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有馬 春志(宅建士・リフォームスタイリスト)

安全かつ安心して取引できる環境を提供。

最終更新日:2023年6月26日
公開日:2023年4月16日

商品やサービスの表示や景品類の提供に関して、一般消費者による自主的、合理的な選択を阻害するおそれのある行為を制限・禁止する法律。正式名は「不当景品類及び不当表示防止法」で、1962年に制定されました。

景品表示法によって禁止される「不当な表示」および制限・禁止される「景品類」は、告示によって明示され、それに反する行為に対しては、措置命令、課徴金納付命令などが課せられます。また、不特定かつ多数の一般消費者に対して優良誤認・有利誤認を与える行為については、適格消費者団体がその停止・予防等を求めることができます。

景品表示法は、不動産取引に対しても適用されます。特に、不動産広告は、誤認を招く恐れが大きいため、景品表示法に基づいて、政府の認定を受けた「不動産の表示に関する公正競争規約」(不動産公正取引協議会連合会)が定められています。

この公正競争規約は、不動産の取引に附随して不当な景品類を提供する行為の制限を実施することにより、不動産業における不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保することを目的としています。

景品表示法第5条第3号の規定に基づく告示で「不動産のおとり広告に関する表示」があり顧客を誘引する手段として行う次のような表示を不当表示として規定しています。

(1)取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示(例:実在しない住所・地番を掲載した物件)

(2)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示(例:売約済みの物件)

(3)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示(例:希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)

事業者が、「不動産のおとり広告に関する表示」に規定されている不当表示を行っていると認められた場合は、消費者庁長官は当該事業者に対し、措置命令などの措置を行うことになります。

 

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最終更新日:2023年7月1日
公開日:2023年4月9日

時間とともに品質が低下することで雨風・湿気・温度変化・日照などによる品質の低下だけでなく、通常の方法で使い続けることによる摩滅、汚れ等の損耗も経年劣化です。
不動産の賃貸借契約解除の際に賃借人が負担すべきとされる原状回復は、賃借人の故意・過失等による劣化の回復であって、経年劣化による損耗の回復は含まれません。たとえば、国土交通省が示す「原状回復ガイドライン」では、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡などの通常の住まい方で発生するものや、フローリングの色落ち、網入りガラスの亀裂などの建物の構造により発生するものの回復は、賃貸人の負担となるとしています。通常の生活で傷がついてしまうことはありますが、もしかしたら、経年劣化が原因かもしれません。経年劣化に関する正しい知識があれば、退去時に高額な費用を請求されても対応することが可能です。

 

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公開日:2023年4月2日

土壌の汚染状態が基準に適合していない土地であって、土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行なわれた区域を含む)を形質変更時要届出区域と言います。土壌汚染状況調査の結果によって都道府県知事が指定しますが、指定する区域には、一般の区域のほか、埋立地管理区域、埋立地特例区域、自然由来特例区域の種別があります。指定は公示され、台帳に記載して公衆の閲覧に供されます。

この区域内では、土地の形質変更をしようとする場合には、都道府県知事に計画の届け出が必要です。このとき、計画が適切でない場合には、計画の変更が命じられます。この制限は、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされています。

 

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公開日:2023年3月26日

景観行政団体が策定する良好な景観の形成に関する計画のことです。景観計画は、都市、農山漁村その他市街地または集落地域と、これと一体となって景観を形成している区域について定められます。この景観計画が定められた区域のことを「景観計画区域」と言います。
景観計画では、景観計画の区域(景観計画区域)、良好な景観の形成に関する方針、良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項その他が定められます。
特に行為の制限に関する事項については、

1.建築物または工作物の形態または色彩その他の意匠の制限
2.建築物または工作物の高さの最高限度または最低限度
3.壁面の位置の制限または建築物の敷地面積の最低限度
4.その他第16条第1項の届出を要する行為ごとの良好な景観の形成のための制限

などの制限のうちで必要なものを定めることができます。

 

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公開日:2023年3月19日

分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利関係や管理運営について定めた法律のことで正式名称は「建物の区分所有者等に関する法律」になります。
区分所有建物とは、分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物のことであり、通常の建物に比べて所有関係が複雑であり、所有者相互の利害関係を調整する必要性が高くなります。
このため、1962(昭和37)年に民法の特別法として区分所有法が制定された。これにより、専有部分・共用部分・建物の敷地に関する権利関係の明確化が図られ、規約・集会に関する法制度が整備されました。
その後、分譲マンションが急速に普及したことに伴って、分譲マンションの管理運営に関するトラブルが生じたり、不動産登記事務が煩雑になるなどの問題点が生じたので、1983(昭和58)年に区分所有法が大幅に改正されました。このときに、区分所有者が当然に管理組合を構成すること、集会での多数決主義、建替え制度、敷地利用権と専有部分の一体化などが定められました。
また、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災において被災マンションの建て替えが課題となったこと、老朽化したマンションの建て替えや大規模修繕を円滑に行なう必要が生じたことから、2002(平成14)年には、復旧決議における買取り請求規定の整備、建替え決議要件の緩和、団地内建物の建替え承認決議の創設などが措置されました。
なお、マンションの建て替え等に関しては、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」において、合意形成や権利調整についての特別の規定が定められています。

 

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公開日:2023年3月12日

クルドサックとは、フランス語(cul-de-sac)で袋小路を意味し、住宅地における袋小路状の道路形式をいいます。
クルドサックは道路の奥が行き止まりになっており、車の通りぬけはできませんが、奥がロータリーになっており、Uターンが可能です。

街づくりの一形式として活用され、周辺居住者による私道になっているのが一般的です。

クルドサックでは居住者以外の車両の通過を防止し、防犯効果を高めることが可能です。ただし、防災上の安全面から、クルドサックの先に路地などの避難路が確保されています。

日本では大規模な宅地開発の基準として行き止まり道路を認めていない都道府県が多かったため、大規模開発地でクルドサックを取り入れた計画は立てにくく数が少ないですが、大規模な開発地では、東京都板橋区の常盤台、神奈川県横浜市青葉区の美しが丘、埼玉県松山市南部のむさし緑園都市高坂丘陵地区などで見られます。

そのほか採用の目的は異なりますが、開発基準から除外されたミニ開発(数軒の建売住宅地など)において土地効率を上げるために採用される場合があります。

 

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公開日:2023年2月26日

繰越控除は、所得税の課税に当たって、不動産の譲渡によって生じた損失(譲渡損失)について、損失発生以降の複数年にわたって所得控除できる制度のことです。
具体的には、所有期間が5年を超える居住用財産の譲渡損失について、次の2つの場合に、当該年度における損益通算後の損失額を翌年以降3年間、所得から控除することができることとされています。この特例は住宅ローン控除との併用が可能ですが、他の譲渡所得の特例とは選択適用となります。
1. 居住用財産の買い換えのときに発生した損失であって、売却相手先が親族等ではないこと、買い換え資産に係る住宅ローン残高があることなど、一定の要件を満たす場合
2. 居住用財産を譲渡するときに発生した損失であって、譲渡資産に係る住宅ローン残高があることなど一定の要件を満たす場合(当該資産に係る住宅ローン残高から譲渡金額を控除した額を限度とする)

 

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公開日:2023年2月19日

区分所有建物とは、構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途に供することができる数個の部分から構成されているような建物のことです。
区分所有建物となるためには次の2つの要件を満たすことが必要です。
1.建物の各部分に構造上の独立性があること
これは、建物の各部分が他の部分と壁等で完全に遮断されていることを指しており、ふすま、障子、間仕切りなどによる遮断では要件を満たすことにはなりません。
2.建物の各部分に利用上の独立性があること
これは、建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たすことを意味しています。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用可能であるということになります。
上記1.と2.を満たすような建物の各部分について、それぞれ別個の所有権が成立しているとき、その建物は「区分所有建物」と呼ばれます。区分所有建物については、民法の特別法である区分所有法が適用されます。
代表的なものとしては分譲マンションが区分所有建物です。しかし分譲マンションに限らず、オフィスビル・商業店舗・倉庫等であっても、上記1.と2.を満たし、建物の独立した各部分について別個の所有権が成立している場合は区分所有建物となります。
なお区分所有建物では、建物の独立した各部分は「専有部分」と呼ばれます。
また、この専有部分を所有する者のことを「区分所有者」と言います。
廊下・エレベータ・階段などのように区分所有者が共同で利用する建物の部分は「共用部分」と呼ばれ、区分所有者が共有します。
また建物の敷地も、区分所有者の共有となります(ただし土地権利が借地権の場合には「準共有」となります)。このとき区分所有者が取得している敷地の共有持分は「敷地利用権」と呼ばれます。
従って区分所有建物においては、区分所有者は、専有部分の所有権、共用部分の共有持分、敷地の共有持分という3種類の権利を持っていることになります。

 

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公開日:2023年2月18日

空中権には、2つの意味があります。
1.土地の上空の空間の一部を使用する権利
契約により設定する空間の上下の範囲を定めて土地を独占的に使用する権利をいい、その法的な形式によって「区分地上権」または「区分地上権に準ずる地役権」に分かれます。
区分地上権による空中権は、工作物(例えば空中電線)を所有する目的で上下の限られた空間を排他独占的に使用収益する権利のことです。また、区分地上権に準ずる地役権による空中権は、自己の土地(例えば電柱の設置場所)の便益のために他人の土地の空中を使用する(例えば電線を設置する)権利のことになります。
いずれも、民法上の物権として認められています。
2.未利用の容積率を移転する権利
都市計画で定められた容積率(建物の敷地面積に対する総床面積の割合)のうち、未使用のものを他の土地に移転する権利のことです。
一定の条件のもとで容積率を割増しする方法(実質的に容積率が移転される)としては、「特手街区」「一団地の総合的設計」「高度利用地区」「連担建築物設計」などの制度があるが、いずれも移転対象建物が隣接していなければならない他、既存建物の未利用容積率を移転することはできません。(「連坦建築物設計」を除く)。
もっと広範囲で容積率を移転できる制度としては、「特例容積率適用地区制度」があります。これは、都市計画で一定の区域を定め、その区域内の建築敷地の指定容積率の一部を複数の建築敷地間で移転することを認める制度であり、2001年に創設されました。
東京都千代田区の一部が「大手町・丸の内・有楽町地区特例容積率適用地区」(116.7ha)として指定され、東京駅の駅舎敷地で未使用となっている容積率(東京駅は復元改修後、それ以上容積率を使用しないで保存される)を、その周辺の新築ビル(東京ビルディング、新丸ビル、丸の内パークビル、八重洲側の南北グラントウキョウビル等)に移転して、本来の容積率以上の高層ビル化を実現しています。
容積率の移転は建築確認によって認められるもので、当事者が空中権を直接に取引する制度が確立しているわけではありませんが、容積を移転する敷地に対して移転先の敷地所有者が地役権を設定し、移転敷地所有者にその対価を支払うという方法が取られています。

 

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公開日:2023年1月29日

市街化区域と市街化調整区域とに区分されていない都市計画区域のことです。
一つの都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分することを「区域区分」(または「線引き」)と呼びますが、この「区域区分」がされていない都市計画区域が「区域区分が定められていない都市計画区域」です。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は一般に「非線引き区域」とも呼ばれています。
1.趣旨
都市計画法第7条では、指定都市等では「区域区分」を必ず定めるよう規定しているので、「区域区分が定められていない都市計画区域」は指定都市等以外に存在しています。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は市街化の圧力が弱い地域であるので、土地利用に関する規制が市街化区域より緩やかであり、開発許可の規制も緩やかです。
2.土地利用の規制について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、用途地域を定めることができますが、必ず用途地域を定めるわけではありません。「区域区分が定められていない都市計画区域」の内部において用途地域が定められていない部分は「非線引き白地地域」と呼ばれることがあります。なお、この「非線引き白地地域」では用途制限を課す目的で「特定用途制限地域」を設けることができます。
3.都市施設等について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、都市施設のうち少なくとも「道路、公園、下水道」を定めなければなりません。
また、市街地開発事業、促進区域を定めることも可能です。
4.開発許可について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では開発許可制度が適用されます。ただし、開発許可を受けるべき開発の面積は「3,000平方メートル以上」とされています。ちなみに、市街化区域では開発許可を受けるべき開発の面積は「1,000平方メートル以上」です。

ただし、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに、都道府県・指定都市等の規則により、都市計画法施行令により開発許可を受けるべき開発の面積を「300平方メートル以上」にまで引き下げることが可能です。
また開発許可の基準については、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに技術的基準だけを満たせば、開発許可が与えられます。つまり、区域区分が定められていない都市計画区域に対しては、都市計画法第34条の基準(市街化調整区域の開発許可の基準)は適用されません。

 

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