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有馬 春志(宅建士・リフォームスタイリスト)

安全かつ安心して取引できる環境を提供。

公開日:2024年2月29日

REDSの宅建士、有馬です。現代のおすすめ屋根材は昔に使われていた屋根材から変化しました。屋根材にはどのような歴史があり、どのように変容したのか、ぜひ、知ってほしいです。一般の人が思っている以上に屋根材はバラエティ豊かです。

屋根

現代の屋根は金属材が圧倒的

現在の屋根材市場の素材別シェア(新築と改修両方の面積別シェア)は、既存住宅では瓦屋根がシェアナンバーワンですが、現在は金属屋根が圧倒的です。

それぞれの屋根材の特徴は以下のとおりです。

スレート系屋根材

日本の高度成長期に広く普及した、平べったい板状の屋根材です。都心部や郊外、新築の建売住宅で多く採用されています。

・セメントを固めて製造加工した屋根材
・コロニアルやカラーベストとも呼ばれる
・建築図面では平板スレートや平板瓦とも表記される
・主に都心や郊外の新築戸建で用いられているが、近年のシェア率は低下傾向
・昔のスレート屋根にはアスベストが含まれている

〇施工は簡単ですが、リフォームには不向きです。

断熱材一体型の横葺き金属屋根

夏の暑さと冬の寒さが改善されることが評価され、日本では断熱材一体型の横葺き金属屋根の人気が根強いです。

・屋根材の裏側に断熱材が付着された日本製の屋根材
・屋根リフォーム分野でシェア率No1
・断熱効果が高く夏と冬の両方が過ごしやすくなる
・施工が難しく、板金工のみ施工が可能
・商品ごとに性能が大きく異なるため、十分な比較検討が必要

〇断熱性能に優れていますが、施工業者は限定されます。

縦葺き金属屋根

屋根の流れに沿って縦方向に張る金属屋根材です。緩い勾配で屋根面積を少なくして仕上げることができることから低価格で施工ができます。また、太陽光パネルの設置にも適しています。

・屋根の流れに沿って張る金属屋根
・価格が安く、工事期間も短い
・切妻などシンプルな形状の建物に向いている
・最近の新築戸建の主流になりつつある

〇緩勾配も施工が可能ですが、断熱性能は劣ります。

石粒付き金属屋根(外国製)

価格が安いことと施工しやすいことを背景に、塗装会社や太陽光パネル設置工事会社を中心に日本でも普及が進んでいます。

・韓国やニュージーランド、中国などの外国製の比較的安価な屋根材
・主に塗装会社と太陽光パネル設置会社を中心に普及が拡大中
・板金工ではない瓦葺き工でも施工が可能
・屋根材の表面に小石が付着
・商品ごとに性能が大きく異なるため、十分な比較検討が必要

〇国産の商品に比べて安価ですが、屋根の継ぎ目が多く雨水が屋根内部に侵入しやすいことがあります。

アスファルトシングル

屋根の表面に石粒が付着したシート状の屋根材で価格も安いことから日本でも建売住宅に採用されるケースが増えています。

・アスファルトを原料にしたシート状の屋根材
・価格が安く建売住宅を中心に普及が拡大中
・短尺で持ち運びが楽でマンションの屋根としても採用される
・屋根材の表面に小石が付着
・日本製と外国製で性能が異なる

〇価格は安いですが、比較的耐久年数が短いのがデメリットです。

昔の屋根材は瓦屋根が一般的でしたが、現在はほとんど注文住宅でしか採用されていないです。2020年に建築基準法が60年ぶりに改正され、2階建の瓦は全て釘もしくはビスで固定させることが義務化されました。

・60年近い耐久性が期待できる屋根材
・価格は高価格帯に属する
・地震や台風の影響を受けやすく、悪いイメージが定着し、シェアは低下傾向
・瓦の固定方法の義務化や質量を軽くさせた軽量瓦の開発が進み、昔と今では瓦の施工法や商品開発に変化が生じている

〇耐久性に優れていますが、価格は高めです。

工場や倉庫で用いる屋根材

昔の工場や倉庫などの大型建築物は、波型スレートが主流でしたが、現在は新築と改修ともに折板屋根と呼ばれる金属屋根で施工することがほとんどです。

・昔の工場や倉庫は波型スレートが主流
・今はメンテナンス性と施工性に優れた折板屋根が主流

〇工期は短いものの、事前準備に時間を要します。

短尺縦葺き屋根材

短い長さの屋根材は主にガレージやカーポートなどの用途に用いられます。ホームセンターなどでも購入ができ、DIYで屋根を張ったり修理したりする人も多いです。

・カーポートや小さな小屋などで用いられる小さいサイズの屋根材
・ホームセンターでも購入でき、DIYで用いられることも多い

〇DIYでも施工できますが、耐久性は低いです。

補修用屋根

主にアスベストが含まれていないスレート屋根を補修するために開発された屋根材です。一般的な屋根カバー工法とは用途と目的が異なり、屋根の回復ではなく、応急処置に近い仕上がりとなります。

・アスベストが含まれていない(ノンアスベスト)スレート屋根の補修用として流通している屋根材

〇部分修理が簡単にできますが、屋根の長期維持は期待できません。

その他

・主にマンションで採用されているフラットな陸屋根
・寺社仏閣で用いられる伝統的な金属屋根の銅板屋根
・ガルバリウム鋼板やアルミよりも耐久性に優れたステンレス製の屋根材
・粘板岩を用いた本物の天然スレート屋根

以上です。

 

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公開日:2024年2月28日

こんにちは。REDSリフォーム、二級建築士・宅建士の髙石彩也子です。ブログをご覧いただきありがとうございます。今回から省エネ法や省エネ住宅について、つらつらと綴ってみようと思います。

脱炭素社会

省エネ法はオイルショックが発端

「省エネ法」とは正式には、「エネルギーの仕様の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」といわれるものですが、1970年代のオイルショックからこちらの法律が制定されました。

省エネ法の第一章総則(目的)第一条に、

省エネ法
(e-GOV法令検索より)

とあります。

ぜんっっっぜん意味が入ってこないのですが、つまりは「化石燃料から非化石燃料に転換しましょう」ということです。

省エネ法対象のエネルギーは、①燃料②熱③電気――の3つでした。

2023年4月に改正された省エネ法の対象エネルギーは、①燃料②熱③電気④再エネルギー――の4つに変更になっています。

「再生可能エネルギーの電気であっても、無駄遣いをしないように」と変化しています。

建築物省エネ法とは

日本では、2030年までに温室効果ガスを26%削減し、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする「カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」を首相が宣言しています。

これは、「建築物や住宅から排出される温室効果ガスをゼロにする」ということです。このためには徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの導入が必要になってきます。

しかし、私たちは生活や仕事をしているので、いくら省エネしても冷暖房、換気、照明、給湯、家電機器、OA機器などにエネルギーが必要になってきます。この分を再生可能エネルギーや非化石エネルギーで補ってゼロにしようということです。

2016年、2018年に閣議決定されたエネルギー基本計画で、2020年までに、新築住宅・建築物について、段階的に省エネルギーの適合を義務化すると記述されています。2019年11月16日に届出制度の強化、トップランナー制度の対象拡大、複数建築物認定が施行されました。また、2021年4月から適合義務の拡大、説明義務の創設が行われています。

非住宅建築物(商業ビルなど)に関しては、2017年から大規模建築物(2000㎡以上)が確認申請手続きに連動した適合義務となったことに加え、2021年から中規模建築物(300㎡以上2000㎡未満)に関しても建築確認手続きに連動した適合義務に移行しました。

また、300㎡未満の小規模建築物に関しては省エネ基準適合への努力義務が生じています。
※設計者(建築士)から建築主への説明義務があります。

住宅に関しては、300㎡以上の大規横、中規模住宅に関して省エネルギーの届出義務が引き継がれ、所管行政庁の審査手続を合理化して監督(指示・命令など)の実施を重点化しています。300㎡未満の小規模住宅に関しては、省エネ基準適合への努力義務が生じます。
※設計者(建築士)から建築主への説明義務があります。

また、大手ハウスメーカーの供給する戸建住宅について、トップランナー基準への適合が拡張され、一定規模以上の注文戸建、賃貸アパート事業者にもトップランナー基準が拡大されています。

建築物省エネ法における現行制度と改正法との比較

(出典:国土交通省/建築物省エネ法の改正概要と今後のスケジュール等について)

認定マーク制度

建築物では冷暖房、換気、照明、給湯、エレベーターなどの昇降機にエネルギーが消費されています。それ以外に、OA機器、プリンターなどの事務機器、住宅であれば家電製品があります。これらを標準的に使用したときのエネルギーを基準一次エネルギー消費量としています。

建築設計をすると、例えば外皮性能の向上や、日射遮蔽、熱交換器の使用、昼光の利用、効率的な給湯装置を採用することで省エネを目指しています。基準に適合させるためには、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量よりも少なくする必要があります。

まずは建築物の負荷を削減することが非常に重要で、その上で、設備の効率を向上させ、設計一次エネルギー消費量をできる限り小さくする工夫が必要になってきます。

この法律に基づいて2つのマークが定められました。ひとつは36条の基準適合認定マーク。

建築物エネルギー消費性能基準適合認定建築物

設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量より少ない、と法に適合すればもらえるマークで行政庁が認定しています。いわゆる「eマーク」と呼ばれるものです。

もう一つは、7条のマーク。

BELS

(左が非住宅、右が住宅のBELSマークです)

BELSは、「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略で、建築物省エネルギー性能表示制度という意味です。基準ビルよりも25%削減していると、星が3つになるというような、建物の性能を示しています。

BELSでは、BEI(基準一次エネルギー消費量に対する設計一次エネルギー消費量の割合)の値によって星の数で5段階評価が行われ、BEI 1.0以下(省エネ基準)で星2、BEI 0.8以下(誘導基準)で星3というように、性能が良いほど星の数が増えていきます。

BELSの評価基準

(出典:環境省/ZEB PORTALより)

ゼロ・エネルギービル(ZEB)もBELSと同じBEIという指標が用いられていますので、ZEBの基準を満たしている場合、BELSの星表示に加え、『ZEB』「Nearly ZEB」「ZEB Ready」の表示をすることもできます。

2030年までには新築の建築のスタンダードとしてZEBを目指すということが目標として掲げられています。ただし、これは我慢して達成するということではなく、生活の質を向上させながら、省エネルギーを一層推進するライフスタイルの普及が重要ということです。

質はきちんと担保して、よく働ける、よく学べるような建物で、ゼロを目指していくことが重要になっています。そのためには、適切な設計や運用を行う必要があり、建築計画をよく検討して負荷を削減し、高断熱化、日射遮蔽、通風などが行えるようにした上で高効率設備、照明の利用を行うことが大切です。

まとめ

当時は夢物語ではないかといわれていたことですが、2020年には新築の公共建築物においてそれぞれのジャンルで、少なくとも1棟以上は、ZEBが実現しています。次は2030年までに新築のスタンダードになることが必要になってきています。さらに、2050年までには、現在あるストックの建物でもゼロを目指していかないと脱炭素社会は実現できません。

皆様にとっては、どちらかといえばZEBよりもZEH(ゼッチ)の方が身近に感じるでしょうか? 次回はZEHのお話も書いてみます。

読んでいただきありがとうございました。

 

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公開日:2024年2月27日

こんにちは。REDSリフォーム宅建士の水谷です。

今回は建築や家具の設計の基礎となる人間工学と人体の寸法、姿勢と動作及び人間の感覚や知覚の特性についてお話いたします。

人間工学

人間工学(エルゴノミクス)とは

人間工学(エルゴノミクス)とは、人間の作業能力とその限界を知って、仕事を人間の生理・心理学的な話特性に適合させていく科学です。アメリカではヒューマンエンジニアリング、ヨーロッパではエルゴノミクスと呼ばれます。

人間工学で最も基本とされているのが人体寸法です。人体寸法は静的なものと動的なものに分かれます。静的人体寸法とは、人体そのものの寸法をいい、動的人体寸法とは、人間の動作に必要な空間、および人間と物とを組み合わせた空間を対象にした寸法を指します。インテリアを考える際、人体各部の詳細にわたる静的な寸法が必要ですが、同時に、人間の動きとその空間を含む動的な寸法も重要です。

人体寸法の平均値と標準偏差の応用

人体寸法は、民族、年齢、性別などによって違いがあり、地域によっても差があるため、ある一つの数値をもって、全体に共通する寸法と考えることは適切ではありません。例えば、出入口の高さを設計するような場合は、身長の平均値で決めると50パーセンタイル(計測値の分布を小さい方から並べて累積の割合で表したもの)の人しか満足させられません。そこで、平均値+2σ(シグマ)までの身長とすると、約98パーセンタイルの人までカバーできます。

日本人の平均身長を踏まえ、成人男子165cm、成人女子155cmが設計の目安として用いられます。分布のばらつき具合を示す標準偏差σ(シグマ)は5cmで、統計学上は身長の平均値±σの範囲に約68%、±2σの範囲に約95%の人が含まれると考え、女子の平均身長は、男子の平均身長-2σとなります。

要するに、ほとんどの人が使える高さとするためには、「男子の平均身長(165cm)+2σ(10cm)」に「適当な空き」を加えて設計するとよいというわけです。

人体寸法の略算値

人体各部(主に高さ方向)寸法は身長と比例関係にあります。身長を基準にして必要寸法を略算することができます。

【人体寸法の略算値】

●身長=H

身長

●指先点高=0.4H

指先点高

●下腿高=0.25H

下腿高

●眼高=0.9H

眼高

●指極=H

指極

●机面高=0.4H

机面高

●肩峰高=0.8H

肩峰高

●肩幅=0.25H

肩幅

●座高=0.55H

座高

人間の姿勢の分類

人間の姿勢は、①立位②椅座位③平座位④臥位の4種に分類できます。

①立位:背のび、直立、浅い前かがみ、浅い中腰、深い中腰

立位

②起座位:椅子に座った姿勢、壁などに寄りかかった姿勢

起座位

③平座位:しゃがみ、片膝立ち、膝立ち、四つん這い、正座、あぐら、立膝など

平座位

④臥位:寝た姿勢、仰向け、うつ伏せ、横向きで寝た姿勢

臥位

作業域(動作域)

人間が一定の場所にあって、身体の各部位を動かすとできる空間領域を作業域(動作域)といい、水平作業域、垂直作業域、立体作業域があります。水平作業域は、主に作業面上の手の動く範囲のことをいい、肘を曲げて楽に動かせる範囲を通常作業域(成人男子で約40cm)、手を伸ばして届く範囲を最大作業域(同50cm)といいます。

よく使用する主な操作機器は通常作業域内に配置し、従属的な作業の用具は、最大作業域の線に沿って配置するといいでしょう

インテリアにおける感覚の働き

人間は、さまざまな感覚を総合してインテリア空間を感じ取っています。例えば、畳の上を裸足で歩くときは、足の裏の圧覚のみならず、素材の温もりを感じる温冷感、ふかふかした素材の抵抗力を加速度の変化として感じる運動感覚などが統合されています。

視覚の特性

●視野と視線:頭を固定して両眼で見える範囲は、左右200度・上下130度程度ですが、注視できる範囲はわずかに1度です。この視野範囲で見ることを中心視(焦点視)、中心視の周辺で見ることを周辺視(環境視)といいます。ペンダントライトやウォールキャビネットなどは、立位での目と頭頂部の間の位置に突出しやすいので、額を打ちつけないよう配慮します。

●可視光域:人間が光として感じ取れる電磁波の波長の範囲。波長は380~780nm(ナノメーター)。

●比視感度:人間の目が感じる明るさ感のこと。比視感度は室内の明るさにより変わり、明るい所では黄緑、暗い所では緑が最も明るく見えます(プルキンエ現象)。

●順応:目の感度が周囲の明るさに合わせて自動的に変化すること。暗い状態から明るい状態に慣れる過程を明順応(1分程度)、明るい状態から暗い状態に慣れる過程を暗順応(30分程度)という。

聴覚の特性

聴力は20歳ごろが最も優れており、その後年齢とともに低下するといわれます。音の性質は、以下の3属性で表されます。

●強さ:音波の持つエネルギーのこと。人間の耳に感じられる音の大小(強さのレベル)は、デシベル(dB)で表される。一般に、人間の耳が聞くことのできる範囲は0~120dB程度であり、130dBになると耳が痛くなり、150dBで鼓膜が破れるといわれている。

●高さ:音波が1秒間に振動する回数(周波数)のこと。単位はヘルツ(Hz)。周波数の値が小さい音は低音、大きい音は高音となり、一般に20~20,000Hzが可聴音域。

●音色:さまざまな高さ(周波数)の音が混合されることによりもたらされる感覚のこと。なお、音叉の音は単一の周波数からなる音で、純音と呼ばれます。

嗅覚の特性

においは、五感の中でも原初的感覚といわれ、記憶とも関係が深いとされます(路上の花の香りで、過去の体験を思い出すなど)。汚物や排水の悪臭などネガティブなイメージもありますが、香りやアロマテラピーなどポジティブな面は、積極的にインテリア空間に利用されます。

皮膚感覚の特性

皮膚感覚は、視覚とともに物体のテクスチャー(材質感)を知るための重要な感覚です。人間が直接触れる家具や機器・設備のほか、床・壁・建具などは風合いや馴染みなどの感触要素を十分に検討する必要があるでしょう。一般に休息性の高い場面ほど自然材料が、作業性の高い場面ほど人工材料が利用されることが多くなっています。

まとめ

人間工学と人体の寸法、姿勢、動作、感覚、知覚についてのブログを読んでいただき、ありがとうございました。これらの知識は、建築や家具の設計において重要な要素であり、人々の生活を快適にするために役立てられています。

人は空間に適応する存在であり、その適応性を最大限に引き出すためには、人間工学の原則を理解し、実践することが不可欠です。人々が日常的に触れる家具や建物は、私たちの身体の寸法や動作に合わせて設計されています。そして、私たちの感覚や知覚は、環境との相互作用を通じて形成されています。

お読みいただき、ありがとうございました。

 

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公開日:2024年2月26日

REDSエージェント、宅建士の島崎です。

不動産取引における「心理的瑕疵」とは、不動産自体には特に問題はないものの、購入して住む方に心理的な抵抗を与えることを意味します。不動産を売却の際に、売主は必ず心理的瑕疵があることを買主に告知しなければなりません。今回は心理的瑕疵の定義と、心理的瑕疵がある物件を売却する際に気をつけなくてはならない点についてお伝えします。

心理的瑕疵物件

心理的瑕疵について正しく理解しましょう

不動産における瑕疵(かし)とは、土地や建物にある「欠陥」のことを意味します。なかでも扱いが難しいといわれるのが「心理的瑕疵」です。不動産売却においては必ずトラブルの原因になるので、売主は買主に伝える必要があります。心理的瑕疵の定義についてあらかじめしっかり理解しておくことが大切です。

不動産取引における瑕疵の種類とは

不動産における瑕疵は心理的瑕疵も含め、おおまかに4種類に分けられます。それぞれ以下のとおりです。

心理的瑕疵

心理的瑕疵とは、不動産が有する品質や設備に問題はないものの、住む人に心理的な抵抗や嫌悪な感じを与えることです。具体的には、物件の中で自殺や殺人、一定期間放置された孤独死、火災、忌まわしい事件・事故などが起こっていることを指します。これらが過去に起きた土地や物件のことを、一般的には事故物件と呼びます。

物理的瑕疵

物理的瑕疵とは、不動産そのものにある重大な欠陥や破損のことです。土地に対する瑕疵と建物に対する瑕疵に主に分類されます。

●土地の物理的な瑕疵
・地中障害物
・土壌汚染
・擁壁の倒壊

●建物の物理的瑕疵
・雨漏り
・壁のひび割れ
・シロアリ被害
・建物の傾き

不動産における4種類の瑕疵のうち、物理的瑕疵は最も分かりやすく、多くは修理や建て替えなどによって解決できます。

法的瑕疵物件

法的瑕疵とは、法律や条例などの制限によって使用・収益に関して阻害されることを指します。不動産が「建築基準法」や「都市計画法」に違反しているために生じる瑕疵で、主に下記のとおりとなります。

〇建築基準法:建築に関する基礎的な法律です。建築基準法に抵触する案件には、再建築不可なのに再建築できると謳われて売られているケースがあげられます。

〇都市計画法:都市を適正に発展させることを目的として作成されました。建築基準法と同じように、住民が快適に生活できるよう都市計画の基本を定められています。都市計画法に抵触する案件には、市街化調整区域のような「原則建物を建てられない土地」に、建物が「建築可能」な物件として売却されている、といったことが該当します。

環境的瑕疵物件

環境的瑕疵とは、不動産そのものに問題はないが、周囲の環境に問題があることを指します。具体的には、物件の近くに嫌悪施設(反社会的組織の事務所、墓地、送電線、下水理場など)がある物件がそれに該当します。

売却不動産にこれらの瑕疵が該当する場合、売主は買主へ告知する義務があります。告知をしない、買主の了解を得られないまま売却を行って後から発覚した場合、買主より修補請求や契約解除、損害賠償請求を受けることになります。

心理的瑕疵の判断基準

以上の4つの瑕疵の中で「心理的瑕疵」は、それがそもそも瑕疵なのかどうかを判断するのが絶妙に難しいといわれております。心理的瑕疵の基準はどうなっているのでしょうか?

先述のように、心理的瑕疵物件は過去に「自殺」や「殺人事件」、「火災」、「忌まわしい事件・事故」などが発生した物件のことを指します。一般的な人の「自然死」は原則で心理的瑕疵には該当しません。しかし特殊清掃が必要となるなどの「一定期間放置された孤独死」の場合は、心理的瑕疵に含まれます。

しかし、この心理的瑕疵は買主や借主の個人により、どの程度の瑕疵を許容するのかはそれぞれ違うため、心理的瑕疵に当たる基準がある意味曖昧です。どこまでを瑕疵とするか、その判断基準は難しいですが、判断基準がないというわけではありません。

「通常一般の人がどう感じるか」で、快適な住み心地を欠いて、居住物件として適さないと判断される物件が「心理的瑕疵物件」となる訳です。買主の個人的な主観によったりする、受け取る人の一方的な感情だけを基準だけで判断されるのは正しいとはいえません。

心理的瑕疵物件とほかの瑕疵物件の違い

心理的瑕疵物件はそれ以外の瑕疵と扱いが決定的に異なる点があります。

売買取引においては告知期間が明確ではない

心理的瑕疵物件以外の3つの瑕疵物件については、解消する方法があるため、「瑕疵が解消された状態」であればもう告知の必要はありません。

対して、心理的瑕疵の場合は告知期間が特殊です。法的効力はありませんが、国土交通省のガイドラインによれば、「賃貸」の場合は少なくとも3年間は告知義務があるとされています。

一方、「売買」に関しては、告知期間はガイドライン上で実は明確にはなっていません。売買に関しては過去の判例で必要とされた告知期間に幅があり、基準の期間を定めにくいからとされています。判例では7年で説明義務が不要になったものもあれば、50年も説明義務が求められたものもあります。

追完請求ができない

心理的瑕疵物件以外の瑕疵においては、「追完請求」をすることができます。追完請求とは瑕疵の解消を前提とした修理などの実施を後から売主に請求することを指します。一方、心理的瑕疵物件は物理的に解消することが不可能といえるため、個人間売買の場合は、「追完請求」以外に「契約解除」もしくは「損害賠償請求」での対応が求められます。

瑕疵物件に当てはまる場合の注意

所有する不動産が、瑕疵物件に当てはまる場合、売却リスクを伴うことがあります。売買でのトラブルを防ぐためにも、以下の注意点を必ず理解しておきましょう。

契約不適合責任を問われることがある

不動産売却の取引を行う際には、瑕疵があるなら売主は買主に対して必ず伝えなければなりません。売却する物件がどのような物件であるかを売買契約書に記載して、買主に契約不適合責任を問わないこととする具体的な了解を取ります。

告知義務を怠り、契約目的に適合しない物件を売ると「契約不適合責任」を問われます。「契約不適合責任」とは、契約目的に反する取引が行われた場合、その責任を売主が負うことをいいます。「契約不適合責任」を問われると、売主は「追完請求(修補請求)」や「契約解除」、「損害賠償」を請求されることがあります。

高値での売却が見込めない

瑕疵のある不動産は、通常の不動産に比べて価値が低くなります。特に心理的瑕疵の場合は解消することが困難で、価値が下がったまま売却せざるをえないのが一般的です。しかし、亡くなった理由やその後の経過期間、または事件当時の報道内容、場所の条件などによって度合いは変わってきます。

また、解体や再建築などを行うことで「瑕疵の影響が小さくなる」場合もあります。

今回は、心理的瑕疵を中心に、不動産における瑕疵や売却時の注意点などについて考察してみました。いかがでしょうか? お役に立てれば幸いです。

 

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公開日:2024年2月25日

REDSエージェント、宅建士の森山賢治です。違反建築物と既存不適格建築物の違いをご存じでしょうか? 「どっちもダメなんじゃないの?」とつい考えてしまいますが、両者には大きな違いがあります。

建築物

違反建築物とは

違反建築物とは、建築基準法や都市計画法などに定められた規定や条件に違反して建てられた建築物のことを指します。具体的には以下のような状況が考えられます。

●法令上求められる基準に違反している建築物:例えば、建築物が占める面積(建築面積)の敷地面積に対する割合を示す建ぺい率や、建物の延べ面積の敷地面積に対する割合を示す容積率、防火規制、用途制限などの基準に違反している場合です。

●手続に関する規制への違反がある建築物:例えば、建築した建物の構造・仕様が建築確認申請の際に提出した図面と異なる場合や、建築基準法6条1項各号に掲げられた建物の建築にあたって必要な手続きを踏まなかった場合です。

違反建築物は、安全面や衛生面、防災の観点から問題がある可能性が高く、その所有者自身も危険にさらされるおそれがあるばかりでなく、採光・通風・防火・避難・衛生などに不都合が生じ、周辺住民などにもさまざまな面で不利益を及ぼす可能性があります。

既存不適格建築物とは

既存不適格建築物とは、建築当時の建築基準法令には適合していたものの、建築後の法改正や用途地域の変更によって、法令に適合しなくなった建物のことを指し、違反建築物とは区別されます。

既存不適格建築物については、現行の建築基準法令の規定は適用されず、原則として、増改築・大規模修繕・大規模模様替えなどを実施する際に、現行の規定に適合させればよいとされています。ただし、政令の範囲内で行われる増築、改築等や軽微な修繕・模様替えなどを行う場合は、適合させる必要はありません。つまり、現行の建築基準法令に合わせるためだけに、既存不適格建築物に対して改築などの対処をする必要はないのです。

違反建築物の具体的事例

違反建築の具体的な事例としては以下のようなものがあります。

●建ぺい率オーバー:建築基準法では、敷地面積に対する建築面積の割合(建ぺい率)が定められています。しかし、この建ぺい率を超えて建築した場合、違反建築となります。例えば、建築確認申請とは異なる建築や増築、敷地の一部の売却などがなされるケースがあります。

●採光不良:建築基準法では、居室面積の1/7以上の開口部(窓)を設けることが求められています。しかし、隣地の建物との間が狭いことによって採光不良となるケースがあります。

●違法増築:10㎡を超える面積の増築には建築確認申請が必要です。しかし、この確認申請を行わずに増築を行ってしまった場合、それは違法増築となります。

これらの違反は、建築基準法や都市計画法などの法令に違反しているため、行政からの是正命令や使用制限などの指導の対象となります。また、違反建築物を購入した場合、ローンの取得が難しくなる、売却が困難になるなどのリスクもあります。不動産を購入する際には、物件が違反建築でないかをしっかり確認しましょう。

違反建築物かを調べる方法

違反建築物かどうかは、以下の方法によって確認できます。

●建築確認申請書類の確認:建築確認申請書類は、建築主が建築物を建てる際に、建築基準法に適合していることを確認するために提出するものです。この書類には、建築物の設計図や仕様、構造計算書などが含まれており、これらの内容が現状の建築物と一致しているかを確認することで、違反建築物かどうかを判断することができます。

●建築確認済証の確認:建築確認済証は、建築確認申請が行政から確認され、建築が許可されたことを示す証明書です。この証明書がある場合、その建築物は法令に適合していると認められています。ただし、建築確認済証があっても、その後の改築や増築が適切に行われていない場合、違反建築物となる可能性があります。

●専門家の意見を求める:建築士や不動産鑑定士などの専門家に相談し、建築物の適法性を確認することも有効です。専門家は、建築基準法や都市計画法などの法令を理解しており、違反建築物かどうかを判断するための知識と経験を持っています。

●行政への問い合わせ:建築物が所在する自治体の建築指導課などに問い合わせ、建築確認申請の有無や内容を確認するのもいいでしょう。ただし、個人情報保護法などの関係で、所有者以外の者が詳細な情報を得ることは難しい場合があります。

これらの方法を用いて違反建築物かどうかを調査することができますが、専門的な知識が必要な場合もあるため、不明な点があれば専門家に相談することをお勧めします。

違反建築物を購入することのメリットとデメリット

違反建築物を購入すると、どんないいことや悪いことがあるのでしょうか。

メリット

●価格:違反建築物は法律に適合していないため、不動産市場では一般的に低価格で取引されます。そのため、初期投資を抑えることが可能です。

●収益性:違反建築物はしばしば法定以上の面積を有しているため、法に適合した建築物よりも多くの家賃収入を得ることが可能です。

デメリット

●安全性:違反建築物は建築基準法に適合していないため、建物の構造的な安全性や機能性が確保されていない可能性があります。これは、災害時に特に問題となり得ます。

●行政指導:違反建築物は行政から指導を受ける可能性があり、使用制限がかかることもあります。最悪の場合、使用禁止の命令が下される可能性もあります。

●融資の問題:違反建築物の購入に対する金融機関の融資(住宅ローン)は厳しいとされています。そのため、ローンが利用できない可能性があります。

●売却の難易度:違反建築物はその性質上、売却が難しいといえます。特に、金融機関の融資が難しいため、購入希望者が限られてしまうでしょう。

ただ、違反建築物を購入する場合、その違法性を改善することができれば、融資も通りやすくなり、売却という出口も見えてくる可能性があります。ただし、そのためには改善に必要な費用や手間を考慮に入れる必要があります。

不動産は高額商品ですから、信頼のできる業者に依頼をしての物件選択が不可欠です。弊社REDSは全エージェントが宅地建物取引士ですので安心してご依頼をくださいませ。

 

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公開日:2024年2月24日

皆さま、こんにちは。REDSエージェント、宅建士の近藤未来です。令和4年度税制改正により、原則として、令和6年1月以降に建築確認を受けて新築された住宅は、省エネ基準に適合することが住宅ローン減税(住宅ローン控除)の必須要件となりました。

また、住宅ローン減税(住宅ローン控除)の申請時には、省エネ基準以上適合の証明書が必要になります。今回はこの件について解説します。

住宅ローン控除

住宅ローン減税(住宅ローン控除)とは

住宅ローン減税(住宅ローン控除)とは、住宅の取得を支援し、その促進を図るため、住宅およびその敷地となる土地の取得にかかった毎年の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除する制度(所得税から控除しきれない場合、翌年の住民税からも一部控除)です。

主な要件は以下のとおりです。

・自らが居住するための住宅
・床面積要件が50㎡以上(※)
・合計所得金額2,000万円以下
・住宅ローンの借入期間が10年以上
・引渡しまたは工事完了から6カ月以内に入居
・1982(昭和57)年以降に建築または現行の耐震基準に適合

※令和6年度税制改正で、新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下のものに限る)について、建築確認の期限を令和6年12月31日に延長することになりました。

住宅ローン減税改正の3つのポイント

住宅ローン減税で主な改正のポイントは以下の3つです。

住宅ローン減税を受けるには省エネ基準に適合する必要がある

省エネ基準とは、建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造および設備に関する基準です。新たに住宅ローン減税の必須要件となる省エネ性能は、現行省エネ基準になります。省エネ基準等の詳細については、国土交通省が発表している「省エネ基準の概要」をご参照くださいませ。

省エネ性能に応じて住宅ローン控除の借入限度額が異なる

住宅ローン控除の借入限度額

令和6年度税制改正において、住宅ローン減税の制度内容が変更されることになりました。借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年に入居する場合には、令和4・5年入居の場合の水準(長期優良住宅・認定低炭素住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)を維持することに決まりました。

※ZEH水準省エネ住宅…ZEH(ゼッチ)とはネット・ゼロ・エネルギーハウスの略。高断熱で極力エネルギーを必要とせず、再生可能エネルギーの導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロになることを目指した住宅のこと。

※住宅ローン減税の税務署への申請時、確認済証の写しを提出し、令和5年12月末までに建築確認を受けた住宅であることを証する必要があります。令和6年6月末までに竣工済の住宅については、省エネ基準に適合しない場合にも特例の適用がある場合があります。

住宅ローン減税の申請には、省エネ基準以上適合の「証明書」が必要

省エネ基準に適合していることを証する証明書として、以下のいずれかの提出が必要です。ただし、改正建築物省エネ法が施行予定の令和7年4月以降に建築確認を受ける場合は不要となります。

■建設住宅性能評価書(登録住宅性能評価機関のみが発行できる)
断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級双方の評価を行い、双方の評価がそれぞれの住宅の基準を満たすことが証明されているものに限ります。

■住宅省エネルギー性能証明書(登録住宅性能評価機関等のほか建築士も発行可能)
建設住宅性能評価書は家屋の竣工後に評価項目の変更をした上での再発行は原則としてできません。建設住宅性能評価書で証明できない場合には住宅省エネルギー性能証明書を取得していただくことになります。

建築主から証明書の求めがあった場合、登録住宅性能評価機関等に証明書の発行を依頼するほか、住宅省エネルギー性能証明書については建築士事務所に属する建築士であれば、対象となる住宅の設計者・工事監理者である建築士が発行することが可能です。

確定申告期間内に「住宅省エネルギー性能証明書」をご用意できない場合

新築または取得した住宅がZEH水準省エネ住宅に該当する可能性がある場合、確定申告書を提出するときまでに「住宅省エネルギー性能証明書」が手元にないということもあります。そんなときはお住まいの住宅が「ZEH水準省エネ住宅」に該当するものとして住宅借入金等特別控除を適用し、確定申告書の作成・提出をお願いします。

その上で、後日、当該証明書が交付された際には、当該証明書を速やかに所轄税務署に提出してください。

新築または取得した住宅が省エネ基準適合住宅に該当する可能性のある場合、確定申告書を提出するときまでに「住宅省エネルギー性能証明書」が手元にない場合は、お住まいの住宅が「省エネ基準適合住宅」に該当するものとして住宅借入金等特別控除を適用し、確定申告書の作成・提出をお願いします。

その上で、後日、当該証明書が交付された際には、当該証明書を速やかに所轄税務署に提出してください。

忘れないで、1年目の確定申告

住宅ローン控除の適用を受ける1年目は、確定申告が必要です。住宅ローン控除の手続き自体は毎年必要ですが、毎年確定申告する必要はありません。会社員の場合、2年目以降は会社で行う年末調整の際に、住宅ローン控除の手続きが可能です。

万が一、確定申告や年末調整を忘れた場合には、還付申告が可能です。住宅ローン控除などの還付を受けるためであれば、忘れても後日手続きできます。期限が決まっているため、申告を忘れていたことに気付いたら、速やかに税務署に相談して還付申告してください。

以上です。よろしくお願いいたします。

 

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公開日:2024年2月23日

皆様こんにちは、不動産流通システム、REDSリフォーム、一級建築施工管理技士補、建築物アスベスト含有建材調査者の木須陽子です。

前回はどのような環境において石綿のばく露が発生するかお話しました。今回はさまざまなばく露環境と疾患の関係についてお話します。

疾患イメージ

(写真はイメージです)

海外の建築物と石綿関連疾患について

建築物の吹付け石綿などによる石綿関連疾患は海外でも多く報告されています。

アモサイト(茶石綿と呼ばれるアスベストの一種)含有量70%の吹付け石綿施工されていた事務所に15年間勤務した54歳の女性が胸膜中皮腫になったことが報告されています。透過型竜子顕微鏡(TEM)により検査したところ、分析のため乾燥させたこの女性の肺1グラム対して3100万本の石綿小体が認められました。また、肺内にあった繊維はその90%がアモサイトでした。

このほかにも、以下のような例が報告されています。

・1991年、吹付石綿のあるビルに20年勤務した46歳の男性の肺がん事例を報告

・吹付石綿のある学校で18年働いた58歳女性に胸膜中皮腫、12年勤務した45歳の男性の腹膜中皮腫の事例の報告

・吹付石綿のされたビルで18年過ごした53歳男性の胸膜中皮腫の報告

・教室にクリソタイル(白石綿や温石綿と呼ばれるアスベストの一種)吹付け、一部はアモサイト+クロシドライト(青石綿と呼ばれるアスベストの一種)吹付けの環境下25年勤務で52歳男性の胸膜中皮腫の報告、45%クリソタイル+1%アモサイト吹付けの環境下で26年勤務43歳女性の胸膜中皮腫の報告、クリソタイル+アモサイト吹付けの教室で64歳女性の腹膜中皮腫の報告。

・1991年学校用務員の中皮腫10名、公共ビル管理労働者の中皮腫7名、民間ビル管理者の中皮腫5名、産業補修労働者の中皮腫7名、教員の中皮腫の12名、合計41名を報告。

・1991年に50歳男性の胸膜中皮腫で高校教員28年(教室の天井にクリソタイル30%、配管にアモサイト10~30%)を報告。

・1992年、262名の中皮腫のうち職業性石綿ばく露117名、その他26名などに分類し、26名のうち16名は家庭におけるばく露であり、さらにこのうち、女性10名が家族ばく露で、男性3名および女性2名は防火パネルの石綿によるばく露、残る女性1名は配管パイプの石綿によるばく露が原因でした。

・1993年、45歳男性の腹膜中皮種で法律の教員の事例を報告。

・1994年に58歳の女性教員で18年間トレモライト(透閃石)にばく露した事例を報告。

・1999年には建築物における石綿ばく露によって中皮腫を発症した事例、教員14名、学校補助員1名、事務員1名、女性事務員1名と、自宅の石綿断熱材が原因と考えられる6名の合計23名の事例を報告。

その後も建築物関連の石綿健康被害の報告が続いています。

日本の建築物と石綿関連疾患について

日本では2004(平成16)年に吹付け石綿のある建築物での中皮腫発症例として、店舗での勤務が原因で発症し、死亡した悪性中皮腫の例が初めて報告されました。70歳の男性で悪性胸膜中皮上皮型と診断され、石綿ばく露歴は家族ばく露なし、自宅居住地近隣に石綿工場はなく、1982(昭和57)年から暮らしている現在の自宅は幹線道路から50mの距離でした。

1969~2002年、私鉄駅高架下にある文具店で店長として勤務、文具店は1階が店舗で2階が倉庫であり、その倉庫の壁に吹付け石綿が使われていました。店長は8時に文具店を開け、21時に帰宅。その間、1日に4、5回は商品を置きに2階に上がり、1日30回は倉庫の商品を取りに行き、月1~2回、和ぼうきで20~30分程度の掃除を行い、年1回は、2~3時間かけて倉庫の大掃除を約30年間行っていました。

2階倉庫の吹付け石綿にはクロシドライトが25%含まれ、中石綿濃度については、2階の静穏時の濃度は1.02~4.2F/L、1、2階に荷物搬入時の濃度は14.0F/L、2階に荷物搬入と清掃時の濃度は136.5/Lで、文具店1階は0.34~1.13F/L、文具店外の大気中の濃度は定量下限値以下(検出できない程度の低濃度)だったのですが、吹付け石綿のある文具店の石綿濃度は大気と比べて高く、文具店で勤務したことが悪性胸膜中皮腫を発症した主な原因と考えられます。

男性の肺からは、クロシドライトの石綿繊維や石綿小体が検出されました。

厚生労働省は、中皮腫や肺がんで業務上疾患として労働者災害補償保険(労災保険)による労災認定または石綿救済法(石綿による健康被害の救済に関する法律)に基づく石綿ばく露作業による労災認定を受けた労働者が所属していた事業場を「石綿ばく露作業による労災認定等事業場」として毎年公表してします。

1999(平成11)~2020(和2)年度までに、1万3163人が労災認定を受けており、そのうち、石綿ばく露作業状況が「吹付け石綿のある部屋・建物・倉庫等での作業」に分類された労災認定は232人でした。疾患としては中皮腫が最も多く、肺がん、石綿肪、良性石締胸水、びまん性膜肥厚も見られます。

※厚生労働省アスベスト(石綿)情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou.roudou/roudoukijun/sekimen/index.html

疾患イメージ

建設業における石綿関連疾患について

労働災害死亡者数と石綿による肺がん・中皮腫の労災認定者数の推移をみると労働災害死亡者数は1999年以降減少したものの、石緒による肺がんと中皮腫の労働災害認定者数は、2006年まで増加し、2007以降は、1年あたり、およそ1000前後で推移しています。そのうちの約半数が建設業従事者でした。

2019年には、石綿による肺がんと中皮腫の労災認定者数が労災死亡者を上回り、その約6割が建設業でした。

建設業従事者の石綿ばく露には、以下の4種類以上のばく露が混在しています。

1.吹付け石綿などの吹付け作業によるもの
2.石綿含有建材切断および加工作業によるもの
3.建築物維持管理・補修時の吹付け石綿および飛散しやすい石綿含有建材によるもの
4.石綿含有建材の除去をともなう改修・解体時の作業によるもの

石綿関連疾患の潜伏期を平均40年とすると、例えば、2010年になって発病した人は1970(昭和45)年前後の新築時にばく露した人が多いと推定されます。補修時の吹付け石綿や、飛散しやすい石綿含有建材によるばく露、改築および解体時の石綿含有建材によるばく露は今後の対策によって防ぐことができます。

建設作業時にばく露防止に注意を払いながら作業することが重要なのです。次回は今後の対策について、調査の重要性についてお話します。

 

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公開日:2024年2月22日

ご購入もご売却も仲介手数料が必ず「割引」・最大「無料」のREDSエージェント、宅建士の志水恵吾です。

今回は「所有者不明土地」に伴う「不動産登記制度」の改正についてご説明したいと思います。

所有者不明土地とは

所有者不明土地とは、土地の所有者が役所も把握できていない土地のことです。相続登記や住所変更登記が行われないまま放置された土地が増えており、所有者不明土地の面積は、九州の土地面積よりも広いといわれています。

また、令和4(2022)年度に地方公共団体が実施した地籍調査事業では、不動産登記簿のみでは所有者の所在が判明しなかった土地の割合は、24%(令和4年度国土交通省調べ)にも及んでいます。所有者不明土地は、周辺の環境や治安の悪化を招いたり、防災対策や開発などの妨げになったりしていて、今後さらに増えていくと予想されており、各地で社会問題になっています。

所有者不明土地が増える原因

所有者不明土地が生じる主な原因としては、主に以下の2点が挙げられます。

・土地の相続の際に登記の名義変更が行われないこと
・所有者が転居したときに住所変更の登記が行われないこと

例えば、長期間、相続登記をしないまま放置しておくことにより、土地の相続に関係する者が増えていき、所有者を特定したり、土地を処分したりすることが極めて困難になってしまうのです。

所有者不明土地の解消に向けて、不動産に関するルールが大きく変わりました。令和3(2021)年4月に、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両面から、総合的に民事基本法制の見直しが行われました。この法律により、相続登記の申請が義務化され、土地の相続や利用に関する問題を引き起こす可能性がある所有者不明土地の解消に向けた取り組みが進められています。

上記のご説明の通り、対策には所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」がありますが、今回は「発生の予防」のひとつ「不動産登記制度の改正」について触れていきたいと思います。

所有者不明土地

「不動産登記制度」はどう改正されたのか

これまでは、相続登記や住所などの変更登記の申請は任意でした。相続登記の申請をしなくても直ちに大きな問題が起きなかったので、相続した土地にあまり価値がなく、利用もされず、売却も難しいような場合には、費用や手間をかけてまで登記の申請をしない相続人が多かったのです。

ただ、こうしたことから所有者不明土地が増えていきました。そこで、相続登記の申請が令和6(2024
)年4月から義務化されることになりました。また、住所等の変更登記の申請についても令和8(2026)年4月から義務化されることとなりました。

各改正内容について

相続登記の申請の義務化(令和6年4月1日施行)

相続登記の申請が義務化されると、相続等により不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行う必要があります。また、遺産分割協議が行われた場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請する必要があります。

上記のいずれの場合でも正当な理由がないのに申請をしなかった場合には、10万円以下の過料の適用対象となります。

「相続人申告登記」制度の創設(令和6年4月1日施行)

不動産を所有している方が亡くなった場合、その相続人の間で遺産分割の話し合いがまとまるまでは、法律上、全ての相続人がその不動産を共有している状態になります。その状態で相続登記を申請しようとすると、全ての相続人を把握するための資料(戸籍謄本など)が必要になってしまいます。

そこで、遺産分割がまとまらず、相続登記を申請することができない場合は、自分が相続人であることを法務局の登記官に申し出ることで、相続登記の申請義務を果たすことができる「相続人申告登記」の制度が創設されました(令和6年4月1日施行)。この制度を利用すれば、自分が相続人であることが分かる戸籍謄本等を提出するだけで申出することができ、より簡易に手続を行うことができます。

住所等の変更登記の申請の義務化(令和8年4月1日施行)

登記簿上の不動産の所有者は、所有者の氏名や住所を変更した日から2年以内に住所等の変更登記の申請を行う必要があります。正当な理由がないのに申請をしなかった場合には、5万円以下の過料の適用対象となります。

まとめ

他にも改正点はありますが、相続登記義務化についての大きな点は上記3つになると思います。上記の改正は、現在、相続登記や住所等の変更登記がされずに放置されている土地も義務化の対象になりますので、注意が必要です。

個人的な見解を含めた内容であり、それぞれの内容を保証するものではありません。必ず各専門機関にご確認ください。

 

弊社REDSではご購入・ご売却どちらのお客様にとってもより安心で安全なお取引となるように、上記の改正点はもちろん、様々な点においてもいち早く対応できるように全スタッフが日々業務にあたっております。

またREDSでは、お取り扱い可能な場合、仲介手数料が必ず「割引」・最大「無料」となります。

不動産のご購入・ご売却はREDSの「志水 恵吾」まで

直接お電話OKです 070-1475-4269
メール ke.shimizu@red-sys.jp

お客様の「味方」となりお手伝いいたします。

 

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公開日:2024年2月21日

REDSエージェント、宅建士の金谷です。カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること)に向けて、さまざまな業界で取り組みが行われています。不動産業界でも同様で、住宅や建築物にも今後、さまざまな対応が行われます。カーボンニュートラル達成に向けて今後、住宅はどう変わっていくのか、解説します。

カーボンニュートラル

カーボンニュートラルとは?

我が国では、地球温暖化の対策として「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指しています。

カーボンニュートラルとは、人間の活動によって発生する温室効果ガスの排出量を削減し、残った排出量を吸収または補償することで、差し引きゼロになる状態を指します。カーボンニュートラルを達成するためには、再生可能エネルギーの導入、省エネルギーの促進、二酸化炭素の吸収手段の活用など、数多くの手段が必要です。

企業や自治体など社会全体で環境への負荷を削減し、再生可能エネルギーを利用することで実現に向かいます。不動産業界も積極的にかかわっており、「住宅」についても対策が取られることになります。具体的には環境改善に貢献する住宅を選んだ消費者にはメリットがある、ということになります。

2030年までの住宅、建築物への対応

2030年までに新築される住宅など建築物の省エネ基準がZEH、ZEB基準の水準の省エネ性能に引き上げられ、適合していることが義務づけられます。

ZEHは「ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、英語では「Zero Energy House」または「Net Zero Energy House」と呼ばれる概念です。ZEHは、建物が年間を通じて消費するエネルギーと、生成する再生可能エネルギーがほぼ同等である、または生成されたエネルギーが消費エネルギーを上回る建物を指します。

ZEHはまず、建物自体のエネルギー効率を向上させます。断熱性能の向上、高効率な冷暖房システムの採用、省エネ型の照明や家電の導入などが含まれます。さらに再生可能エネルギーの導入を重視します。太陽光発電など、建物が自己消費できる再生可能エネルギーの導入が一般的です。太陽光発電などで発生した余剰エネルギーを蓄電池などで貯蔵し、必要なときに利用する技術を導入することで、エネルギーの有効活用を図ります。

ZEBは、「Zero Energy Building」の略で、エネルギーの生成と消費がほぼ同じであるか、生成したエネルギーが消費を上回る建築物を指します。

また、再生可能エネルギー導入のため、新築住宅の6割に太陽光発電設備が導入されます。

カーボンニュートラル

建築物の木材の利用促進

木材は再生可能な天然資源であり、その生産・利用サイクルをすることで二酸化炭素の吸収と放出をバランスよく保つことができます。このため木造建築は環境への負荷が低いとされています。

木造住宅は軽量で施工が迅速であるため、省エネルギー性能や建築コストの削減にも寄与し、持続可能な社会を築くための一環として注目されています。

建築基準法の改正

建築物省エネ法の改正に伴い、建築基準法の見直しも行われました。

屋根の断熱改修や屋上への省エネ設備の設置等の省エネ改修等を円滑化

(改定前)第一種低層住居専用地域等や高度地区においては、原則として都市計画に定められた高さの制限を超えてはならない。
(改定後)第一種低層住居専用地域等や高度地区における高さ制限について、屋外に面する部分の工事により高さ制限を超えることが構造上やむを得ない建築物に対する特例許可制度を創設。

外壁の断熱改修や日射遮蔽のための庇の設置等の省エネ改修等を円滑化

(改定前)都市計画区域内においては、原則として都市計画により定められた容積率や建蔽率を超えてはならない。
(改定後)屋外に面する部分の工事により容積率や建蔽率制限を超えることが構造上やむを得ない建築物に対する特例許可制度を創設。

住宅及び老人ホーム等に設ける給湯設備の機械室等について容積率緩和の手続きを合理化

(改定前)建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可
(改定後)省令に定める基準に適合していれば、建築審査会の同意なく特定行政庁が認定

住宅の居室に必要な採光に有効な開口部面積の合理化

(改定前)住宅の居室にあっては、その床面積の1/7以上の大きさの採光に有効な開口部面積の確保が必要
(改定後)原則1/7以上としつつ、一定の条件の下で1/10以上まで必要な開口部の大きさを緩和

住宅ローン減税

住宅ローン減税についても、脱炭素化に対応した住宅は減税の割合が高くなります。

長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の種別で、それぞれ借入金額の上限が3段階に分かれていて、その種別によって、借入金額の上限がその他の控除対象の一般の住宅より高い水準となります(新築住宅、中古住宅ともに)。

今後、住宅の性能も上がることにより、建築コストも上昇することが考えられますので、新築住宅のご購入を希望される方は、金利の上昇が始まる前に、住宅のご購入をご検討されることをお勧めいたします。

 

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公開日:2024年2月20日

いつもご覧いただき、ありがとうございます。《不動産仲介手数料が無料もしくは割引》不動産流通システム、REDSエージェント、宅建士の坂本です。

2024年4月から住宅・建築物を販売・賃貸する事業者に『省エネ性能ラベル』の表示の努力義務が課せられます。

改正建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号))に基づき、2024年4月に「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」が強化されることに伴う措置です。

今回はこの省エネ性能表示制度について解説します。

省エネ住宅イメージ

省エネ性能ラベル表示の努力義務が課されているのは?

政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けてCO2排出量全体の約3分の1を占める住宅・建築物についてさらなるエネルギー消費・CO2排出の削減を求めています。2024年に省エネ性能ラベルの表示が始まることになるのはこの一環です。

本制度の中で努力義務が課せられているのは建築・不動産の販売・賃貸事業者(売主、貸主、サブリース事業者含む)。2024年4月1日以降に建築確認申請を行う新築建築物、およびその物件が同時期以降に再販売・再賃貸される場合が対象となります。それ以前に建築確認申請を行った物件の場合、表示は任意となります。

住宅としては分譲一戸建てや分譲マンション、賃貸住宅、買取再販住宅などが対象で、非住宅でも貸事務所ビルや貸テナントビルは対象となります。例外として販売または賃貸する用途でない建築物(注文住宅やウィークリーマンション)などがあります。

住宅の省エネ性能ラベルで表示している9項目

「省エネ性能ラベル」の要素は住宅と非住宅で若干異なります。住宅については、下記9個の項目があります。

1.エネルギー消費性能:国が定める省エネ基準からどの程度消費エネルギーを削減できているかを見る指標(BEI)を星の数で示す。

2.断熱性能:「建物からの熱の逃げにくさ」と「建物への日射熱の入りやすさ」の2つの点から建物の断熱性能を見る指標。

3.目安光熱費:住宅の省エネ性能に基づき算出された電気・ガスなどの年間消費量に全国統一の燃料などの単価をかけ合わせて算出した1年間の光熱費の目安。記載がない場合もある。

4.自己評価・第三者評価:省エネ性能の評価が販売・賃貸事業者による自己評価か、評価機関による第三者評価を示す。

5.建物名称:省エネ性能の評価対象がわかるように物件名を示す。必要に応じて棟名や部屋番号も掲載。

6.再エネ設備あり/なし:再エネ設備(太陽光発電・太陽熱利用・バイオマス発電等)が設置されている場合に「再エネ設備あり」と表示できる。

7.ZEH水準:エネルギー消費性能が★3つ、断熱性能が5以上で達成のチェックマークがつく。

8.ネット・ゼロ・エネルギー(ZEH):ZEH水準の達成に加え、太陽光発電の売電分も含めて、年間のエネルギー収支がゼロ以下で達成のチェックマークがつく。ここは第三者評価(BELS)の場合のみ表示。

9.評価日:評価された省エネ性能がいつ時点のものかを示す。

非住宅では、7個の項目があります。住宅における「断熱性能」「目安光熱費」「ZEH水準」がなくなり、下記「ZEB水準」が加わります。

●ZEB水準:エネルギー消費性能が事務所などの用途は★5つ、病院等の用途は★4つで達成となる。国の誘導基準でもある。

まとめ

今後、住宅も省エネ性能を高めていくことが求められる時代となります。

こうした動きの背景にあるのは、住宅・建築物の省エネ対策を強力に進めるための「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」が令和4年6月17日に公布され、同改正は2050年のカーボンニュートラルに向けて行われ、全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務づけ、省エネ性能表示の推進などが盛り込まれているからです。

一部の自治体でも、特定の規模の建築物に対して太陽光パネルの設置を義務付ける条例を改正していますが、これらの条例も、建築物のエネルギー効率向上に貢献するものと考えられています。

不動産業者も消費者も、省エネについていっそう理解し、対応していくことが今後は求められます。

不動産流通システム【REDS】では、引き続き皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。

 

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