首都圏で毎年、増え続ける分譲マンション。しかし、その資産価値を長く保つことができるものは限られるのではないでしょうか。不動産の価格は、利用価値で決まるといわれます。

 

その不動産を利用する人間の数が減っていく近未来、利用価値は低くなるため、価格は下がっていきます。住宅ジャーナリスト、榊淳司氏は近著『2025年 東京不動産大暴落』でこう警鐘を鳴らしました。

 

各メディアで健筆をふるう榊氏は不動産への愛ゆえの辛口で知られますが、そんな榊氏にも資産性や流動性からその価値に脱帽したマンションがあります。マンションの具体名を挙げて、なぜ優れているのかを紹介していきます。

 

マンション

(写真はイメージです)

 

プラウドシティ金町

 

売主・野村不動産   常磐緩行線 「金町」駅徒歩7分 
2010年9月完成 総計画戸数725戸 15-19階建

 

樋口可南子をCM起用も、新築時の販売は苦戦

 

このプラウドシティ金町には「ガーデン」と「アベニュー」があります。最初に「ガーデン」を売り出し、その後が「アベニュー」でした。「ガーデン」のデビュー時には樋口可南子を使って派手なコマーシャルをしていたので、覚えておられる方がいらっしゃるかもしれませんね。

 

「東京にいい街ができました」みたいなことを可南子さんに言わせていました。ああいう広告の悲しいところは「だったら、あなたが住むのですか?」と、突っ込まれた途端に虚しくなるところ。

 

むかしむかし、現巨人軍の監督が自動車のスバルのCMに出ていたとき「でもタツノリはベンツに乗ってんだよね」と言われればドッチラケになってしまい、お笑いのネタにされていました。結局、最近の車のCMにはタレント起用が少なくなったような気がします。マンション広告は、クライアントも作り手もかなり意識が遅れていましたから、大きな物件の広告ではたいていタレントを起用していた時期がありました。そして、ミニバブル崩壊でことごとく失敗していました。

 

ここの売主企業の幹部は、樋口可南子の起用は成功だと考えていたそうです。そういう考えでは、また同じ失敗を繰り返すでしょうね。その後、私が「タレント起用なんて邪道」と騒いだせいではないと思いますが、タレントを使ったマンションの広告は、今ではほとんど見かけなくなりました。確かに、タレントを使うと人は集まります。しかし、タレントとマンションの中身はまったく関係ありません。消費者側はそのことに気づいています。

 

タレントを起用すると、そのギャラだけでなく広告制作費に多額の費用がかかります。それらはすべてマンション価格にONされます。真面目に考えれば、ずいぶん人を馬鹿にした話ですね。

 

現在、金町の南口は大きな開発が行われています。この街にも大きなマンションが増えてきました。街の様相も、このマンションが新築で売り出されていた頃とはかなり変わってきたように思えますね。それにしたがって、このマンションへの評価も多少は変わるかもしれません。

 

ガーデンとアベニューのどちらが「高く評価できるか」というと、やはりガーデンです。ともに「徒歩7分」ですが駅からもアベニューに比べて「近い」印象があります。住戸の向きも南向きと東向き。アベニューの南向き住戸は線路のまん前。そして、残りは真西向き。駅からも離れる印象があります。

 

新築時の売出価格は坪単価にして240万円だったと記憶しています。しかし、リーマンショック直後でかなり苦戦しました。それに、売主は完成在庫を嫌がる野村不動産。かなり派手に値引きをしていた印象があります。実際のところ、多くの住戸は200万円台の前半で買われたと思います。

 

現在、中古としての取引の実勢価格は坪単価200万円弱。新築時からほんの少ししか下落していません。新築で買われた方は、今売ると10年間をお安く住めたことになります。

 

ただし、こういうマンションは築10年を過ぎたころから、やや売りにくくなります。駅前にはタワーマンションが建設中。さらに駅から少し離れたところでは住友不動産の大規模開発物件が現在も販売中です。金町は変わっていきますが、中古の在庫も多くなりそうです。

 

 

榊淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年生まれ、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上、携わってきた。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)など。

 

物件名:プラウドシティ金町ガーデン

物件外観・画像

物件概要

  • 交通

    京成金町駅より徒歩で7分

  • 沿線

    『京成金町駅』 JR常磐線(上野~取手) 京成金町線

  • 所在地(住所)

    東京都葛飾区東金町1丁目3番

  • 構造

    RC一部S(鉄筋コンクリート一部鉄骨)

  • 階建て

    地上19階 地下1階

  • 築年月

    平成22年1月

  • 総戸数

    421戸

  • 管理方式

    日勤

  • 土地権利

    所有権

  • 用途地域

    準工業地域

  • 小学校区域

    区立原田小学校

  • 中学校区域

    区立金町中学校

  • 備考

    ●エレベータ ●オートロック ●宅配ロッカー ●ルーフバルコニー:あり ●専用庭:あり