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堤 延歳(宅建士・リフォームスタイリスト)

NHKドラマ正直不動産、現場監修担当の堤です。

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公開日:2021年7月30日

仲介手数料最大無料】不動産流通システムREDS宅建士/CFP/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスターの堤 延歳(つつみ のぶとし)です。社会人スタートは教育業界で約10年。その後、不動産業界での門を叩いてからは今年で18年目となりました。

 

2021年7月2日夜から東海・関東の太平洋側で記録的な大雨が降り、静岡県熱海市で大規模な土石流が発生しました。多くの家屋が流され、現場では行方不明者の捜索活動が続けられています。7月30日現在、死者は22名、行方不明者8名、被害棟数131棟とのことです。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 

この熱海で起こってしまった伊豆山土砂災害を見て、これから不動産を購入しようとされているかたにぜひ知っておいてもらいたいことをテーマにしてみたいと率直に思いました。

 

テーマは【自然災害から命を守れ!歴史から学べ!】です

 

今回はREDS不動産エージェントとして1歩踏み込んだ災害リスクの考え方や調べ方などをお伝えしたいと思います。ブログなので都合4回に分けて書きたいと思います。今回は第4回目なので最終回です。

 

第1回(7月9日投稿済み
・土砂災害リスク!歴史から学べ!
第2回(7月16日投稿済み
・ハザードマップ、国土地理院地図から災害リスクを読み解く方法 
第3回(7月23日投稿済み
・水害リスクの高い土地とは?洪水から命を守れ!
第4回(7月30日投稿)← NEW!
・地震で大きな被害を受けやすい土地や建物とは?
 

 

ここ最近の自然災害は人間の予想を超える事態が多く、それに対する備えが非常に大事になってきております。日本は特に地震が多い国です。

 

今後30年以内に約70%の確率で起こることが予想されている「南海トラフ巨大地震」と「首都直下地震」について内閣府が発表している予想される被害は次の通りです。

特に【南海トラフ巨大地震】においては、住宅全壊戸数が東日本大震災の約20倍の238万棟、死者・行方不明者数にいたっては32万人という衝撃的な数字を想定しております。

 

 

地震大国の日本。諸外国に比べて建物の構造等には地震災害を想定した厳しい規制が当然敷かれています。しかし堅固な建物を建築するだけで安心とは言い切れず、その建物の土台となる土地の地質や状態などをしっかりと調べておくことも非常に重要です。

 

そこで今回は地震に強い土地、建物を見極めるための大切なポイントを説明します。

 

早速、本題に行きます。

地震で大きな被害を受けやすい土地や建物とは?

地震大国である日本で家を建てるには、「耐震性」に優れた家を建てることが大切です。しかしその前に家を建てるための地盤が強固でなければどんなに性能の良い家を建てたとしても、地震などの被害に見舞われる可能性が高くなります。

 

一般的に地震が起きた時の家屋の倒壊レベルには、その地震の距離や深さが関連してきます。その一方、地震からの距離や深さが同じエリアで起こった地震でも、ダメージに大きく違いが出るケースがあります。その原因は地盤の「固さの違い」です

 

そこで地盤の固さと地震の関係を理解し、さらには地震に強いエリアで家を建てるための「土地探し」が重要になります。

 

地震に強い土地・地震に弱い土地とは?

地震に強い土地とは「地盤が固い土地」のことを言います一般的に岩盤や砂れきを多く含む土地は固く締まりがあり、地震の揺れに対しても揺れにくい性質があります。

 

逆に地震に弱い土地とは「地盤が柔らかい土地」のことを言いますやわらかい粘土や砂から成り、土の強度が弱いのが特徴です。かつて湖沼・河川・池だった場所を埋め立てた土地などは水分を多く含む場合が多く地盤が柔らかい地盤、いわゆる軟弱地盤であることが多いです。このような水を多く含む土地では液状化現象が起きる可能性が高く地盤沈下も起きる可能性もあります。軟弱地盤は地震の揺れに対して揺れやすい性質があります。

 

このような軟弱地盤であるかどうかは地盤調査で判定できますが、地盤が弱いと判定された場合は、安全性を高めるための地盤改良工事が必要となってきます。

 

軟弱地盤の安全性を高める地盤改良工事とは?

 

では地盤調査の結果、地盤改良が必要になった場合、具体的にどんな方法で地盤の強度を高めるのでしょうか。方法は主に(1)表層改良工法(2)柱状改良工法(3)鋼管杭工法の3つがあります。

 

(1)表層改良工法
軟弱だと思われる地盤が深度2メートル以下の時に行われる工法です。工事にかかる日数は1日~2日程度で済み、工事費用も1坪あたり2万円程度で済みます。

 

(2)柱状改良工法
軟弱だと思われる地盤が2メートル~8メートルのときに行われる工法です。地中にコンクリートの柱を建てる工法で工期は1週間程度かかり、費用としては1坪あたり5万円程度かかります。

 

(3)鋼管杭工法

地中に鉄製の杭を打ち込む工法で深度30メートルまでの工事が可能です。工期は1日~2日ほどで、費用は1坪あたり5万円~7万円ほどかかります。

 

土地の地盤改良工事が必要な場合には100万円~150万円程の費用がかかることが多くあります。地盤の強い土地であれば、地震のリスクを減らすこともできるので、意識的に地盤の強い土地を選びたいものです。地盤の強い土地を見極める1つの基準として「標高」が重要になってきます。一般的に標高の高い土地は地盤が強く、低くなるにつれて地盤は弱くなる傾向にあります。田んぼや沼、川や池などの水が関係する土地は地盤が弱いのも特徴です。一方で、昔から神社仏閣がある土地は地盤が強固な傾向があります。国土地理院「国土変遷アーカイブ空中写真閲覧」を見ると、その土地の昔の姿を見ることができるので活用してみるのも1つの方法です。

 

国土地理院サイト:http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do#1

 

 

地震に強い建物・弱い建物とは?

1995(平成)年17日に起こった阪神淡路大震災は死者・行方不明者6000名以上、全壊家屋約10万棟という大災害をもたらした地震でした。死亡者の7~9割は倒壊した家屋や家具の下敷きによる圧死というデータがあります。

 

倒壊した家屋の調査から、以下のような倒壊した建物の弱点が指摘されております。

 

① 構造 : 瓦屋や土を置いて屋根が重くなっていた。耐力壁が少ないか配置バランスの悪い家。1階に駐車スペースなどの開口部があるため耐力壁のバランスが悪い家。各階の耐力壁がずれた家。

(注)耐力壁とは地震や風など、横方向・水平方向からの荷重に対抗する能力をもつ壁のこと

② 工法 : 筋交い・柱・梁をつなげる接合金物が不足していた。基礎と土台の結合が弱い。壁の筋交いが十分に入っていなかった。

③ 建築基準法 : 昭和56年5月31日以前の耐震基準で作られた木造住宅 (いわゆる旧耐震)

④ 立地条件 : 地盤の悪い造成地や埋立地に建てられた家

⑤ 管理 : 老朽化、シロアリ被害、水廻りの腐食で部材の結合部分が劣化

 

このような分析結果から、地震に強い建物にするためには以下の点に配慮する必要があります。

地震に強い建物の特徴

① 固くてしっかりした地盤を選ぶ、弱い地盤であれば補強工事を施す。

② 構造材(土台、柱、梁など)は太くて腐りにくいものを使用する。

③ 木材の接合部分に釘、ボルト、羽子板金物、帯板など金物を十分に使う。

④ 建物全体の形をなるべく長方形のシンプルなものとする。これによって、地震によるねじれるような揺れを防ぐことができる。

⑤ 筋交い入りの耐力壁は東西・南北方向ともに全体に十分な量をバランスよく配置する。

⑥ コンクリート基礎に鉄筋を入れる。

⑦ 基礎、床下、水廻りの換気口を確保し、腐食やシロアリに備える。防腐、防蟻処理を行う。

⑧ 屋根や壁を軽量化し、建物全体の重量を抑える。

 

以上が地震に強い建物の特徴となります。

 

今回のテーマ(全4回)のブログに書くにあたっては、気象庁・国土地理院・内閣府をはじめとした官公庁のサイトなどを時間が許す限り色々と検索して調べましたので、自分自身でもかなり勉強になりました。このブログをお読みいただいた方の今後の物件探しや家づくりにおいて、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

 

 

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最終更新日:2021年7月27日
公開日:2021年7月23日

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2021年7月2日夜から東海・関東の太平洋側で記録的な大雨が降り、静岡県熱海市で大規模な土石流が発生しました。多くの家屋が流され、現場では行方不明者の捜索活動が続けられています。7月23日現在、死者は19名、行方不明者8名、被害棟数131棟とのことです。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 

この熱海で起こってしまった伊豆山土砂災害を見て、これから不動産を購入しようとされているかたにぜひ知っておいてもらいたいことをテーマにしてみたいと率直に思いました。

 

テーマは【自然災害から命を守れ!歴史から学べ!】です

 

今回はREDS不動産エージェントとして1歩踏み込んだ災害リスクの考え方や調べ方などをお伝えしたいと思います。ブログなので都合4回に分けて書きたいと思います。今回は第3回目です。

 

第1回(7月9日投稿済み
 土砂災害リスク!歴史から学べ!
第2回(7月16日投稿済み
 ハザードマップ、国土地理院地図から災害リスクを読み解く方法 
第3回(7月23日投稿)← NEW!
 水害リスクの高い土地とは?洪水から命を守れ!
第4回(7月30日投稿予定
 地震で大きな被害を受けやすい土地や建物とは?

 

 

ここ最近の自然災害は人間の予想を超える事態が多く、それに対する備えが非常に大事になってきております。日本は災害の多い国です。この世から災害をなくすことはできませんが、被害を減らすことは可能です!

 

災害の発生が予想されるときに私たちひとりひとりにできることは、的確な判断をしてすばやく避難のための行動をとることです。しかしながら、それがなかなかむずかしいことも事実です。なぜ避難が遅れてしまうのでしょうか。それは「災害時における人間の心理」が被害を拡大している側面があるようです。

 

災害時の人間の心理(認知バイアス)

人間は物事を自分に都合がよいようにバイアス(偏った見方)をかけて認知する傾向があり、災害時にリスク情報が過小評価されることがあります。

  • 正常性バイアス:人間は、少々変わったことがおきてもそれを異常だとは思わない傾向がある。これくらいは普通の範囲内だと思いたいからである。
  • 楽観主義バイアス:まさか自分のところが被害にあうとは思わなかった。
  • 確証バイアス:前回、警報が出たけれど、たいしたことがなかったから今回も大丈夫だろうと思っている。
  • 集団同調性バイアス:自分自身で判断できないために、他人の様子を見て、それを自分が判断する上での基準として採り込み、結果的に他の人と同じ行動をとる。

実はこのような認知バイアスへ陥らないための対策があります。

それは災害に対する訓練等を通じて「こういう事態に直面したらこのように行動する」という認識を身体にインプットすることです。その例として東日本大震災の際、津波による被害に見舞われた岩手県釜石市における小中学生の生存率は99.8%と非常に高いものでした。これは「津波の恐れがあるときは各自ばらばらに一刻も早く高台に逃げて自分の命を守れという考え方」が昔から地域に根付いており、普段から繰り返し防災訓練が行われてきた成果と言われております。

 

その考え方を三陸地方では【津波てんでんこ】と呼んでいて、防災思想として昔から語り継がれているそうです。

 

それでは本題にいきます。

水害リスクの高い土地とは?洪水から命を守れ!

 

水害の代表的なものとして洪水(外水氾濫・内水氾濫)・高潮・津波などがあります。

「洪水」とは、台風や豪雨によって河川の水かさが通常よりも増した状態のことです。この洪水には「外水氾濫」「内水氾濫」の2つがあります。

 

「外水氾濫」とは、豪雨などによりかさが増した河川が堤防から溢れたり、堤防が決壊したりすることで発生する洪水です。河川の泥水が建物に浸水するため、洪水が引いた後も土砂が残されるなど復旧に時間がかかってしまいます。

 

「内水氾濫」とは、豪雨などにより排水路や下水管の雨水処理能力を超えた場合に溢れてしまい、建物や道路が浸水してしまう洪水です。大雨のときにマンホールなどから水が溢れて道路が冠水している映像をニュースで見たことがある人も多いと思いますがそれが「内水氾濫」です。都市部は道路がコンクリートなどで覆われていますが雨水が浸透しづらい特徴があるため、大雨が続くと発生しやすくなります。

 

「高潮」とは台風により気圧が低下し海水が吸い上げられたり、強風によって海面が吹き寄せられたりして海面の水位が通常よりも上昇し、陸地に海水が侵入する災害です。

「津波」とは、地震などで海底・海岸地形が急変することによって発生する大規模な波のことで、海底から海面までの全ての海水が波となって一度に動くため凄まじいエネルギー量になります。津波は周囲の物を破壊しながら陸に押し寄せていきますが、波が引いていく場合も力が衰えることはなく、破壊したものを引きずり込んでしまいます。そのため、短時間でも大きな被害が発生しやすいです。

 

 

前回のブログでは地形と自然災害が密接な関係にあることを検証してみました。熱海の土砂災害で起こってしまった土石流は、その流れ出した場所のほとんとが土石流や斜面崩壊の恐れがある「山麓堆積地」でした。実は水害リスクも土砂災害と同様、地形分類からその危険性をある程度推定することができます。

 

実はこのような場所が水害リスク大!

                 資料は滋賀県耐水化建築ガイドラインより

 

低平地・・・勾配が緩く、海や河川の周辺かつ水位環境の影響を受けやすい場所

干拓地・・・干潟や湖沼を人工的に陸地に変えた場所

道路鉄道敷・・・道路や鉄道を敷くために連続盛土をしている場所

河川合流部・・・河川合流部は水の逃げ場がない

狭窄部・・・川幅が突然狭くなる場所、水の流れが悪い場所

 

他にも水害リスクが高い場所として「旧河道」「氾濫平野」「後背湿地」「海岸平野」「三角州」「砂州」などがあります。治水地形分類図でも確認できますので気になる場所があれば一度確認してみて下さい

 

治水地形分類図のサイトhttps://www.gsi.go.jp/bousaichiri/bousaichiri41043.html

 

ひとつ例をあげて検証してみます。鬼怒川で発生した平成27年9月の水害です。

平成27年9月9日から11日にかけての関東・東北豪雨により、茨城県を流れる鬼怒川が氾濫し堤防が決壊、流域の5つの市が洪水に飲み込まれ、住民は孤立し約4300人が救助、20人が死亡。建物等の被害は全壊が81棟、半壊が7090棟、床上浸水が2523棟、床下浸水が13259棟など、大被害を受けました。この鬼怒川の氾濫も治水地形分類図から、浸水の危険性が分かります。

 

    【鬼怒川の浸水範囲】

   

                   

台地・丘陵・・・台のように周囲の低地に比べて盛り上がっている平らな土地のこと

自然堤防・・・川の両側に洪水で運ばれた土砂が堆積してできた丘のような地形

氾濫平野・・・過去の洪水によってつくられた平野。洪水氾濫の他、内水氾濫も発生しやすい。

後背湿地・・・自然堤防の背後にできる湿地帯。わずかな降雨でも浸水しやすく、浸水深・浸水時間ともに大きくなる。

 

鬼怒川の氾濫による浸水範囲が緑や黄色の部分とほぼ一致しているのが分かると思います。このように歴史上、洪水がたびたび繰り返されてきた場所は水害リスクが高く、それに対する備えが大事となってきます。

 

水害リスクのまとめ

・地形と災害はとても関係が深い

・日本の平野は洪水災害リスクが高い場所が多い

・川が氾濫しなくても浸水することがあるので注意!

・川への排水ができずに浸水することもある

・内水氾濫は周りより低い土地で発生しやすい

・治水地形分類図を見るとその土地の洪水危険性がわかる

・水の流れは地形で決まるため、身の回りの地形や土地の高低をよく観察しておく

 

地形を知り、災害から身を守る方法を身に付けることが大事!

 

「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉がありますが今の時代には通用しません。「天災は毎年必ずやってくる」と言っても過言ではなく、有事に備えて被害を少なくするための心掛けと準備をしておくこと、それが大事だと思います。

 

 

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公開日:2021年7月16日

仲介手数料最大無料】不動産流通システムREDS宅建士/CFP/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスターの堤 延歳(つつみ のぶとし)です。社会人スタートは教育業界で約10年。その後、不動産業界での門を叩いてからは今年で18年目となりました。

 

2021年7月2日夜から東海・関東の太平洋側で記録的な大雨が降り、静岡県熱海市で大規模な土石流が発生しました。多くの家屋が流され、現場では行方不明者の捜索活動が続けられています。7月16日現在、死者は12名、いまだ行方不明者が16名とのことです。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 

この熱海で起こってしまった伊豆山土砂災害を見て、これから不動産を購入しようとされているかたにぜひ知っておいてもらいたいことをテーマにしてみたいと率直に思いました。

 

テーマは【自然災害から命を守れ!歴史から学べ!】です

 

今回はREDS不動産エージェントとして1歩踏み込んだ災害リスクの考え方や調べ方などをお伝えしたいと思います。ブログなので都合4回に分けて書きたいと思います。今回は第2回目です。

 

第1回(7月9日投稿済み
 土砂災害リスク!歴史から学べ!
第2回(7月16日投稿) ← NEW!
 ハザードマップ、国土地理院地図から災害リスクを読み解く方法 
第3回(7月23日投稿予定
 水害リスクの高い土地とは?洪水から命を守れ!
第4回(7月30日投稿予定
 地震で大きな被害を受けやすい土地や建物とは?
 
 

早速、本題にいきます。

ハザードマップ、国土地理院地図から災害リスクを読み解く方法

 

 

ここ最近の自然災害は人間の予想を超える事態が多く、それに対する備えが非常に大事になってきております。自然災害の例としては【地震】【土砂災害】【ゲリラ豪雨】【スーパー台風】などが挙げられますが、水害の起こりやすい【低地エリア】、土砂災害の恐れがある【山裾エリア】、津波の危険性がある【沿岸エリア】などは特に注意が必要だと思います。

 

そもそも日本の国土は次のような特徴があり自然災害が発生しやすい環境です。

  • 国土の70%が山地である → 土砂災害が発生しやすい
  • プレートが沈みこむ位置にある → 地震や火山活動・地殻変動が起きやすい
  • 温帯湿潤気候である → 梅雨や台風時に豪雨が発生しやすい

 

物件選びにおいても水害や土砂災害などの災害リスクが少ないエリアを重視される方がここ数年増えているような気がいたします。ハザードマップを検索しながら物件の立地を検討されている方もいれば、土地勘がある方は事前に災害リスクを想定して「この○○街道より北側限定で物件を探してください」「この路線より南側の物件限定でお願いします」といったリクエストを頂く事もよくあります。やはり昔から住んでいる方は、昔はそこがどういう土地だったのかをよくご存じなので当然お客様の条件に沿った物件探しをすることがベストとなります。

 

やはりお客様にとっての不動産の価値は、単なる地価相場や利便性といった見方だけではなく、災害リスクの少ない土地・良好な地盤などといった安全性も加味されて決まるところがあると思います。土地であれば「地盤」や「地形」、建物であれば「耐震性」「耐久性」「省エネ」などがポイントとなります。

 

まだ記憶に新しいとは思いますが平成30年7月豪雨令和元年台風19号などでは甚大な大規模水災害を受けました。それがきっかけとなり、不動産取引時においては水害リスクに係る情報が契約を結ぶ上で大事な要素となることから【水害リスクの説明】が義務化されました。

 

具体的には2020年8月28日より水防法の規定に基づき作成された「水害ハザードマップ」を用いて取引の対象となる不動産の所在地について、その災害リスクを宅建士が必ず説明をすることになりました。水害には「洪水」「雨水」「出水」「高潮」などがあります。

 

今回は具体的にそのハザードマップからどのような情報が読み取れるのか?を考えていきたいと思います。

 

ハザードマップについて

ハザードマップは各市町村から配布されておりますので一度は目を通したことがあると思います。ハザードマップとはある災害が発生したときに危険と思われる場所や災害時の避難場所をまとめたもので、災害の種類別に「洪水」「内水」「高潮」「津波」「土砂災害」「火山」などのハザードマップがあります。

 

このハザードマップはネットでも簡単に検索していろいろな災害リスクを調べることができます。【重ねるハザードマップ】と【わがまちハザードマップ】の2つがメインとなります。ポータルサイトはこちらです。

 

ハザードマップのポータルサイトhttps://disaportal.gsi.go.jp/

 

 

【重ねるハザードマップ】 ← おすすめ

 複数の防災情報を一つの地図上に重ねてみることができます。すごく便利です。「洪水」「土砂災害」「高潮」「津波」「道路防災情報」「地形分類」の6つがあります。

 

【わがまちハザードマップ】

 全国各市町村のハザードマップを直接検索することができます。

 

熱海で起こってしまった土砂災害ですが、この土砂災害にはがけ崩れ・地すべり・土石流などがあり、熱海の土砂災害は土石流と見られます。土石流は「山津波」とも呼ばれ、極めて危険な災害です。

 

今回はその熱海の土砂災害に限定してハザードマップを見ていきます。

 

熱海の土砂災害があった場所のハザードマップ(土砂災害で選択

 

今回の土砂災害はある不動産管理会社による大規模盛土に原因があると静岡県の副知事が言っておりました。盛土をした不動産管理会社は、静岡県の許可を必要としない1ヘクタール以下の面積で造成計画の届出をしており、その届け出をした後に、当初の計画以上の盛土や産業廃棄物の不法投棄をしていたそうですので、かなり悪質で限りなく人災に近い土砂災害と言えそうです。

 

加えてハザードマップでこの土石流が流れた痕跡を見てみると、その大部分が【土砂災害警戒区域】に指定されており、もともと災害リスクの高い場所のすぐ近くで盛土をしていたことになります。そのような場所で当初の計画以上の盛土をして産業廃棄物の不法投棄をしていた事実を行政が把握していたにもかかわらず、静岡県や熱海市がどこまで対応していたのか後々、検証が必要になってくると思います。

 

熱海の土砂災害があった場所のハザードマップ(地形分類で選択

 

また、地形分類では【山麓堆積地形(土石流堆)】と分類され、土石流などがくりかえし流出して形成された地形であるとわかります。今回の土砂災害の直接的な原因が無秩序に行われた盛土にあったとはいえ、ここまで被害が拡大しているひとつの理由として、地形的に土石流が起こりやすい場所で発生したからと考えていいのかもしれません。

 

国土地理院地図について

第1回のブログでも少し触れましたが国土地理院のホームページから、古地図や昔の航空写真を検索できることは説明いたしました。それ以外にも国土地理院の地図情報を活用して様々な【地形分類図】が検索できます。国土地理院が整備している主な地形分類図には「土地条件図」沿岸海域土地条件図」「火山土地条件図」「治水地形分類図」活断層図」などがあります。ポータルサイトはこちらです。

 

地形分類図などが見れるポータルサイトhttps://maps.gsi.go.jp/help/intro/looklist/4-naritachi.html

 

自然災害の被害の軽減には、その土地の地形が持っている【土地条件】を知っておくことが非常に重要です。ちなみに地形分類図を活用することで、次のようなことを読み解くことができます。

  • どのような土地(地盤)なのか?
  • どのような自然条件を持っているのか?
  • どのような災害が起こる可能性があるのか?
  • どうすれば被害を最小限にすることができるのか?

 

今回は地形分類図のひとつである【土地条件図】を使って熱海の土砂災害を検証してみます。

土地条件図は、防災対策や土地利用・土地保全・地域開発等の計画策定に必要な、 土地の自然条件等に関する基礎資料を提供する目的で、 昭和30年代から実施している土地条件調査の成果を基に、 主に地形分類(山地、台地・段丘、低地、水部、人工地形など)について示したものです。

 

熱海の土砂災害があった場所の土地条件図(国土地理院の地理院地図より

 

凡例で見ると、土石流が起こった場所は「山麓堆積地形」となっており、「斜面の下方、山間の谷底または谷の出口等に堆積した、岩屑または風化土等の堆積地形。崩壊や土石流の被害を受けやすい」と書いてあります。当然ではありますが、土地条件図においてもハザードマップの地形分類と同じ結果となりました。

 

 

地盤サポートマップについて

最後にホームインスペクションでも有名なジャパンホームシールド株式会社の【地盤サポートマップ】を紹介いたします。実務でもよくお世話になっておりますが、こちらのサイトも非常に使いやすいと思います。地震・液状化・浸水などの地盤リスクがすぐ分かるマップとなっております。ぜひ参考にしてみて下さい。

 

地盤サポートマップ  https://supportmap.jp/#13/35.6939/139.7918

 

 

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最終更新日:2021年7月15日
公開日:2021年7月9日

仲介手数料最大無料】不動産流通システムREDS宅建士/CFP/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスターの堤 延歳(つつみ のぶとし)です。社会人スタートは教育業界で約10年。その後、不動産業界での門を叩いてからは今年で18年目となりました。

 

2021年7月2日夜から東海・関東の太平洋側で記録的な大雨が降り、静岡県熱海市で大規模な土石流が発生しました。多くの家屋が流され、現場では行方不明者の捜索活動が続けられています。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 

この熱海で起こってしまった伊豆山土砂災害を見て、これから不動産を購入しようとされている方にぜひ知っておいてもらいたいこと、それをテーマにしてみたいと率直に思いました。

 

テーマは【自然災害から命を守れ!歴史から学べ!】です

 

今回はREDS不動産エージェントとして1歩踏み込んだ災害リスクの考え方や調べ方などをお伝えしたいと思います。ブログなので都合4回に分けて書きたいと思います。今回は第1回目です。

 

第1回(7月9日投稿
 土砂災害リスク!歴史から学べ!

 

第2回(7月16日投稿予定
 ハザードマップ、国土地理院地図から災害リスクを読み解く方法

 

第3回(7月23日投稿予定
 水害リスクの高い土地とは?洪水から命を守れ!

 

第4回(7月30日投稿予定
 地震で大きな被害を受けやすい土地や建物とは?
 

 

早速、本題にいきます。

【土砂災害リスク!歴史から学べ!】

 

 

まず熱海で起こったいわゆる土砂災害ですが、土砂災害を含め地震・津波・洪水・台風・火山等で起こる自然災害は同じ場所で起こることが多く、その土地の歴史を知ることが非常に大事となります。

 

ハザードマップは各市町村から配布されておりますので一度は目を通したことがあると思います。ハザードマップとはある災害が発生したときに危険と思われる場所や災害時の避難場所をまとめたもので、災害の種類別に「洪水」「内水」「高潮」「津波」「土砂災害」「火山」などのハザードマップがあります。

 

ただしこのハザードマップだけではその土地の歴史までは知ることができません。

そこで自分の住んでいる土地が昔はどういうところだったのか?それを調べる方法がいくつかありますので紹介してみたいと思います。

 

① 昔から住んでいる人に昔はどういう土地だったのかを聞いてみる。

やはり昔からその土地に住んでいる人に聞くのが一番早くて確実です。不動産調査でも近隣へのヒアリング調査はよく行います。ただ話好きな方に遭遇すると1時間以上立ち話をすることも・・・何度かあります。

 

② 国土地理院のホームページから見ることができる古地図や航空写真を検索してみる。

場所によっては明治時代のものも調べることができます。ちなみに自宅付近の地図を検索してみたところ大正10年に大日本帝國陸地測量部が作成した古地図が閲覧できました。大日本帝國陸地測量部は国土地理院の前身となる組織です。リンク先も貼りましたので活用してみてください。

https://www.gsi.go.jp/tizu-kutyu.html

 

③ ネット検索が苦手な方は最寄りの図書館で古地図を閲覧してみる。

最寄りの図書館に電話をして「○○市○○町の古地図はありますか」と確認してみてください。大体、備え付けられております。

 

④ 役所に備え付けられている昔の航空写真を閲覧してみる。

固定資産の実態調査のため3年に1回、航空写真を撮影している市町村が多いです。私が住んでいる横浜市ですと昭和22年の航空写真も閲覧できます。

 

⑤グーグルマップで過去の航空写真を検索してみる

これは結構実務で使っております。よくお客様から昔は何が建っていたの?どういう土地だったの?と聞かれることもありますのでその時は30~60年くらい前の航空写真で確認しております。リンク先も貼っておきます。

https://maps.multisoup.co.jp/exsample/tilemap/chiriin_history.html

 

⑥ 自分の住んでいる地名から推測してみる。

色々書きたいのですが特定は良くないので控えておきます。ただ新興住宅地に多い「◯◯ヶ丘」「◯◯台」といった地名についてはイメージを良くするために従来の地名が上書きされている可能性もありますので調べてみる価値はあると思います。

 

⑦ 法務局で「登記事項証明書」を取得してみる。

登記事項証明書(登記簿謄本)は法務局に行けば誰でも取得できます。登記事項証明書には土地の用途を分類した「地目」という欄があります。建築物の建築に伴い「宅地」に地目変更されますので家が建っている場合、ほとんどが「宅地」と記載されていると思います。

一方、家が建つ前は「山林」「田」「畑」「雑種地」などと記載されていることが多いです。この地目には合計23種類もあり、ほかには「学校用地」「塩田」「鉄道用地」「牧場」「原野」「墓」「池沼」「境内地」「用悪水路」「堤」「ため池」「保安林」「公衆用道路」「公園」「井溝」「運河用地」「水道用地」「鉱泉地」があります。

宅地になってからある程度の年月が経っていればそれほど心配する必要はないのかもしれませんが、昔の地目が池沼(沼地)、ため池などの場合には、地盤が弱い可能性を十分に考える必要があると思います

 

法務局で「閉鎖謄本」と「旧土地台帳」を取得してみる(不動産業者レベルです)。

閉鎖謄本をさかのぼって調べることで、おおむね昭和40年代以降の土地の地目の変遷が分かり、さらに旧土地台帳をさかのぼって調べることで、明治22年頃の地目まで分かることになります。土地台帳とは、もともとは明治時代の地租(土地の税金)課税のための台帳でしたので明治時代に遡って調べることができます。その土地台帳のことを法務局では旧土地台帳と呼んでおります

旧土地台帳には「市街宅地」「大蔵省用地」「官有地」「野地」「軌道用地」「水面埋立地」「土揚敷」「稲干場」など現在では使われていない地目もありますが、ブログで書いて良いのかどうかためらうような地目もありますのでご興味がある方はぜひ調べてみてください。

 

ここまで色々と調査方法を書いてきましたが、自然災害から身を守るために「古い地図や航空写真を活用すること」は特に大事です。まずはご自宅や故郷のことなどを調べてみてはいかがでしょうか?

 

古地図から先人が名付けた災害地名を読み解き、それに該当する危険な地形でないかどうか、一度は航空写真などで確認してみることをおすすめいたします

 

【熱海・伊豆山エリアの土砂災害について】

 

そして熱海で起こってしまった土砂災害ですが、この土砂災害にはがけ崩れ・地すべり・土石流などがあり、熱海の土砂災害は土石流と見られます。土石流は「山津波」とも呼ばれ、極めて危険な災害です。その土砂災害にともなう斜面崩壊の形態は次の2種類があります。

 

 

 

 

① 表層崩壊

表層崩壊は厚さでいうと0.5mから2.0m程度の表層土が滑落する比較的規模の小さい斜面崩壊です。

 

② 深層崩壊(熱海の土砂災害のケース)

深層崩壊はすべり面が深度で発生するため、表層土だけでなく深層の地盤までもが崩壊するという大規模な斜面崩壊です。崩壊した土や岩盤が高速で移動するため土石流や天然ダムを形成することがあります。

 

 

最近のニュースでは熱海の土砂災害の原因が大規模盛土にあるのでは?とよく報道されております。もちろん原因究明は人命救助後に行うものなのでだいぶ先の話になるとは思いますが、自分が住んでいる場所が大規模盛土がされて造成している場所なのかどうかを確認する手段が存在いたします。

 

 

それが「大規模盛土造成地マップ」の閲覧です。1741の市町村で大規模盛土造成地マップを作成しております。

大規模盛土造成地には、盛土面積3000㎡以上の【谷埋め型】、もしくは角度20度以上かつ盛土高さ5m以上の【腹付け型】の2種類があります

 

 

もちろん大規模盛土造成地の位置を示すものであって、そのことがただちに危険な造成地であることを示すものでありません!

 

 

 

熱海市の大規模盛土造成地マップ(熱海市ホームページより)

 

赤い部分が大規模盛土造成地ですが、土砂災害発生場所(伊豆山エリア)とほぼ一致しているように見えます。

 

必ずしも【盛土=危険】とはなりませんが注意喚起情報として気になるエリアについては調べてみる価値は十分あると思います。

 

自主避難の判断について

 

最後に、土砂災害や洪水災害からの自主避難の判断に役立つサイトのご紹介です。

気象庁が公表している「キキクル(土砂災害・浸水・洪水警報の危険度分布)」です。常時10分毎に情報を更新しており、どこで危険度が高まっているかを5段階表示で把握することができます。

こちらのサイトもぜひ参考にしてみてください。

 

土砂災害キキクル

https://www.jma.go.jp/bosai/risk/#zoom:4/lat:37.405074/lon:139.042969/colordepth:normal/elements:land

 

浸水キキクル

https://www.jma.go.jp/bosai/risk/#lat:37.335224/lon:139.042969/zoom:4/colordepth:normal/elements:inund

 

洪水キキクル

https://www.jma.go.jp/bosai/risk/floodmesh.html#zoom:4/lat:37.405074/lon:139.042969/colordepth:normal/elements:flood

 

 

 

 

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