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有馬 春志(宅建士・リフォームスタイリスト)

安全かつ安心して取引できる環境を提供。

最終更新日:2023年7月1日
公開日:2023年4月30日

売買や請負において、契約に基づいて引き渡された目的物が、種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合していないことを契約不適合と言います。
たとえば、土地の地目が異なっていれば種類が不適合になります。建物の耐震強度が不足していれば品質の不適合となります。また、受け取った品物の個数が違えば数量の不適合となります。
目的物が不動産の場合には、品質に関する不適合の判断が問題となります。「住み心地」のような品質は評価が難しいし、耐震性、耐火性などは設計や工事記録を精査しないとわかりません。あるいは、既存住宅などについては経年的な品質の劣化をも考慮しなければなりません。住宅性能評価や住宅インスペクションを実施することは、契約不適合に対応するためにも有効です。
また、不動産売買において契約表示面積と実測面積のあいだに過不足があったときには、契約において実測面積を基礎に代金額を定めるとの合意がある場合に契約不適合となります。
契約不適合の場合には、買主・注文者は、売主・請負人に対して、履行の追完請求(補修や代替物等の引渡し請求)、代金減額請求、報酬減額請求、損害賠償請求、又は契約解除権の行使をすることができます。

 

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最終更新日:2023年7月1日
公開日:2023年4月23日

「契約上の過失」とは、いまだ契約が成立していないものの、その交渉の過程において相手方に損害を発生させた場合に、不法行為として、相手方に対し、その損害を賠償するべき責任が生じることを言います。

契約に当たって、調査・報告、配慮、注意などの義務を怠ったことにより、契約が不成立または無効となって不測の損害を与えたときに、民法で規定する信義則に違反したとして、損害賠償の責任を負うことになります。この考え方は、判例によって確立しており、損害賠償の範囲は、契約が有効なものと信じたことにより被った損害(現地検分の費用、銀行融資の利息、改修などに要した追加費用など)とされます。
例えば、売主に調査・告知義務違反があり損害を与えた場合(例えば、隣地の高層マンション計画の不告知によって生じた日照障害)、契約の準備段階で注意義務違反があり契約締結に至らなかった場合(例えば、相手に誤信を与えて取引予定の建物が改修されたが契約締結に至らなかった場合に、誤信を与えないようにする注意を怠ったとされたケース)などがその例になります。

 

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最終更新日:2023年6月26日
公開日:2023年4月16日

商品やサービスの表示や景品類の提供に関して、一般消費者による自主的、合理的な選択を阻害するおそれのある行為を制限・禁止する法律。正式名は「不当景品類及び不当表示防止法」で、1962年に制定されました。

景品表示法によって禁止される「不当な表示」および制限・禁止される「景品類」は、告示によって明示され、それに反する行為に対しては、措置命令、課徴金納付命令などが課せられます。また、不特定かつ多数の一般消費者に対して優良誤認・有利誤認を与える行為については、適格消費者団体がその停止・予防等を求めることができます。

景品表示法は、不動産取引に対しても適用されます。特に、不動産広告は、誤認を招く恐れが大きいため、景品表示法に基づいて、政府の認定を受けた「不動産の表示に関する公正競争規約」(不動産公正取引協議会連合会)が定められています。

この公正競争規約は、不動産の取引に附随して不当な景品類を提供する行為の制限を実施することにより、不動産業における不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保することを目的としています。

景品表示法第5条第3号の規定に基づく告示で「不動産のおとり広告に関する表示」があり顧客を誘引する手段として行う次のような表示を不当表示として規定しています。

(1)取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示(例:実在しない住所・地番を掲載した物件)

(2)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示(例:売約済みの物件)

(3)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示(例:希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)

事業者が、「不動産のおとり広告に関する表示」に規定されている不当表示を行っていると認められた場合は、消費者庁長官は当該事業者に対し、措置命令などの措置を行うことになります。

 

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最終更新日:2023年7月1日
公開日:2023年4月9日

時間とともに品質が低下することで雨風・湿気・温度変化・日照などによる品質の低下だけでなく、通常の方法で使い続けることによる摩滅、汚れ等の損耗も経年劣化です。
不動産の賃貸借契約解除の際に賃借人が負担すべきとされる原状回復は、賃借人の故意・過失等による劣化の回復であって、経年劣化による損耗の回復は含まれません。たとえば、国土交通省が示す「原状回復ガイドライン」では、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡などの通常の住まい方で発生するものや、フローリングの色落ち、網入りガラスの亀裂などの建物の構造により発生するものの回復は、賃貸人の負担となるとしています。通常の生活で傷がついてしまうことはありますが、もしかしたら、経年劣化が原因かもしれません。経年劣化に関する正しい知識があれば、退去時に高額な費用を請求されても対応することが可能です。

 

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公開日:2023年4月2日

土壌の汚染状態が基準に適合していない土地であって、土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行なわれた区域を含む)を形質変更時要届出区域と言います。土壌汚染状況調査の結果によって都道府県知事が指定しますが、指定する区域には、一般の区域のほか、埋立地管理区域、埋立地特例区域、自然由来特例区域の種別があります。指定は公示され、台帳に記載して公衆の閲覧に供されます。

この区域内では、土地の形質変更をしようとする場合には、都道府県知事に計画の届け出が必要です。このとき、計画が適切でない場合には、計画の変更が命じられます。この制限は、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされています。

 

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