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木須 陽子

女性目線でリフォームのご提案をいたします。

公開日:2023年12月10日

皆様こんにちは、不動産流通システム、REDSリフォーム、一級建築施工管理技士補、建築物アスベスト含有建材調査者の木須陽子です。前回までのブログで石綿のレベル(飛散の危険性にあわせた作業レベル)別のお話をさせていただきました。今回は年代別に規制対象となる石綿含有率がどう変わってきたかについてお話します。

アスベスト

建築物石綿含有建材調査の歴史

物質や製品の中にアスベストが含まれる割合を示したものを石綿含有率といいます。石綿を0.1重量%を超えて含む製品を石綿含有製品といい、法的な規制を受けます。

建築物石綿含有建材調査を行う際には、対象となる建材の施工年から当時の石綿の規制を把握することが必要となります。法律が改正されるたびに石綿の使用と含有率の規制が行われていきました。

1971年(昭和46年)

日本においてはじめて特定化学物質等障害予防規制が制定されます。
1.石綿の取り扱い作業等における石綿の飛散防止設備の設置
2.作業環境測定の実施
3.特定化学物質等作業主任者の選任

1975年(昭和50年)

特定化学物質等障害予防規制が制定されます。
1.石綿吹付作業の原則禁止
2.湿潤化による飛散の防止
3.規制対象となる含有率は重量の5%超

1995年(平成7年)

労働安全衛生法施行令 改正
1.アモサイト、クロシドライトの製造、輸入等の禁止

労働安全衛生規制の 改正
1.吹付石綿除去作業の作業計画届け出

特定化学物質等障害予防規制 改正
1.呼吸用保護具・保護衣の仕様
2.吹付石綿除去作業場の隔離
3.規制対象となる含有率は重量の1%超

2004年(平成16年)

労働安全衛生法施行令 改正
1.建材10品目製造、使用等の禁止

2005年(平成17年)

石綿障害予防規制の制定
1.建築物等の解体等の作業における事前調査
2.建築物等の解体等における作業計画の作成
3.保温材除去の届け出
4.石綿吹付作業の全面禁止
5.建築物等の解体等の作業に従事する労働者への特別教育
6.保護具等の管理及び作業場への持ち出し禁止

2006年(平成18年)

労働安全衛生法施行令 改正
1.石綿含有製品の製造棟の原則禁止(特殊用途のジョイントシート等を除く)
2.規制対象となる含有率は重量0.1%超え

石綿障害予防規制 改正
1.吹き付けられた石綿等の封じ込めまたは囲い込みの作業にかかわる措置
2.石綿等が吹き付けられた建築物における臨時の業務にかかわる措置
3.器具、工具、足場の持ち出し禁止
4.記録の保存期間延長

2009年(平成21年)

石綿障害予防規制 改正
1.事前調査の結果の掲示の義務つけ
2.隔離の措置を講ずべき作業の拡大
3.電動ファン付き呼吸用保護具等の使用の義務つけ

2012年(平成24年)

労働安全衛生法施行令 改正
1.石綿含有製品の製造等の全面禁止

2013年(平成25年)

石綿障害予防規則 改正
1.隔離を行う場合の漏洩監視と負圧の確認

建築物石綿含有建材調査者講習登録規定(国土交通省)

2018年(平成30年)

建築物石綿含有建材調査者講習登録規定(国土交通省・環境省・厚生労働省)

2020年(令和2年)

石綿障害予防規制 改正
1.事前調査を行うものの規定
2.解体工事の事前調査結果報告

このように、年代によって石綿にかかわる法律が改正され、使用される建材の規制や含有率が変わってきました。昭和31(1956)年の段階で吹付石綿の使用が開始されるのですが、法令で吹付石綿使用中止がされるまで含有率の規制はありませんでした。石綿含有率が5%の規制の期間が約20年にもわたっています。

平成7(1995)年法令で石綿1%超え含有の吹付ロックウール使用中止された以降も使用され続けました。平成16(2004)年に労働安全衛生法施行令が改正され、石綿含有建材の製造が禁止されました。

平成24(2012)年石綿の使用が建材も含め完全にゼロになるまでには長い時間がかかりました。各年代の法律改正において理解することは石綿含有のありなしを判断するために必要なことなのです。

まとめ

石綿は物理的な力が加わると微細な繊維として環境中に飛散します。石綿の種類、石綿の含有建材の種類、力の大きさによって、環境中の石綿の量は大きく異なります。石綿の濃度は、一定容積あたりの石綿の本数で示します。石綿の濃度は変動しますが、ある作業に伴う作業者の平均的なばく露濃度が分かれば、それにばく露した時間をかけあわせると、ばく露量を推定できます。

ばく露量が増えることによって、石綿関連疾患が発生するリスクが増加します。つまり、作業環境中の石綿濃度とばく露機関(年)から石綿リスクを知ることができます。

次回はどのような環境において石綿のばく露が発生するかお話します。

 

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