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坂爪 潤(宅建士・リフォームスタイリスト)

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公開日:2023年11月27日

REDSの宅建士・宅建マイスター、坂爪です。

住まい探しで目にする「間取り図」。多くの広告資料で1R・2LDK・3LDKなどと表記されています。この表記の最初に来る数字が「LDK以外の居室の数」なわけですが、時々見かけるのが「S」の表記です。例えば2SLDK・1LDK+Sとか1SSLDKなんて表記もあったりします。この「S」とはサービスルームの略なのですが、間取り図によっては「納戸」「フリースペース」「書斎」「ワークスペース」の表記や「DEN」などというよくわからない表記も見かけます。

この謎の表記について解説します。

間取り図と男性

Sや納戸と表記されていても使い道は自由

かつて不動産会社は2SLDKを3LDKと広告で表記していましたが、昨今は各社コンプライアンス重視の観点から「SLDK」や「納戸」と表記をするようになってきました。

まず気になるのは「サービスルーム」「納戸」「フリースペース」の表記により何か違いがあるのか?ということですが、違いはありません。

書斎・ワークスペースの表記は、設計者や販売元が購入希望のお客様により具体的に利用方法を提案したり、イメージしたりしてもらうためであり、その表記どおりに使わなくてはいけない訳ではありません。

では、なぜ部屋数に加えずにSや書斎等と表記するのか。この「サービスルーム」「S」に代表される表記の部屋は「建築基準法上『居室』と認められない部屋だから」となります。

そもそも居室とはなにか

居室(部屋数)として表記する根拠は、法律で「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定められています。リビングや寝室は代表的な居室ですね。

一方、玄関、トイレ、浴室、脱衣室、洗面所、押入れ、廊下、などは居室ではないということになります。

居室と表記するためには

例えば2SLDKと3LDK、2SLDK+DENと4LDKでは、3LDKや4LDKの表記の方が一般的なのに、なぜ「SLDK」や「+〇〇」のような表記にするのかと言いますと、居室(部屋数)として表示するためには「採光」と「換気」、2つの建築基準法の基準をクリアしなければならないためです。

逆にいうと、「S」や「+〇〇」表記のお部屋は建築基準法が居室に要求している採光や換気の基準が満たせなかった部屋だというわけです。

●採光:建築基準法では「その部屋の床面積の7分の1以上の開口部(窓)を設けること」となっていますが、隣家とあまりに隣接して建っている建物ですと規定面積以上の窓があっても採光上有効とはみなされない場合もあります。

●換気:建築基準法では「建築物の居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積が、居室の床面積に対して20分の1以上としなければならない」となっていますが、換気扇や24時間換気システム等の設置でもOKとなっています。

部屋

簡単に申し上げると、物件探しをされていて「S」などの表記のお部屋のある物件が出てきたら、「そのお部屋は窓が小さいか窓自体がない部屋なんだな!」とご理解ください。首都圏の住宅事情を勘案しますと3階建ての一戸建てやマンションの中住戸(角住戸ではないお部屋)ではどうしてもこの「S」表記のお部屋ができてしまうことは仕方がない状況です。

しかしながらこの「S」「納戸」「フリースペース」「書斎」「ワークスペース」「DEN」等のお部屋、先にも記載しましたが表記の用途どおりに利用する必要はありません。納戸を寝室にしても、書斎をウォークインクローゼットとして利用してもいいわけです。

建築会社やリフォーム業者もこの「S」表記のお部屋を有効活用できるように、収納を付けたりコンセントを設置したり、普通に居室と同等に利用できる仕様に内装を仕上げたりすることが一般的です。普通に居室と同じように寝室や子供部屋、仕事部屋と自由に使っていただけるのです。

日がサンサンと当たる部屋ではないことを利用して、大きなウォークインクローゼットとして利用したり、防音設備を加えてオーディオ関連のお部屋・書斎もいいでしょうし、仕事をする部屋としてもいいでしょう。

最後にこの「S」のお部屋を有効利用するにあたって、アドバイスをひとつ。「S」のお部屋にはちょっといいエアコンを付けましょう。

全ての物件に当てはまる訳ではありませんが、この「S」のお部屋で最も問題になるのが湿度・湿気です、2023年・今年の夏は9月になっても酷暑がつづき湿度もムンムン! 「S」表記のお部屋は比較的小ぶりなお部屋が多く、エアコンをつけると効きすぎて寒いなんてこともありますが「S」のお部屋の湿気対策だけはしっかりとしていただきたいと思います。

特にどこのメーカーがいいと指定はしませんが、エアコンをつけっ放しにしてもランニングコストが安く、室温を下げ過ぎずに除湿ができるタイプのエアコンを設置していただけますと、快適に健康的に「S」のお部屋が有効活用できると思います。

 

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