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最終更新日:2025年9月30日
公開日:2023年10月14日  REDS編集部

不動産契約での手付金とは? 相場は何パーセントで返金されるのかなどを全解説

いつまでも暑かった9月も終わり10月に入りました。だいぶ過ごしやすくなり秋を感じる季節となりました。新型コロナやインフルエンザが広がっているようですので体調には気をつけてください。今月もよろしくお願いします。今回は「不動産売買の手付金と契約の成立時期」を考えてみました。

不動産契約での手付金

手付金とは何か

不動産売買では、売買契約締結時に買主が売主に対して「手付金」を支払うことが一般的です。

手付金とは相手方の債務不履行の有無を問わず解約権を認める目的のため、あるいは相手方に債務不履行があった場合に損害賠償もしくは違約金として買主から売主に対して支払われる金銭です。手付金を支払っても売買代金の一部を支払ったことにはなりませんが、契約時に「手付金は、残代金支払時に売買代金の一部に充当する」などと定められて売買代金の一部に充当されることが一般的です。

手付金には、契約を解除する場合の代償としての「解約手付」、契約を履行するための行為をしたことを示す「証約手付」、契約不履行に対する違約金としての「違約手付」の3つの意味があります。

私たち不動産仲介業者が使用する売買契約書はその業者の加入団体により条文が多少違ってはいるものの、手付金については「解約手付」の意味を持たせています。「解約手付」とはいったん締結した契約を理由のいかんにかかわらず、後で解除することができるものです。契約書で定められた期日まで(売主が不動産業者の場合は、相手方が履行に着手するまで)であれば、手付金を支払った買主は手付金を放棄し(手付流し)、売主は手付金の2倍の額を返却すれば(手付倍返し)、契約を解除することができます(「倍返し」には買主が支払った手付金を含みますので、お互いが手付金相当額を負担することになります)。

手付金の相場と支払うタイミング

手付金の額は法律で制限されておらず、売買代金の5〜20%が一般的です(売主が不動産業者の場合は宅建業法で制限があります)。不動産売買における手付金は、契約の成立や解除に関わる重要なお金です。契約時には、重要事項説明書や契約書に記載されている内容をよく確認しましょう。

手付金を支払うタイミングは、不動産売買契約が成立したときです。つまり、売主と買主が売買契約書に署名・捺印した日に、買主は売主に手付金を現金で渡すというのが一般的です。

契約成立の時期をめぐってのトラブル回避や、売主から買主への物件の状況告知などを考えると、売主、買主が対面し手付金の授受を行うという昔から行われてきた方法はそれなりに理由があり、合理的な部分もあるのでしょう。ただし、手付金の額が高額だったり、遠隔地での取引だったりする場合は、現金での授受ではリスクが高まることもあり振込で行う場合もあります。現在ではIT重説や電子契約ができる時代ですから、手付金の支払いも現金での取り扱いは少なくなっていくのかもしれません。

手付金を巡るトラブル

売主と買主が売買契約書への署名捺印をすませた後、手付金の支払いは後日振り込みで行う場合(売主が不動産業者の場合は手付金の支払いを後日にすることは禁止されています)、振り込み前に何かの状況が変わり、「買いたくない」「売りたくない」となった場合、契約の成立時期についてトラブルになる場合が考えられます。

契約の成立は署名捺印時だとする見解と手付金を支払った時だとする見解があるのですが、どちらが正しいのでしょうか?

売買契約成立は売買契約書に署名捺印時だとする見解

不動産売買契約は、売主と買主の意思が合致した時点で成立するというのが法律上の原則です。しかし、不動産は高価で重要な財産であり、契約の条件も複雑で多岐にわたることから、通常は売買契約書を作成して締結することが必要とされます。そのため、裁判例では、売買契約書の作成・締結があったときに初めて意思の合致が認められるという考え方が多く採用されています。

手付金については、法律で支払い時期や方法について定められていないため、売主と買主の間で自由に決めることができます。したがって、手付金を支払うことは契約の成立の要件でもなければ、契約の成立を証明するものでもありません。手付金は、契約の解除や不履行に対する代償や違約金として機能するものです。

以上のことから、売主買主が売買契約書への署名捺印後、後日手付金を支払う場合でも、契約の成立は署名捺印時だと考えられます。

売買契約成立は手付金の支払い時だとする見解

一方、売買契約の成立は手付金の支払い時だとする見解もあります。不動産は高価で重要な財産であり、契約の条件も複雑で多岐にわたることから、売買契約書に署名・捺印しただけでは意思の合致が不十分であり、手付金を支払うことで初めて意思の合致が完全になるというわけです。手付金を支払うことは契約の成立の要件であり、契約の成立を証明するものであるという考えです。

平成21年2月19日・東京地裁判決で「手付金授受が契約成立のメルクマール(指標)になる」との事例があります。手付金の支払い時が契約の成立とする説は、売買契約書の作成・締結だけでは意思の合致が不十分であり、手付金を支払うことで初めて意思の合致が完全になり、契約の成立が確定するという見解に基づいています。

この判例からも、不動産売買の契約成立時期は、契約に至る前の状況や売主買主の意思の合致はどうだったのかにより、署(記名)押印後だとか、手付金支払い後だとか一概には言うことはできないようです。

トラブルが起きる理由

では、なぜこのようなトラブルが起きるのでしょうか? それは売買契約書の条文に(手付金)「買主は、売主に対し、手付金を本契約締結と同時に支払います。」と記載されているからです。

「売主または買主の申し出により安全を考えて手付金は後で支払うことをお互いに納得して契約したので、契約は成立している。手付金の支払いは単純に後にしただけ」、「手付金が契約締結と同時にとなっているので手付金を支払うまで成立していない」と、お互い自分に都合よく解釈します。

こういうトラブルを防ぐには、契約書の特約で取り決めればよいのです。契約書の成立はお互いの署(記)名押印が終了した時点とするのか、手付金を支払った時点とするのか。また、署(記)名押印が終了した時点とする場合、手付金を支払う前に契約解除する場合、解除する側のペナルティをどうするのかを契約の特約に入れておけば、契約成立について無駄なトラブルは避けられます。

ちなみに、手付金が一部支払われた場合の事例として、手付契約は要物契約であるから、手付契約はいまだ成立に至らず、手付の予約がなされたにとどまり、手付契約が成立していないのであるから、交付のない残り手付金について請求をする根拠がないとした判例(大阪高裁 昭和58・11・30)があります。

 

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川口 吉彦(宅建士・リフォームスタイリスト)

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※2025年11月09日現在 本社・首都圏営業所の数値

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    144

    3 週間前

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    1 か月前

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    1 か月前

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    1 か月前

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    1 か月前

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