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井原 直樹(宅建士・リフォームスタイリスト)

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公開日:2024年3月27日

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの井原直樹です。2024年1月1日に発生した能登半島地震においては、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈りし、私も微力ながら地域経済にも貢献したく考えております。

今回の地震は、最大震度7の強い地震ではありましたが、最大震度7にも耐えうることを想定した「新耐震基準」の家屋に多数の倒壊が見られたことが印象的でした。

地震

そもそも「新耐震基準」ってなに?

1981年6月の建築確認以降から、建築基準法による建物に要求される最低限満たすべき地震への耐性基準が大きく変わりました。それを「新耐震基準」といい、現在も適用されている基準です。

新耐震基準は、震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも人命に危害を及ぼすような倒壊などの被害を免れることを建物に求める基準です。ちなみに、旧耐震基準は、震度5までの地震で倒壊・損傷しないというレベルでよしとされていました。

耐震基準とは、あくまで最低ラインを定めた基準になりますので、旧耐震基準建物が軒並み耐震性に劣るともいえません。極端な例では、法隆寺は1000年間もの間に地震で倒壊したことはありませんが、それだけの耐震性を有していたということです。

一方で、最低ラインを「震度6強から7でも倒壊しない」と定めた新耐震基準で建てられたはずの能登半島の建築物に多数の倒壊が見られたことが今回の焦点です。

「新耐震基準」でも多数の家屋が倒壊した原因とされているもの

今回、想定外の事態を受け、国土交通省は、被害状況や倒壊の原因などを詳細に調査することを目的に「令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会」を立ち上げました。
https://www.nilim.go.jp/lab/hbg/iinkai/notohantouzisinniinnkai/notoiinkai.html

詳細な原因については、委員会の調査結果が待たれるところです。そのため、あくまで一般論になりますが、こちらの3点が今回の原因ではないか、と挙げられています。

  1. 築40年経過している家屋もあり、主要構造部の劣化が進んでいた。
  2. 地震に一度だけ耐えられることを前提としているため、複数回の地震のダメージに耐えられなかった。
  3. 木造「2000年基準」を満たしていなかった。

「2000年基準」というワードが出てきましたが、中古の木造住宅購入時には超重要ポイントなので、ぜひ覚えておいてください。

木造建築物の基準がさらに強くなった「2000年基準」

建築基準法の耐震基準は、1981年6月1日以降で新耐震基準が採用されました。これによって建物の耐震基準はとても厳しいものとなりました。この耐震基準の変化は有名ですが、実はその後も耐震基準がマイナーチェンジされていることはあまり知られていません。

特に重要な改正があったのが、2000年6月1日以降に建築確認申請する木造についての耐震基準で、これが「2000年基準」といわれます。「2000年基準」の主な改正点はこちらです。

1.地盤調査(地耐力調査)の規定が充実

以前は、地耐力調査は必須ではありませんでした。併せて品確法も改正され、分譲業者は地盤についても10年保証が義務付けられました。軟弱地盤は地盤改良工事をしたうえで、基礎工事を行うことになりました。

2.地耐力に応じた基礎構造とすること

地盤がどのくらいの荷重に耐えられるか調査(地耐力調査)をしないで基礎工事を行うと、地盤が不同沈下(建物が不ぞろいに沈下を起こすこと)を起こし、建物が傾くためです。

3.耐震壁の配置バランスを考慮すること

以前から腕のよい設計士であれば、耐震性に考慮した配置バランスで設計がなされていましたが、建築確認ではノーチェックでした。南側には窓を多く設置するために筋交いの入った壁を減らし、逆に北側に耐力壁が偏った構造になりがちですが、阪神淡路大震災ではこのようなバランスの悪い偏った配置をした家がねじれて倒壊する例が少なくありませんでした。

4.筋かい金物使用や柱頭柱脚接合金物使用の規定

木造住宅の柱の柱頭・柱脚(頭や根元部分)、筋交いの端部をそれぞれしっかり固定できるよう筋交いのサイズや部位によって固定する金物が指定されました。地震の際に柱、梁、筋交いが抜けてしまうと、構造耐力が満たせず、建物が倒壊してしまうためです。

このように、マイナーチェンジではありますが、非常に重要な改正が行われました。2000年基準を境に、耐震性には大きな差が出るでしょう。2000年基準を満たさない木造住宅は、「新耐震基準であっても、現行の耐震性ではない」ということを覚えておきましょう。

これからの家選びで重要なポイントは「耐震等級」

建築基準法で想定している耐震性とは、「大地震に一度だけ耐えて倒壊しない」ことですので、命に直結する最低ラインを示しているだけだといえます。

しかし、実際に被災した際には、こちらの3点が重要ではないでしょうか。

  1. 余震を含めた複数回の地震に耐える
  2. 自宅避難が可能である
  3. 修補すれば住み続けられる

これらを評価した指標が「耐震等級」です。

〈等級1〉
建築基準法と同等の耐震性能。震度6強~7の地震でも、即倒壊はしない。ただし、大規模修繕や建て替えが必要となる可能性がある。等級1は建築基準法準拠で、必ず取得できる等級です。

〈等級2〉
建築基準法の1.25倍の耐震性能。震度6強~7の地震でも、一定の補修で住み続けられる。学校や避難所といった公共建築物レベル。

〈等級3〉
建築基準法の1.5倍の耐震性能。震度6強~7の地震でも、軽い補修で住み続けられる。消防署や警察署といった災害復興の拠点となる防災施設レベル。

耐震等級については、「住宅性能評価書」で証明されます。これまでは住宅性能評価書を取得していない新築戸建てもありましたが、住宅ローン控除の要件変更で必須になりましたので、これからはほぼすべての新築戸建てで耐震等級の確認ができます。

災害対策を意識した家探しが必要な時代です

建物の耐震性がいくら優れようと、それだけでは自然災害には対処しきれません。

REDS宅建マイスターは、各種ハザード情報や、その土地の成り立ちをしっかり把握し、お客様にリスク情報を提供いたします。質の高い不動産売買は、経験豊富なREDS宅建マイスターへお任せください。

 

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