菅野 洋充(宅建士・リフォームスタイリスト)
社会に必要とされ人に役立つ企業を目指します
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公開日:2023年8月9日
REDSマーケティング担当の菅野です。先日、こんなことがありました。休みの朝8時くらいに急にピンポーンと玄関チャイムが鳴ったので、ドアフォンから出たら、「屋根瓦が飛んで落っこちそうですよ!」と言われました。
外にでると職人風の2人がいて、斜め向かいの屋根瓦を修理していたらこちらが見えて、一緒に修理できるがどうか、とのこと。
「うん? なんかの商法か?」と思い、その場では「知り合いがいるからそちらに頼みます。教えてくれてありがとうございます」とお断り申し上げ、当社の工事課松本課長に相談、屋根の業者さんを呼んで直してもらいました。
確かに、瓦が一つ外れて転がっていたそうです。「屋根」って、なかなか自分で見て確認するのが難しいので、本当に風とかで外れていたとしたら、教えてくれた2人の職人さんには申し訳なかったと思うのですが「いつどのように外れたのだろう」と、正直いまだに少し訝しい気持ちではあります。
とまあ、うちの家の屋根は瓦葺きだったことを今まであまり意識せずに住んでいたのですが、不動産仲介業に従事していますと、この「屋根材」は必ず重要事項説明書にて説明することだったりします。これが結構な種類があって、お客様に質問されることもたくさんありますので、今回まとめてみようと思います。
一般的に、登記簿に記載されている屋根材は以下のとおりです。
●瓦葺
●スレート葺(薄い石状のものを重ねていく)
●亜鉛メッキ鋼板葺(いわゆるトタン屋根)
●合金メッキ鋼板葺(ガルバリウム鋼板って聞いたことあります?)
●ステンレス鋼板葺(めっちゃ高いけどかなり丈夫でよい)
●ルーフィング葺(アスファルトシングルなどシートを敷いていくもの)
●陸屋根(屋上があるビル・マンションなど)
珍しいものとして以下のようなものもあります。
●草葺(茅葺きなど、あの白川郷のやつですね)
●板葺(木の板で葺いた屋根)
●銅板葺(お寺などで見かけます)
■瓦の分類にはいろいろある
瓦にはいろいろな種類があります。和瓦、洋瓦なんて分け方もあります。
素材でみると以下のようなものがあります。
●粘土瓦(焼き物の瓦全般)
●セメント瓦(セメントで塑性した瓦)
●金属瓦(金属製の瓦)
粘土瓦は以下の3つに分けられます。
・素焼瓦(釉薬を付けずに焼いた粘土瓦)
・陶器瓦(粘土瓦に釉薬を付けたもの)
・いぶし瓦(素焼きの瓦を燻して銀色になったもの)
以下、粘土瓦のメリット、デメリットを説明します。
粘土瓦のメリット
・紫外線に強く、耐久性が高い
スレートやアスファルトシングルなどは、紫外線にやられて約10年で色が褪せて塗装や吹き替えが必要とされています。また亜鉛メッキ鋼板葺などの金属屋根は時間に伴いどんどんさびていきます。しかし瓦は焼き物のため退色したりさびたりせず長持ちします。
・メンテナンスがほとんどいらない
割れたり飛んだりしなければ、基本的には放っておいてもOKなのが粘土瓦です。
・防火性に優れている
焼き物ですので、燃えません。不燃材として防火・準防火地域でも利用できます。
・通気性がよい
瓦は波を打っているように重ねて葺きます。この瓦の裏側に隙間があることで、通気性がよくなり屋根内の熱を逃がします。
・断熱性がある
焼き物の厚みのある瓦は、いわばお寿司屋さんの湯呑みのような感じで、太陽の熱をしっかり断熱してくれます。
粘土瓦のデメリット
・重い
なにより重いことがデメリットかもしれません。屋根の重みを支えるために、しっかりとした基礎や構造を作る必要があります。ただ、建築基準法に従って正しく建築すれば問題ありません。
・瓦職人さんが減っていること
メンテナンス不要とはいうものの、飛んだり割れたりすると修理が必要です。瓦屋根のメンテナンスは専門知識を持った職人さんの手が必要です。
ここで唐突ですが、「日本三大瓦」についての説明です。日本三大瓦とは「石州瓦」「三州瓦」「淡路瓦」の3つを指します。
石州瓦とは島根県の石見地方で生産されている瓦です。焼成温度が非常に高い(1200℃以上)ことが特徴で、雪(凍害)に強く、日本海側や東北、北海道などでよく使われているそうです。独特な赤茶色の瓦で、これは釉薬に鉄分を含んだ「来待石(きまちいし)」を使っているため。全国シェアで2割ほどを占めるそうです。
愛知県の三河地方で生産される瓦です。全国シェアは6割とトップを占めています。歴史も古く、奈良時代からあったようで、鎌倉時代に再建された東大寺の瓦にも使用されていたとか。鬼瓦を作る瓦職人「鬼師」は全国で70~80人ほどいて、そのうち50人が三州瓦の職人だそうです。もともとはいぶし瓦が有名でしたが、その後、塩を釉薬にした「塩焼瓦」を製造するようになり、今は釉薬を使った洋瓦も製造しているそうです。
兵庫県の淡路島で生産されている瓦です。きれいな銀色のいぶし瓦で、淡路島でとれる「なめ土」という細かい粒子の粘土がこのきれいないぶし瓦に合っているそうです。「いぶし銀」という言葉はこのいぶし瓦からきているそうです。飛鳥時代に日本に瓦製造技術が伝わったころから、淡路島には窯があったといいます。実際に淡路瓦として文献に出てくるのは慶長18年で、今ちょうどNHKでやっている大河ドラマ『どうする家康』の安土桃山時代からだそうです。
屋根について少し調べてみただけですが、瓦だけでも非常に奥深く、興味はつきません。ほかの屋根材についても、次回以降のブログで調べてみたいと思います。