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有馬 春志(宅建士・リフォームスタイリスト)

安全かつ安心して取引できる環境を提供。

公開日:2022年8月14日

所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合に、その建物について管理の必要性があるとき、裁判所が、管理人(管理不全建物管理人)を選任し、その建物の管理を命令する処分のことです。

民法の改正によって創設された制度です(2023年4月1日施行)。また、土地についても類似の制度(管理不全土地管理命令)があります。

管理不全建物によって利益侵害が生じ、または生じる恐れがある場合は、物権的請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権に基づいて訴えを提起し、判決を得て侵害排除のための強制執行をする仕組みがあります。しかし、これらの仕組みは、継続的な管理ができない、適時適切な管理措置を講じるのが困難などの限界があります。そこで管理不全建物管理命令は、その限界に対応するべく創設された制度になります。

管理不全建物管理命令は、管理不全建物の利害関係人の請求によって、裁判所が、「所有者による建物の管理が不適当であることによって、他人の権利・法的利益が侵害され又はその恐れがあること」、「建物の管理状況等に照らし、管理人による管理の必要性が認められること」の両方を認めた場合に決定されます。その効力は、管理不全建物のほか、建物にある所有者の動産、管理人が得た金銭等の財産(売却代金等)にも及びます。

管理不全建物管理人は、管理不全建物等を管理・処分する権限はありますが、訴訟の当事者にはなれません。管理のための保存行為や建物等の性質を変えない利用・改良行為は自身の判断で行なえますが、これらの範囲を超える行為(例えば建物の取り壊し)をするには、裁判所の許可が必要になります。裁判所は、建物の処分を許可するには、その所有者の同意がなければなりません。

また、管理不全建物管理人は、所有者に対して善良な管理者の注意義務を、共有持分に係る管理人は、共有者全員に対して誠実かつ公平な権限行使義務を負います。

なお、区分所有建物については、管理不全建物管理命令は適用されません。

 

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公開日:2022年8月7日

土地区画整理事業において、事業施行地区内の土地や土地に関する権利が、事業施行後にどのような姿となるかを定める計画のことを換地計画と言います。
換地計画では、原則的には、事業前の各宅地に対して、事業によって整備された換地をそれぞれ交付するように定められています。そのほか、換地に当たっての不均衡に対応するための金銭(清算金)の徴収・交付、公共用地の帰属、事業費に充てるための保留地などについても定めています。
換地計画において換地を定める場合には、原則として、換地および従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めなければならないとされています。(照応原則)。また、換地計画を定めようとする場合には、2週間公衆の縦覧に供するなどの手続きが必要です。
換地計画の効果は、工事が完了した後になされる換地処分によって生じるのが原則です。従って、事業完了前に換地予定地を利用する場合には、その土地を仮換地に指定して利用することとなります。

 

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公開日:2022年7月31日

国土利用計画法においては、土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去するとともに、適正かつ合理的な土地利用の確保を図ることを目的として、土地取引の規制に関する措置を定めています。

地価が急激に上昇し、またはその恐れがある区域において、適正な土地利用の確保が困難となる恐れがあるときは、国土利用計画法に基づき、都道府県知事または政令指定都市の長は監視区域を指定することができます。

監視区域に指定されると、都道府県の規則によって定められた面積以上の土地を取引しようとする者は、あらかじめ都道府県知事または政令指定都市の長に届出を行なうことが必要となります。
都道府県知事または政令指定都市の長は6週間以内に審査を終え、必要な場合には勧告を行なうことができます。

勧告とは、届出のあった土地の金額(平米単価)が高いと判断した場合に、この金額(平米単価)以下で取引しなさいという指示になります。その場合、売主の了承が得られないこともあり取引に至らないケースもあります。

取引をしようとする者がこの勧告に従わないときは、知事はその者の氏名・商号等を公表することができます。

監視区域はかつてバブル期に全国の都市部で数多く指定され、届出が必要な面積は都道府県規則により100平方メートルとされることが多かった。

 

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公開日:2022年7月24日

雁行型とは、マンションの建物形状のひとつで、各住戸を(または数住戸ごとに)斜めにずらして配置する形式のことです。建物を上から見ると、雁(かり)が群れをなして空を飛んでいくときの隊列の形に似ていることからこう呼ばれています。
箱形、直列型、L字型、ロの字型などと比較すると、一長一短があります。

大半の住戸を角部屋に近い構造にできるのが特徴で、開口部が多くとれるので採光・通風・眺望などに優れているというメリットがあります。また、箱型マンションのようなシンプルな形状に比べて、個性的で表情豊かな建物外観が実現できる点も魅力の一つです。
形状が複雑で建築コストも高くなるために高層マンションではあまり採用されませんが、中低層マンションでは大規模なものを中心に、小規模でもときどき見られます。個性的な外観で注目されることも多いでしょう。
プライバシーを保ちやすいかどうかは設計にもよるほか、同じマンション内でも住戸によって条件が大きく異なる場合もありますので注意しなければなりません。窓やバルコニーの配置によっては、隣の住戸から覗かれやすいケースもあります。
隣の住人との関係が良好であれば、部屋の中から目が合ってもあまり気にならず、軽く会釈して挨拶を交わすことができるかもしれませんが、嫌な隣人の場合は気まずいことになるでしょう。隣の人が引っ越した後の新たな住人など、将来的なことも考えなければなりません。
また、隣の住戸が出っ張ることで日陰が生まれるなど、時間帯や季節によっては必ずしも採光面で優れているとはいえないでしょう。分譲主が雁行型マンションの設計に慣れているかどうかにより、居住性が変わってくる場合もあります。

 

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公開日:2022年7月17日

環境への負荷を抑えるための対策を講じた住宅のことでエコハウスとも言います。

対策の目標は、省エネルギーや再生可能エネルギーの使用、資源の再利用、廃棄物の削減などであり、具体的には、屋上緑化や雨水の再利用、太陽光・風力エネルギーの利用、ゴミの減量などが実施されます。
その基準として、例えば建築環境・省エネルギー機構が定めた「環境共生住宅認定基準」がありますが、この基準では、環境負荷の抑制だけでなく、バリアフリー化や室内の空気質の維持(シックス対策)なども要求されます。

なぜ環境共生住宅が必要とされるのでしょうか?

それは現在起こっている環境問題の多くが、私たちの暮らしと密接に関わっているからに他なりません。
地球温暖化、資源の枯渇、風土の減退、まちなみの均一化やコミュニティの減少、室内空気汚染など、挙げればキリがないほどです。
環境共生住宅は家だけでなく、その敷地、周囲、まち、国、地球というレベル・質の違う環境問題を、暮らしと住まいからのアプローチによって解決しようと考えられたものです。

「地球環境にやさしい」「周辺環境と親しむ」「健康で快適であること」という3つの考え方が、環境共生住宅の基本となるものです。
これらは一つひとつも重要ですが、3つが重なりあい、調和していくことが、もっとも大切なことです。

快適性ばかりを重視したり、環境に配慮しすぎたあまり、快適性が損なわれたりしては意味がありません。
私たちが住まう環境全体が、より良いものになるために、「環境共生住宅」という考え方があります。

 

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公開日:2022年7月10日

「簡易耐火建築物」とは、建築基準法で定められている準耐火性能と同じ水準に適合した建築物のことです。主要構造部が準耐火構造と同等の性能であり、延焼のおそれのある開口部は防火戸とすることなどが定められています。具体的には、壁、床、柱、屋根といった主要な構造部を一定の耐火性を持つ「耐火構造」にしなければなりません。また、これらの主要な構造部を鉄筋コンクリート、レンガ、瓦等の不燃材料とすることが必要です。また、簡易耐火建築物は準耐火建築物に分類されており、準耐火建築物とは、耐火建築物以外の建築物のことで、主要部分が準耐火構造となっている物になります。簡易耐火建築物は、法令上では独立に定義された用語ではありませんが、通称として使用されることが多いです。

 

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公開日:2022年6月26日

不動産の売却を媒介する場合に、依頼者に助言するなどのために取引価額を算出する行為を価格査定と言います。

この場合にその根拠を示すことが必要で、標準的な手法によって取引事例を比較検討し、客観的で実際的な成約見込額を算出しなければならないとされています。 一般的には、価格査定のためのマニュアルを用いることが多いです。
一方、不動産鑑定も価格の査定を伴いますが、不動産取引の媒介に当たっての価格査定とは違って不動産鑑定士が経済価値を判定するものであり、算出する価額の性質に違いがあります。また、不動産鑑定は、価格査定と比べてより専門的、精密な方法で実施されます。

住み替えや引っ越しなどの理由から不動産の売却を考えている時、一番気になるのは所有しているマンション、一戸建、土地などどのくらいの価値があるのかということだと思います。
そんな時、不動産の売却価格の相場を知るために出来るのが、不動産会社や不動産鑑定士などに依頼して行う価格査定です。さまざまな方法によって、その不動産の評価額を知ることが出来る売却活動の最初のステップです。

価格査定で出た金額はあくまで売却を進める際の相場の価格のため、必ずしもこの価格が実際に売却を行う際の成約価格になるとは限らないということを覚えておきましょう。

 

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公開日:2022年6月19日

この「壁式鉄筋コンクリート構造」は、「柱」、「梁」を設けず、基本的に「壁」だけで荷重を支えるような鉄筋コンクリート構造になります。

この「壁式鉄筋コンクリート構造」には、柱・梁がないため、建物の内部空間が広く使用できるというメリットがあります。
なお強度を確保するため、壁の中には梁に相当する配筋が作られています。

この「壁式鉄筋コンクリート構造」は、壁が多い中層建物に最適です。しかもコストが安く、空間が広く取れるため、3階建共同住宅などで多用されています。

壁式鉄筋コンクリート造は、耐力壁とスラブのみで構成される鉄筋コンクリート造です。鉛直方向の構造部材として「耐力壁」、水平方向の構造部材にスラブが配置されます。

 

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公開日:2022年6月12日

矩計図とは、簡単に言うと建物の軒先を含む代表的な外壁部分の垂直断面になります。

矩計図という漢字を見て、すぐに読み方が分かる方は多くはないのではないでしょうか。これは「かなばかりず」と読みます。

建物を見るときの図面として、平面図や断面図があります。矩計図とは、建築物断面の全体寸法の基本をなす地盤の位置、床高、軒高、窓高、腰高、天井高など高さ関係を示す断面図のことです。一般的に20分の1から50分の1の縮尺で描かれています。

かなり細かく記された断面図となるため、詳細断面図の呼び方をとられることもあります。それぞれの高さなどを把握することができるため、家づくりの現場などで、現場監督や職人にとって欠かせない図面ともいえます。

専門家は、矩計図を見るだけで、使用されている材料やその厚さ等を確認できるため、住宅性能がわかるといわれています。

 

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公開日:2022年6月4日

第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、田園住居地域では、道路や隣地との境界線から一定の距離だけ、外壁を後退させなければならない場合があります。

これを「外壁の後退距離」といいます。
この「外壁の後退距離」は、都市計画によって規定される制限です。逆にいえば、都市計画に定めがないならば、第一種・第二種低層住居専用地域であっても、外壁を後退させなくてよいということになります。
都市計画で「外壁の後退距離」が定められると、建築物同士の間に一定の空間が常に確保されるようになり、日照・通風・防火などの面で良好な環境が形成されます。
具体的には、低層住居系の地域内において、住宅などの外壁や柱面、建築物を敷地境界線から1mまたは1.5m以上後退させなければならないというものです。

道路側と隣地側を後退しなければならないため、敷地面積によっては希望する間取が制限されることがあります。

上記以外に建築協定、地区計画、風致地区などにより外壁後退を定めている場合があります。

 

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