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鈴木 朋子(宅建士・リフォームスタイリスト)

お客様に寄り添い精一杯頑張ります。

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公開日:2023年11月30日

こんにちは。REDSエージェント、宅建士の鈴木朋子です。今回は「用途地域」についてお話します。

用途地域とは、市街地を13種類の地域に分類し、それぞれの建物の建築制限を定めた規制のことです。用途地域は、都市計画法に基づいて定められており、住居系8地域、商業系2地域、工業系3地域の13種類に分類されています。

みなさまが生活する上で気にすることはないことかもしれませんが、みなさまの家も必ずどこかの地域に属しています。それぞれの用途地域の特徴を簡単に説明します。

用途地域

用途地域は住居系・商業系・工業系の3種類

用途地域は住居系・商業系・工業系の3種類に分かれます。

●住居系:住宅街として発展させることを目的とした地域で、8種類に分けられています。
●商業系:繁華街やオフィス街の用途として発展させる地域で、2種類に分けられています。
●工業系:工場が集まる工業団地のような用途とする地域で、3種類に分けられています。

なぜ13地域に分けられているのでしょうか。例えば住宅の隣に大きな商業施設や工場、学校や公園がごちゃごちゃと建っていると、日当たりや騒音、公害などで住みにくい環境になってしまいます。一方の工場にとっても、住宅がたくさんあって道路が狭いと大型トラックが通りにくかったり渋滞が発生しやすかったりなど、活動に効率が悪い環境になることが考えられます。そうなると住んでくれる人も、そこで工場を建てたいと考える企業もどんどん減ってしまい、地域は衰退します。

用途地域の建物への制限

地域により建てられる建物の種類や大きさなどが制限されているので、結果として地域ごとに住み心地や暮らしが異なります。用途地域は計画的な市街地を形成するために、13地域ごとに建物への制限が設けられています。

例えば、建蔽率や容積率が異なります。「第一種低層住居専用地域」の建ぺい率は場所によって30%・40%・50%・60%の違いがあり、容積率も50%~200%となります。

一方「第一種住居地域」では建ぺい率が50%・60%・80%、容積率は100%~500%。そのため同じ50坪の土地に家を建てようと思っても、建てられる延べ床面積が異なります(第一種住居地域のほうが広い家を建てられることになります)。

また同じ「低層住居専用地域」でも第一種では基本的にコンビニは建てられませんが、第二種は建てられます。第一種と第二種で分かれているのは他にも「中高層住居専用地域」「住居地域」がありますが第一種より第二種のほうが、住宅以外の建物を建てられるため、建物のバラエティが豊富になります。このため同じ「低層住居専用地域」でも第一種はコンビニがないため夜も静かですが、第二種は家の近くにコンビニがある可能性もあり、生活の利便性にも違いがあるでしょう。

用途地域を事前に調べておけば、住んでからの暮らしが見えてきやすくなるのです。

用途地域の詳細

それでは具体的にどんな用途地域があるのか。まずは住宅系の用途地域8地域から見ていきましょう。

(1)~(7)は基本的に「下にいくほど建物の種類が混在した街並みになる」と捉えておくと、理解しやすいと思います。

住宅系の8地域

(1)第一種低層住居専用地域

低層住宅のための地域です。建築物の高さは10mや12mなどに制限されています。一戸建てだけでなく低層マンションも建てられます。
一方、店舗は床面積の合計が50㎡以下であれば可能です。ただ、この規模では一般的なコンビニの広さとしては不十分ですので、コンビニはできないということになります。建物の種類としては、一戸建て住宅のほか賃貸住宅やマンション、小中学校が建てられます。

(2)第二種低層住居専用地域

主に低層住宅のための地域です。高さの制限は第一種低層住居専用地域と同様です。一方、広さは床面積150㎡までの店舗が可能になるため、第一種低層住居専用地域にはなかったコンビニや飲食店が建てられます。

(3)第一種中高層住居専用地域

中高層住宅のための地域です。建物の高さ制限はありません。建物の種類は2階建て以内かつ床面積が500㎡以下の店舗が建てられるほか、幼稚園から大学などの教育施設や病院、図書館、神社や寺院などが建てられます。

(4)第二種中高層住居専用地域

主に中高層住宅のための地域です。建物の種類は第一種中高層住居専用地域で可能な建物に加えて、2階建て以内かつ床面積1500㎡以下の店舗や事務所が建てられます。

(5)第一種住居地域

住宅の環境を守るための地域です。住宅以外は上記の第一種・第二種中高層住居専用地域で可能な建物に加えて、床面積3000㎡までの店舗や事務所、ホテルが建てられます。

(6)第二種住居地域

主に住宅の環境を守るための地域です。第一種住居地域で可能な建物に加えて、ボウリング場やスケート場、また床面積1万㎡以下ならパチンコ屋やカラオケボックスなども建てられます。

(7)準住居地域

道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。国道や幹線道路沿いが指定されることが多く、第二種住居地域で可能な建物に加えて、車庫や倉庫、作業場の床面積が150㎡以下の自動車修理工場、客席部分200㎡未満の劇場や映画館などが建てられます。

(8)田園住居地域

農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域です。建物の制限的には(1)の第一種低層住居専用地域に近いです。住宅のほか幼稚園から高校までの教育施設や図書館、病院、神社・寺院などが建てられるほか、2階建て以下の農産物直売所や農家レストランも建てられます。

商業系の2地域

(9)近隣商業地域

住民が日用品の買い物などをするための地域です。準住居地域よりさらに制限が緩和され、店舗や事務所、劇場や映画館などに床面積の制限がありません。また床面積150㎡以下で危険性がなく環境を悪化させる恐れがない工場や、床面積300㎡以下の自動車修理工場も建てられます。

(10)商業地域

(9)の近隣商業地域よりさらに緩和され、銀行や映画館、飲食店、百貨店などが集まることを目的とした地域です。風俗施設や小規模な工場も認められています。ターミナル駅の周辺部などが指定されることが多いです。

工業系の3地域

(11)準工業地域

主に軽工業の工場やサービス施設などが立地する地域です。危険性や環境悪化が大きい工場を除き、ほとんどの工場が建てられます。住宅やホテル、ボウリング場、映画館、病院、教育施設なども建てられます。

(12)工業地域

どんな工場でも建てられる地域です。住宅や店舗も建てられますが、ホテルや映画館、病院、教育施設などは建てられません。

(13)工業専用地域

工場のための地域です。どんな工場でも建てられますが、住宅は建てられません。

このように用途地域によって「建てられる家の大きさや高さ」や「周辺の住環境」が異なります。特に土地を買って建物を建てたい場合、生活利便性が大きく変わってくるので、用途地域のどれに該当するのかよく調べておいたほうがいいでしょう。

 

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公開日:2023年11月29日

みなさま、こんにちは。《仲介手数料無料または割引》不動産流通システム、REDSエージェント、宅建士の下山です。

家を購入する時に考えることはたくさんあります。

●どのような家に住みたいのか? マンションなのか、戸建てなのか?
●立地や周辺環境は?
●間取りや広さは?
●購入時に掛かる費用は?
●今後のマンションはどうなっていくのか?

現在、老朽化しているマンションの多くで、マンション所有者の高齢化や修繕工事の工事費の急激な上昇により、長寿命化工事に必要な積立金が不足しているとのことです。長寿命化工事が適切に行われないと、マンションの外壁の剥落など、ゆくゆくは廃墟化が避けられず、周囲への大きな悪影響が生じ、行政代執行による取り壊しとなれば、多額の行政負担が生じることとなります。

このため、必要な積立金の確保や適切な長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を後押しすることを目的として、令和5年度税制改正大綱に「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」(マンション長寿命化促進税制)の創設が盛り込まれました。今回はこの問題について解説します。

マンション修繕

マンション長寿命化促進税制に盛り込まれた内容

長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の創設の背景

○多くの高経年マンションにおいては、高齢化や工事費の急激な上昇により、長寿命化工事に必要な積立金が不足。
○長寿命化工事が適切に行われないと、外壁剥落・廃墟化を招き、周囲への大きな悪影響や除却の行政代執行に伴う多額の行政負担が生じる。建て替えのハードルも高く、マンションの長期使用を促す必要がある。
○このため、必要な積立金の確保や適切な長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を後押しすることが必要。

税制改正の概要

〇管理計画の認定を受けたマンション等において、長寿命化工事が実施された場合に、その翌年度に課される建物部分の固定資産税額が減額される。
〇減額割合は、6分の1~2分の1の範囲内(参酌基準:3分の1)で市町村が条例で定める。

対象マンション

○築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること。
○長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること。
○長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること。

対象工事

○令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に完了した長寿命化工事

上記の税制改正は、期間が限られているため、どこまで効果があるか正直わかりませんが、それでも固定資産税額が減額されることは、大変喜ばしいことです。マンションの新築時点では気にならないことも、月日が経っていくと、さまざま不具合が出てきます。適正にマンションを維持、管理していくことが大切で、管理組合や管理会社の腕の見せ所ですが、国としても、できるだけバックアップするような政策を行っています。

近年のマンション政策の取組

マンション

○国土交通省は、2020年6月にマンション管理適正化法、マンション建替円滑化法を改正。
○改正マンション管理適正化法では、国による基本方針の策定のほか、地方公共団体の役割を明確に位置付けるものとして、マンション管理適正化推進計画の作成。一定の基準を満たすマンションの管理計画の認定制度、管理適正化のための助言・指導・勧告制度を創設した。
○改正マンション建替円滑化法では、除却の必要性に係る認定制度を拡充し、従来までの耐震性不足のマンションのほか、火災安全性不足、外壁剥落の危険性のあるマンションを対象に加えるほか、団地における敷地分割制度を創設した。
○2021年6月には、デジタル化や新型コロナウイルス感染症への対応として、マンション標準管理規約を改正し、ITを活用した総会・理事会、置き配に係る内容を位置づけた。また、同年9月にはマンション管理計画認定制度の認定基準となる「長期修繕計画作成ガイドライン」および「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定を行った。
○2022年4月には、改正マンション管理適正化法および改正マンション建替円滑化法が全面施行となり、あわせて(公財)マンション管理センターでは、新築マンションを対象とした予備認定の仕組みを開始した。さらに、管理計画認定や予備認定を取得したマンションに対するインセンティブとして、独立行政法人住宅金融支援機構による融資の金利引き下げ措置が行われている。
○2022年10月には、管理適正化に向けた課題や地方公共団体における先進的な取り組みを共有する場として「マンション管理適正化シンポジウム」を開催した。
○2023年4月には、マンションの長寿命化に資する大規模修繕工事を促すための固定資産税額を減額する税制措置(マンション長寿命化促進税制)を創設した。

近年、国は上記のような政策をおこなっております。制度や基準自体が世の中とともに変化しています。月日が流れれば、そこに住む人も家も変化します。私もしっかりと変化していきたいと思います。少しでも皆様の住宅探しにお役に立てれば幸いです。

それでは、また、お会いしましょう。【REDS】不動産流通システムの下山でした。

 

【REDS】不動産流通システム
下山 聡
080-3082-8409
E-mail: s.shimoyama@red-sys.jp

 

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公開日:2023年11月28日

皆様こんにちは、REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの福島です。

映画『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて』が公開されました! 今回は埼玉県人の私が埼玉県の紹介をさせていただきます。埼玉県内で不動産購入を検討されている方にとって、豆知識となりますように。

埼玉

埼玉県の歴史

古代

埼玉県の古代は、縄文時代から始まります。埼玉県内には、縄文時代の遺跡が数多く発見されており、その中でも、武蔵野台地の南端に位置する「稲荷山古墳」は、国の特別史跡に指定されています。稲荷山古墳は、5世紀後半に築造された前方後円墳で、全長130m、高さ12mの規模を誇ります。この古墳からは、金錯文鏡や金環などの豪華な副葬品が発見されており、当時の武蔵国の有力豪族の存在を示す貴重な資料となっています。

中世

平安時代から室町時代にかけ、埼玉県にあった武蔵国が鎌倉幕府の重要な拠点となり、源頼朝や北条氏などの武士団が活躍しました。当時、多くの寺社が建立され、文化の中心地としても発展しました。

近世

江戸時代、幕府の直轄地となり、多くの武家屋敷や寺社が建てられました。また、武蔵野台地や利根川などの豊かな自然に恵まれており、農業や養蚕が盛んに行われました。

近代から現在

明治から昭和にかけて、埼玉県は近代化の進展とともに、急速な発展を遂げました。鉄道や道路などの交通網が整備され、工業や商業が盛んになりました。東京のベッドタウンとしても発展し、人口が急増しました。埼玉県は現在、東京圏の中心的な都市としてますます発展を続け、魅力を持つ地域となっています。

埼玉県の人気の市区町村

埼玉県の人気の市区町村は、以下のとおりです。

さいたま市浦和区

さいたま市の中心部に位置する浦和区は、交通の利便性が高く、質の高い教育や医療など充実した生活環境から、埼玉県内でも有数の人気エリアです。浦和区は古い歴史があり、旧中山道周辺の街並みや神社仏閣、史跡や天然記念物等の文化財、古くから伝わる祭りなどがあります。また、美術館や図書館、科学館、スポーツ施設、高等学校なども多く、教育・文化に関わる資源にも恵まれています。

さいたま市中央区

さいたま市の南西部に位置する中央区は、さいたまスーパーアリーナやさいたま市立図書館などのエンタメ・文化施設が集積するエリアです。また、北与野駅周辺には、イオンモール与野などの大型ショッピングセンターがあり、買い物にも便利です。

さいたま市大宮区

さいたま市の北部に位置する大宮区は、埼玉県の玄関口として、交通の要衝となっています。また、大宮駅周辺には繁華街が広がり、百貨店やショッピングセンターなどの商業施設がたくさんあります。

さいたま市南区

さいたま市の南部に位置する南区はJR武蔵浦和駅が中心エリアで、周辺にはタワーマンションがたくさんあり、子育て世代が集まっています。住宅街の雰囲気は落ち着いており、治安もいいので安心して暮らせる地域です。

和光市

東京都練馬区に隣接する和光市は、東京のベッドタウンとして人気があります。また、和光市駅周辺には、大型商業施設があり、買い物にも便利です。県内で最も婚姻率が高く、若い市民が多いのが特徴です。和光樹林公園の広大な緑、荒川の雄大な流れ、市内各所で湧き水や緑豊かな斜面林が見られ、都市生活に彩りを与えてくれます。

このほか埼玉県には、以下のような人気の市区町村もあります。

・川越市:江戸情緒あふれる歴史的街並みが魅力
・所沢市:航空自衛隊の基地があることで有名
・越谷市:イオンレイクタウンなどの大型商業施設が集積
・上尾市:上尾市民球場があることで有名

埼玉県の不動産市況

2023年11月23日現在、埼玉県の不動産市況は、以下のとおりです。

土地価格

埼玉県の土地価格は2023年7月時点で、前年同月比で0.8%上昇しています。東京圏の人口増加や、郊外への住宅需要の高まりなどが背景にあると考えられます。

マンション価格

埼玉県のマンション価格は2023年7月時点で、前年同月比で0.9%上昇しています。これは、土地価格の上昇や、新築マンションの供給不足などが背景にあると考えられます。

戸建て価格

埼玉県の戸建て価格は、2023年7月時点で、前年同月比で0.6%上昇しています。これは、土地価格の上昇や、新築戸建ての供給不足などが背景にあると考えられます。

今後の見通し

今後の埼玉県の不動産市況は、東京圏の人口増加や、郊外への住宅需要の高まりなどから、堅調に推移する見通しです。ただし、金利上昇や、景気後退などのリスクも懸念されます。具体的には、以下の点に注目が必要です。

・東京圏の人口増加の継続
・郊外への住宅需要の高まり
・金利上昇の影響
・景気後退の影響

埼玉県の不動産市況の特徴

埼玉県の不動産市況の特徴は、以下のとおりです。

・東京圏のベッドタウンとして、人口増加や住宅需要の高まりが続いている
・土地価格の上昇が顕著
・新築マンションや一戸建ての供給不足が続いている

埼玉県は、東京へのアクセスが良好で、豊かな自然や歴史・文化も魅力的な地域です。そのため、今後も東京圏のベッドタウンとして、不動産市況が堅調に推移していくことが期待されます。

 

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公開日:2023年11月27日

REDSの宅建士・宅建マイスター、坂爪です。

住まい探しで目にする「間取り図」。多くの広告資料で1R・2LDK・3LDKなどと表記されています。この表記の最初に来る数字が「LDK以外の居室の数」なわけですが、時々見かけるのが「S」の表記です。例えば2SLDK・1LDK+Sとか1SSLDKなんて表記もあったりします。この「S」とはサービスルームの略なのですが、間取り図によっては「納戸」「フリースペース」「書斎」「ワークスペース」の表記や「DEN」などというよくわからない表記も見かけます。

この謎の表記について解説します。

間取り図と男性

Sや納戸と表記されていても使い道は自由

かつて不動産会社は2SLDKを3LDKと広告で表記していましたが、昨今は各社コンプライアンス重視の観点から「SLDK」や「納戸」と表記をするようになってきました。

まず気になるのは「サービスルーム」「納戸」「フリースペース」の表記により何か違いがあるのか?ということですが、違いはありません。

書斎・ワークスペースの表記は、設計者や販売元が購入希望のお客様により具体的に利用方法を提案したり、イメージしたりしてもらうためであり、その表記どおりに使わなくてはいけない訳ではありません。

では、なぜ部屋数に加えずにSや書斎等と表記するのか。この「サービスルーム」「S」に代表される表記の部屋は「建築基準法上『居室』と認められない部屋だから」となります。

そもそも居室とはなにか

居室(部屋数)として表記する根拠は、法律で「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定められています。リビングや寝室は代表的な居室ですね。

一方、玄関、トイレ、浴室、脱衣室、洗面所、押入れ、廊下、などは居室ではないということになります。

居室と表記するためには

例えば2SLDKと3LDK、2SLDK+DENと4LDKでは、3LDKや4LDKの表記の方が一般的なのに、なぜ「SLDK」や「+〇〇」のような表記にするのかと言いますと、居室(部屋数)として表示するためには「採光」と「換気」、2つの建築基準法の基準をクリアしなければならないためです。

逆にいうと、「S」や「+〇〇」表記のお部屋は建築基準法が居室に要求している採光や換気の基準が満たせなかった部屋だというわけです。

●採光:建築基準法では「その部屋の床面積の7分の1以上の開口部(窓)を設けること」となっていますが、隣家とあまりに隣接して建っている建物ですと規定面積以上の窓があっても採光上有効とはみなされない場合もあります。

●換気:建築基準法では「建築物の居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積が、居室の床面積に対して20分の1以上としなければならない」となっていますが、換気扇や24時間換気システム等の設置でもOKとなっています。

部屋

簡単に申し上げると、物件探しをされていて「S」などの表記のお部屋のある物件が出てきたら、「そのお部屋は窓が小さいか窓自体がない部屋なんだな!」とご理解ください。首都圏の住宅事情を勘案しますと3階建ての一戸建てやマンションの中住戸(角住戸ではないお部屋)ではどうしてもこの「S」表記のお部屋ができてしまうことは仕方がない状況です。

しかしながらこの「S」「納戸」「フリースペース」「書斎」「ワークスペース」「DEN」等のお部屋、先にも記載しましたが表記の用途どおりに利用する必要はありません。納戸を寝室にしても、書斎をウォークインクローゼットとして利用してもいいわけです。

建築会社やリフォーム業者もこの「S」表記のお部屋を有効活用できるように、収納を付けたりコンセントを設置したり、普通に居室と同等に利用できる仕様に内装を仕上げたりすることが一般的です。普通に居室と同じように寝室や子供部屋、仕事部屋と自由に使っていただけるのです。

日がサンサンと当たる部屋ではないことを利用して、大きなウォークインクローゼットとして利用したり、防音設備を加えてオーディオ関連のお部屋・書斎もいいでしょうし、仕事をする部屋としてもいいでしょう。

最後にこの「S」のお部屋を有効利用するにあたって、アドバイスをひとつ。「S」のお部屋にはちょっといいエアコンを付けましょう。

全ての物件に当てはまる訳ではありませんが、この「S」のお部屋で最も問題になるのが湿度・湿気です、2023年・今年の夏は9月になっても酷暑がつづき湿度もムンムン! 「S」表記のお部屋は比較的小ぶりなお部屋が多く、エアコンをつけると効きすぎて寒いなんてこともありますが「S」のお部屋の湿気対策だけはしっかりとしていただきたいと思います。

特にどこのメーカーがいいと指定はしませんが、エアコンをつけっ放しにしてもランニングコストが安く、室温を下げ過ぎずに除湿ができるタイプのエアコンを設置していただけますと、快適に健康的に「S」のお部屋が有効活用できると思います。

 

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公開日:2023年11月26日

皆様こんにちは。REDSエージェント、宅建士の成田育子です。

今回はご実家を相続した場合に起こると考えられる状況や対策を私の経験上からお伝えします。

相続

相続後、空き家になって放置されたら悲惨

不動産の相続後もご家族が住んでいればさほど問題がないことが多いのですが、空き家になってしまった場合、なるべく早く家の中をきれいに保つことをお勧めします。

戸建てとマンションの場合では、全く違う状況になります。どちらも空き家になり、まめに窓の開け閉めをしっかりして、家の中の空気を入れ替え、水道を流して排水管の通りもよくするなどして管理していれば、さほど問題はありません。

問題は、あまり管理されていない家が相続をした後も同じように管理されなかった場合です。相続後、自宅が空き家となり、放置されると、時間の経過とともに戸建ての場合は敷地内に草木が伸び放題となります。水を流すことがなくなると配管もさびつき、窓を開けて空気を入れ換えないと湿気もこもり、悪臭が漂うようになり、家中にカビが生えて手を付けられなくなります。

なので、築年数がかなり古い戸建てにもう住まないことが分かっているなら、解体して更地での売却をお勧めします。私は上記のような戸建てを、何度か相談を受けて売却をさせていただいたことがあります。庭木や庭にはたくさんの大きな石がそのまま、自転車が10台以上、バイクも置かれていました。家の中は荷物であふれかえり、他の部屋にも行き来ができにくく、足の踏み場もないという壮絶な現場でした。

こうした状態になると、まず個人のお客様には難しい物件になります。解体撤去だけでも何百万の費用がかかり、その費用プラス土地代となるとかなりの費用になるからです。私が相談を受けた案件は建て売り販売もする不動産業者に買い取っていただきました。

ただ、相続登記を身内で全て完了した後でしたので、契約から引渡しまでの手続き自体はスムーズに進みました。このようにスムーズにいくことはまれで、近隣住民に迷惑をかけているなど生前トラブルがあると、土地売却時の測量に協力をしてもらうのに時間がかかったり、最悪売却できないことになったりします。土地の売却時、測量はほぼ必須条件の場合が多いので、近隣とのトラブルを避けるため、空き家になっても手入れをし、ご挨拶することを心がけておきましょう。

一方、マンションの場合、よくあるのは残置物が多かったり、壁にカビが生えていたり、配水管の穴(洗濯機置場の穴、洗面、キッチンの水を流す穴)から臭いが上がってきていたり、エアコンを外した穴から虫が入ってきたりという状況です。実際に私が担当したワンルームマンションで1年空き家にしているお部屋にうかがったら、床中にコバエの死骸が散乱していたこともありました。特に古いマンションだとさらにひどいことになります。

相続前に人間関係の改善も大切

相続

不動産の相続をしても、すぐに売却できるわけではありません。税金面や、相続登記をするまでにかなりの時間を要します。

兄弟がいると尚更です。兄弟が多く、全員仲が良く、全ての理解を得られれば、スムーズにいきますが、お金が絡んでくるとなかなかそうはいきません。スムーズにいった場合と、ぐちゃぐちゃに揉めて何年も相続登記ができず、家がどんどんボロボロになっていく状況も目の当たりにしてきました。

相続側が多ければ多いほど揉める傾向ですので、生前元気なうちに揉めないよう、相続の準備をしておくことが一番です。そうは言っても「自分はまだまだ先」と思っていらっしゃる方がほとんどですよね。

不動産の売却にあたっては、あらかじめ買い手が決まっている場合や、立地条件が優れた不動産の場合を除き、すぐに買い手が見つかるわけではありません。不動産会社に売却相談をしてから買い手が現れて、売却完了までに一定の期間を要します。

また、相続税の取得費加算の適用を受けるためには、できるだけ早めに売却に向けて行動する必要があります(相続税の取得費加算とは、相続した財産を譲渡した場合に、譲渡益に対して相続税額の一定金額を取得費に加算することができる特例のこと)。個々の不動産によりけりで一概に言えませんが、売却に向けて動き出してから売却完了まで6カ月程度はみておいたほうがよいと思います。

まとめ

相続税の取得費加算の適用にこだわって売り急がずに、じっくり時間をかけて適正価格で売却したほうがよかったというケースもありますので注意が必要です。適正価格で売却できるようにするためには、最初にお話ししたように空き家の手入れを怠らずにいい状態にしておくことも大切です。皆様からのお問い合わせお待ちしております。REDS宅建士の成田でした

 

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公開日:2023年11月25日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの渡部です。REDSエージェントがご紹介する【東京の街】シリーズ。今回は東京都大田区をご紹介させていただきます。大田区で不動産探しを検討される方に役立てば幸いです。

大田区

(写真はイメージです)

区の区名の由来

大田区の区名は、昭和22(1947)年に当時の大森区と蒲田区が合併して誕生したことに由来します。両区の旧町名から一文字ずつ取って命名された合成地名です。

かつては手書きで住所などを書こうとするときに、大田区は「大=大田」だったか「太=太田」だったか? と迷うことがありました。しかし大森の「大」に由来することを知ってからは一切迷わなくなりました。

大田区の歴史

大田区の歴史は、古くから人々が暮らしていた大森貝塚の時代(縄文時代)までさかのぼります。江戸時代には、東海道の街道筋にあたっていたため、人馬の往来で賑わい、海岸部では海苔の養殖が盛んに行われました。

明治時代に入ると、日本初の鉄道である新橋・横浜間の鉄道が開通(明治5年)した4年後に大森駅が設置され、交通の要衝となりました。その後、京浜電気鉄道(現・京急本線)も開通したことで、蒲田駅周辺は商業・工業の中心地として発展しました。

大正・昭和時代には、中小工場が進出し、低地部は住宅や工場が密集する商業・工業地域を形成しました。また、高地部には田園調布などの高級住宅街が開発されました。

戦後は、羽田空港の開港により、国際空港として世界中から多くの人々が訪れるようになり、区の経済・文化の発展に大きく貢献しています。

大田区の地質

大田区の地質は、大きく分けて2つの地層で構成されています。

1つは武蔵野台地を形成する地層です。武蔵野台地は、約2000万年前から約1000万年前にかけて、関東ローム層が堆積して形成された台地です。大田区の武蔵野台地は、比較的平坦な地形で、関東ローム層の厚さは平均約20mです。

もう1つは多摩川の堆積物で形成される地層です。多摩川は、約100万年前から現在にかけて、大田区の南東部を流れており、その堆積物によって、三角州や海岸低地が形成されています。三角州は、多摩川の河口部に堆積した砂礫や泥で形成される地形で、大田区の羽田空港周辺や、東海道新幹線の線路沿いに広がっています。海岸低地は、海岸線に沿って堆積した砂や泥で形成される地形で、大田区の海岸部に広がっています。

大田区の地盤は、全体的に安定していますが、三角州や海岸低地では液状化の可能性がある地域があります。

大田区の人気の街

大田区は、さまざまな特色を持つ地域が点在しています。それぞれの地域に個性があり、多様な魅力にあふれています。また大田区は地域全体が交通の利便性に優れています。JRや京急、東急などの鉄道が乗り入れており、都心へのアクセスも良好です。また、羽田空港へのアクセスも良好で、国内外の旅行や出張にも便利です。

そんな大田区の人気の街をいくつかご紹介させていただきます。

田園調布

渋沢栄一などが設立に関わった田園都市株式会社が1923(大正12)年8月から分譲を開始した都内を代表する高級住宅地です。駅西側の3丁目あたりの整然としてかつ、ゆとりのある街の造りは、宅地分譲や都市開発がスタートした当初の理想の高さを感じさせます。土地勘がない方は「田園調布は世田谷区」と認識されていることがありますが、玉川田園調布エリアを除いて田園調布とつく住所は大田区内にあります。

大森

先ほど触れたように明治9(1876)年に開業した「大森駅」を中心に発展したエリアです。

大森はJRの線路を挟んで海側と山側に分かれます。海側には町工場が集積し、住宅と共存共栄を図っています。また、都内で初めての区立海浜公園となる「大森ふるさとの浜辺公園」があり、浜辺での磯遊びや23区で最大級の長さを誇るローラー滑り台を楽しむことができます。山側は「山王」アドレスで歴史のある邸宅地として知られています。

久が原

「久が原台」という台地上の碁盤の目のようにきれいに区画整理された久が原エリアは田園調布や大森山王ととともに区内有数の高級住宅地とされています。場所にもよりますが道路幅が広く平坦な場所も多いです。「高級住宅地」にありがちな威圧感は、それほど感じさせない印象です。昔から人間が住むのに適していたのか、弥生時代の「久が原遺跡」などが見つかっており、出土した遺物は大田区立郷土博物館に展示されています。

蒲田

羽田空港にも近い、大田区を代表する商業地・繁華街が蒲田です。平成10(1998)年に区役所が大森(大田区中央)から現在の蒲田駅前に移転し、行政の中心も蒲田に移っています。区の中心地なので利便性は高く不動産の取引も活発です。

戦前には「松竹蒲田撮影所」があり映画の街として発展しました。サイレントからトーキーへの移行期に「町工場の騒音が撮影に支障がある」という理由で撮影所は大船に移転し、跡地には「大田区民ホールアプリコ」が立っています。

大田区の特徴や今後について

羽田空港

大田区の面積は23区特別区内で最も広い約61.86㎢、令和4(2022)年11月現在の人口は約74万人で23区第3位です。面積は、かつて世田谷区が23区最大だったのですが、羽田空港沖合の埋立工事によって面積が拡大し順位が逆転しました。「海に面した区」ならではですね。

大田区は都心部や羽田空港へのアクセスのよさから、区全体で将来も高い人気・需要が見込まれます。広い区で地域によって個性が全く異なるので、土地勘のない方はよく情報を収集し、実際に歩いてみることをお勧めします(これはどの地域についても言えることです)。区内東側のもともと海だったエリアは工場が多く、土日に不動産会社に案内され現地を確認するだけではなく、「平日の操業音はどうか?」という視点も持ちたいところです。

武蔵野台地のエリアは環境のよい住宅地ですが、地形が複雑で起伏に富んでいる場所が多いです。「こんなに坂が多いとは知らなかった!」という声もよく聞きます。車で回るのも効率が良いですが、やはりご自身の足を使って歩かれることをお勧めしたいです。

羽田空港の機能強化が進められ、大田区は国際的な玄関口として、ますます注目を集めるようになります。また、空港周辺の再開発も進められており、新たなビジネスや文化の発信地として、大田区の役割はますます大きくなっていくと思います。

 

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公開日:2023年11月24日

REDSエージェント、宅建士の藤ノ木です。今回は、防火地域と準防火地域についてお話しします。

防火地域

防火地域と準防火地域について

防火地域と準防火地域という言葉をご存じでしょうか。火災の発生とその拡大を防ぐために設けられた地域です。これらの地域では、建築物の構造に一定の制限が設けられています。規制が厳しい順に並べると、防火地域>準防火地域>無指定地域となります。

防火地域について

防火地域では、地域内の建築物をほぼ完全に不燃化することによって火災からその地域を守り、または帯状に耐火建築物を並べることによって火災の拡大をせき止めるようにしています。この地域では、建築物の構造や材料に厳格な規制が設けられており、木造建築物の建設は原則として禁止されています。建築物の高さや密度、道路の幅などにも制限があり、万が一火災が発生した場合でもその影響は最小限に抑えられます。

準防火地域について

一方、準防火地域については、防火地域ほど厳格な規制は設けられていませんが、それでも一定の防火性能を持つ建築物の建設が求められます。この地域では、木造建築物の建設は許可されていますが、その場合でも建築物の外壁や屋根には防火性能を持つ材料を使用することが求められます。

防火地域での建築物の構造について

防火地域では、建築物の構造に対して厳格な規制が設けられています。具体的には、以下のような制限があります。

●建築物の構造制限:階数が3以上または延べ面積が100㎡以上の建築物は「耐火建築物」または「延焼防止建築物」でなければなりません。また、延べ面積が100㎡以下で2階建て以下の建築物は「準耐火建築物」または「準延焼防止建築物」以上の耐火性能が求められます。

●屋根の制限:防火地域内の建築物の屋根は、市街地の火災にともなう火の粉で延焼を受けないよう、特定の仕上げが必要です。

●外壁の開口部の制限:防火地域の延焼ライン内にある外壁の開口部(窓・扉・換気口など)は、20分間の遮炎性能を持つ防火設備が必要です。

準防火地域での建築物の構造について

準防火地域でも、建築物の構造に対して一定の制限が設けられています。具体的には、以下のような制限があります。

●建築物の構造制限:階数が4以上または延べ面積が1500㎡を超える建築物は「耐火建築物」または「延焼防止建築物」でなければなりません。また、階数が3で延べ面積が1500㎡以下の建築物または階数が2以下で延べ面積が500㎡を超え1500㎡以下の建築物は「準耐火建築物」または「準延焼防止建築物」以上の耐火性能が求められます。

●外壁・軒裏の制限:準防火地域内の建築物の外壁・軒裏で延焼のおそれのある部分は防火構造とし、これに付属する高さ2mを超える門または塀で延焼のおそれのある部分を不燃材料で造りまたは覆わなければなりません。

耐火構造の建物を建築する際のメリットについて

耐火構造の建物を建築する際のメリットは以下のとおりです。

●火災リスクが低い:耐火構造の建物は、壁や床、梁や柱などの構造体が定められた耐火性能を持つため、火災が発生した場合でも被害を抑えることが可能です。
●火災保険料が安くなる:耐火性能が高い建物は、火災保険の保険料が優遇される可能性があります。
●防火地域に建築可能:耐火構造であれば、利便性の高い都市部の地域でも住居を構えられます。
●火災に強く燃え広がりにくい:耐火構造の住宅は燃えづらい材料を用いて建築するので、万が一火災に見舞われても退避するだけの時間を確保できます。

まとめ

購入しようとしている土地や建物が防火地域・準防火地域にあるのか気になる方もいるでしょう。防火地域や準防火地域は、大きな自治体だとインターネットで調べることが可能です。小さな市町村で都市計画情報がネットに公開されていない場合には、役所に問い合わせれば確認できます。不動産会社に相談してみるのもいいでしょう。

 

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公開日:2023年11月23日

こんにちは。不動産売買の仲介手数料が【無料・割引】の【REDS】エージェント、宅建士の小野田(おのだ)です。前回に続いて「道路」について、ブログを書かせていただきます(「道路」については何回かに分けて書く予定で、今回は2回目です)。

前回のブログでは、下記の内容について書きました。

●「道路」は不動産の価値を大きく左右する重要な要素
●道路法と建築基準法での「道路」の違いについて
●「建築基準法」の道路について

本日は建築基準法上の「道路」の「幅員」についてもう少し詳しく解説します。

道路

接道義務と幅員

「建築基準法」第43条では「接道義務」として、建物の敷地は幅員4m以上の(建築基準法上の)道路に間口2m以上で接することが求められています(「幅員4m」という大きさは、日射・採光・通風などの建築物の環境を確保したり、救急車や消防車などの緊急車両が通ったりするために必要な道幅との考えです)。

道路の幅員は、「容積率」や「斜線制限」等を通じて、建築可能な建物の大きさや形状、場合によっては使用用途の制限等にも影響を与えるため、不動産の価値を大きく左右する重要な要素です。

道路幅員の調査の方法

道路幅員の調査では、役所調査と現地調査の2通りの調査を行う必要があります。

役所調査

役所調査では「道路台帳」などでの認定幅員を確認します。ただし「道路台帳」では「公道」の幅員の調査しか行えないことから、必要に応じて「位置指定道路図」、近隣を含めた「建築概要書」など資料を閲覧することも必要になります。

現地調査

現地調査では、実際に現地にて道路の幅員をメジャーなどで計測します。敷地に接面している道路の幅員が一定で平面な場合には、道路と敷地の境界線からの水平距離で幅員を計測します。敷地と道路の間の境界標識(石やプレート)などで境界線が明確になっていれば、その間の距離を測ります。しかし、道路幅員が一定・平面になっていないケースも存在しますので、下記にケース別の道路幅員の測り方を例示します。

ケース別の道路幅員の測り方

歩道がある場合

道路に歩道がある場合は、歩道を含めて道路幅員を計測します。歩道のほか、中央分離帯や路肩なども同様に道路の幅員に含まれます。

側溝がある場合

建築基準法の考え方としては側溝は道路の幅員に含まれます。

「側溝」とは、雨水などを排水し、民地の用水路・排水路として道路の端に設置されるものです。側溝の上部にコンクリート製のふたやグレーチング(鉄などで作られた格子状のふた)が設置されている場合には通行も可能となるので、物理的にも「道路」としての機能を持つことになります。

他方で、ふたなどが設置されていない場合には、その部分は物理的には道路としての機能を有さないことになりますが、建築基準法では側溝はふた(物理的な道路としての機能)の有無にかかわらず、原則として建築基準法上の道路として幅員に含められることになります。

※一部の自治体では慣習的に「側溝」は「道路」に含めないとしている場合もあるため、各自治体の建築指導課などの部署での確認が必要となります。

水路がある場合

敷地と道路の間に「水路」がある場合、原則として水路は含めずに道路の幅員の計測を行います。ただし水路の幅が1m未満の場合は、建築基準法上の道路として幅員に含められる場合や、暗渠(あんきょ)や地下水路で道路とともに管理されているケースでは、道路幅員とすることもあります。水路の取り扱いに関するルールも自治体によって異なります。

「法面」(のりめん)・「法敷」(のりじき)がある場合

「法面」(のりめん)とは、自然の地形や宅地造成(切土・盛土)などで宅地として使用できない傾斜部分のことを指します。「法敷」(のりじき)とは、道路を支えている斜面部分のことです。

「法面」になっている道路や、「法敷」がある道路では、法面・法敷の部分は道路幅員に含めずに計測します。法面・法敷によって道路に高低差があり、傾斜になっている場合は、傾斜部分を除いた水平距離で道路幅員を測る必要があります。

道路の幅員が場所によって異なる場合

途中で幅が異なる不整形の道路は最も狭い部分、最も広い部分など、細かく調べることが必要です。敷地前面の道路幅員が位置によって違うとき、容積率の制限において適用するのが「平均」なのか「最大値」なのか、あるいは「最小値」なのかなど、自治体によって取り扱いが異なります。

その他

前面道路が役所による認定幅員と現地で測った現況幅員が異なる場合、十分な注意が必要です。現況幅員の方が狭い場合には、たとえ認定幅員が4m以上あっても、敷地後退(セットバック)を求められることがあります。

 

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公開日:2023年11月22日

REDSの宅建士・宅建マイスターの菅野洋充です。

旧耐震基準のマンションは都内のけっこう便利なところに多く存在します。リノベーション済みで、室内もきれいで、しかも新耐震基準のマンションより安くお求めになりやすい物件として、多く販売されています。今回は、そんな旧耐震基準のマンションを購入するときに確認しておきたいことを2つ、お伝えしようと思います。

マンションをチェック

旧耐震基準建築のマンションとは

「旧耐震基準建築のマンション」とはどのようなマンションを指すのでしょうか。これは1981(昭和56)年の建築基準法改正前の耐震基準で建築されたマンションのことを指します。詳しくいうと、昭和56年5月31日以前に新築工事に着手した建物のことを指し、これは建築確認の確認済証交付年月日がその日以前かどうかで判断します。この情報は、重要事項説明書に必ず記載されています。購入検討の際に、古めのマンションは確認しておくとよいでしょう。

旧耐震基準と新耐震基準の違い

旧耐震基準と新耐震基準の違いは以下のとおりです。

・旧耐震基準は、震度5強程度の地震でも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準
・新耐震基準は、震度6強~7程度の地震でも倒壊しないような構造基準

阪神淡路大震災や東日本大震災などの大地震を経験すると、旧耐震基準の心もとなさが分かるかと思います。

耐震改修促進法と耐震診断の義務化について

阪神淡路大震災の際に、旧耐震基準の建物が倒壊したにもかかわらず同じ地区の新耐震基準の建物が倒壊しなかったことで、耐震基準というものの重要性が世間一般に認識されました。その後、「耐震改修促進法」という法律が制定され、耐震診断がさまざまな旧耐震基準の建築物に義務付けられることとなりました。

マンションについては全てが耐震診断の義務を負っているわけではなく、地震災害時に通行を確保すべき道路のうち、特に重要な道路(特定緊急輸送道路)沿いの、その道路幅員のおおむね2分の1以上の高さの建物が対象となっています。

旧耐震マンションは耐震診断と耐震補強の有無を確認

耐震補強

ズバリ、旧耐震基準で建築されたマンションは耐震性能が新耐震基準マンションに比べ低いため、耐震診断を行い、耐震補強することが必要です。耐震診断を行わずに耐震補強をすることはほぼないため、まずは耐震診断を行っているかを確認しましょう。さらに、耐震診断の結果を見て、どのような補強が行われている(もしくは行う予定がある)かも確認しましょう。

耐震補強がなされているマンションは、耐震基準適合証明の発行を受けることで新耐震基準のマンションと同様に住宅ローン減税などさまざまな税金の優遇措置を受けることができます。耐震基準適合証明は建築士さんに依頼することで発行が可能です。

耐震診断結果の見方(Is値とq値に注目)

耐震診断結果を見るときには、まず「Is値」に注目してください。

Is値(Seismic Index of Structure)は「(構造)耐震指標」と呼ばれる建物の耐震性の指標で、この値が0.6以上であれば耐震性能を満たすとされています(ちなみに文科省で定める学校の耐震指標は0.7以上となっています)。Is値が0.3未満の場合、大規模な地震で倒壊や崩壊する危険性が高いとされており、購入検討には十分な注意が必要です。

また、q値という水平方向の力に対する耐力指標にも注目してください。こちらの値が1.0以上でないと、倒壊や崩壊の危険性があるとされています。

旧耐震基準のマンションは、給排水管の更新も確認したい

旧耐震基準のマンションは建築後40年以上を経過しており、給排水管の劣化が進んでいる場合が多々あります。配管の更新工事がされているか否かというのは、生活のクオリティを大きく左右します。更新がされていない場合、水道からさびが出たり、あちこちで漏水が起こったりする懸念があります。室内がいくらきれいにリフォームされていても、漏水が起こったら一大事ですね。

ここで重要なのは「実際に共用部配管の更新を行っているか」ということです。〝磁石で水を活性〟うんぬんというような装置を付けてお茶を濁しているマンションは問題外ですし、非常に古い建物の場合、配管を躯体に埋め込んであって、そもそも配管の更新ができない構造のものもあります。そういったマンションは避けたほうがいいかもしれません。

最後に

旧耐震基準のまま耐震診断や耐震補強を行わないマンション、築後40年以上経過していて給排水管の更新を行っていないマンションは、管理組合の財務状況が厳しかったり、管理組合のガバナンスが機能していなかったりするため、購入を検討する際に注意が必要です。

また、旧耐震基準のマンションに住宅ローンの貸し出しを行わない銀行も昨今はあります。旧耐震基準のマンションに限ったことではありませんが、マンションの維持管理に最低限必要な修繕工事を行っているかどうかというのは、その後のマンションの資産価値に大きな影響を与えます。適切にマンションを維持管理しているかの判断基準としても、旧耐震マンションについては耐震診断・耐震補強の有無や給排水管の更新の有無を確認したうえで、購入のご判断をなされることをお勧めします。

 

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公開日:2023年11月21日

皆様こんにちは、REDSの宅建士・宅建マイスターの川口です。今回は「不動産トラブルの事例とその対処方法」に関することをお伝えいたします。

不動産トラブルは、さまざまな原因や事情によって発生します。不動産取引に関わる売主・買主は、トラブルを未然に防ぐためにも、契約内容や法令上の制限などを十分に理解し、適正な取引を行うことが重要です。また、万一トラブルに巻き込まれた場合には、適切な対処方法を知ることが必要です。

具体的にどんなトラブルがあるのか、その対処方法を解説します。

不動産トラブル

よくある不動産トラブル

1.境界のトラブル

土地や一戸建てを売買する際に、境界が不明確だったり、隣地との境界紛争が起きたりすることがあります。このようなトラブルを避けるには、売買前に境界を確定しておくことが必要です。また、売主は境界に関する情報を買主に告知する義務があります。境界が確定できない場合は、売主と買主の間で合意書を締結しておくことが重要です。一番は測量士に測量を依頼することをお勧めします。

2.地下埋設物のトラブル

土地の下に地下埋設物が残っていると、建築やリフォームの際に工事費用が増えたり、地盤が不安定になったりすることがあります。地下埋設物がある場合は、売主はその存在を買主に告知する義務があります。また、売買契約書で契約不適合責任の免責条項を設けることもできますが、一般的には売主による3か月間の責任負担があります。

3.物理的瑕疵のトラブル

建物に雨漏りや傾き、シロアリの発生などの物理的瑕疵があると、買主から損害賠償や契約解除を請求されることがあります。物理的瑕疵についても、売主はその存在を買主に付帯設備や告知表により説明する義務があります。また、売買契約書で契約不適合責任の免責条項を設けることができます。

4.契約書の内容と現況の相違トラブル

売買契約書に記載された物件の内容と、実際の物件の現況が異なることがあります。例えば、面積や構造、設備などが著しく契約書と一致しない場合です。このような場合は契約不適合責任に抵触する場合があります。トラブルを避けるには、売買前に物件の現況を確認することにつきます。また、売主は現況と契約書の内容が一致しない場合は、買主にその旨を告知する義務があります。

5.不動産業者の過失や不正トラブル

不動産取引には、不動産業者が仲介や代理として関わることが多いです。不動産業者は、売主と買主の利益を公平に配慮し、適正な取引を行うことが求められます。しかし、中には、過失や不正によって売主や買主に損害を与える不動産業者もいます。

例えば、物件の情報を隠したり、虚偽の情報を提供したり、売買代金を横領したりします。このような業者によるトラブルを避けるには、不動産業者が信頼できる業者かどうか、実績はあるのかを確認するといいでしょう。

不動産業者に損害を受けた場合は、以下の対処方法があります。

損害賠償の請求:不動産業者に対して損害賠償を請求することができます。損害賠償の額は、不動産業者の行為による物件の価値の減少分や売買代金の損失分などとなります。損害賠償の請求に対して不動産業者が応じない場合は、裁判所に訴えることができます。

不動産業者の登録の取消しや業務停止の申し立て:不動産業者の過失や不正が重大なものである場合、不動産業者の登録の取消しや業務停止を当局に申し立てることができます。申し立ては、不動産業者の所在地の都道府県知事に対して行います。申し立てが認められると、登録の取消しや業務停止などの行政処分があります。

6.物件の引渡しトラブル

物件の引渡しとは、売主が買主に物件の所有権や占有権を移転することを指します。物件の引渡しは、通常は売買代金の全額支払いと同時に行われます。

一見、スムーズに行われる手続きのようですが、物件の引渡しでトラブルが発生する場合もあります。例えば、物件の引渡し日が遅れたり、物件の状態が悪化したり、物件に第三者が居住したりする場合です。このようなトラブルを避けるには、売買契約書に物件の引渡しに関する条件や責任を明確に記載することが必要です。

物件の引渡しでトラブルが発生した場合は、以下の対処方法があります。

契約解除:トラブルが重大なものである場合、売主や買主は契約を解除することができます。ただし、契約解除には一定の手続きが必要で、相手方の同意がない場合は裁判所に申し立てる必要があります。また、契約解除によって売主や買主に損害が発生した場合は、相手方に損害賠償を請求することができます。

損害賠償の請求:トラブルが軽微なものである場合、売主や買主は契約を維持しつつ、相手方に対して損害賠償を請求することができます。損害賠償の額は、物件の引渡しに関するトラブルによる物件の価値の減少分や利用損失分などとなります。損害賠償の請求に対して相手方が応じない場合は、裁判所に訴えることができます。

以上、不動産トラブルの事例と対処方法について、売買に関するものを紹介しました。不動産取引にはさまざまなリスクが伴いますので、契約内容や法令上の制限などを十分に理解し、適正な取引を行うことが重要です。また、万一トラブルに巻き込まれた場合には、不動産会社をはじめ弁護士などの専門家に相談することも必要です。

 

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