皆様こんにちは。
首都圏一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント、【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)でございます。
今回のブログも、最近の不動産関連のニュースの中で、わたくしの目にとまった記事をピックアップしてお届けさせていただきます。

(写真はイメージです)
都心はマンションバブル? REINSの月例速報レポートより
タイムリーなお話として、公益財団法人東日本不動産流通機構(通称・東日本レインズ、REINS)から、このブログを執筆している日の3日前(2025/5/12)に発表になった最新の首都圏不動産流通市場の動向についてのレポートに掲載された情報、特に「マンション」の販売動向について、今回取り上げさせていただきます。

東日本レインズ 月例速報
MarketWatchサマリーレポート2025年04月度
今月からレポートのデザインがアップデートされ、表紙だけでなく中身もグラフが少し増えて、よりわかりやすいレポートになっています。
首都圏全体についての「中古マンション」市場の概況
まずp.1の上部に、首都圏全体についての「中古マンション」の市場の概況について取り上げているのが下記の画像です。

東日本レインズ 月例速報
MarketWatchサマリーレポート2025年04月度 p.1
(オレンジの囲みは堀が記入)
わたくし「堀」が注目する箇所に「オレンジ囲み」をしてみました。
成約件数がなんと前年同月21.5%もの大幅増となっており、そして在庫件数はマイナス4.4%と減少となっています。その傾向は単月だけではなく、下の左グラフを見ますと、成約件数は中期的には横ばいながらも、特に今年の2・3月の成約件数の増加は顕著で、成約㎡単価も中期的に常に上昇している傾向が見て取れます。
また下の右グラフの「前年同月比」についての傾向を見ますと、赤い線の「契約件数」の前年比がかなり急激に上昇しており、若干「バブル」的な様相が見て取れます。
それに対して、青い線の「在庫件数」がじわじわと右肩下がりになっていることも気になります。これで中期的に在庫減少の傾向が見て取れ、「供給不足」に陥ってきている様子がうかがえます。
つまり「在庫不足」「供給不足」も手伝って、やや物件の奪い合いになって「成約単価の上昇」が起こっているように見受けられます。
しかし、このような傾向は必ずしも首都圏(1都3県、東京・千葉・埼玉・神奈川)全体で同様に起こっている現象かというと、そうではなさそうです。
2025年4月に成約㎡単価が上昇したのは「東京都区部」のみ!?
p.4の上部の右に掲載されているのが下記の画像です。

東日本レインズ 月例速報
MarketWatchサマリーレポート2025年04月度 p.4
(オレンジの囲みは堀が記入)
「東京都区部(23区内)」だけが緑色で、しかも数字は「10.4(%)」。それ以外のエリアは白色か水色。同じ「東京都」でも「多摩」は濃い水色で、数字は「マイナス4.8(%)」となっていて、首都圏全体が下落傾向を示したことがわかります。
この点について、ひとつ前のページのp.3の表で確認してみたのが、下記の表になります。

東日本レインズ 月例速報
MarketWatchサマリーレポート2025年04月度 p.3
(オレンジの囲みは堀が記入)
上記の表でも㎡単価や成約価格については「東京都区部(23区内)」だけが緑色で、ほかは下落傾向にあることが見て取れます。
そして、東京都区部の㎡単価の前年比が「プラス10.4%」ということは(およそ1割アップ)「1年前に1,000万円だった物件が1,100万円になっている」になっているということです。
23区内の中古マンション「たった10年で価格が倍以上!?」のカラクリ
わたくしたちは、日々首都圏で中古マンションの売買の現場におりますが、やはり感じるのは、東京23区内では、以前の売買価格の実績情報がたった数年で価格がどんどん塗り替えられて、思った以上に高くなっていたりするため、すぐに役立たなくなっていくことです。
お客様から「この物件の売買事例を見たけど、ほんの数年前にこの価格よりも1,000万円近くも安かったのに、こんなに高いの? 吹っかけ過ぎじゃない!」という話をお聞きしたりしますが、上記の「前年比プラス10%」という事実を確認して、わたくしは「やっぱり!」と思ってしまいました。
毎年10%アップし続けると、たった8年で価格は2倍超、15年で4倍超。ネズミ算式に価格上昇が!
下記の表は、エクセルを使って、当初1,000万円の価格が毎年10%価格上昇すると、いくらになっていくのかを試算した表です。

当初1,000万円の価格が、5年経過で約1,610万円、8年経過で約2,140万円、15年経過で約4,177万円と、ネズミ算的に価格が上昇していく様子がわかります。
この表を使って、より現実的な価格を入れて、見てみました。
「この物件、いま1億円で売っているけど、この所有者は10年前に3,000万円台で買っているみたい。それって高すぎない?」
先ほどの表を使って、こんどは10年後のところがちょうど約1億円になるように、より現実的な価格を入れて、見てみました。

上の表の「10年経過」が現在とします。ここが1億円になるように、「0年経過」の数字を調整していくと、「約3,855万円」の時にちょうど10年後に1億円になりました。

つまり、今月と同じような上昇率が10年間続いていたとしたら、10年前に3,000万円だったとしても、まったくおかしい話ではないのです。
高額になり過ぎた首都圏マンション。「投資対象」としてみると、うまみが薄れている!?
首都圏のマンションの高額化に関連して、先日「日経新聞(会員限定版)」に、次のような記事が掲載されました。

日本経済新聞(会員限定記事)2025年5月7日
『首都圏マンション、NVIDIAより割高か「PER」は30倍』
こちらの記事によりますと、
“首都圏のマンションを投資対象としてみた場合の割高さが増している。新築価格を年間の賃料収入で割った「PER(株価収益率)」は2024年時点で約30倍まで上昇し、過去最高を更新した。米半導体大手のエヌビディア(足元で24倍)を上回る水準だ。物件の収益性を超えて買い上げられた相場はいつまで続くのか。”
ということです。
“不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)は、マンションの販売価格を年間の賃料で割って「マンション版」のPERを算出している。7日発表した24年時点の新築マンションPERは首都圏で28.93倍と前年の26倍から上昇し、過去最高を更新した。…三菱地所(18.3倍)など大手不動産株を大きく上回る。”

日本経済新聞(会員限定記事)2025年5月7日
『首都圏マンション、NVIDIAより割高か「PER」は30倍』より
“新築マンションPERが前年比で上昇するのは5年連続だ。…不動産の「ミニバブル」と呼ばれた08年でも22倍どまりだった。マンションPERは投資対象としてマンションを見た場合「何年で初期投資を回収できるか」の尺度ともいえ、PERの上昇はそれだけマンション投資のうまみが薄れていることを示す。”
と、この記事では断言しています。あまりに上昇した23区内のマンションは、実は投資対象としての魅力が失われつつあるのかもしれませんね。
まとめ
今回は、最近の首都圏の中古マンション市場の動向から、23区だけに見られるマンション価格の上昇についてと、実際の売買価格への影響、そして「投資」としてみた場合の「うまみ」の減少についての記事にも触れてみました。
やや不動産バブル気味な雰囲気の23区内の状況について、近い将来に潮目が変わる事態に遭遇するのか、それともこのまま上昇は続くのか。みなさまは、どう思われますか?
これからも、市場の動向に注目していこうと思います。
それではまた、次回のブログをご期待くださいませ。引き続き、よろしくお願いいたします。
【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝
<参考リンク・文献>
・公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)レインズデータライブラリー
・東日本レインズ 月例速報 MarketWatchサマリーレポート2025年04月度
・日本経済新聞(会員限定記事)2025年5月7日
『首都圏マンション、NVIDIAより割高か「PER」は30倍』
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