不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年10月1日
  • 公開日:2017年8月2日

『ボンビーガール』森泉が買った中古戸建てが大問題に!?ー不動産のプロが解説

「幸せ!ボンビーガール」は日本テレビ系火曜22時から放映されている人気バラエティ番組です。「お金がなくても幸せに暮らそう」をコンセプトに、人気タレントの極貧時代のエピソードや激安レシピ、都内家賃最安ランキングのお部屋を楽しく紹介しています。

 
その中でも、ファッション界の老舗「ハナエモリグループ」創業者の孫娘である森泉(もり いずみ)が、視聴者の部屋をリフォームし、センスにあふれた部屋に変えるコーナーが人気です。セレブな環境に生まれ育ち、ファッションモデルでもある森泉が、趣味のDIYを生かし、ときにはワイルドにドリルやチェンソーといった工具を駆使して泥臭い作業をしながら、いかにも貧乏くさい部屋を素敵な部屋に生まれ変わらせるという、ギャップにあふれた点が魅力といえるでしょう。
 
8月1日(火)は21時から2時間スペシャルで、「家賃3万円台のお部屋で暮らす女性特集」放映され、その中で、森泉の新企画「泉ちゃんの空家再生大臣!」がスタートしました。森泉が自腹で購入した都心の一軒家を、自力でリノベーションしてペットと暮らす自宅にしようという企画です。しかし、最初から問題が多発しているようです。不動産のプロの一人として、この企画について考えてみたいと思います。
 
ボンビーガール
(写真はイメージです)
 

再建築できない物件?4200万円を4000万円に値引きしてもらったというけれど…。

 
番組の中で、森泉が購入した物件は、築52年の木造2階建て6Kの物件と紹介されています。都心部の住宅エリアに位置し、新築であれば1億円は下らない物件とのことで、「4200万円を4000万に値引きしてもらった」と、森泉がうれしそうに語っていました。お得な買い物というアピールをしたいのが番組の意図でしょうか?しかし気になるのは、「再建築できない物件」とさらりとひと言に紹介されていたことです。
 
「再建築できない物件」というのは、建設基準法上、建物の建築が認められていない敷地に建っている建物のことで、「再建築不可物件」と一般に言われています。仮に、建物が老朽化や天災などで壊れて無くなってしまったとしても新たに建設をすることが認められません。また、2階建を3階建に改造するなど、建物構造を大きく変化させるような増築も認められていません。建築確認申請が必要な、新築や大規模改造は基本的に許されないのです。
 
そのため、「再建築不可物件」は土地の利用価値としての評価が低く、金融機関の融資が承認されることはほとんどありません。価格は相場の半分以下になることも多いので、4000万円がお得といえるかどうか…。
 
番組の中で、この物件の特徴的な地形図が紹介されていました。敷地の周りがほかの住宅で囲まれており、細い路地のような敷地で外の道路とつながっている、いわゆる「旗竿(はたざお)地」と呼ばれる形をした敷地のようです。旗竿地というのは、住宅が建つ部分を「旗」に、外の道路とつながる部分を「旗竿」と見立てることができるような地形の敷地をいいます。旗竿地であっても、ももちろん建物は建てられますが、建築基準法43条では、「敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」接道義務が定められています。森泉が購入したこの物件は、路地の部分の幅がおそらくこの接道義務を満たしていないため、「再建築不可物件」とされている、と推測できます。
 
【接道義務】
 
接道義務
 
この物件が再建築不可物件であることから、ひとつの疑問が浮かんできます。リフォームやリノベーションをする番組を企画するにあたり、増築や大規模修繕は基本的に認められないということを理解して購入したのか?ということです。再建築不可物件であることを紹介していることから、新築はできないことを番組側も理解していると思われます。
 
しかし、建物の壁や柱・床・梁(はり)・屋根・階段などの1種以上で過半の修繕を伴うような工事をする場合は、建築確認申請が必要とされるのが基本です。「柱さえ残っていれば建築確認は要らない」などというリフォーム業者もないわけではありませんが、それは違法の可能性が高いといえるでしょう。
 
築52年の古家をセレブが住めるような家に改造するのに、建築基準法に抵触しない作業の範疇ですむかどうかは、ちょっと疑問ですね。番組内でもすでにガンガン風呂場の床や壁を壊していましたし。
 
売買契約で不動産会社が仲介をしている場合、不動産会社の義務として、「再建築不可物件」であることや接道状況は、重要事項として購入者である森泉に詳しく説明しなければいけません。どういう経緯で購入を決めたのかはわかりませんが、きちんとした説明を受けて購入を決めたのかどうか、ちょっと心配ですね。
 

問題山積み!購入時の現況確認や瑕疵担保責任はどうなってるの?

 
森泉の友人のリフォーム業者が、応援に駆けつけて、購入した物件の現況を確認してくれていました。すると、ネズミの穴や雨漏り跡、雨どいの詰まり、シロアリ被害の疑いなどの問題点が続々と現れます。特にシロアリ被害は、深刻になるかもしれないと、湿気の高い風呂場を解体し、壁も壊して確認することに。作業自体は、DIYが趣味の森泉は楽しそうにこなしているのですが、やはりシロアリ被害の跡があり、柱や土台の木材はボロボロの状態。シロアリ駆除だけは業者に頼まなければだめだろう、というところで「つづく」となったわけですが。
 
中古物件の売買をする場合は、どのような状態で引き渡しをするのかを双方で合意しなければなりません。中古なのですから、古くなって修理が必要な部分もあるはずです。そのような場合でも、修理などを売主が負担せずに、そのままの状態で売り渡すことも一般的に広く行われています。これを「現況渡し」「現状有姿渡し」といいます。
 
この場合、お互いが現状を確認する必要があります。そこで売主が「付帯設備および物件状況確認書」を提出し、現状のままで物件を引き渡すことを契約で定めるのが一般的です。物件状況確認書では、通常、建物を使用する上で知っておかなければならない重要情報として、雨漏りやシロアリの被害、主要部位の木部の腐食、配管・給排水の状況などを確認することとなっています。
 
森泉が購入した古屋では、これらのほとんど全てに一目でわかるような問題があったわけです。不動産業者が介在していて、購入者である森泉に知らせていなかったとは、一般的には考えられません。知っていながら黙っていたとすれば、まさしく悪質な業者ということになり、損害賠償対象となるような状況です。
 
仮に、売主も不動産会社も、そうした不都合に気づかなかった場合にはどうなるのでしょう。一般的には、瑕疵担保責任といって、売買の目的物に売主が気づかなかった不都合や欠点(瑕疵)があった場合は、それを知ってから1年以内であれば、売主に請求することができます。請求された売主は、その損害を賠償しなければならず、契約の目的がその瑕疵のために達成できなければ契約を解除することができる、と民法で定められています。
 
しかし、中古不動産売買の場合は、経年劣化や自然損耗により、売主の責任によるものかの判断が困難であることから、売主が瑕疵担保を負わない特約や、期間を限定する特約を定めることが一般的です。ただし、不動産会社が売主である場合は、瑕疵担保責任について2年以内の期間を定めることは無効とされています。
 
築後52年の古屋であれば、なんらかの瑕疵があるリスクは避けられません。ましてや再建築不可の物件なので、主要構造に問題があって壊れてしまったとしても建て直しはできないのです。不動産会社が仲介した物件だとすれば、不動産会社は、瑕疵担保責任や現況確認の意義を説明したうえで、「瑕疵担保責任を免責することは避けた方が無難で、少なくとも現況確認をしっかりとして、リスクの有無をできるだけ明らかにしてから目的に合うかどうかを判断すべき」とアドバイスするのが、仲介業務として当然の義務でしょう。
 

森泉の「空き家再生大臣」にみる教訓

 
古屋をリノベーションして再活性するという試みは、今後、老齢化・少子化が進み、空き家問題が深刻化していく環境下では、有益な試みといえるでしょう。所持金が少ない人でも安いコストで、立地の良い場所で、優雅に暮らすことが可能になるかもしれません。そういった試みの一環として、「再建築不可物件」に焦点を当てることも発想としては悪くないでしょう。
 
しかし、安いからといって、これほど多くの問題を抱えている物件を、その気になればリフォームできると考えてしまうような風潮を助長するような番組作りになってしまってはいけません。
一般の方が安易に、相場よりも安いからといって、不動産のような金額の張るものに素人考えで手を出すのは危険です。安いものには、安いなりの理由があるのです。
 
なぜ、接道義務を満たさない敷地が「再建築不可物件」なのでしょうか。それは、消防車が入れないような場所に建物が密集するのは、防災上好ましくないからです。既存の建物は仕方ないとしても、新しく作るのを制限されているのは、それなりの理由があってのことです。安いからどんどん「再建築不可物件」であってもリフォームして住みましょうというのは、私に言わせると本末転倒です。
 
また、シロアリや雨漏り、ネズミの穴などについては、不動産会社に仲介を依頼していれば、リスクについてもアドバイスしてくれるはずです。リフォームやリノベーションを前提に古屋を購入する場合でも、不動産会社という不動産のプロと協力して取り組んでおけば、このような問題物件を購入することはなかったのではないか、というのがこの番組の最大の教訓といえるでしょう。
 
早坂龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング 代表取締役。1964年生まれ。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売り会社勤務を経て、2015年から北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。
 

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