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木須 陽子

女性目線でリフォームのご提案をいたします。

公開日:2024年4月3日

皆様こんにちは、不動産流通システム、REDSリフォーム、宅建士・1級建築施工管理技士補・リフォームスタイリスト1級の木須陽子です。

前回はさまざまなアスベスト(石綿)のばく露環境と疾患の関係についてお話しました。今回は建築物石綿含有建材調査の重要性と調査の流れについてお話します。

建築物石綿含有建材調査

建築物石綿含有建材調査の意味

これまで見てきたように、石綿は大きな被害を発生させてきた発がん性物質であり、現在でも大量に残されています。残された石綿含有建材は、維持管理上、または除去や解体の過程で、リスクを評価し、評価結果に応じて適切に取り扱い、建築物の解体・改修時には適切に飛散防止措置を講じなければなりません。

建築物はそれぞれ石綿含有建材の種類が異なり、ハザードを把握し、リスク対策をするために調査が必要です。石綿のリスクは、健康リスクだけにとどまらず、評価損リスクも存在します。

2010(平成22)年4月からは、国内の企業会計に資産除去債務の考え方が導入され、有価証券の発行者は原則として、建築物に石綿含有建材が存在するか否かについて調査した上で資産除去債務を合理的に見積もり、除去に必要となる費用を資産除去債務(負債)として計上、これに対応する除去費用を有形固定資産に計上する会計処理を行うことが求められるようになりました。

国内企業が会計ルールをめぐる海外からの要請に応えていくためにも、建築物における石綿の使用実態の正確な調査は、重要性を増しています。

リスクとハザードとは?

さまざまな場面で「リスク」という言葉が使用されていますが、一般に労働安全衛生の分野では、リスクとはハザード(危険有害の源)にそれが現実の危害をおよぼす可能性(確率)をかけ合わせたものとされます。

石綿のリスクは、〈石綿(ハザード)×ばく露(呼吸によって吸い込むこと)〉です。石綿は存在するだけではリスクは発生しませんが、力が加わり飛散し、ばく露が起きたときにリスクが発生します。成形板のように石綿繊維が固定されていればリスクは発生しませんが、吹付け石綿が劣化している空間に人がいれば、ばく露のおそれがあり、リスクが発生するということになります。

建築物石綿含有建材調査の概要

調査の流れ

1.依頼

事前調査・相談

調査実施計画(調査目的確認・竣工の範囲の確認・調査範囲の計画)
  ↓
計画承認・契約
  ↓

2.書面調査(目視調査のための準備)

図面等調査(設計図・竣工図・改修図・対策工事記録)
  ↓
発注者ヒアリング(竣工・改修履歴・利用状況・対策工事記録)
  ↓
書面調査整理(建物概要・使用された材料・竣工部位・石綿と疑わしい部材のリストアップ)
  ↓
データーベース等照合(石綿含有データベース・メーカー・業界団体HP)
  ↓
石綿含有のありなし仮判定(含有材・無含有材・不明建材)
  ↓
書面調査整理(部屋・竪穴区画ごとの仕様整理)
  ↓
目視調査準備(建物調査計画 手順・用具・要員等)
  ↓

3.目視調査

外観観察(基本情報確認・構造仕上材・周辺建物)
  ↓
屋上・外構確認(仕上・防水処理・煙突・設備機器・配管ダクト)
  ↓
内部レイアウト確認(書面調査結果との照合(各部屋の用途等・すぐ見える内装材・見えない壁天井裏隠蔽部)
  ↓
各部屋調査(過去の改修痕・竪穴区画・層間・設備機器各部屋ごとの野帳スケッチや記録写真、ワークシート)
  ↓
現物確認(製品の表示、各種資料との確認、メーカー証明)※含有建材とみなして判定も可
  ↓
分析用試料採取(代表する検体・分析法に則した採取)
  ↓
分析(分析業者へ依頼)
  ↓
石綿含有のありなし(結果の確認分析結果から石綿含有のありなしの判定使用箇所特定)
  ↓
報告書作成(調査目的・範囲・総括表・詳細表・分析結果等)
  ↓
調査報告 調査結果を発注者へ説明

調査の解説

建築物調査では、まず建築物の所有者や建物管理を所有者より受託している業者などから竣工年、改修履歴などの情報を入手します。

次いで設計図や竣工図などの設計図書類の調査(以下「書面調査」)を実施し、現地調査時の確認ポイントなどを洗い出す作業を実施します。これらの書面調査の結果などを踏まえて現地調査を実施します。

実際の建物調査から分析による判断が必要な箇所を抽出した上で、的確に使用されている材料を代表する分析用試料を採取し、分析機関に依頼して分析します。

最後に、書面調査、現地調査、分析結果などを合わせて、建物調査報告書を作成。図面上では石綿含有建材が使われているように記載がある場合であっても、実際には使用した材料が同等品扱いで他の建材に変更され、石綿含有建材を使用せずに施工されていたり、改修などの際にすでに撤去済みであったりすることもありますので、書面調査、現地調査を踏まえて、石綿含有建材の疑いがあるものが存在しなかった場合は、使用箇所がない旨の建物調査報告書を作成し、依頼者に提出します。

一方、図面などの設計図書類が保存されていない場合や、所有者が変更されて調査の端緒となる情報源が少ない場合の調査作業には簡易の図面作成が伴うこともあります。

次回は建築建物石綿含有建材調査についてお話します。

 

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公開日:2024年2月23日

皆様こんにちは、不動産流通システム、REDSリフォーム、一級建築施工管理技士補、建築物アスベスト含有建材調査者の木須陽子です。

前回はどのような環境において石綿のばく露が発生するかお話しました。今回はさまざまなばく露環境と疾患の関係についてお話します。

疾患イメージ

(写真はイメージです)

海外の建築物と石綿関連疾患について

建築物の吹付け石綿などによる石綿関連疾患は海外でも多く報告されています。

アモサイト(茶石綿と呼ばれるアスベストの一種)含有量70%の吹付け石綿施工されていた事務所に15年間勤務した54歳の女性が胸膜中皮腫になったことが報告されています。透過型竜子顕微鏡(TEM)により検査したところ、分析のため乾燥させたこの女性の肺1グラム対して3100万本の石綿小体が認められました。また、肺内にあった繊維はその90%がアモサイトでした。

このほかにも、以下のような例が報告されています。

・1991年、吹付石綿のあるビルに20年勤務した46歳の男性の肺がん事例を報告

・吹付石綿のある学校で18年働いた58歳女性に胸膜中皮腫、12年勤務した45歳の男性の腹膜中皮腫の事例の報告

・吹付石綿のされたビルで18年過ごした53歳男性の胸膜中皮腫の報告

・教室にクリソタイル(白石綿や温石綿と呼ばれるアスベストの一種)吹付け、一部はアモサイト+クロシドライト(青石綿と呼ばれるアスベストの一種)吹付けの環境下25年勤務で52歳男性の胸膜中皮腫の報告、45%クリソタイル+1%アモサイト吹付けの環境下で26年勤務43歳女性の胸膜中皮腫の報告、クリソタイル+アモサイト吹付けの教室で64歳女性の腹膜中皮腫の報告。

・1991年学校用務員の中皮腫10名、公共ビル管理労働者の中皮腫7名、民間ビル管理者の中皮腫5名、産業補修労働者の中皮腫7名、教員の中皮腫の12名、合計41名を報告。

・1991年に50歳男性の胸膜中皮腫で高校教員28年(教室の天井にクリソタイル30%、配管にアモサイト10~30%)を報告。

・1992年、262名の中皮腫のうち職業性石綿ばく露117名、その他26名などに分類し、26名のうち16名は家庭におけるばく露であり、さらにこのうち、女性10名が家族ばく露で、男性3名および女性2名は防火パネルの石綿によるばく露、残る女性1名は配管パイプの石綿によるばく露が原因でした。

・1993年、45歳男性の腹膜中皮種で法律の教員の事例を報告。

・1994年に58歳の女性教員で18年間トレモライト(透閃石)にばく露した事例を報告。

・1999年には建築物における石綿ばく露によって中皮腫を発症した事例、教員14名、学校補助員1名、事務員1名、女性事務員1名と、自宅の石綿断熱材が原因と考えられる6名の合計23名の事例を報告。

その後も建築物関連の石綿健康被害の報告が続いています。

日本の建築物と石綿関連疾患について

日本では2004(平成16)年に吹付け石綿のある建築物での中皮腫発症例として、店舗での勤務が原因で発症し、死亡した悪性中皮腫の例が初めて報告されました。70歳の男性で悪性胸膜中皮上皮型と診断され、石綿ばく露歴は家族ばく露なし、自宅居住地近隣に石綿工場はなく、1982(昭和57)年から暮らしている現在の自宅は幹線道路から50mの距離でした。

1969~2002年、私鉄駅高架下にある文具店で店長として勤務、文具店は1階が店舗で2階が倉庫であり、その倉庫の壁に吹付け石綿が使われていました。店長は8時に文具店を開け、21時に帰宅。その間、1日に4、5回は商品を置きに2階に上がり、1日30回は倉庫の商品を取りに行き、月1~2回、和ぼうきで20~30分程度の掃除を行い、年1回は、2~3時間かけて倉庫の大掃除を約30年間行っていました。

2階倉庫の吹付け石綿にはクロシドライトが25%含まれ、中石綿濃度については、2階の静穏時の濃度は1.02~4.2F/L、1、2階に荷物搬入時の濃度は14.0F/L、2階に荷物搬入と清掃時の濃度は136.5/Lで、文具店1階は0.34~1.13F/L、文具店外の大気中の濃度は定量下限値以下(検出できない程度の低濃度)だったのですが、吹付け石綿のある文具店の石綿濃度は大気と比べて高く、文具店で勤務したことが悪性胸膜中皮腫を発症した主な原因と考えられます。

男性の肺からは、クロシドライトの石綿繊維や石綿小体が検出されました。

厚生労働省は、中皮腫や肺がんで業務上疾患として労働者災害補償保険(労災保険)による労災認定または石綿救済法(石綿による健康被害の救済に関する法律)に基づく石綿ばく露作業による労災認定を受けた労働者が所属していた事業場を「石綿ばく露作業による労災認定等事業場」として毎年公表してします。

1999(平成11)~2020(和2)年度までに、1万3163人が労災認定を受けており、そのうち、石綿ばく露作業状況が「吹付け石綿のある部屋・建物・倉庫等での作業」に分類された労災認定は232人でした。疾患としては中皮腫が最も多く、肺がん、石綿肪、良性石締胸水、びまん性膜肥厚も見られます。

※厚生労働省アスベスト(石綿)情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou.roudou/roudoukijun/sekimen/index.html

疾患イメージ

建設業における石綿関連疾患について

労働災害死亡者数と石綿による肺がん・中皮腫の労災認定者数の推移をみると労働災害死亡者数は1999年以降減少したものの、石緒による肺がんと中皮腫の労働災害認定者数は、2006年まで増加し、2007以降は、1年あたり、およそ1000前後で推移しています。そのうちの約半数が建設業従事者でした。

2019年には、石綿による肺がんと中皮腫の労災認定者数が労災死亡者を上回り、その約6割が建設業でした。

建設業従事者の石綿ばく露には、以下の4種類以上のばく露が混在しています。

1.吹付け石綿などの吹付け作業によるもの
2.石綿含有建材切断および加工作業によるもの
3.建築物維持管理・補修時の吹付け石綿および飛散しやすい石綿含有建材によるもの
4.石綿含有建材の除去をともなう改修・解体時の作業によるもの

石綿関連疾患の潜伏期を平均40年とすると、例えば、2010年になって発病した人は1970(昭和45)年前後の新築時にばく露した人が多いと推定されます。補修時の吹付け石綿や、飛散しやすい石綿含有建材によるばく露、改築および解体時の石綿含有建材によるばく露は今後の対策によって防ぐことができます。

建設作業時にばく露防止に注意を払いながら作業することが重要なのです。次回は今後の対策について、調査の重要性についてお話します。

 

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公開日:2024年1月16日

皆様こんにちは、不動産流通システム、REDSリフォーム、一級建築施工管理技士補、建築物アスベスト含有建材調査者の木須陽子です。

リフォームや解体工事の需要が増える一方、アスベスト問題が深刻さを増しています。前回は年代別の規制対象となる石綿含有率についてお話をいたしました。今回はどのような環境において石綿のばく露が発生するかをお話いたします。

アスベスト

石綿濃度

肉眼では繊維が空気中に発散していないように見えても、実際には石綿(アスベスト)が高濃度であり、将来の健康を考えて注意を促す必要がある場合があります。他方、極めて低い濃度であっても健康被害を心配する人には、リスク・コミュニケーションを学んだ上で、冷静に石綿濃度と石綿関連疾患との関係を説明することも大事になります。

各種環境での石綿濃度、石綿ばく露の周囲への飛散濃度、掃除の際の再飛散濃度など石綿ばく露について理解するには、さまざまなケースでの石綿濃度のオーダーについて理解することが必要になります。

ばく露量と石綿濃度

石綿は、物理的な力が加わることによって微細な繊維として環境中に飛散します。石綿の雑類、建材の種類、力の大きさによって、環境中の石綿の量は大きく異なります。

ばく露量=ばく露濃度×ばく露期間(年)
ばく露量の増加→リスクの増加(量―反応関係)

一方、石綿は、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で、その繊維は非常に細く、直径が0.02μm(マイクロメートル)という微細さを持っています。肉眼では繊維を空気中に発散していないように見えても、実際には石綿が高濃度であることもあります。

微細な繊維は、落下に時間がかかり、長時間空気中に漂い、長距離を移動するほか、一旦落下しても再飛散することもあります。石綿によるリスクに関して理解するために、さまざまな環境や状況での石綿濃度を理解し、リスクを把握することが調査者にとって重要なのです。

石綿濃度の基準

労働安全衛生法に基づく作業環境測定ではその評価のための管理濃度(0.15f/mL)が定められています。また、公的な基進ではないですが、日本産業衛生学会では許容濃度として0.15f/mL(クリソタイルのみのばく露)、0.03f/mL(石綿を含むばく露)を勧告しています。

許容濃度は、石綿作業に従事する労働者が労働現場での生ばく露を受けたときに、中皮腫と肺がんの発がんリスクが1/1000、つまり1000人に1人が発がんする濃度です。生涯ばく露とは、その濃度で50年間ばく露することを意味しています。

大気環境基準のような一般環境における基準値は、日本では定められていません。大気汚染防止法では、特定粉じん発生施設に係る隣地との敷地境界における規制基準(敷地境界基準)が定められており、その値は10f/Lです。これは石綿を発生させる工場・事業場を対象とした基準値であって、それ以外の一般環境における基準値ではないことに注意する必要があります。

職業ばく露と家族ばく露

石綿吹付作業など職業性石綿ばく露は、高濃度から低濃度まであり得えます。また、作業員が着ていた衣服を経由してばく露した家族のばく露環境、石綿のある建築物で長期間にわたり作業をおこなった場合のばく露環境、通常大気に含まれる石綿濃度など、さまざまな環境でのばく露濃度を知る必要があります。

職業ばく露

1999(平成11)年、飛散事故があった東京都文京区の事故後の検証実験では、除去作業点から15m離れたバルコニーでも1f/mLを超える石綿濃度が報告されています。

除去時に飛散防止対策を十分に講じることで石綿濃度がいかに低減されるのかを知ることは、十分に飛散防止対策がなされていない工事が行われた場合、どの程度の飛散のおそれがあるのかを知ることにつながります。

一方、石綿含有建材の切断や加工・掃除作業時は数/mL~数百/mLの中濃度の石綿濃度の場合が多かったことが報告されています。

家族ばく露(職業ばく露をした作業員の家族のばく露環境の濃度)

飛散防止抑制を散布した状態での吹付け石綿除去作業で、かつ石綿濃度が8.26f/mLの場合、洗濯作業時の濃度は平均0.40f/mL(最大値1.26/mL)であり、洗濯後乾燥機に入れる時点では石綿繊維は検出できませんでした。

家族ばく露は職業性ばく露の1/20前後の濃度となり、水洗後に石綿は水に流れてしまい、服の石綿濃度がゼロとなることがわかります。

建築物ばく露 吹付け石綿のある部屋の濃度

吹付け石綿のある部屋の石綿濃度は、吹付け時の仕上げ状態、吹付け時からの時間の経過による経年劣化やその他の要素によって異なりますが、大気とほぼ同程度の場合から数+8/L(0.001~0.0数8/mL)までの測定値が報告されています。

一般大気

国内の一般大気の測定では、石綿濃度0.1~0.36/Lという結果が多く得られています。

まとめ

石綿濃度は変動しますが、ある作業に伴う作業者の平均的なばく露濃度がわかれば、それにばく露した時間をかけあわせることで、ばく露量を推定することができます。ばく露量が増えることによって、石綿関連疾患が発生するリスクが増加します。

つまり、作業環境中の石綿濃度とばく露期間(年)から石綿のリスクを知ることができるのです。次回はさまざまなばく露環境と疾患の関係についてお話をいたします。

 

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公開日:2023年12月10日

皆様こんにちは、不動産流通システム、REDSリフォーム、一級建築施工管理技士補、建築物アスベスト含有建材調査者の木須陽子です。前回までのブログで石綿のレベル(飛散の危険性にあわせた作業レベル)別のお話をさせていただきました。今回は年代別に規制対象となる石綿含有率がどう変わってきたかについてお話します。

アスベスト

建築物石綿含有建材調査の歴史

物質や製品の中にアスベストが含まれる割合を示したものを石綿含有率といいます。石綿を0.1重量%を超えて含む製品を石綿含有製品といい、法的な規制を受けます。

建築物石綿含有建材調査を行う際には、対象となる建材の施工年から当時の石綿の規制を把握することが必要となります。法律が改正されるたびに石綿の使用と含有率の規制が行われていきました。

1971年(昭和46年)

日本においてはじめて特定化学物質等障害予防規制が制定されます。
1.石綿の取り扱い作業等における石綿の飛散防止設備の設置
2.作業環境測定の実施
3.特定化学物質等作業主任者の選任

1975年(昭和50年)

特定化学物質等障害予防規制が制定されます。
1.石綿吹付作業の原則禁止
2.湿潤化による飛散の防止
3.規制対象となる含有率は重量の5%超

1995年(平成7年)

労働安全衛生法施行令 改正
1.アモサイト、クロシドライトの製造、輸入等の禁止

労働安全衛生規制の 改正
1.吹付石綿除去作業の作業計画届け出

特定化学物質等障害予防規制 改正
1.呼吸用保護具・保護衣の仕様
2.吹付石綿除去作業場の隔離
3.規制対象となる含有率は重量の1%超

2004年(平成16年)

労働安全衛生法施行令 改正
1.建材10品目製造、使用等の禁止

2005年(平成17年)

石綿障害予防規制の制定
1.建築物等の解体等の作業における事前調査
2.建築物等の解体等における作業計画の作成
3.保温材除去の届け出
4.石綿吹付作業の全面禁止
5.建築物等の解体等の作業に従事する労働者への特別教育
6.保護具等の管理及び作業場への持ち出し禁止

2006年(平成18年)

労働安全衛生法施行令 改正
1.石綿含有製品の製造棟の原則禁止(特殊用途のジョイントシート等を除く)
2.規制対象となる含有率は重量0.1%超え

石綿障害予防規制 改正
1.吹き付けられた石綿等の封じ込めまたは囲い込みの作業にかかわる措置
2.石綿等が吹き付けられた建築物における臨時の業務にかかわる措置
3.器具、工具、足場の持ち出し禁止
4.記録の保存期間延長

2009年(平成21年)

石綿障害予防規制 改正
1.事前調査の結果の掲示の義務つけ
2.隔離の措置を講ずべき作業の拡大
3.電動ファン付き呼吸用保護具等の使用の義務つけ

2012年(平成24年)

労働安全衛生法施行令 改正
1.石綿含有製品の製造等の全面禁止

2013年(平成25年)

石綿障害予防規則 改正
1.隔離を行う場合の漏洩監視と負圧の確認

建築物石綿含有建材調査者講習登録規定(国土交通省)

2018年(平成30年)

建築物石綿含有建材調査者講習登録規定(国土交通省・環境省・厚生労働省)

2020年(令和2年)

石綿障害予防規制 改正
1.事前調査を行うものの規定
2.解体工事の事前調査結果報告

このように、年代によって石綿にかかわる法律が改正され、使用される建材の規制や含有率が変わってきました。昭和31(1956)年の段階で吹付石綿の使用が開始されるのですが、法令で吹付石綿使用中止がされるまで含有率の規制はありませんでした。石綿含有率が5%の規制の期間が約20年にもわたっています。

平成7(1995)年法令で石綿1%超え含有の吹付ロックウール使用中止された以降も使用され続けました。平成16(2004)年に労働安全衛生法施行令が改正され、石綿含有建材の製造が禁止されました。

平成24(2012)年石綿の使用が建材も含め完全にゼロになるまでには長い時間がかかりました。各年代の法律改正において理解することは石綿含有のありなしを判断するために必要なことなのです。

まとめ

石綿は物理的な力が加わると微細な繊維として環境中に飛散します。石綿の種類、石綿の含有建材の種類、力の大きさによって、環境中の石綿の量は大きく異なります。石綿の濃度は、一定容積あたりの石綿の本数で示します。石綿の濃度は変動しますが、ある作業に伴う作業者の平均的なばく露濃度が分かれば、それにばく露した時間をかけあわせると、ばく露量を推定できます。

ばく露量が増えることによって、石綿関連疾患が発生するリスクが増加します。つまり、作業環境中の石綿濃度とばく露機関(年)から石綿リスクを知ることができます。

次回はどのような環境において石綿のばく露が発生するかお話します。

 

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公開日:2023年11月2日

皆様こんにちは、【REDS】不動産流通システム、一級建築施工管理技士補、建築物アスベスト含有建材調査者の木須陽子です。前回のブログではLEVEL2のアスベストのお話をさせていただきました。今回はアスベスト(レベル3)についてお話ししたいと思います。

解体工事

おさらい・アスベストのレベルの違いとは?

アスベストを使用している製品には、アスベスト吹付け材(レベル1)、アスベスト含有建材(レベル2)、アスベスト含有建材(レベル3)の3種類があります。

アスベスト吹付け材(レベル1)とアスベスト含有建材(レベル2)は、飛散性の製品です。一方、アスベスト含有建材(レベル3)は、非飛散性の製品です。

アスベストのレベルの違いとは、飛散の危険性に合わせた作業レベルのことで、アスベストを含む住宅を解体する際、アスベストが飛散すると作業員や近隣住民の健康に影響が出る恐れがあります。この健康被害を防ぐために、アスベストのレベルが定められているのです。

レベル3のアスベスト

アスベスト含有建材(レベル3)は、セメント、けい酸質原料などを主原料とし、成形した建材(アスベスト成形板)です。耐火性、耐久性などに優れており、内装材、外装材、屋根材などとして、広く使用されています。

アスベスト成形板は非飛散性の建材であるため、通常の使用状態では、アスベストが飛散する可能性は極めて低いといえます。しかし、建築物の増改築や解体時には、成形板の破断や粉砕などにより、アスベストが飛散する可能性があるため、慎重な取り扱いが必要になります。

スレート波板、住宅屋根用化粧スレート

波型スレートとは、その名のとおり波型の形状をしたスレート屋根です。戸建住宅のスレート屋根(平板スレート)と同じセメントでできており、主に鉄骨造の建物で用いられ、工場や倉庫の屋根材や外壁材としても使用されています。

戸建て住宅の場合、一般に母屋の上に垂木(たるき)、その上に野地板(のじいた)があり、野地板の上にルーフィング、屋根仕上げ材と続きます。一方、母屋に直接張り付ける波型スレートの屋根は野地板もルーフィングもありません。戸建て住宅のほうが屋根の構造は複雑で、実は工場や倉庫の屋根は思っている以上にとてもシンプルな構造です。

アスベストが含まれている波型スレートの耐用年数は30~40年程度です。高度経済成長期に建築された工場や倉庫の屋根は、そのほとんどが波型スレートです。波型スレートにアスベストが含まれているかどうかは、建物の築年数から判断できます。

1931~2004年に製造された波型スレートにはアスベストが含まれています。屋根の強度を高める補強材として、2004年以前はアスベストが用いられていました。現在はアスベストに代わり、繊維を用いてセメントを強化させています。その頃に建築された波型スレートの建物はとても多く、現在、改修が迫られています。

スレート波板

▲スレート波板

住宅屋根用化粧スレート

▲住宅屋根用化粧スレート

押出成形セメント板

押出成形セメント板とは、セメント、けい酸質原料、および繊維質原料を主原料とし、中空を有する板状に押出成形した製品です。軽量で施工性もよく、耐久性、耐火性に優れており、鉄骨造の外壁、間仕切り壁などに使用されています。アスベスト含有の押出成形セメント板は、2004年に製造終了しました。

押出成形セメント板

▲押出成形セメント板

けい酸カルシウム板第1種(軒天)

けい酸カルシウム板第1種とは、けい酸質原料、石灰質原料、補強繊維を主原料とし、成形した製品で、ケイカル板の略称で呼ばれます。軽量で加工性、断熱性に優れており、一般的な建築物の天井、壁、軒天井、耐火間仕切り壁などに使用されています。アスベスト含有のけい酸カルシウム板第1種は、2004年に製造終了しました。

窯業系サイディング(外壁)

窯業系(ようぎょうけい)サイディングとは、セメント質原料、繊維質原料を主原料とし、板状に成形した製品です。防火性、耐火性、耐震性、耐久性に優れており、住宅などの外壁に使用されています。アスベスト含有の窯業系サイディングは、2004年に製造終了しました。

けい酸カルシウム板第1種(軒天)と窯業系サイディング(外壁)

▲けい酸カルシウム板第1種(軒天)と窯業系サイディング(外壁)

ロックウール吸音天井板

ロックウール吸音天井板とは、ロックウールを主原料とし、結合材、混和材を用いて成形した製品です。岩綿吸音板と記載されていることもあります。吸音性、断熱性に優れた不燃材であり、一般的な建築物の天井、軒天井に使用されています。アスベスト含有のロックウール吸音天井板は、1987年に製造終了しました。

ロックウール吸音天井板

▲ロックウール吸音天井板

ビニル床タイル

ビニル床タイルとは、塩化ビニル樹脂を主原料にして、充填材などを配合して成形した正方形の製品で、Pタイルの通称で呼ばれることもあります。耐水性、耐摩耗性、耐久性に優れており、事務室、商業施設、公共施設などの床に使用されています。住宅では、台所や洗面所の床に使用されています。アスベスト含有のビニル床タイルは、1987年に製造終了しました。

ビニル床タイル

▲ビニル床タイル

化粧せっこうボード

せっこうボードとは、せっこうを芯として両面および側面をボード用原紙で被覆し、板状に成形した製品で、せっこうボードの表面を化粧加工したものが化粧せっこうボードです。防火・耐火性、断熱性、遮音性、寸法安定性を持ち、一般的な建築物の天井、壁に使用されています。アスベスト含有のせっこうボードは、1986年(昭和61年)に製造終了しました。

▲化粧せっこうボード

まとめ

レベル3は外装材や内装材など身近なものにも含まれていることが多いのですが、リフォーム工事の際に注意したいのは、アスベストの規制は段階的に行われており、アスベスト含有なしの記載があっても年代によっては含まれている可能性があるということです。次回は年代別における含有率のお話をしたいと思います。

 

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最終更新日:2023年10月31日
公開日:2023年9月29日

皆様こんにちは、【REDS】不動産流通システム、一級建築施工管理技士補の木須陽子です。

前回のブログで建築物アスベスト含有建材調査者の資格を修得したことと、石綿の事前調査結果の報告が義務化にあたり、人体への影響のお話をさせていただきました。今回はどんなものにアスベストが含まれているか、前回のレベル1に続いてレベル2のお話しをしたいと思います。

解体工事

おさらい・アスベストのレベルの違いとは?

アスベストを使用している製品には、アスベスト吹付け材(レベル1)、アスベスト含有建材(レベル2)、アスベスト含有建材(レベル3)の3種類があります。

アスベスト吹付け材(レベル1)とアスベスト含有建材(レベル2)は、飛散性の製品です。一方、アスベスト含有建材(レベル3)は、非飛散性の製品です。

アスベストのレベルの違いとは、飛散の危険性に合わせた作業レベルのことで、アスベストを含む住宅を解体する際、アスベストが飛散すると作業員や近隣住民の健康に影響が出る恐れがあります。この健康被害を防ぐために、アスベストのレベルが定められているのです。

レベル2のアスベスト

アスベスト含有建材(レベル2)には、保温材、耐火被覆材、断熱材の3種類があります。

耐火被覆板(ケイ酸カルシウム板第2種)

石綿含有耐火被覆板とは、吹付けアスベストと同じ配合比を用いて、工場において型枠で成形したものです。アスベストの含有率は70%以下です。

ケイ酸カルシウム板は第1種と第2種の2種類に分類されます。主な成分は同じなのですが、主にかさ比重(同じ体積における重さ)によって分けられています。石綿含有ケイ酸カルシウム板第2種は主に分厚く(12~70mm)、また軽く、鉄骨の耐火被覆材などに使用されています。耐火被覆材として、吹付け材の代わりに、鉄骨の梁や柱、エレベーター周辺などで、化粧目的に使用されています。

ケイ酸カルシウム板

煙突用石綿断熱材

昭和39年ごろ、従来配管の保温材として使われていたカポサイトを全国のボイラー用の煙突断熱材として転用しました。鉄筋コンクリート煙突は熱に弱く、コンクリート自体がアルカリ性。その弱点を補う断熱材ライニング材が必要であり、煙突から排気される高温酸性なガスからコンクリートを保護し、軽量化させることを目的に、日本の高度成長とともに大量に普及しました。

■カポスタック:断熱材にアスベストを混ぜ圧縮し、筒状に成形製造したものです。
■ニューカポスタック:ライナー層と断熱層の2層構造となっており、ライナー層部分にはスレート板を使用、断熱層には綿状のものを使用しております。
■ハイスタック:ケイ酸カルシウム板を丸型に成形したものです。

煙突⽯綿断熱材(カポスタック)は、オフィスビル、⼯場、ホテル、病院等⼤型施設内のボイラーに接続している煙突内部の断熱材に広く使⽤されています。

煙突用石綿断熱材

屋根用折板石綿断熱材

アスベスト含有の屋根用折板裏断熱材とは、フェルト状などの断熱材です。結露防止、断熱などの目的で、倉庫、車庫、渡り廊下などの屋根裏に使用されています。かつてアスベスト含有率が90%の商品がありました。

屋根材を大きく分けると瓦、スレート、金属になります。このうち、アスベストを含んでいる可能性があるのが前述のスレート(カラーベスト・コロニアル)と粘土瓦以外の瓦、セメント瓦などです。セメント瓦は厚型スレートと呼ばれることもあり、そのことから分かるようにその成分はほぼスレートと同じです

屋根用折板石綿断熱材

配管保温材

レベル2に該当するアスベスト含有保温材とは、アスベストを0.1重量パーセント超えで含有する保温材、耐火被覆材、断熱材を指します。衛生・空調設備の場合は、配管、ダクト、機器類の保温・保冷の目的でアスベスト含有保温材が使用されている可能性があります。

化学プラントなどの施設で使われていることがほとんどであり、建築物では、ボイラー、焼却炉などの設備機器やダクト、配管などに、高温の熱絶縁の目的で使用されています。

配管は熱を逃がさないために保温材が巻かれるのですが、エルボ部分は高温になりやすく隙間を埋めづらいということもあり、直管とは別の保温材が巻かれます。この保温材こそがアスベストです。熱や薬品に強いアスベストは保温材としても優秀で、あちこちのエルボにアスベスト保温材が巻かれました。アスベスト含有の保温材は、1980年(昭和55年)に製造が終了しています。

配管保温材

次回はレベル3のアスベスト含有建材についてお話します。

参考:一般社団法人 建築物石綿含有建材調査者協会(ASA)

 

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最終更新日:2023年8月28日
公開日:2023年8月26日

皆様こんにちは、【REDS】不動産流通システム、一休建築施工管理技士補の木須陽子です。先日、一般建築物アスベスト含有建材調査者の試験に合格し、資格を取得しました!

リフォームや解体工事の需要が増える一方、アスベスト問題が深刻さを増しています。法改正により2023年10月以降、解体・改修工事の際には専門の有資格者による調査報告が義務化されます。アスベスト事前調査を行うには、アスベストに関する知識と、建築物の調査に精通した専門家に依頼しなければならなくなりました。

今回、改めてアスベストに関して、とりわけ危険度の高いものについて話をしようと思います。

工事

建築物アスベスト含有建材調査者の資格を取りました!

建築物アスベスト含有建材調査者の講習は、厚生労働省・国土交通省・環境省告示第1号に基づき、精度の高い石綿調査を行い、その調査結果を飛散防止のために有効活用することを目的として、石綿の関連疾患とリスク、建築物の構造・建材等に関する知識を学びます。

先日、11時間に及ぶ講習を受け、最後のテストに合格し、建築物アスベスト含有建材調査者として無事資格が付与されました。

アスベストの危険レベル

前回のブログで石綿の事前調査結果の報告が義務化にあたり、人体に及ぼす影響のお話をさせていただきました。今回はどんなものにアスベストが含まれ、危険レベルがどのように分類されているのか解説します。

日本では70~90年代にかけてアスベストが大量に輸入されていました。輸入されたアスベストの9割以上が建築分野で使用されており、当時建てられた建物にはアスベストが含まれている可能性があります。

そのため建設業労働災害防止協会による石綿含有建材別作業レベル区分しました。アスベストを使用している製品には、アスベスト吹付け材(レベル1)、アスベスト含有建材(レベル2)、アスベスト含有建材(レベル3)の3種類があります。

アスベスト吹付け材(レベル1)とアスベスト含有建材(レベル2)は、飛散性の製品です。アスベスト含有建材(レベル3)は、非飛散性の製品です

レベルは、アスベストはレベル1が最も危険なレベルとなります。レベルの違いとは、飛散の危険性に合わせた作業レベルのことで、アスベストを含む住宅を解体する際、アスベストが飛散すると作業員や近隣住民の健康に影響が出る恐れがあります。この健康被害を防ぐために、アスベストのレベルが定められているのです。

レベル1のアスベスト

今回はレベル1のアスベストについて解説します。レベル1はどこにあるのでしょうか。

吹付けアスベスト(クリソタイル)

アスベストとセメント系の結合材に水を加えて混合し、吹付け機を用いて吹付け施工したものです。昭和30~50年にかけて耐火被覆用、防音・断熱用として、主に耐火建築物や準耐火建築物に使用されていました。

昭和51年以後はアスベストの含有量が低いものを使用するようになっていますが、製品により含有量や混合されていた期間は異なります。製品として多く使用されているとともに、有害性が高いとされています。外見上は白みのある繊維状の塊で、針などで容易に貫入します。

吹付アスベストクリソタイル

吹付けアスベスト(クロシドライト)

外見上は青みのある繊維状の塊で、針などで容易に貫入します。

吹付アスベストクロシドライト

吹付けアスベスト(アモサイト)

外見上は茶色がかった繊維状の塊で、針などで容易に貫入します。

吹付アスベストアモサイト

吹付けロックウール

ロックウール粒状綿を主原料とし、セメントを硬化材として、専用の吹付け機を用いて鉄骨などの下地に吹き付けます。一定の被覆層をつくる有機物を含まない現場施工の不燃製品です。

吹付ロックウール

吹付けロックウール(乾式と半乾式)

吹付ロックウール(乾式、半乾式)

湿式石綿含有吹付け材

湿式吹付けは材料と水を混ぜた材料を吹き付ける施工方法で、石綿を含有する湿式吹付けロックウールは約20年間(1970~1989年頃)実施されました。

現在実施されているロックウール吹付けは湿式ではなく、半乾式(半湿式ともいう)の吹き付け施工です。石綿含有湿式吹付けロックウール(以後、湿式吹付け)のか密度は0.4~0.7程度で、石綿含有乾式/半乾式吹付けロックウールのか密度(0.3~0.35)より重く、固く、外観も異なり、湿式吹付けの表面は痘痕状の凹凸があるモルタルのようにも見えます。

吹付ロックウール(湿式)

吹付けバーミキュライト

「吹付けひる石」と呼ばれているもの(ひる石・バーミキュライト)をアスベストと混合し、機械で噴出させ天井などに付着させたもので、断熱性、吸音性に優れています。表面は平坦ではなく、骨材と骨材の間に小さなすき間が見受けられ、少し力を入れてさわると弾力が感じられる場合があります。

吹付バーミキュラライト

吹付けパーライト

アスベスト含有のパーライト吹付けとは、パーライトをアスベストと混合し、吹き付け機で吹き付けたものです。防火、断熱、吸音などの目的で使用されました。

真珠岩や黒曜石を焼いて仕上げた軽量の骨材で、火成岩のうち、天然ガラス質の真珠岩、黒曜石を加熱すると、含有された水分が発泡してパーライトとなります。白色粒状で軽石状、多孔質であることから、土壌改良剤などとしても用いられています。

吹付パーライト

まとめ・最も危険なレベル1のアスベスト含有建材はどこにあるか

レベル1は、飛散性が高いアスベストです。他のアスベスト製品と比べて、特に繊維の露出が多く、単一ではもろいのが特徴です。そのため粉塵が比較的に飛散しやすく、少しの外部の力で破損してしまいます。

主な使用箇所は以下のとおりです。

(1)建築基準法の耐火建築物(3階建て以上の鉄筋構造の建築物、床面積の合計が200㎡以上の鉄筋構造の建築物など)などの梁(はり)や柱など。昭和38~50年初頭までの建築物に多く、特に柱やエレベータ周りでは昭和63年頃まで使用されている場合があります。

(2)ビルの機械室、ボイラー室の天井、壁またはビル以外の建築物(体育館、講堂、温泉の建物、工場、学校など)の天井、壁に、石綿とセメントの合剤を吹き付けて所定の被膜を形成させ、吸音、結露防止(断熱用)として使われていました。昭和31~50年初頭までの建築物に多いです。

【写真】
一般社団法人
建築物石綿含有建材調査者協会 (ASA)

次回はレベル2のアスベスト含有建材についてお話します。

 

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最終更新日:2023年6月25日
公開日:2023年6月24日

皆様こんにちは。不動産流通システム、REDSリフォーム、一級建築施工管理技士補の木須陽子です。

先日、一般建築物アスベスト含有建材調査者の講習に行ってきました。リフォームや解体工事の需要が増える一方、アスベスト問題が深刻さを増しています。このアスベスト問題について解説します。

工事

法改正で解体・改修工事に有資格者による調査報告が義務化

法改正により2023年10月以降、解体・改修工事の際には専門の有資格者による調査報告が義務化されます。アスベスト事前調査を行うには、アスベストに関する知識と、建築物の調査に精通した専門家に依頼しなければならなくなりました。

この「建築物アスベスト含有建材調査者」の資格を得るためには、石綿の関連疾患とリスク、建築物の構造・建材等に関する知識について11時間に及ぶ講習を受け、最後のテストに合格する必要があります。私は無事、資格を付与されました。

アスベストとはそもそも何が問題なのか

アスベストとは、天然に産出する繊維状ケイ酸塩鉱物の総称です。繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライトが労働安全衛生法の規制対象となるアスベストになります。

アスベストの繊維1本は直径0.02~0.35μm(髪の毛の5000分の1程度)で、綿のように軽くて柔らかく、耐熱・耐火性や防音性、絶縁性などがあるため「夢の材料」として世界中で建設資材、電気製品、自動車、家庭用品などに重用されてきました。

特に建設現場において石綿(アスベスト)は、昭和30(1955)年頃から、耐火性能を求められる建築材料に用いられてきました。その後、アスベストによる健康への影響が社会問題となり、平成18(2006)年9月以降は、建築物には使用できなくなりました。

しかしアスベストを使って当時建てられた建物は残っていて、それらは解体や改修の時期がやってきているのです。

アスベストによる健康被害

診察

石綿(アスベスト)の繊維は、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることが知られています(WHO報告)。

アスベストによる健康被害は、吸い込んで長い年月を経て出てきます。例えば、中皮腫は平均35年前後という長い潜伏期間の後発病することが多いとされています。

アスベストを吸うこと(ばく露)により発生する疾病としては主に次のものがあります。労働基準監督署の認定を受け、業務上疾病とされると、労災保険で治療できます。

アスベスト肺

肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気のひとつです。肺の線維化を起こすものとしては石綿のほか、粉塵、薬品など多くの原因があげられますが、アスベストのばく露によっておきた肺線維症を特に石綿肺と呼んで区別しています。

職業上、アスベスト粉塵を10年以上吸入した労働者に起こるとされており、潜伏期間は15~20年だそうです。アスベストばく露をやめたあとでも進行することもあります。

肺がん

アスベストが肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていません。しかし、肺細胞に取り込まれた石綿繊維の物理的刺激により肺がんが発生するとされています。また、喫煙と深い関係にあることも知られています。

アスベストばく露から肺がん発症までに15~40年の潜伏期間があり、ばく露量が多いほど肺がんの発生が多いことが知られています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。

実際、厚生労働省の統計によると、中皮腫による死亡者は1995年の500名から、2020年の1605名と、年々増加しているようです。過去に建てられた建物の解体工事が今後増えることが予想されており、被害予防などの対策も急がれています。

悪性中皮腫

肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜などにできる悪性の腫瘍です。若い時期にアスベストを吸い込んだ方のほうが悪性中皮腫になりやすいことが知られています。

潜伏期間は20~50年といわれています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。

このように病気が発症するまでの潜伏期間が何十年と長いことから、アスベストは「静かなる時限爆弾」とも呼ばれています。

まとめ

日本では1970年~90年にかけてアスベストが大量に輸入されていました。輸入されたアスベストの9割以上が建築分野で使用されており、当時建てられた建物にはアスベストが含まれている可能性があります。

調査対象となる民間建築物の合計は、280万棟と推計されていることから、今後は建物の老朽化による解体、改修工事が増える見通しです。建物の解体や改修でアスベストにばく露する可能性があります。

リフォーム工事を行う際でも建築物に使用されている石綿に起因して発生する健康被害及び健康障害を未然に防止するため、有資格者による調査報告が求められるのです。

 

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最終更新日:2023年7月1日
公開日:2023年4月16日

いつもブログを読んでいただき

ありがとうございます。

REDSリフォームの木須です。

 

プリーツ網戸が壊れてしまったので

交換工事を行いました。

取外して

 

新しいプリーツ網戸を取付て

完成です!

30分ほどで工事が可能です!

 

虫が多くなる夏になる前に修理しておきたい

リフォームでした。

プリーツ網戸は切れたり、スライドがうまくできなくなったり

してきたら交換です。

 

是非ご検討くださいませ。

 

木須

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公開日:2023年3月30日

いつもブログを読んでいただき

ありがとうございます。

REDSリフォームの木須です。

 

花粉症の症状がこの時期出てしまう方

大変ですよね。

せめて住宅の中では快適に過ごしたいですよね。

対策しないままでいると、くしゃみがが止まらない、よく眠れない、

という症状が起きてしまいます。

 

室内に花粉を持ち込まないのが大前提!

室内飛散させないようにするには

帰ってきたとき玄関脱いだコートを室内に持ち込まないだけて

飛散防止になります。

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快適な春の生活を送るためにも、しっかりと対策をしておきたいですね!

是非ご相談くださいませ。

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