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堤 延歳(宅建士・リフォームスタイリスト)

NHKドラマ正直不動産、現場監修担当の堤です。

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最終更新日:2023年12月12日
公開日:2023年7月29日

仲介手数料最大無料】不動産流通システムREDS宅建士/CFP/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスターの堤 延歳(つつみ のぶとし)です。

2022年春、山下智久さん主演で話題になったNHKドラマ『正直不動産』では、全10話の現場監修を担当させていただきました。今年の冬には『正直不動産スペシャル』(90分枠)も放送される予定です。

今回はドラマ『正直不動産』で取り上げられたテーマの中で、第6話の【建築条件付き土地】を解説したいと思います。撮影現場では不動産取引にかかわるシーンにおいていろいろと細かいところまでアドバイスをさせていただきましたが、「建築条件付き土地」の売買ではどのような点に注意をしなければならないのかを分かりやすく説明したいと思います。

建築条件付き土地

ドラマ『正直不動産』第6話のあらすじ

第6話では、登坂社長から総額2億8,000万円の建築条件付き土地を売るように命じられた永瀬と桐山。しかし、桐山は資料を見るだけで売れるような代物ではないと断言。営業するだけ時間の無駄だと言い切ります。

調べたところ、売主の竹鶴工務店は下請け業者に安い金額で建築を丸投げしており、通常は3か月かかる工期を半分にするよう言い放つ悪徳会社でした。下請けである秋川工務店がそのままの金額で建築をすれば手抜き住宅になるのは明らか。そのとき永瀬が取った行動で物語はハッピーエンドとなります。

建築条件付き土地とは?

建築条件付き土地とは、文字どおり、「建築するための条件が付いた土地」であり、具体的には売主が買主に対して「売主指定の建築会社で」「一定の期間内に」「住宅を建築する」という条件を指定する土地のことを指します。

建築条件付き土地を購入するメリット

建築条件付き土地を購入するメリットとして大きく以下の3つがあります。

・一般的な土地より割安なケースがある

一般的な土地の場合は、土地の売買時に利益を出す必要があります。一方、建築条件付き土地の場合は、住宅建築で利益を出せるため、一般的な土地よりも割安になるケースがあります。

30棟や50棟といった場合は、総額が大きいため土地を相場より安く仕入れやすくなるからです。また建物を同じグループ会社で施工することにより、コストカットを図ることができることなどが挙げられます。

・間取りや内装をある程度自由に決められる

建売住宅のようにプランが決まっているわけではないので、間取りや設備やカラーセレクトは、決められた範囲内であれば、ある程度は自由に決めることができます。建築会社と参考プランが決まっているため、安価で使い勝手のいい家をスピーディに手に入れることもできます。ただし仕様が決まっているので注文住宅みたいな自由度はあまりなく、過度の期待は禁物です。

・家を建てる工程を確認できる

建売住宅の場合は、すでに建てられた家を購入するため、基礎や躯体工事、内装工事などの過程を見ることは一切できません。一方、建築条件付き土地は、間取りが決まらないと工事が着工しないので、基礎工事からスタートして建物が完成するまでの建築工程を、購入者自身の目で確認することができます。

建築条件付き土地のデメリット

建築条件付き土地を購入するとデメリットもあります。大きく以下の3つです。

・建築会社を選べない

建築条件付き土地は、売主指定の建築会社によって設計・施工がおこなわれるため、注文住宅のような自由度はあまりなく、特殊な間取りとか地下室を作りたいといった特殊な希望は応じてもらえないケースが多いといえます。「和室が欲しい」「収納を多く作りたい」「リビングを広くしたい」など一般的な要望は大丈夫なことが多いでしょう。

・時間的制約がある

建築条件付き土地の多くは、土地の購入から3か月以内に建築請負契約を結ぶという条件になっているため、3か月の間で間取りや設備、細かい仕様やカラーまで決めなければなりません。このため、スケジュールがかなりタイトになります。

土地契約後は、すぐに設計士と間取りや仕様の打ち合わせ・設備のショールーム見学などもする必要があるため、週末の予定は、ほとんど家のことでつぶれてしまうことも覚悟しなければならないかもしれません。

・期間内に建築請負契約を結ばないと白紙解約になる可能性もある

定められた期間内に請負契約を結ばなかった場合、土地購入そのものが白紙に戻される可能性があり、その場合は売買契約自体が無効になります。基本的には手付金や預り金は全額戻ってくるが、売買契約に解約条件が含まれている場合は、手付金や預り金が戻らないケースもあるので、契約書の内容はしっかり確認しましょう。

まとめ

建築条件付き土地は3か月という時間的制約の中で建築プランを決めないといけないため、家づくりに対するこだわりが強い人にはあまり向いていないといえるでしょう。

ただ立地が希望のエリアであり、建物工法や仕様などについても「標準的な仕様で十分」「無難でオーソドックスなタイプでOK」「選択肢が多すぎるとむしろ決められない」といったタイプの方であれば、希望に近い家が安価で建てられる魅力的な土地になる可能性が高いのかもしれません。

注意点としては、解約条件付きの売買契約もあるので契約内容はしっかり確認すること、建築会社を自分で選択することができない以上、設計や建築を依頼する会社が信用するに足る会社かどうか、施工実績はどれくらいあるのか、トラブルが多いような会社でないかどうかなど、事前に確認することが大事です。

YouTubeにも不動産購入で押さえておきたいポイントとして【建築条件付き土地】の解説動画をUPしておりますので、ご興味がある方はぜひこちらの動画もご視聴してみて下さい!

 

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