こんにちは。仲介手数料が必ず割引・最大無料の「不動産流通システム」、REDSエージェント、宅建士の戸村です。
前回から不動産にかかわる税金についてお話しさせていただいておりますが、今回ご説明するのは住宅ローン減税です。
この住宅ローン減税は2024(令和6)年度から内容が複雑化していて、私たち不動産会社の人間にとってもわかりづらいものとなっています。2024年時点では税務署に問い合わせても明確な回答が得られない時期がありました。おそらく税務署職員の方にとっても当初はわかりづらい内容だったのだと思います。
では、2025年度住宅ローン減税について解説していきます。

(写真はイメージです)
2024年から変わった「省エネ性能」
2025年度住宅ローン減税の仕組みが複雑化した原因は「省エネ性能」についての変更です。
2021年10月に建築物のエネルギー消費性能の向上を図るため、建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)を制定・改正し、建築物のエネルギー消費性能基準への適合義務などの措置が講じられました。
断熱性能を高めた省エネ住宅にすることで「住宅の省エネルギー化」が実現できます。そのため、2024年から重要な要素となるのが住宅の「省エネ性能」で、住宅ローン減税はこの「省エネ性能」の一定の基準をクリアしていることが必要となります。
詳細は私が昨年書いたブログ
「2024年4月、「省エネ性能表示制度」スタート! 住宅ローン減税にも影響する「省エネ性能」とは?」
をご確認ください。
子育て・若年世代のメリット
私は不動産売買仲介時に住宅ローン減税をご説明するのに、国土交通省が出しているPDFから抽出した以下の資料をよく活用します。

「一覧にまとまっていてよくわかる!」と思っていたのですが、この一覧には掲載されていない「特別控除」があります。また逆に、掲載されているのにさらに細かい規定があって、掲載内容から読み取れる対象額とは違う、というケースもあったりします。
その点をご説明します。
特別控除
一覧には「借入限度額」が以下のように記載されています(以下の3つはすべて「新築」における場合です)。
- 長期優良住宅・低炭素住宅:4,500万円
- ZEH水準省エネ住宅:3,500万円
- 省エネ基準適合住宅:3,000万円
ですが、令和6年度に改正された以下の内容が継続決定しています。
(1)住宅ローン減税:以下のとおり、令和6年と同様の措置を引き続き実施。
○ 借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯※が令和7年に新築住宅等に入居する場合には、令和4・5年入居の場合の水準〔認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円〕を維持する。
※①年齢19歳未満の扶養親族を有する者 ②年齢40歳未満であって配偶者を有する者又は年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者 が、住宅ローン減税の適用を受ける場合(①又は②に該当するか否かについては、 入居した年の12月31日時点の現況による)が対象となります。
○ 新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る。)について、建築確認の期限を令和7年12月31日(改正前:令和6年12月31日)に延長する。
※国土交通省 ~令和7年度税制改正における住宅関係税制のご案内~ 報道資料より抜粋
つまり、「19歳未満のお子さんを育てる子育て世代」と「当人、もしくは配偶者が40歳未満のご夫婦」は以下のように限度額が変わるのです。
- 長期優良住宅・低炭素住宅:4,500万円 → 5,000万円
- ZEH水準省エネ住宅:3,500万円 → 4,500万円
- 省エネ基準適合住宅:3,000万円 → 4,000万円
減税対象枠が少しでも増えるのは嬉しい内容になりますね。
わかりづらい住宅性能
減税対象枠が増えるのはいいのですが、わかりづらいのは左側、「長期優良住宅」や「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」です。ひとつひとつ簡単に、住宅ローン控除に必要な範囲で説明します。
1.長期優良住宅:「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」として国が定める基準をクリアし都道府県または市区町村の「認定通知書」が交付された住宅。
→証明する書類は「長期優良住宅認定通知書」です。
2.低炭素住宅:各項目にわたり一定の基準をクリアし都道府県または市区町村等の「認定通知書」が交付された住宅。
→証明する書類は「認定書」や「認定低炭素住宅建築証明書」などです。
3.ZEH水準省エネ住宅:強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有する住宅。(※「評価方法基準第5の5-1(3)の等級5以上の基準(結露の発生を防止する対策に関する基準を除く)」「評価方法基準第5の5-2(3)の等級6以上の基準」)
4.省エネ基準適合住宅:国の「建築物省エネ法」の省エネ性能の基準を満たした住宅。(※「評価方法基準第5の5-1(3)の等級4以上の基準(結露の発生を防止する対策に関する基準を除く)」「評価方法基準第5の5-2(3)の等級4以上の基準」)
→3と4を証明する書類は「住宅省エネルギー性能証明書」または各基準への適合を証する「建設住宅性能評価書」です。性能評価書は「設計」もあるのでご注意ください。対象となるのは「建設」の性能評価書です。
既存(中古)住宅における優遇
上記の説明は新築に限ってのことです。既存住宅の場合、一覧には1~4の住宅についてまとめて記載されていますが、細かく確認すると以下の違いが見えてきます。
- 長期優良住宅:「認定通知書」が交付されている「認定住宅」
- 低炭素住宅:「認定通知書」が交付されている「認定住宅」
- ZEH水準省エネ住宅:「評価方法基準第5の5-1(4)の等級5以上の基準(結露の発生を防止する対策に関する基準を除く)」「評価方法基準第5の5-2(4)の等級6以上の基準」
- 省エネ基準適合住宅:「評価方法基準第5の5-1(4)の等級4以上の基準(結露の発生を防止する対策に関する基準を除く)」「評価方法基準第5の5-2(4)の等級4以上の基準」
1と2は認定通知書が交付されていればその認定が何年前のものであっても該当しますが、3と4は性能評価されて(「建設性能評価書」が発行されて)から2年以内のものでないと控除対象となりません。
最後に
省エネルギー性能基準が2024年から変わったこともあって、非常にわかりづらくなっています。特に既存住宅において3・4の「建設性能評価書」の発行が2年以内のもの、というのは一覧のみではわからない内容です。
そして、おそらくこの住宅ローン控除の特別枠は今年度で終了する内容ですので、本当に税金は難しいですし、社会情勢によって変わっていくものだと実感いたします。
住宅を決定するのは節税だけではありませんが(節税を意識して住宅を選ばれる方はまれだと思いますが)、住宅性能は今までの建物とは格段に変わってきますので、今後のリセールなどを考えると、今年住宅をご購入される方は住宅の性能にも注目してみるといいかもしれません。
REDSではお客様にいいことも悪いこともきちんとお話しして売却・購入に携わる「正直不動産」営業です。お客様に接する営業全員が宅建士であるREDSエージェントにお気軽にご相談ください!
この記事を執筆した
エージェントプロフィール
戸村 麻衣子
(宅建士・リフォームスタイリスト)
2年連続売却成約率100% 住まいを共に考えます
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