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金谷 昭夫(宅建士・リフォームスタイリスト)

高く早く売却する方法をご提案致します。

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公開日:2024年2月21日

REDSエージェント、宅建士の金谷です。カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること)に向けて、さまざまな業界で取り組みが行われています。不動産業界でも同様で、住宅や建築物にも今後、さまざまな対応が行われます。カーボンニュートラル達成に向けて今後、住宅はどう変わっていくのか、解説します。

カーボンニュートラル

カーボンニュートラルとは?

我が国では、地球温暖化の対策として「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指しています。

カーボンニュートラルとは、人間の活動によって発生する温室効果ガスの排出量を削減し、残った排出量を吸収または補償することで、差し引きゼロになる状態を指します。カーボンニュートラルを達成するためには、再生可能エネルギーの導入、省エネルギーの促進、二酸化炭素の吸収手段の活用など、数多くの手段が必要です。

企業や自治体など社会全体で環境への負荷を削減し、再生可能エネルギーを利用することで実現に向かいます。不動産業界も積極的にかかわっており、「住宅」についても対策が取られることになります。具体的には環境改善に貢献する住宅を選んだ消費者にはメリットがある、ということになります。

2030年までの住宅、建築物への対応

2030年までに新築される住宅など建築物の省エネ基準がZEH、ZEB基準の水準の省エネ性能に引き上げられ、適合していることが義務づけられます。

ZEHは「ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、英語では「Zero Energy House」または「Net Zero Energy House」と呼ばれる概念です。ZEHは、建物が年間を通じて消費するエネルギーと、生成する再生可能エネルギーがほぼ同等である、または生成されたエネルギーが消費エネルギーを上回る建物を指します。

ZEHはまず、建物自体のエネルギー効率を向上させます。断熱性能の向上、高効率な冷暖房システムの採用、省エネ型の照明や家電の導入などが含まれます。さらに再生可能エネルギーの導入を重視します。太陽光発電など、建物が自己消費できる再生可能エネルギーの導入が一般的です。太陽光発電などで発生した余剰エネルギーを蓄電池などで貯蔵し、必要なときに利用する技術を導入することで、エネルギーの有効活用を図ります。

ZEBは、「Zero Energy Building」の略で、エネルギーの生成と消費がほぼ同じであるか、生成したエネルギーが消費を上回る建築物を指します。

また、再生可能エネルギー導入のため、新築住宅の6割に太陽光発電設備が導入されます。

カーボンニュートラル

建築物の木材の利用促進

木材は再生可能な天然資源であり、その生産・利用サイクルをすることで二酸化炭素の吸収と放出をバランスよく保つことができます。このため木造建築は環境への負荷が低いとされています。

木造住宅は軽量で施工が迅速であるため、省エネルギー性能や建築コストの削減にも寄与し、持続可能な社会を築くための一環として注目されています。

建築基準法の改正

建築物省エネ法の改正に伴い、建築基準法の見直しも行われました。

屋根の断熱改修や屋上への省エネ設備の設置等の省エネ改修等を円滑化

(改定前)第一種低層住居専用地域等や高度地区においては、原則として都市計画に定められた高さの制限を超えてはならない。
(改定後)第一種低層住居専用地域等や高度地区における高さ制限について、屋外に面する部分の工事により高さ制限を超えることが構造上やむを得ない建築物に対する特例許可制度を創設。

外壁の断熱改修や日射遮蔽のための庇の設置等の省エネ改修等を円滑化

(改定前)都市計画区域内においては、原則として都市計画により定められた容積率や建蔽率を超えてはならない。
(改定後)屋外に面する部分の工事により容積率や建蔽率制限を超えることが構造上やむを得ない建築物に対する特例許可制度を創設。

住宅及び老人ホーム等に設ける給湯設備の機械室等について容積率緩和の手続きを合理化

(改定前)建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可
(改定後)省令に定める基準に適合していれば、建築審査会の同意なく特定行政庁が認定

住宅の居室に必要な採光に有効な開口部面積の合理化

(改定前)住宅の居室にあっては、その床面積の1/7以上の大きさの採光に有効な開口部面積の確保が必要
(改定後)原則1/7以上としつつ、一定の条件の下で1/10以上まで必要な開口部の大きさを緩和

住宅ローン減税

住宅ローン減税についても、脱炭素化に対応した住宅は減税の割合が高くなります。

長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の種別で、それぞれ借入金額の上限が3段階に分かれていて、その種別によって、借入金額の上限がその他の控除対象の一般の住宅より高い水準となります(新築住宅、中古住宅ともに)。

今後、住宅の性能も上がることにより、建築コストも上昇することが考えられますので、新築住宅のご購入を希望される方は、金利の上昇が始まる前に、住宅のご購入をご検討されることをお勧めいたします。

 

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