菅野 洋充(宅建士・リフォームスタイリスト)
社会に必要とされ人に役立つ企業を目指します
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公開日:2019年10月21日
菅野です。
先週水曜日、巷で話題の『全宅ツイ』の皆さんが書いた本が6冊まとめて届きました!
でも、忙しくてなかなか読めていないです…
ただ、上役に「ブログで書評書きますので、経費でいいですか…?」って言って了解もらって買ったので、とりあえず1冊エイヤッ、と掴んでみたのがこちら。
うっわっt、いきなりハードル高いの引いちまったよ…
これ、書ける内容かなぁ…??と読んでみました。
ほぼ、書けません。
そりゃ、全宅ツイの皆さん匿名だから。
コンプラどうなってんの、っていう内容の本でございます。
ただ、業界に長くいて、ブラックな会社にもいたことのあるような方には、あるあるネタで確かに笑えます。
書けそうな内容にいくつか触れてみます。
#01 てるバレ防止法
「てる」ってのは「大島てる」のことです。
これは確かに聞いたことがあります。
ちょっと違った私の経験談ですが、以前にいた会社で管理していたアパートで人が亡くなっていたことがあり現場検証に立ち会ったのですが、かなりたくさん車が来る(救急車はもちろん、消防車、パトカーなどで数台きて、物件の前にパトライトが光りまくります。)ので、近隣にバレバレでした。
でも、そこは大島てるに載ってないんですよ。
周りに住んでいる人が、大島てるとか知らない感じ()の人たちが多い地域だったんですかねぇ。
あと、しばしば事件の起こる治安の悪い地域だったのも幸い()しました。
大島てるに載っていない事故物件は結構あります。
#07 うるせえ馬鹿野郎(※翻訳・・・大丈夫です・問題有りません)
うちの会社ではまずありえないのですが、よく聞くやつです。
懇意にしていただいているお客様から「○○社で土地買おうとしたら、いろいろ問題があって『どうなの?』と聞いたら『大丈夫です』しか言わないんだよ」って話があって苦笑いしかありませんでした。
最終的に「何が大丈夫なんだ」「大丈夫です」「大丈夫じゃねえだろ」「絶対大丈夫です」の押し問答になり、なぜかお客様がその業者の出禁になったとか。
「大丈夫」って言葉で押し切ろうとする営業マンって、ゴリゴリの営業会社に多いイメージです。
#23 カタツムリ買取法
カタツムリって書いちゃダメ!
#32 案内順番法
これは、昔は賃貸売買問わず最初に基本として叩き込まれた営業手法です。
古典的だけど、あんがい成功しやすく今でもやっている業者、人は多いと思います。
#35 ありよび
いわゆる「おとり広告」です。これで呼ばれて他の物件を紹介されるお客様も辛いけど、これで来た冷え冷えのお客様に他の物件を紹介しなければいけない末端営業マンも実は辛いです。
これをやれという上司、経営者は潰れてしまえばいいと思います。悪質。
#35 指輪技法
私は毎日、結婚指輪をはめています。これは妻との愛の証なので。
#49 合法的媒介物件囲い込み法
弊社で取り扱えない物件の7割くらいはこの技法によるものと思われます。
専任媒介結んでいるのに囲い込む○○○○○○○はつぶれればいいとおもう。
#46 シモキタの空手家法
新築3棟現場でキーボックス内の鍵が一本も無くなっていたことはあります。
全部隠すんじゃねぇっ!!
#55 事前布石法
はとようすけさん、とても良いこと言ってるなぁ。
「人は大事な決断をする時に他の人にアドバイスを頂きますが、その人は責任の重さから否定、買わない方が良いって9割言います」
これ確かに本当だなぁ。責任の重さから否定するのか、無責任にこき下ろすのか、どっちもある感じ。
本人が良いと思っていても他の人に言われてやめるっていうのは結構多い話ですし、後々、自分の決断のほうが正しかったなあと思うことも多いですなぁ。
買いたいっていう気持ちは本当なんだよなぁ。でもマイホームは高い買い物だから不安なんだよなぁ。
その不安なときに、無責任にやめたほうが良いって言えば、まあ、やめちゃうんだよなぁ。
江戸川区をディスっていたお父様、今回の台風でも江戸川区は大丈夫でしたよ!!
江戸川区は全区で危機感持って治水に取り組んでいるんだぞ!!
(被災された全ての皆様にお見舞い申し上げます。)
他にも面白い、というか酷いウル技がたくさん書かれていますが、まあ書けませんよ。
読んでない人には何がなんだかわからないかもしれませんが、読んだらいいとおもう。
不動産屋ではないお客様には若干ついていけない部分もあるかもしれませんが、「不動産屋に騙された」と思ったことがある方には、ご一読いただく価値はあるかもしれません。
私は非常に楽しく読ませていただきました。
最後に、ネタバレせずに感想を書くって、とっても大変ですね!
次回をお楽しみに!!
公開日:2019年9月12日
菅野です。
先日、痛ましい事件がありました。
4歳女児死亡 事件前日の訪問でも詳しい事情確認せず #nhk_news https://t.co/aZcxPsavui
— NHKニュース (@nhk_news) September 3, 2019
少子化が進む日本で「子どもの命を守る」ということは、最も大事で最優先でなければならないと考えます。
ところで、このニュースの中で
出水市は「パートナーがいることは個人情報なので突っ込んで聞かなかった。今後の方針を決めるところだったが、当時の対応を検証したい」としています。
というところがありましたが、この「個人情報」というのはおそらく「プライバシー」のことを指していると思われます。
また一方で、こういった事件もありました。
リクルートキャリア(リクナビの運営会社)が「リクナビ2019」を利用している新卒就活生たちの「内定辞退率」を予測した情報を、利用者たちに同意を得ず求人側企業に販売していたという、個人情報の意図的な漏洩事件です。
【内定辞退予測】厚生労働省、リクナビを行政指導へhttps://t.co/IBH6ywYUBa
学生の内定辞退率を算出し、本人の同意なくデータを企業に販売していた問題。厚労省はリクルートキャリアに行政指導する方針を固めた。
— ライブドアニュース (@livedoornews) September 3, 2019
最初、リクナビ側は個人情報ではないなどと抗弁していましたが、明らかな「個人情報」の無断利用にあたり非難が殺到しました。
中にはこんな実害があったそうです。
読売新聞6日朝刊に掲載の冒頭の事例がマジ気の毒。
・成績優秀、なぜか書類選考の段階で落とされた。
・「うちの大学では例がない」と就活担当。
・実は国家公務員志望でリクナビにもそう登録していた。
・結局公務員試験に不合格。
・先月ようやく1社から内定を得たが希望と全く異なる職種。 pic.twitter.com/0czwgVDFGz— Hiromitsu Takagi (@HiromitsuTakagi) September 8, 2019
本当にひどい話で、就活のために利用していたサイトのせいで、本人のあずかり知らぬところでこの人は内定辞退しやすい人だと判断されてしまったわけです。
これは、この書類選考で落とされた方と内定辞退率が紐付けされていて「個人と特定される状況」となっているので、「個人情報」を求人企業に提供したことになるのです。
個人情報保護法で定義される「個人情報」とは
本人の氏名、生年月日、住所などの記述等により特定の個人を識別できる情報
のことです。
一方、「プライバシー」とは
個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利(デジタル大辞泉より)
という意味で、「個人情報」とは若干、意味が違います。
(「昔、浮気して離婚した〇〇さん」とか「▲▲社をクビになった●●さん」のように個人が特定できるのであれば個人情報にあたるので、「個人情報」と「プライバシー」は重なる部分もあります。)
どちらも個人の生活を守るためには重要で、取り扱いに慎重さを要するというところは一緒です。
ただ、個人情報保護法では「個人情報」の取り扱い方を定めていますが、「プライバシー」については明文化されていない、ということを知っておくべきだと思います。
「プライバシー」については、憲法第13条の「幸福追求権」に基づく権利であることが、判例上で認められています。
冒頭の事件の話に戻りますが、出水市は個人情報もとい「プライバシー」なので突っ込んで聞けなかった、と言っています。
日本国憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
この
「公共の福祉(最も守るべき人権であるところの生存権、言い換えれば、璃愛來ちゃんの命を守るということ)」
のために市は「プライバシー」について突っ込んで聞くべきだったと考えます。
残念です。
最終更新日:2021年12月27日
公開日:2018年4月14日
菅野です。
前回より最近話題になっている、サブリースに関する問題を取り上げました。
前編はこちら
このサブリースというのは、いわゆる「又貸し」です。
大家から安い家賃で物件を賃借し、それを高い家賃で又貸しすることによって差額を儲けとするわけです。
正直なところ、直接入居者に高い賃料で貸した方が大家はもうかるはずなのですが、なぜそれをしないのかというと、要はリスクを負いたくないという素人大家の心理に業者が付け込んでいるだけなんです。
「家賃を保証します!」
という業者の言葉を信じて業者に貸してしまうわけなんです。
ただそういうと反論として、銀行から融資を受けてアパートを建てたり購入したりする際には、素人が自分で賃貸経営するよりも業者が家賃保証した方が銀行としてはリスクが低いという判断もある、という方もいらっしゃいます。
まあそういった部分もなくはないのですが、どちらかというとその業者の紐づけで融資を受けることが多くそういう言い方をしているだけに過ぎない、という場合も少なくないのです。
銀行と建築会社がグル、というやつです。
(かぼちゃはかなり怪しいですが、どうなんでしょうね)
サブリース業者も企業です。何かあればデフォルトも倒産もするのです。
丸ごとサブリースをしてしまうと、その業者がつぶれたら一銭もお金が入ってこなくなるという悲劇に見舞われてしまいます。
そこで対策を取れるかたは良いのですが、サブリースしていれば安心だ、金融商品と一緒だなどと考えていたかたは、急に厳しい寒風吹きすさぶ不動産賃貸世界にさらされて身動きが取れなくなってしまうのです。
それでは解除すればよい、とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、そんな簡単な話ではないのです。
ここで(やっと!)出てくるのが「借地借家法」という法律です。
「借地借家法」というのは平成3年にできた法律ですが、その前に「(旧)借地法、(旧)借家法」という大正にできた法律があり、それが時代に合わなくなったために新たに作られました。
(旧)借地法というのは、廃止されましたが現在も旧法借地権の物件等で不動産を取り扱う者にとっては馴染みのある法律です。
はたして、どうでしょうか?
素人で先祖伝来の土地を持っていて、アパート建築業者から「もうかりますよ、家賃保証で安心ですよ」などと言われていうがままにアパートを建ててしまうような方は、強い大家なのでしょうか?
先日、元レオパレス(がサブリースしていたアパート)を売らせてもらいましたが、売主さんに話を聞くと、その売主さんが買われたときに元の所有者さんはかなり困っていらっしゃった様子で、先祖伝来の土地を守れなくて悔しい、と引渡しの時に泣いていらっしゃったそうです。
その後、売主さんに引き渡された元レオパレス(がサブリースしていたアパート)は、なけなしの入居者をレオパレス21が全部他の物件に移してしまい、全空きになってしまいました。
でも売主さんはご自身でいろいろ動かれ、賃貸状況を改善したうえで今回売却となりました(素晴らしい!)。
明らかにアパート建築業者やサブリース業者の方が強く、騙される土地持ちの素人は弱く保護されるべきだと考えるのですが、間違っていますでしょうか。
でも「借地借家法」では、サブリース業者だろうと借主は守られ、素人で騙されてアパートを建ててしまった大家は保護されないのです。
大家から借主であるサブリース業者に解除を求めることは法律上難しく、サブリース業者が解除することは簡単なのです。
どんなに無能であくどい業者でも、サブリースを解除するのは契約書に大家にとって良心的な条項がなければ非常に困難なのです。
銀行が投資信託などの金融商品を売る際には、リスクについてかなり突っ込んで説明をすることが求められています。
しかし、アパート経営(建築)やワンルームマンション販売などはそういったことは求められません。
これっておかしくないですか?ってことを私は言いたいと思います。
また「借地借家法」でサブリース業者が無条件に保護されるという方向性も時宜に合いません。
消費者保護法という法律がありますが、残念ながらアパート建設は事業とされ適用はないようです。
私はどちらかというと自由主義で規制にはあまり賛成なほうではありませんが、アパート建築業界についてはもう少し誠実さを持ってもらえるよう、法の規制は必要ではないかと考えます。
消費者保護法に準ずるような、弱い大家となる個人を業者から保護する法律が必要であると思います。
今日も長くなってしまいました。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。
最終更新日:2020年6月28日
公開日:2018年4月6日
菅野です!
今回は借地借家法とサブリースについて書きます。
最近、不動産投資界隈では「かぼちゃの馬車」と「レオパレス」が話題です。
これ、どちらもサブリースが絡んでおります。
まず「かぼちゃの馬車」ですが、これは新築シェアハウスを投資家に建てさせて、それをサブリースしていた会社が破綻したというお話しです。
「テラスハウス」なんてテレビ番組でシェアハウスのイメージがアップし、最近は豪華な設備のシェアハウスが都心で流行っています。
この会社はそれに目をつけ「女性専用のおしゃれなシェアハウスを建てて、地方で東京に出ていきたい女の子に就職と住む場所をあっせんすればすぐに入居者が集まる!」と謳いさかんに投資をあおったのです。
ただ、実際に建てられたシェアハウスは、場所はそれほど人気の場所でもなく、テレビのように皆が集まって会話やレクリエーションができるようなリビングや食堂等がない、テレビのおしゃれなイメージとは離れたものでした。
また、この会社のビジネスモデルは「賃料は安くしても入居者の職業あっせんのフィーを貰うことによって高いサブリース賃料が払えるので利回りが確保できる!」というものでした。
しかし、業者は入居者も求職者も集めることは出来ず、サブリース賃料を払いきれなくなってしまったというようなお話しのようです。
そして「レオパレス」ですが、これは強引なサブリース賃料の値下げが問題となって、全国のオーナーから訴訟を起こされているというお話しです。
昔からレオパレスの物件は「レオパレス伝説」なんてコピペもあるくらい、質があまりよろしくないという評判がございます。
レオパレスについては、投資不動産ポータルの楽待さんが、楽待新聞というメディアで詳しく追っています。
(かぼちゃの馬車についてもかなり詳しく追っているようです。もしよければ探してみてください。)
【レオパレス、家賃減額を迫る「恐怖の交渉」】
全国にいる「ヤクザまがいの交渉」被害者https://t.co/nFmzJUZVIA#楽待新聞 #不動産投資
— 楽待新聞 (@RakumachiNews) 2018年3月23日
【再生過程でわかった「薄っぺら物件」の実態】https://t.co/Hi54F9reit
「共存共栄」を信じたレオパレス物件オーナーの叫び#楽待新聞 #不動産投資
— 楽待新聞 (@RakumachiNews) 2018年3月26日
【費用二重取り、「レオパレスはあくどい商売」】https://t.co/jq76rlHZin
「共存共栄」を信じたレオパレス物件オーナーの叫び#楽待新聞 #不動産投資
— 楽待新聞 (@RakumachiNews) 2018年3月27日
(ごめんなさい、記事は楽待の会員でないと全文読めないようです。)
この争いは、サブリース賃料が最初の契約通り入らなくなり、物件所有者(オーナー)が借りていたお金が払えなくなる事態が生じているということが原因です。
会社と契約しているのになぜ家賃がもらえなくなってしまうのか?
ここで出てくるのが「借地借家法」です。(長いので次回に続きます!)
後編はこちら