こんにちは。REDSの宅建士・宅建マイスター、後藤です。
3月です。寒暖定まらぬ時期ですので、皆様風邪などひかぬようご注意ください。弊社新宿営業所近くの新宿中央公園では三大香木の一つ、春の香木「沈丁花」が香っています。春爛漫が待ち遠しいですね。
さて今回は「第三者のための契約(三為契約)」についてまとめてみました。
まず、「中間省略登記」について解説
まず、「第三者のための契約」以前の中間省略登記について解説します。
中間省略登記とは不動産を転売する際に「登記を省略する」ことを指します。買って売るわけなので、売買を繰り返し行うことであり、事業として行うことになるので、通常は不動産業者が行います。
例えば、売主AさんからB不動産会社が不動産を購入してその不動産をCさんに売却する場合、不動産の登記は通常であればAさんからB不動産業者に所有権移転登記をし、B不動産業者からCさんに所有権移転登記を行います。ここで、AさんからCさんに直接所有権移転登記をする(B不動産業者への登記を省略)ことを中間省略登記と呼びます。ABC三者の同意など一定の要件のもとに裁判所も認めていたようです。
一方、登記事務を取り扱う法務局としては、不動産登記は権利の取得や移転の経緯を忠実に反映させるものであり、中間省略の登記の考え方は認めてはいません。ただし、平成17年3月以前の旧不動産登記法の下では、登記申請の際に「売買契約書等の原因証書」に代えてAさんとCさんのみが記載されている申請書副本の添付で受け付けられていたため、事実上中間省略登記が認められていました。仕入れする不動産業者の諸費用(登録免許税)の軽減に利用されていました。
ところが、平成17年3月に不動産登記法が改正され、登記申請の際「登記原因証明情報」を添付することが必須となりました。「登記原因証明情報」とは、登記の原因となった事実または法律行為とこれに基づき現に権利変動が生じたことを証する情報のことをいいます。
AさんからB不動産業者、B不動産業者からCさんへ所有権移転した情報が「登記原因証明情報」となるため、以前のような中間省略登記ができなくなりました。この時期、不動産業界ではこの話題が広まり、中間省略登記ができない時期がありました。
その後、ABCの三者が関与する売買であっても、AからCへ直接所有権を移転させる目的でBが関与するケースもあり、実体上もBに所有権を一時的にも移転させる趣旨でない場合には、AからCへの直接の移転登記が認められました。それが「第三者のためにする売買契約」(三為契約)と買主の「地位の譲渡の契約」というものです。
「地位の譲渡の契約」ではAB間の契約のBの地位をCに引き継ぐこととなりAB間の売買代金をCが知りえることになることや、買主Bの地位を引き継ぐだけなのでBは売主宅建業者としての制限がかからないともされており、不動産業界では私の知る限り使われていない手法です。現在、不動産業界で時たま目にするのは「第三者のためにする売買契約」(三為契約)という手法です。
第三者のための契約とは?
それでは第三者のための契約(三為契約)とはどのようなものでしょうか? それは売買契約には、だいたい以下のような特約が付きます。
【売主A、買主Bの場合】
●売主A及び買主Bは、本契約が第三者のためにする特約を付した契約である。
●買主Bは売主Aに対して本物件の所有権の移転先となる者(買主B本人を含む)を指定する。
●本物件の所有権は買主Bの指定及び売買代金の支払いを条件として売主Aから買主Bの指定するものに直接移転する。
●本物件の所有権は前項の条件成就までは売主Aに留保される。
●売主Aは所有権の移転先に指定されたものが売主Aに対してする「本物件の所有権移転を受ける旨の意思表示」の受領権限を買主Bに委任する。
【売主B、買主Cの場合】
●売主Bは、現所有権登記名義人(以下、「現所有者」という)所有にかかる本物件を買主に売り渡し、買主Cはこれを買い受ける。
●売主Bは、売主が現所有者との間で締結している〇〇年〇〇月〇〇日付売買契約(第三者のためにする特約付)に基づき、現所有者から買主に対し直接所有権を移転させることにより、その義務を履行する。
●本物件の所有権は、買主Cが売買代金の全額を支払い、売主がこれを受領し、かつ売主Bが現所有者Aとの間で締結している〇〇年〇〇月〇〇日付売買契約(第三者のためにする特約付)に基づき、買主Cが現所有者に対して所有権移転を受ける旨の意思表示をした時に、現所有者Aから買主Cに移転する。
以上のような内容の特約が付きます。よく考えられたもので、この契約であれば、AからCへ直接登記することは契約の実態に合っています。しかも以前の中間省略は、B不動産業者の登記だけ省略するだけで実際には不動産を取得しています。
登記と不動産の取得とは別で、不動産取得税がかかっていました。ところが、この「第三者のための契約」は売主Aに所有権を留保してBは所有権を取得しないので、登録免許税に加えて不動産取得税もかりません。実態に沿った方法で経費の軽減につながるので、考えた人はすごいですね。
にもかかわらず、この方法も不動産業者はしばらく使えませんでした。私もこの時期、業界にいて「できる」「できない」といろいろ言われていました。「第三者のための契約」のAからCへの直接登記が法務局で認められても、できなかったのは宅建業法で他人物売買が禁止されていたためです。
もっとも例外として「宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているとき。その他宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令がで定めるとき。」は認められていましたが、「第三者のための契約」は例外規定になかったためです。
その後、平成19年7月に宅地建物取引業法施行規則に「当該宅地又は建物について、当該宅地建物取引業者が買主となる売買契約その他の契約であって、当該宅地又は建物の所有権を当該宅地建物取引業者が指定する者(当該宅地建物取引業者を含む場合に限る。)に移転することを約するものを締結しているとき。」が追加され不動産業者が「第三者のための契約」の手法を利用できるようになりました。
第三者のためにする契約(三為契約)の注意点
ただ、この第三者のためにする契約には注意が必要です。
特に最終買主Cさんは、売主が登記に現れないため、B不動産業者が売主であることの確認はAさんとB不動産会社の売買契約書(第三者のためにする特約付き)の写しでしか確認できません。この契約書の信憑性の問題です。金融機関によっては融資対象にならない場合があります。
B不動産業者が入っているので価格が高くなっています。ただの転売の場合はお勧めできません。
メリットとしては、Bは不動産業者のため契約不適合責任を免責することはできないことがあります。少なくとも2年間の契約不適合責任を負います。たまにリフォーム物件でこの手法の場合がありますが、工事が終了しているような場合は、ご検討対象としてもいいかもしれません。
【売主Aさんの場合】
●契約から残金支払日が長くなる(買主Cを探すため)。
●資金力のない不動産業者が介入しやすい。資金力がなくても他人の資金(買主C)をあてにできるので、引渡し日をズルズル延ばされる場合あり。引渡し日は延ばさないで期日になったらB不動産業者自身で残金を支払えるかが問題。
メリットとしては、不動産業者が買主なので、物件に対する売主Aさんの契約不適合責任を免責することができることが挙げられます。
まとめ・REDSは三為契約は禁止です
以上、第三者のための契約についてまとめてみました。
以前、中間省略登記ができなくなったとき、業界関係者が不動産市場に与える影響を危惧して、不動産市場の活性化のために以前の中間省略と同様の効果を得られる方法を模索して尽力されたと聞いておりましたが、トラブルに巻き込まれやすい取引ですので注意が必要です。
弊社REDSでは、この「第三者のための契約(三為契約)」は基本的にすべて禁止にしております。
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この記事を執筆した
エージェントプロフィール
後藤 光志
(宅建士・リフォームスタイリスト)
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