住宅ローン審査を左右するのは不動産のナニ？

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの金谷です。

住宅ローンといえば、個人の信用情報や収入、仕事内容などが影響するイメージが強いのですが、個人の内容に問題がなくても、不動産の物件そのものが住宅ローンの審査に与える影響は大きく、金融機関は「貸すに値する物件か」をしっかりチェックしています。

今回は、物件の何が住宅ローン審査に関係するのかを解説します。

（写真はイメージです）

物件の種類・用途

住宅ローンは基本的に「本人が住む家」が対象です。投資用や別荘などは住宅ローンでは借りられません。

マンションや戸建てといった物件の種別により、評価が変わることは基本的にはありません。それぞれの物件の価格が、担保となる不動産価格として適正であるかどうか、調査が行われます。売買契約締結前に行われる、重要事項説明書に記載される内容も金融機関はしっかりと確認をしています。

物件の担保価値

住宅ローンは、融資をするための条件として「抵当権」を設定します。抵当権とは、お金を貸した側（金融機関など）が、返済されなかったときに、その不動産を売ってお金を回収できる権利のことです。住宅ローンを完済すれば、抵当権は抹消できます。

住宅ローンは大きな金額を長期間にわたって貸すものなので、金融機関もリスクがあります。抵当権があることで、万が一のときも「物件を売却してお金を回収できる」という仕組みです。

難がある物件に対しては評価が低くなり、融資の対象外となってしまうのはそうした理由からです。その例を大きく2つ挙げます。

再建築不可物件

再建築不可物件とは、今ある建物が壊れても、新しく建て直せない土地にある物件のことです。老朽化しても、火災や地震で壊れても、建物を新築できないという状況にある物件です。

再建築できない理由は、建築基準法の接道義務を満たしていないことが挙げられます。建築基準法では、建物を建築するには幅員4m以上の道路に、敷地が2m以上接していなければなりません。これを接道義務といいます。

見た目が道路状となっていても、建築基準法の道路として認定されていない道路もありますので、幅員、接道幅が確保できていても、道路の調査は重要となります。不動産の物件としても、再建築不可の物件は市場に多く販売されておりますが、大半が市場価格より安価ですので、目に留まる物件も多いはずです。

どのような経緯で建築されたか定かでない物件がほとんどですが、昔の法規制が厳しくない時期に建築されています。再建築不可の敷地の物件は、融資を受けて購入することが極めて困難な物件です。

違反建築物

違反建築物とは、法律や条例に違反して建てられた建物のことです。例を挙げます。

建ぺい率・容積率の超過…その場所で、法令で定められた建築可能な面積を超えて建築されている建物
接道義務違反…前述の接道義務を果たしていないのに建築されている
用途違反…住宅専用地域に工場を建てた
違法建築…建築確認申請を行わずに建築（無許可）

マンションの管理や仕様の問題

マンションの管理や仕様が以下のような場合、融資に影響することがあります。

自主管理…管理会社に委託をせずに、自主管理にて運営されているマンションに対して、融資を受けられない金融機関が一部あります。
総戸数…総戸数が少ないマンションだと、融資が困難だという金融機関があります。
旧耐震基準の建物…1981（昭和56）年5月31日以前の建築確認を取得している建物です。中古戸建てを購入する際には影響は少ないのですが、旧耐震基準のマンションでは、耐震補強工事が実施されているかが重要となります。古いマンションは、好立地に建築されている傾向にあるため、旧耐震基準のマンションは、都心の一等地といわれる場所にも多く存在します。

借地権の物件

借地権の物件も、以下のように住宅ローン審査に影響します。

担保価値…住宅ローンでは、物件を担保として貸し出すため、金融機関は担保価値を重視します。借地権付き物件は土地の所有権がないため、担保価値が下がる傾向にあります。
地主の承諾の有無…借地権で住宅ローンを組むには、多くの場合、地主の承諾（名義変更、借入に関する承諾など）が必要です。地主が法人、個人などの種別や内容によって、融資基準も変わります。
借地の種類…普通借地権は更新が前提のため、住宅ローン取り扱い可能な金融機関があります。一方、定期借地権は更新がなく、契約終了後は建物を取り壊して返還となるため、残存期間が長くないと融資が厳しくなるケースが多くなります。

まとめ

住宅ローンの審査は、借り入れる方の信用状況だけではなく、物件の評価も大きな影響を与えます。住宅ローンを利用される方は、その不動産のスペックや管理状況、仕様に注意しましょう。

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