京】異なる不動産売買の〝お作法〟。敷金と固都税の考え方はこんなに違う!

REDSエージェント、宅建士の菊池です。

「不動産売買のやり方なんて全国どこも同じだろう」という考える方も多いでしょう。しかし実際には、地域ごとの商慣習の違いが明確に存在します。なかでも、東京(首都圏)と大阪(関西圏)は、不動産取引の文化が大きく異なることでよく知られています。

この記事では、とくに実務で混乱しやすい「敷金の持ち回り清算」と「固定資産税・都市計画税(固都税)の清算」について、両地域での考え方の違いを中心に解説します。

東京と大阪

(画像はイメージです)

東京と大阪の不動産売買、基本的な商慣習の違い

まず、両エリアには以下のような取引慣行の差があります。

  • 東京:契約内容が細かく、リスク管理が徹底している
  • 大阪:比較的シンプルで「実務優先」の文化が残っている
  • 手付金の相場が異なる(東京は高め、大阪は低め)
  • 申込金の有無などで違った実務がある

こうした文化的な違いは、敷金や税金の扱いにも影響しています。

敷金の持ち回り清算の違い

東京の場合

東京では、敷金の清算基準日は「決済日(引渡日)」が原則です。決済日に売主から買主へ“預り金をそのまま引き継ぐ”という扱いが徹底されています。

理由はシンプルで、

  • 決済日に買主が新しい「貸主」になる
  • その瞬間に敷金返還義務も移転する

ためです。

そのため、決済当日に敷金の持ち回り清算を行うのがスタンダードです。

大阪の場合

収益物件(マンション・アパート)の賃貸では、一般的に入居者から敷金を預かり、退去時に返還します。そのため、物件を売却する際は通常、預かっている敷金を買主へ引き継ぎます。

しかし、大阪を中心とする関西地方では「敷金を次の所有者へ引き継がない」ケースが一般的で、これを「敷金持ち回り(大阪方式・関西方式)」と呼びます。

この習慣は関西特有のため、

  • 関西以外の買主が大阪の物件を購入する場合
  • 大阪の売主が他地域の物件を売却する場合

に、説明不足や誤解からトラブルになることが多くあります。

重要なのは、“売主がどこ出身か”ではなく、“物件の所在地の商習慣に従う”という点です。

固定資産税・都市計画税(固都税)の清算日付の違い

敷金とは異なり、固都税の清算は東京と大阪で“日付の感覚”に違いが出やすいポイントです。

東京の考え方

東京の実務では、固都税の清算は「1月1日」を基準にする、という扱いが非常に明確です。

そのため、清算式は以下がスタンダードです。

  • 売主負担:1/1〜引渡日の前日
  • 買主負担:引渡日〜12/31

売買契約書にも、「清算は1月1日を基準として日割りする」と明確に書かれていることが多いのが特徴です。

大阪の考え方

大阪では東京とは異なり、年度が変わる「4月1日基準」で清算します。

1月1日で清算する場合もありますが、大阪では、実務的には最終的に4月1日基準で清算することが一般的です。

まとめ:東京と大阪は考え方の“強さ”が違う

  • 東京:ルールが明確で、敷金・固都税とも契約書の規定に忠実
  • 大阪:実務で柔軟に運用されるケースが多く、書類の形式より実務重視の文化

どちらが正しいというより、地域ごとの実務を理解したうえで整合性をとることが重要です。

特に、オーナーチェンジ物件や投資用不動産では、敷金清算と固都税清算の扱いが取引の安全性に直結します。

番外編(賃貸契約の「敷引き」について)

関西圏(特に大阪・兵庫・京都)では、賃貸契約でよく見られる独特の商慣習として「敷引き(しきびき)」があります。

東京の感覚では馴染みが薄く、転勤や物件購入の際に混乱しやすいポイントです。

敷引きとは?

入居時に預けた敷金のうち、退去時に「返ってこないと最初から決まっている金額」を敷引きといいます。

退去精算の際、

  • 原状回復費用とは関係なく
  • 契約であらかじめ決められた金額
  • その部分は必ず貸主が差し引く(=返還しない)

という仕組みです。

例)敷金10万円・敷引5万円

退去時の原状回復が0円でも、
戻ってくるのは10万円-5万円=5万円。

この「返ってこない5万円」が敷引きです。

なぜ関西で敷引きが多いのか?(背景)

関西では古くから、

  • 礼金:初期費用として貸主の収入
  • 敷金:預り金
  • 敷引き:退去時に貸主が確保できるお金

という文化が根付いており、〈礼金+敷引き〉を組み合わせた家主収入の仕組みが発達しました。

特に大阪や神戸では賃貸住宅の供給が多く、契約条件で差別化する競争文化の中で敷引き制度が浸透したといわれています。

敷引きの特徴(東京との違いが大きい点)

1.原状回復とは無関係

東京では、敷金の差し引きは「原状回復費用」が主のため、修繕がなければ敷金は全額返金されます。

一方、敷引きは修繕の有無に限らず必ず差し引く金額であるため、退去時の返還額が小さく見えることがあります。

2.初期費用の「総額調整」の役割

関西では、

  • 礼金
  • 敷金
  • 敷引き

の組み合わせでトータルの初期費用を調整する文化が強いです。

「礼金なし・敷金10万円・敷引き5万円」のように、礼金を抑えて敷引きを設定するパターンが多いです。

3.退去時トラブルが起こりにくい

敷引きは金額が事前に明記されているため、退去時の精算が明快で、トラブルになりにくいというメリットがあります(もちろん原状回復費用が発生する場合は別ですが、敷引きと区別されます)。

法律上の扱いは?(契約書記載が必須)

敷引きは、

  • 契約締結時に明確に記載されていれば有効
  • 「いくら敷引きするか」が具体的に書かれることが必要

過去の裁判例でも、敷引き条項が明確で、消費者に不利益でも“予測可能性がある”場合は有効と判断されています。

東京から関西に引っ越す人が気をつけるポイント

東京の感覚でいくと、敷引きは「敷金の一部が必ず返ってこない」という点で戸惑うことが多いでしょう。

改めて、以下の点に注意しましょう。

  • 敷引き額は契約時に確定している(原状回復とは別)
  • 初期費用が安い物件は敷引きが高く設定されていることがある
  • 敷引きと礼金の両方がかかる物件もある

退去時の返還額を正確に把握するため、契約書で「敷引額」「返還方法」の明記を必ず確認することが大切です。

まとめ

項目 内容
敷引きとは? 敷金のうち、退去時に必ず差し引かれる金額
原状回復と関係は? 無関係。修繕がゼロでも引かれる
どこで多い? 大阪・兵庫・京都など関西中心
メリット 退去精算が明快、トラブルが少ない
注意点 敷引額が高い場合あり、契約書で事前確認必須

 

以上、東京と大阪における不動産売買の商習慣の違いについての解説でした。

不動産取引は全国どこでも同じに見えて、実は地域ごとに慣習や進め方が大きく異なります。とくに東京と大阪では、契約手続きや価格交渉、必要書類の扱いなどに独自の〝お作法〟が存在します。思い込みで進めてしまうとトラブルの原因にもなりかねません。

物件の売買を検討される際は、事前に地域特有の商習慣を理解し、信頼できる専門家に相談しながら進めることで、安心でスムーズな取引につながります。

 

この記事を執筆した
エージェントプロフィール

菊池 弘之
(宅建士・リフォームスタイリスト)

この仕事が好きです。

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※2026年01月18日現在 本社・首都圏営業所の数値

※2026年01月18日現在 本社・首都圏営業所の数値

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    179

    2 か月前

    自宅(中古戸建て)の売却でお世話になりました。

    まず何よりも、営業(小室様)の方に、超丁寧&超迅速&超親身なご対応を頂き、★5では足りないです!!

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    また何かありましたら、絶対REDS様にお願いしますし、お友達に不動産取引を検討している人がいたら、全力で勧めようと思います!

    もういくら御礼を言っても足りないです!
    本当に本当にありがとうございました!!

    1 か月前

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    決済も無事に終わり、念願のマイホームを購入する事ができました。

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    また機会があれば、宜しくお願い致します。

    過去 1 週間以内

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    おかげさまで納得のいく価格で売却することができ、心より感謝しております。
    今後また不動産に関する相談がある際には、ぜひ小田様にお願いしたいと思っています。

    2 か月前

    知識、対応力、気配り、全てに感謝!! 安心してマンションを購入できました。
    息子のマンション購入で約1年半に渡り大変お世話になりました。担当の小室様には物件の内見から契約、引渡しまで一貫して迅速かつ的確なアドバイスを頂き、その知識の深さに何度も助けられました。どのような相談や質問にも即座にご回答下さり心から信頼できると感じました。
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    大変満足のいく物件を安心して購入することができ、親身になってサポートして頂いたことにどれだけ感謝しても足りません。しかも仲介手数料が半額で本当に恐縮しております。
    また不動産売買の機会がありましたら必ずREDSさん、そして小室様にお願いしたいと思っております。本当にありがとうございました。

    1 か月前

    戸建住宅購入の仲介を志水さまにご担当いただきました。

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    また、住宅ローンを借り入れる際も銀行さまとも細かくご確認いただいたりと、不安な面を親身に相談に乗っていただけて安心してお願いすることができました。
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    この度はお忙しい中、スムーズなお取引をありがとうございました。