エージェントブログAGENT BLOG

渡部 親三(宅建士・リフォームスタイリスト)

安心と信頼を御提供できるよう努めさせていただきます。

4.9

66

最終更新日:2022年10月20日
公開日:2022年5月26日

皆様こんにちは。REDS不動産流通システムの渡部です。

 

【健康保険証の原則廃止】がニュースになっていますね。

 

(保険証、原則廃止を マイナカード普及で―厚労省)

『厚生労働省は25日、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」の普及に向け、現行の保険証を原則廃止する案を同日の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会に示した。・・・』

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022052500438&g=soc

 

昨年から従来の健康保険証に加えてマイナンバーカードも利用できることとされていましたが、一歩進んで将来的に現行の健康保険証は廃止する方向であることが明らかになりました。

【行政のデジタル化】のために避けて通れないところなのでしょうか。
馴染み深い健康保険証が廃止になるのは時代の流れでしょうか。

 

この健康保険証は不動産取引ではかなりの頻度で登場します。
顔写真付きではないものが多いこと、行政機関が発行したものではないことから、本人確認書類としてはそれだけでは足りないのですが、【住宅ローンの審査】ではほぼ必須となっています。

 

審査で健康保険証が用いられる理由は2点。

一つは健康保険が国保か社保かを確認し、勤務先の規模や順法性をチェックすること。
従業員5人以上(だったと思います)を雇用している事業主は健康保険に加入させる義務があるのでまず「国保でないか」をチェックします(国保でも審査は通ります)。

 

もう一つは【勤続年数のチェック】。
これが大きいですね。
勤続年数は転職が珍しいことではなくなりかつてに比べると柔軟な見方も出てきていますが、それでも審査では大きなポイントになります。

勤続年数は健康保険証の「資格取得年月日」で判断します。
会社のM&A等に伴う組織変更や健康保険組合の統廃合等にともなって入社日とずれることもありますが、基本的には健康保険証の資格取得年月日で勤続開始時期をチェックします。

 

住宅ローンの審査は書面審査が原則です。
健康保険証が廃止になった場合、勤続年数はどのように審査することになるのでしょうか?

 

現在でも外資系企業が絡む組織変更等々の場合で資格取得年月日が不明確なケースがあります。
こうした場合は勤務先に「在籍証明書」を発行してもらったり、「ねんきん定期便」のコピーで勤務履歴を確認したりしています。
しかし在籍証明書は発行に時間がかかるケースが多く、ねんきん定期便は保管がなかったり電子版になっていたり、スムーズに進まないことが多いです。

 

【マイナ保険証】になった場合、どのように審査を進めることになるのか?
今から不安ですね。

 

廃止になる時期はまだ決まっていないようです。
一般化するのは相当先になりそうですが、「先進的な」会社などでは徐々に健康保険証を廃止していく流れになるかもしれません。
ローンの審査はスピード勝負で早く審査の承認が取れると物件を押さえやすくなり、遅いと他のお客様に物件を奪われます。
場合によっては物件を探し始めの早い段階で在籍証明書を勤務先に発行してもらうこと、なども必要になってくるかもしれません。

 

今後は金融機関側の対応を踏まえて戦略を練っておく必要がありそうですね。
制度の移行期や過渡期はいろいろ大変ですが事前に準備していきたいと思います。

何か実務での動きが分かりましたら当ブログなどでアナウンスしていきたいと思います。

 

それではまた。

 

渡部

 

 

カテゴリー:

公開日:2022年5月19日

皆様こんにちは。REDS不動産流通システムの渡部です。

 

この度祐天寺のマンションの決済手続が無事に完了しました。

 

売却の相談を受けてすぐに買い手が見つかり早期成約できました。

売主様誠におめでとうございます。

 

ただし海外在住の売主様で登記手続は通常よりも大変でした。

 

購入の際もお手伝いさせていただきましたが、当時も海外に居住されていて登記手続が国内に居住されている場合よりもやや大変なことはご理解いただいておりました。

ただ購入と売却では全く登記の「重み」が違います(売却の手続はより慎重な手続が必要になります)。売却の方が面倒で複雑、集める書類も多くなります。

 

また売主様が「非居住者」で一定の要件を満たしている取引内容だったため【源泉徴収】の手続が必要で、こちらも事前に制度の内容をご理解いただくのに少々手間取りました。不動産取引は一般の方には分かりにくいことが多いですが、その中でも【非居住者の源泉徴収制度】は屈指の分かりにくさがあってご理解いただくのに時間がかかることが多い印象です。

 

いろいろありましたが無事に決済を終えることができて安堵しております。

 

今後も海外居住者の購入・売却などの相談は増えてくると思います。

特有の手続・注意点がありますが事前に理解・準備しておけばそれほど心配することはありません。

お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

 

渡部

カテゴリー:

公開日:2022年5月13日

皆様こんにちは。

REDS不動産流通システムの渡部です。

固定金利が上昇しています。

 

住宅金融支援機構の代表的な長期固定金利商品【フラット35】の2022年5月の金利で見てみると、最も利用が多い「借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、団信付帯」の場合、最低金利は1.48%となっています。

 

ここ数か月の推移をみると、

2021年12月  1.33%
2022年1月  1.30%
2022年2月  1.35%
2022年3月  1.43%
2022年4月  1.44%
2022年5月  1.48%

 

となっています。

 

1月に少し下がりましが、2月以降は連続して上昇しています。
この調子ですと来月以降さらなる上昇も考えられるところです。

フラット35(に限らずほとんどの住宅ローン)の金利は「融資実行月=引渡し日の月」のものが適用されることになります。

新築マンションなど、引渡しの時期がかなり先になる方は心配ですよね。

 

住宅金融支援機構はフラット35の過去の金利推移を公表しています。

 

https://www.flat35.com/kinri/kinri_suii.html

 

(これを見ると2016年8月の「0.83%」というのが「底」だったようです。)

 

私が売買仲介の世界に入ったころは2%台後半~3%前後でしたので(当時も「空前の低金利!」と言われていたと記憶しています)、そのころに比べれば半分くらいですから実感としては「まだまだ低い」と思います。

 

変動金利はほとんど変わっておりません。
昔に比べて団信の内容が充実してきており実質的には下がってきているとも言えます。

変動と固定の金利差があまりにも拡大してくる場合は変動金利を選択するお客様が増えてきそうですね。

 

金利については目立った動きがあれば当ブログでも触れていきたいと思います。

皆様どうぞよろしくお願いします。

 

 

渡部

カテゴリー:

最終更新日:2022年6月5日
公開日:2022年5月6日

皆様こんにちは。REDS不動産流通システムの渡部です。

 

先日お客様とお話していたところ、

「タワーマンションの修繕積立金は将来の値上げが心配で躊躇する」

「階数がそれほど高くない一般的な大きさのマンションの方が値上げ幅が抑えられて自分達に合っているのではないか」

というお話がありました。

ネット記事でも「タワーマンションは将来の大規模修繕でとんでもない費用がかかるからやがて廃墟化する!」というようなものもたまに目にしますね。

 

実際はどうなっているのか?

 

タワーマンションは1972年の【三田綱町パークマンション】が第一号と呼ばれることがあります。
ただあちらは地上19階建てで現在は一般にタワーマンションは「20階以上」と定義されることが多いので1976年の【与野ハウス(地上21階建て)】が第一号とされているようです。
いずれにせよ1990年代くらいまではまだまだ珍しい形態でした。
1997年に建築基準法が改正され「高層住居誘導地区」が導入、これ以降都心部・湾岸地域などで多くのタワーマンションが建築されました。
建築が本格化した2000年代からもまだ20数年、まだまだ修繕の実施事例(特に複数回の大規模修繕工事)が少なく、将来どうなるのかはこれから明らかになってくるところは否めません。

ただ国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」というものを作成・公表しています。

 

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html

https://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf

 

実際に適用されている修繕積立金ではなく、作成された長期修繕計画を参照し、

 

「長期修繕計画の計画期間全体に必要な修繕工事費の総額を、当該期間で積み立てる場合の専有面積(㎡)あたりの月額単価」として分析したものです。

 

事柄の性質上、物件ごと建物ごとに個別差が出るのは避けられないためあくまで参考データですが、

 

「超高層マンション(一般に地上20 階以上)は、外壁等の修繕のための特殊な足場が必要となるほか、共用部分の占める割合が高くなる等のため、修繕工事費が増大する傾向にある」

 

という事実に着目し、「地上階数20階未満」と「地上階数20階以上」に建物を分類して比較しています。地上階数20階未満のものはさらに延床面積に応じて4つに分類しています(個人的には延床面積に加えて「戸数」のデータも詳しく見てみたかったところですが)。

 

【計画期間全体における修繕積立金の平均額の目安】は以下のようになっています。

 

 

ばらつきが大きい数字のため「事例の3分の2が包含される幅」と「平均値」の2つの数字が示されています。
「機械式駐車場がある場合」は別とするなど、個別のケースごとに考えなければならない点はありますが、とても参考になる数字だと思います。

 

この数字から「地上階数20階以上」のタワーマンションの修繕積立金について示唆されることは、

 

「タワーマンションの修繕積立金(長期修繕計画での見積ベース)はやや高くなる傾向がある」

「ただしその数字は延床面積5,000㎡未満の物件とほぼ同じくらいである」

 

ということになるでしょうか。

 

延床面積5,000㎡未満のマンションは、都内で分譲済みのかなり多くの物件が含まれます。
そうするとデータ・想定上は修繕積立金が将来とんでもない額まで上昇するというほどではないのかもしれません。

 

逆に「延床面積が小さい物件はタワーマンションと同程度に将来修繕積立金の上昇がある」と判断すべきかもしれません。20階建て未満のタワーマンションではない大型物件が比較的割安といえるかもしれませんね。

 

機械式駐車場の有無や共用部分の施設類を含めた物件のグレード等によっても大きく変化するデータですので、そのまま個別の物件に類推して考えるべきではないかもしれませんが、一つの目安として参考になるのではないかと思います。

 

個々の物件の長期修繕計画はそれぞれ異なりますので個別に検討する必要はありますが、一つの参考データとしてお役立ていただければ幸いです。

 

よろしくお願いいたします。

 

 

渡部

カテゴリー: