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金谷 昭夫(宅建士・リフォームスタイリスト)

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最終更新日:2023年6月25日
公開日:2023年6月22日

REDSエージェント、宅建士の金谷です。

今回は、建築基準法について解説します。建築基準法は、建築物の設計、施工、使用における基準を定め、公共の安全と健康を確保するために制定されています。建築物の耐震性、燃防性、構造、衛生環境、バリアフリーなど、さまざまな要素を規制し、時代の変化や社会ニーズに応じて改正されてきました。この建築基準法について解説します。

建築基準法

建築基準法改正の方向性

建築基準法は、時代の変化や社会のニーズに応じて改定されることがあります。改定の目的は、建築物の安全性と利便性の向上、災害への適切な対応、エネルギー効率の向上などです。

建築基準法は社会の変化や技術の進歩に合わせて改定されるため、不動産売買においても常に最新の基準を把握し、これに従って物件調査などを行う必要があります。以下、近年の建築基準法改定の一例をいくつか挙げます。

耐震性の強化

地震対策は日本の建築において最重要課題です。これまで耐震性の基準が強化され、新しい技術や知見が反映されて改定されてきました。具体的には、地震に強い建築物の普及を促すため、耐震設計の基準が厳しくなりました。

バリアフリーの推進

高齢者や障害者の利便性を向上させるため、建築基準法はバリアフリーの規定を盛り込んでいます。改定により、建築物へのバリアフリー設備の導入が促進され、誰もが利用しやすい社会の実現を目指しました。

省エネルギー対策

気候変動への対策やエネルギーの効率的な利用を目指して、建築物の省エネルギー化が重要視されています。建築基準法の改定では、断熱性能やエネルギー効率の基準が見直され、環境負荷の低減が図られました。

防災対策の強化

自然災害への適切な対応が求められる中、建築基準法の改定では、津波、洪水、台風などの災害に対する基準が見直されました。避難場所や非常用設備の確保、建築物の耐久性の向上などが盛り込まれました。

建築基準法、耐震強化の歴史

地震

建築基準法における耐震性の強化は、日本の地震国としての状況や災害教訓に基づいて進められてきました。以下に、建築基準法における耐震性の強化の歴史の概要を示します。

1919(大正8)年:市街地建築物法の制定

建築基準法の前身である「市街地建築物法」が1919(大正8)年に制定されました。制定されてから4年後に関東大震災による大きな災害が発生。大きな被害を受け、建築物の耐震性向上が求められるようになり、震災後、市街地建築物法にて耐震基準が盛り込まれました。

1950(昭和25)年:建築基準法の制定

第二次世界大戦で全国各地が戦火に見舞われ、市街地に限らず全国すべてにおいての基準を設ける必要性が出てきたため、市街地建築物法に代わり建築基準法が制定されました。震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないことが基準とされていました。

1981(昭和56)年:新耐震基準

1978(昭和53)年に発生した宮城県沖地震による被害を受け、新たな耐震基準の策定が始まりました。これにより、地震への耐性を向上させるための構造設計基準(建物基礎の構造・壁量の増加)を強化する内容が盛り込まれました。

この改定では、中地震では軽微なひび割れ程度の損傷にとどめ、震度6程度の大規模な地震で建物の倒壊や損傷を受けないことを基準としています。過去の改定基準では大きな変わり目となった改定です。

2000年(平成12年):新耐震基準の改正

1995(平成7)年の阪神淡路大震災を契機に、より高い耐震性の確保が求められました。このときの建築基準法の改正では、地耐力(岩盤が持つ固有の強さ)強化や接合金物の設置など設計の基準が見直されました。この時の改定は主に木造住宅に関する内容でした。

建築基準法が今後、どのようになっていくか

建築基準法の将来の展望としては、以下のような取り組みや方向性が考えられます。

建築基準の見直し

地震に対する耐震基準の強化は今後も進む可能性があります。これにより、新築建物や改修工事においてより高いレベルの耐震技術が要求されることが予想されます。

既存建築物の耐震補強

日本には古い建築物が多く存在しており、それらの耐震性を向上させるための補強策が重要となります。政府や自治体は、所有者への啓発や支援策の提供などを通じて、既存建築物の耐震補強を促進しています。

技術の進歩

建築技術や材料の進歩により、より効果的な耐震設計や補強方法が開発される可能性があります。新しい技術や材料の導入によって、より高い耐震性を備えた建築物が実現されることが期待されます。

まとめ

建築基準法の改正や技術の進歩によって、将来的にはより安全な建築物が建設され、地震による被害のリスクが低減されることが期待されます。不動産売買においても、慎重な調査を行い、個々のリスクを想定し、対応していくことが重要となります。そうした調査を行う不動産会社であるかには十分お気をつけください。

 

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