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小室 武稔(宅建士・リフォームスタイリスト)

ご購入の交渉と戦略的なご売却はお任せください!

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最終更新日:2023年6月25日
公開日:2023年6月17日

こんにちは、仲介手数料が最大無料、REDSエージェント・宅建士・管理業務主任者の小室です。

みなさんはマンションの寿命をご存じでしょうか。今回は、マンションの寿命に伴う建て替えについて解説いたします。

マンション

マンション建て替えの高いハードル

鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年と定められています。実際には多くのマンションが築47年を超えて存在しています。今後は建物の性能や建築の技術の向上により、マンションの寿命はさらに延びると思います。

先日、お客様に築後47年を超えた昭和40年代に建てられたマンションの「建て替えの可能性」について、質問をいただきました。これは非常に難しい問題といえます。

なぜなら、マンションの建て替えはハードルの高い問題だからです。

マンション建て替えの3大ハードル

なぜ、ハードルが高いのか。大きな理由が以下の3つです。

・住民の負担が大きい

建て替えを行う場合、区分所有者(マンションの住人)の負担額は、1戸あたり1,000万円を超えるといわれています。解体費用や建築費用、その他の諸経費などですが、建て替え後のマンション設備のグレードが高ければ、費用はアップします。

・議決権

管理部分の軽微な変更などは、一般的に2分の1(過半数)で可決となりますが、建て替えのためには、5分の4以上の決議が必要なります。これを「建て替え決議」と言います。5分の4、すなわち8割の賛成というのはなかなかハードルが高いと言えますね。

・既存不適格

建築当時は法令に則って建築されたマンションでも、より厳しい法律が建築後に制定され、同規模のマンションの建築が困難な場合があります。これを既存不適格といいます。私は年間で数件、既存不適格のマンションのお取引をいたしますので、築年数を経過したマンションで既存不適格のものは少なくない印象です。ただし、反対に現行の法律に則って延床面積を増やす(住戸数を増やす)ことができれば、解体費用や建築費用など1戸あたりの負担額も圧縮することができます。

以上の3つのハードルが、マンションの建て替えに至らない主な要因です。

建て替えまでは10年以上かかる

また、マンションの建て替えには、「準備」「検討」「計画」「実施」の4つのプロセスで進んでいきます。

この過程は一般的に10年を超える長い期間を要します。

(1)準備段階

管理組合として建て替えの検討を行うことの合意を得ることを目標に、区分所有者の有志が集まり、建て替えの提起のための基礎的な検討・勉強を行います。

(2)検討段階

管理組合として、建て替えを必要として計画することの合意を得ることを目標に、管理組合として、建て替えの構想や修繕・改修との比較を含めた建て替えの必要性についての検討を行います。

(3)計画段階

建て替え計画を策定するとともに、それを前提とした建て替えの合意(建て替え決議の成立)を得ることを目標に、区分所有者の合意形成を図りながら、建て替え計画の策定を行います。

(4)実施段階

「マンション建て替え組合」が設立され、組合が主体となって建て替えの最終的な手続きを行います。

(1)~(4)で説明したこの期間の長い過程も建て替えにつながらない原因のひとつです。

このほか、マンションの建て替えとあわせて注目すべきポイントは管理体制です。マンションの建て替えがかなわなかった場合、所有者は引き続き、所有不動産であるマンションを維持・修繕し、価値を守っていかなければなりません。

建て替え話が出る前に売却しましょう

「マンションは管理を買え」といわれるほど、マンションの資産価値維持のためには管理がどのように行われるかは購入の判断材料として重要です。専有部分だけでなく、総会などで話し合われるマンション全体の修繕の内容や修繕計画にも注視する必要があります。

実際に私がご売却を担当したマンションでも建て替えを話し合う総会が開催されましたが、各住戸1,000万円を超える費用が発生することから、建て替えの決議は否決となりました。否決となったことで売主様は販売活動を本格的に開始しましたが、内見された方からは建て替えの経緯を理由にお見送りの回答を複数いただきました。マンション内に住む方のご親族様に購入いただき、無事にご成約となりましたが、事情を知らない方にとっては建て替えがマンション内で議論されたということは購入の決断を難しくさせると実感しました。

よくマンション売却のタイミングについてのご相談をいただきますが、築年数が経過するマンションは、この建て替えの話が表面化する前に売却することがベストです。

今後、昭和に建築されたマンションで建て替えが総会の議題となることが増えるかと思います。マンションのご売却を検討する際は、マンションのプロフェッショナル資格の1つである「管理業務主任者」を保有するエージェントにご相談をされると、よろしいかと存じます。

マンションのご売却・ご購入でご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください!

 

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