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坂爪 潤(宅建士・リフォームスタイリスト)

エージェントの質の違いをお確かめ下さい。

4.6

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公開日:2024年1月4日

REDSの宅建士・宅建マイスター、坂爪です。現在は管理職をしていますが、かつてはエージェントとして1都3県を駆け回っておりました。

当時、お客様から「坂爪さんはどこに住んでいるの?」と質問をいただいた際に「鎌倉です」とお答えすると、一様に「いいな~」「いい所!!」と嬉しい反応をいただいたものです。ただ、そんな話題の中で時々お客様から言われたのが「鎌倉って税金が高いんでしょ?」という質問です。「鎌倉=税金が高い」は都市伝説のように語られているようです。

今回のブログのテーマは「住む場所(自治体)によって税金の高い安いがあるのか?」です。

税金

居住地域による税金格差は「少しある」

税金に関して「税の平等性」とか「租税負担の公平」などという言葉は聞いたことがあります。簡単にいいますと以下のようなイメージです。

1.納税者を平等に扱わないといけません。
2.同一条件であれば税負担も同一。

そんな中で居住地域によって税金が高い低いということがあっていいのでしょうか? 答えは「少しある」になります。

税金にはいろいろな種類・分類があり、所得税、消費税、相続税などが思いつきますが、その課税主体により国税と地方税に分かれています。

【代表的な国税】

1.所得税
2.法人税
3.相続税
4.贈与税
5.消費税
6.印紙税
7.酒税
8.登録免許税
9.自動車重量税

【代表的な地方税】

1.個人住民税
2.法人住民税
3.事業税
4.固定資産税
5.都市計画税
6.不動産取得税
7.自動車税
8.軽自動車税

自治体で差が出る地方税

国内では同一条件で課税されるとき、鎌倉市だけ贈与税が高いとか、鎌倉市民だけ所得税を余計に支払うなんてことはありません。ただし、地方税の中には、自治体により多少税率や均等割りの金額に差が出てくるものがあります。その例を見ていきましょう。

住民税

住民税は一般的に都道府県民税と市町村民税を合算したものをいいますが、この税額は所得に関係なく一律に負担する均等割りと、収入によって変動する所得割の2つの税額を合算して計算されます。

自治体ごとに差が出るのは多くの場合均等割のほうです。一般的に均等割は都道府県住民税1,500円+市町村住民税3,500円の合計5,000円の均等負担額に所得割の分が上乗せされるのですが、この都道府県均等割住民税の金額が結構違います。

●岩手県:いわての森林づくり県民税+1,000円
●宮城県:みやぎ環境税+1,200円
●神奈川県:水源環境保全税+300円
●岐阜県:清流の国ぎふ森林環境税+1,000円

他にも多くの県で「都道府県均等割住民税」にある程度の金額がプラスされています。

所得割

所得割は多くの自治体が《都道府県住民税4.0%+市町村住民税6.0%》ですが、私が調べた限りでは【神奈川県】【横浜市】【名古屋市】【大阪府田尻町】【兵庫県豊岡市】などが均等割と合わせて所得割の割合を変えています。

●神奈川県:都道府県住民税4.025%+市町村住民税6.0%=合計+0.025%
●横浜市:都道府県住民税2.025%+市町村住民税8.0%=合計+0.025%
●名古屋市:都道府県住民税2.0%+市町村住民税7.7%=合計-0.3%
●大阪府田尻町:都道府県住民税4.0%+市町村住民税5.4%=合計-0.6%
●兵庫県豊岡市:都道府県住民税4.0%+市町村住民税6.1%=合計+0.1%

具体的には課税所得が400万円で試算した場合、住民税が一番安い自治体は大阪府田尻町、一番高い自治体は神奈川県横浜市となります。

標準的な都道府県均等割1,500円+市町村均等割3,500円+都道府県所得割4.0%+市区町村所得割6.0%と比較しますと、大阪府田尻町は2万4,000円安くなり、神奈川県横浜市は2,200円高くなる試算となります。

固定資産税

固定資産税は不動産を所有すると避けて通れない税金です。標準税率は1.4%となっていますが、1.7%まで増税が可能です。数は少ないですが固定資産税率を0.1%~0.3%増税している自治体があります。

都市計画税

これも不動産の所有に関連して課税される税金で固定資産税と一緒に徴収されますが、税率は上限が0.3%です(標準税率ではなく上限が0.3%)。ほとんどの自治体で課税されていますが、いくつかの自治体では都市計画税自体を課税していないようです。

この固定資産税と都市計画税が何について課税されるかと言いますと各自治体が算出した「課税標準額」、いわゆる「評価額」について、1.4%、0.3%とそれぞれ課税されるわけですが、この「評価額」の算出の仕方が自治体ごとに違います。

評価額は原則として3年に1度、総務省が定めた土地や家屋を評価する指標である「固定資産評価基準」によって決まります。ひとつひとつの不動産につき自治体の担当者が基準に照らして決めていくわけです。決まっているのは評価する時のルールですので、おおもとの基準や個々の事案について担当者がどのようにジャッジするかで評価額は変わってくるわけです。

不動産は同じものは二つとありませんので単純比較はできませんが、地域ごとの条例や地域特性から「A市は全体的に評価額が高い、一方のB市は全体的に評価額が低い」といったことが起こるわけですが、あくまでも総務省が定めた範囲内のバラつきなので、特定の自治体が高いとまでは言えませんがバラつきは生じます。

最後に

今回のブログのテーマ「住む場所(自治体)によって税金の高い安いがあるのか?」ですが、結論は「自治体によって税金の額が変わってくるのは住民税と固定資産税・都市計画税で、年間数百円~数万円の違いが発生する」となります。

鎌倉市民の方、ご安心ください。我が街鎌倉が他の自治体と比較して「税金が高い」ということはないようです。

 

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