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坂本 和典(宅建士・リフォームスタイリスト)

不動産営業に対するイメージを変えます

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公開日:2024年5月2日

いつもご覧いただき、ありがとうございます。《不動産仲介手数料が無料もしくは割引》不動産流通システム、REDSエージェント、宅建士の坂本和典です。

中古住宅を探していると、物件情報に「既存不適格建築物」と記載されていることがあります。また、ご所有不動産を建て替えしようとした際に「既存不適格建築物」と言われて驚いた方もいらっしゃるかもしれません。

あまり聞きなじみのない言葉ですが、違反建築物や違法建築物とは違うものなので、それらとはどう違うのか、解説いたします。

既存不適格建築物

既存不適格建築物とは

既存不適格建築物は、建築時には合法だったものの、その後の法律改正などによって法律の基準を満たさなくなった建築物のことです。

分かりやすい例としては、「旧耐震基準」の建物が挙げられます。建物の耐震基準は見直されていて、1981年6月からは大規模地震を想定した「新耐震基準」が最低限守るべき基準となりました。1981年5月以前に建築確認申請が受理された建物は「旧耐震基準」で確認されているので、現在の基準である「新耐震基準」を満たしていないことがあります。

違反建築物との違い

既存不適格建築物と似た言葉に、「違反建築物(違法建築物)」というものがあります。一見同じようにも思えますが、実は意味が大きく違います。

違反建築物とは、建築当時から法律に適合していない建築物のことです。法律に適合していない増改築をした建築物も、違反建築物に含まれます。

既存不適格建築物も違反建築物も、現時点で法律の基準に不適合となっているところは同じです。しかし、建築時(または増改築時)に法律に適合しているか、していないかが異なっています。

違反建築物の場合は、住宅ローンの融資は基本的には断られます。既存不適格建築物についても融資を断る金融機関があるのは事実ですが、融資してくれる金融機関も中にはあります。

既存不適格建築物の例

既存不適格建築物の例として、旧耐震基準の建物以外に、下記のような例があります。

●用途地域の指定や変更によって、容積率・建蔽率などが不適合になった物件

よくある「既存不適格建築物になった原因」は、用途地域の指定や変更です。

●接道義務を満たしていない物件

建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に、間口2m以上接していなければなりません。これが、建築基準法で決まっている接道義務です。今から70年以上前から存在する基準ですが、日本には築70年以上の建物も存在しています。そのような古い建物の場合、この接道義務を満たしていないことがあります。

接道義務を満たしていない物件は、一度建物を取り壊してしまうと再び建て直すことはできません。このような建物のことを、再建築不可物件と呼びます。

既存不適格建築物に住み続けても大丈夫?

既存不適格建築物にそのままの状態で住み続けても大丈夫かどうか、ご説明します。

結論としては、既存不適格建築物になっても、基本的にはそのまま住み続けることができます。住み続けても罰則はありません。

例外として、建築基準法では「著しく保安上危険」または「著しく衛生上有害となるおそれがある」と認める場合に建物の所有者は建物の改築や解体(除却)などを命じられることがある、と規定されています。

ただし、増改築(建築確認が必要な大規模リフォームなど)や建て替えをするときには、今の基準に適合させなければなりません。建て替えの場合には、基準に適合させることによって建物が小さくなってしまうこともあります。

現在の基準を無視したまま増改築や建て替えすると違法建築物になってしまうので注意しましょう。

既存不適格建築物は売買できるのか

既存不適格物件の売却は一般的な建物よりも難しく、価格が相場より著しく低くなることもあります。一般的な建物と既存不適格建築物になった建物を比べると、既存不適格建築物になった建物の方が売却難易度は高いです。

建て替えや増改築するには今の基準に適合させる必要があり、ある程度の制限を受けることになります。そのため、立地などに大きな魅力がなければ既存不適格建築物を避ける買主が多いのが実状です。また、売却できたとしても相場よりもかなり安い価格になってしまうかもしれません。

既存不適格建築物は、築年数が古い家が大半です。既存不適格建築物として売るよりも、更地にして土地として売却した方がスムーズな場合があります。

既存不適格建築物であることは買主に必ず伝える

既存不適格建築物は売却しづらいので、それを隠して売却活動をしたいと考える売主様もいらっしゃるかもしれません。しかし、売主には既存不適格建築物ということを買主(購入希望者)に告知する義務があります。

事実を隠して売却すると、損害賠償請求されたり売買自体が無効になったりすることもあります。後から不利益を被ることになるので、既存不適格建築物であることを隠すのは絶対にやめましょう。

既存不適格建築物の場合、金融機関によってはローンの審査に通らないことがあります。なので、買主様には必ず伝えましょう。

まとめ

今回の記事では、既存不適格建築物と違反建築物の違いや売買するときの注意点について解説しました。既存不適格建築物の建物は、売却が難しいというのが一般論ですが、不適格な部分を解消し、また土地として売却することで、希望に近い価格で売却できる可能性もあります。

不動産会社に相談される場合は、既存不適格建築物の売買実績が豊富な会社であることが望ましいので、いろいろ当たってみることをお勧めします。

 

不動産流通システム【REDS】では、引き続き皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。

 

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