井原 直樹(宅建士・リフォームスタイリスト)
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公開日:2023年12月6日
REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの井原直樹です。2023年7月27日、長期金利の上限をコントロールする金融政策であるYCC(イールドカーブ・コントロール)の変更が発表されました。この変更で住宅ローンはどのような影響があったか、さらに予想されるインフレ下では住宅ローンはどのように計画すればいいのかについて解説します。
今回の日銀の政策変更の要点は、長期金利(10年物の国債利回り)に対する、金利操作(イールドカーブ・コントロール)の撤廃でした。
これまでは、長期金利の上限が0.5%を超えないように、日銀が国債を大量購入して金利を抑え込んでいました。ところが、今回の政策変更では「上限」を「めど」という表現に改め、おおむね1.0%までの一定の上昇を許容することにしたのです。
発表後、長期金利は一気に0.6%台まで上昇し、11月1日には0.97%にまで一時的に上昇しました。2013年5月以来、およそ10年5か月ぶりの水準まで上昇したことになったため、長く続いた金融緩和の終了への第一歩と受け止められ、金利の先高観が強まっています。
つまり、本来は今回のYCC撤廃とは関係がありませんが、短期金利をベースとした変動金利の住宅ローンについても「近々マイナス金利政策も解除されて、変動金利も上がるのではないか?」と考える方が増えました。
今回の政策変更は、固定金利型の住宅ローンである「フラット35」「10年以上の固定金利ローン」の金利上昇に直結します。
一方で、短期金利はマイナス金利政策を維持しているため、短期金利に連動する変動金利の住宅ローンについては、まだまだ超低金利の状態が続いています。その結果、住宅ローン金利の固定・変動の金利差がますます拡大し、変動金利を選択する方が依然として圧倒的に多い状況となっております。
先に述べたように、変動金利にも先高観があり、いつ金利は上昇するのか(マイナス金利政策が解除されるのか)、皆さん戦々恐々とされています。
日銀としては「賃金の上昇をともなう持続的・安定的な物価上昇」、つまり安定的なインフレが確認できれば、マイナス金利政策を解除するスタンスのようです。現在の物価上昇はコストプッシュ型の一時的なもので、マイナス金利政策を修正するのは時期尚早としていますが、2023年の春闘では賃上げ率が3.58%と約30年ぶりの高水準となったように、賃金上昇をともなった物価上昇の兆しも見えてきました。
30年以上続いたデフレからの脱却を果たした際には、変動金利も上昇してしまうという状況ですね。
上記を踏まえると、これから未体験のインフレ時代が到来するかもしれませんので、しっかり備えていきましょう。資金計画の基本や、インフレとの関係を考えていきます。
インフレとは物価や賃金の上昇というイメージがありますが、本質的には貨幣価値の下落です。極端なインフレの場合、物価が1年で2倍になったとすれば、貨幣価値は1年で半分になったと同じです。不動産を含むモノの価格は上がり、現金はその分目減りしたことになります。
そして住宅ローンなどの借入金も、借りた時点で元本が確定していますので、同様に目減りします。
日銀のインフレ目標は年2%で、「賃金の上昇をともなう持続的・安定的な物価上昇」を目指しています。日銀は、この先3年間の消費者物価の予測を発表しておりますので、見ていきましょう。
●2023年:+2.5%
●2024年:+1.9%
●2025年:+1.6%
仮に、こちらの予測どおりにインフレが進行した場合、2022年に5,000万円だった物件の価格はこちらになります。
●2023年:5,125万円
●2024年:5,222万円
●2025年:5,305万円
インフレ率だけで、3年間で305万円も上昇することになります。つまり、貨幣価値は3年間で約6%下がることになります。不動産の価格が上昇するとともに、預貯金や借入額などの貨幣価値は目減りするということがポイントです。
インフレ下ではモノの価格が上がり、貨幣価値が目減りするので、できるだけ早く貨幣を不動産などのモノに変えておいたほうがいいでしょう。ただ預金しているだけのお金があるなら、不動産や株などに変えておくことをおすすめします。
よく不動産を買うために、ローンを組むにあたって頭金を用意するべきか、それとも頭金なしで買うべきか、という議論があります。インフレが予想される現状では、「頭金を貯めてから買う」という考え方はおすすめできません。というのも、インフレ下では頭金を貯めている間に不動産価格は上がり、貨幣価値が目減りするからです。
次に、住宅ローンの返済期間と金利タイプについて考えてみましょう。今後インフレが継続すると仮定すれば、返済期間は長いほどお得になります。
仮に年率2%の物価上昇が続けば、現在1万円のモノは10年後に1万2,190円、20年後に1万4,859円、30年後に1万8,114円になります。逆に、現在の1万円の価値は、10年後に8,203円、20年後に6,730円、30年後に5,521円に下落します。つまり、現在の借入金1,000万円は30年後には約552万円の価値に目減りするので、返済期間が長い方がお得になります。
最近は50年間で返済可能な住宅ローンも登場しておりますので、インフレが続くと判断する場合には有用な選択肢になりますね。
ただし、インフレ継続に伴い、マイナス金利政策が解除され、金利上昇が年2%を超えてしまうと損になりますので、非常に悩ましいところです。
まとめると、インフレ対策に特化した資金経過はこちらです。
①余裕のある預貯金は頭金へ充当
②返済期間は最も長く(借入金利に注意)
③金利タイプは変動(金利上昇率に注意)
あくまで、今後も安定したインフレが数十年継続する前提です。将来の経済状況は予測できませんので、臨機応変に対応していきましょう。
将来の予測は難しいからこそ、堅実な資金計画を。家計全体の資産と借入のバランスと、ご自身のライフステージを考えることが大切です。
不動産購入は資産を保有することに伴い、負債やリスクも保有することになりますので、長期的な視点で安全性を点検する必要があります。
将来の経済予測は難しいですが、失敗しにくい物件の選定や、資金計画のアドバイスはできますので、経験豊富なREDS宅建マイスターへお任せください。
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