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有馬 春志(宅建士・リフォームスタイリスト)

安全かつ安心して取引できる環境を提供。

公開日:2023年2月18日

空中権には、2つの意味があります。
1.土地の上空の空間の一部を使用する権利
契約により設定する空間の上下の範囲を定めて土地を独占的に使用する権利をいい、その法的な形式によって「区分地上権」または「区分地上権に準ずる地役権」に分かれます。
区分地上権による空中権は、工作物(例えば空中電線)を所有する目的で上下の限られた空間を排他独占的に使用収益する権利のことです。また、区分地上権に準ずる地役権による空中権は、自己の土地(例えば電柱の設置場所)の便益のために他人の土地の空中を使用する(例えば電線を設置する)権利のことになります。
いずれも、民法上の物権として認められています。
2.未利用の容積率を移転する権利
都市計画で定められた容積率(建物の敷地面積に対する総床面積の割合)のうち、未使用のものを他の土地に移転する権利のことです。
一定の条件のもとで容積率を割増しする方法(実質的に容積率が移転される)としては、「特手街区」「一団地の総合的設計」「高度利用地区」「連担建築物設計」などの制度があるが、いずれも移転対象建物が隣接していなければならない他、既存建物の未利用容積率を移転することはできません。(「連坦建築物設計」を除く)。
もっと広範囲で容積率を移転できる制度としては、「特例容積率適用地区制度」があります。これは、都市計画で一定の区域を定め、その区域内の建築敷地の指定容積率の一部を複数の建築敷地間で移転することを認める制度であり、2001年に創設されました。
東京都千代田区の一部が「大手町・丸の内・有楽町地区特例容積率適用地区」(116.7ha)として指定され、東京駅の駅舎敷地で未使用となっている容積率(東京駅は復元改修後、それ以上容積率を使用しないで保存される)を、その周辺の新築ビル(東京ビルディング、新丸ビル、丸の内パークビル、八重洲側の南北グラントウキョウビル等)に移転して、本来の容積率以上の高層ビル化を実現しています。
容積率の移転は建築確認によって認められるもので、当事者が空中権を直接に取引する制度が確立しているわけではありませんが、容積を移転する敷地に対して移転先の敷地所有者が地役権を設定し、移転敷地所有者にその対価を支払うという方法が取られています。

 

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公開日:2023年1月29日

市街化区域と市街化調整区域とに区分されていない都市計画区域のことです。
一つの都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分することを「区域区分」(または「線引き」)と呼びますが、この「区域区分」がされていない都市計画区域が「区域区分が定められていない都市計画区域」です。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は一般に「非線引き区域」とも呼ばれています。
1.趣旨
都市計画法第7条では、指定都市等では「区域区分」を必ず定めるよう規定しているので、「区域区分が定められていない都市計画区域」は指定都市等以外に存在しています。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は市街化の圧力が弱い地域であるので、土地利用に関する規制が市街化区域より緩やかであり、開発許可の規制も緩やかです。
2.土地利用の規制について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、用途地域を定めることができますが、必ず用途地域を定めるわけではありません。「区域区分が定められていない都市計画区域」の内部において用途地域が定められていない部分は「非線引き白地地域」と呼ばれることがあります。なお、この「非線引き白地地域」では用途制限を課す目的で「特定用途制限地域」を設けることができます。
3.都市施設等について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、都市施設のうち少なくとも「道路、公園、下水道」を定めなければなりません。
また、市街地開発事業、促進区域を定めることも可能です。
4.開発許可について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では開発許可制度が適用されます。ただし、開発許可を受けるべき開発の面積は「3,000平方メートル以上」とされています。ちなみに、市街化区域では開発許可を受けるべき開発の面積は「1,000平方メートル以上」です。

ただし、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに、都道府県・指定都市等の規則により、都市計画法施行令により開発許可を受けるべき開発の面積を「300平方メートル以上」にまで引き下げることが可能です。
また開発許可の基準については、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに技術的基準だけを満たせば、開発許可が与えられます。つまり、区域区分が定められていない都市計画区域に対しては、都市計画法第34条の基準(市街化調整区域の開発許可の基準)は適用されません。

 

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公開日:2023年1月22日

金属板で屋根を覆うことです。
金属板には、亜鉛メッキ鋼板(トタン)、スズメッキ鋼板(ブリキ)、アルミなどが使用されますが、最近では、銅、ステンレス、チタンなども用いられています。

一般住宅では鋼板、アルミが多く使用されています。
金属板葺きには、軽量かつ安価であること、複雑な屋根でも加工しやすいことなどの長所があります。
金属板葺きの工法としては、一文字葺き、瓦棒葺き、横葺きなどがあり、いずれも板同士の継ぎ目を折り曲げて加工し、下地に釘などで止めるものです。
この他に、継ぎ目を溶接する工法が用いられる場合もあります。

金属板葺きは、豊富な材質でデザインの自由度が高く、また雨水が侵入しにくいのが特徴です。反面、材質が金属の性質上、熱くなりやすく冷めやすい、また音が伝わりやすいというデメリットがあります。

 

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公開日:2023年1月15日

住宅ローンを繰り上げ返済する方法の一つで、毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする方法を期間短縮型と言います。

繰り上げ返済する金銭は元金の返済に充てるが、減額された元金を毎月の返済額を変えないで元利均等で返済すると、返済に要する期間が繰上げ返済前に比べて短くなります。

本来支払い予定であった元本部分の金利を支払わずに済み、総支払額が少なくなるメリットがあります。

この方法による繰上げ返済が「期間短縮型」です。

毎月の返済額が変わらないので負担感は同じですが、負担しなければならない期間は短縮されます。

なお、繰り上げ返済の方法には、期間短縮型のほか、返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす返済額軽減型があります。

例えば借入金額3,000万円で返済期間30年、固定金利1.5%、元利均等返済の場合では、毎月の返済額は約10.4万円となります。

100万円を返済額軽減型で繰り上げ返済に充てた場合、毎月の返済額が約10.1万円となり月約3,000円少なくなります。

これから子供の教育費等にお金がかかるから少しでも家計の負担を減らしたい場合、期間を短くするよりも毎月の返済額を減らしたい考え方には、返済額軽減型がおすすめです。

 

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公開日:2023年1月8日

近隣商業地域は、都市計画法で「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義されています。

この用途地域では、建蔽率の限度は原則として60%または80%になります。また容積率の限度は100%から500%の範囲内で都市計画で指定されます。

この用途地域では次のような用途規制が行なわれています。

(建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが少ない作業場面積が150平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等、客席が200平方メートル未満のミニシアター
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の工場
2.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設

商業地域とほぼ同じですが、近隣商業地域はキャバクラなどの風俗店が許されない区域になります。

住居専用地域ではないため、日当たりや日影など各種制限の内容が厳しくなく、マンションや店舗などが密集したエリアで「駅周辺」や「商店街」のほか、商業地域周辺の国道や県道といった「幹線道路沿い」が多く指定されます。

 

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公開日:2023年1月1日

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

本年もより一層のご愛顧のほど賜りますようお願い申し上げます。

令和5年元旦

 

近傍宅地とは、登録免許税額の算定において、課税対象土地の価格評価のために用いる土地のことで「近傍類似地」「隣接地」とも言われます。
登録免許税額の算定に当たって用いる土地評価額は、原則としてその固定資産税評価額とされていますが、私道、ため池、用水路など固定資産税が非課税の土地については評価額が定まっていません。この場合には、「評価対象の土地に接近するほぼ類似の土地」を指定して、その固定資産評価額の30%を課税対象土地の評価額とすることとされています。近傍宅地は、このときの「評価対象の土地に接近するほぼ類似の土地」になります。
近傍宅地の指定は、登録免許税を課す法務局の業務ですが、指定方法は法務局によって異なるので確認する必要があります。

 

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公開日:2022年12月26日

借地借家法が施行された日(1992年8月1日)より前に成立した借地権であって、旧借地法にもとづく借地権のことです。借地借家に関する法制度は、かつては借地法・借家法の二本立てであったが、1992年8月1日に借地借家法が施行されたことにより、一本化されました。
この新借地借家法(1992年8月1日施行)にもとづく借地権であって、定期借地権ではない借地権のことを「普通借地権」と呼びます。
これに対して、旧借地法にもとづく通常の借地権のことを「旧法上の借地権」と呼ぶことがあります。
普通借地権と旧法上の借地権の間には、次のような違いがあります。
1).旧法上の借地権は、あらかじめ存続期間を定めなかった場合には、非堅固な建物については存続期間を30年とし、堅固な建物については存続期間を60年としていました。
しかし普通借地権では建物の堅固・非堅固による区別がなく、あらかじめ存続期間を定めなかった場合には存続期間を30年としました。
2).旧法上の借地権は、建物が老朽化し、朽廃した場合には、借地権が自動的に消滅することとされていた(旧借地法第2条、第5条)。しかし、普通借地権にはこうした朽廃による消滅の規定はありません。
このようにいくつかの相違点があり、しかも現在でも、旧法上の借地権による借地と普通借地権による借地が並存しているため、不動産広告等では両者の違いを明記することが多いです。

 

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公開日:2022年12月18日

資産の価格変動に伴って得る利益をキャピタルゲインと言います。

不動産や株式などの売買差益はこれに当たります。
資産から得られる利益の種類で、その保有により得る利益をインカムゲイン、その価格変動に伴って得る利益をキャピタルゲイン(損失はキャピタルロス)と言います。不動産の賃料、株式の配当、預金の利子などはインカムゲインで不動産や株式・債券などの売買差益はキャピタルゲイン(譲渡益、資本利得)です。例えば、株価30万円で購入した株式が、35万円になったときに売却した場合、差額5万円(手数料・税金を除く)がキャピタルゲインになります。

両者は税務上の取扱いなどが異なるため、投資に当たっても両者の性格の違いを十分に認識しておくことが重要です。
もっとも、両者は無関係ではなく、資産の価格はそれから得ることのできる利益を現在価格に還元したものの総額に等しいとされているため、例えばインカムゲインが増大すれば資産価格が上昇して、キャピタルゲインを得る機会となります。ただし、資産価格は期待や予想に左右されやすいことに注意が必要です。

 

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公開日:2022年12月4日

共有している土地や建物を管理することを共有物の管理と言います。

民法は、共有物の管理について、

1)共有物に変更を加えるためには、共有者全員の同意を要する

2)使用する共有者の決定など管理に関する事項は、各共有者の持分の価格の過半数で決する

3)補修などの保存行為は、各共有者が単独ですることができる

と定めています。

しかしながら、相続等によって、共有者が多数となる、共有者の一部が所在不明となるなどの状況が目立っています。そこで、民法の改正によって、共有物の管理について次のようなルールが制定・明文化されました。(2023年4月1日施行)

(1)軽微変更(共有物の形状又は効用の著しい変更を伴わない行為)については、持分の価格の過半数で決定することができる。 

(2)短期の賃借権等の設定(借地借家法の適用のある賃借権を除く)は、持分の価格の過半数で決定することができる。

(3)共有物を使用する共有者がいる場合や賛否を明らかにしない共有者がいる場合には、一定の条件を満たすときには、持分の過半数で管理(狭義の)に関する事項を決定することができる。

(4)所在等不明共有者がいる場合には、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者以外の共有者全員の同意により共有物に変更を加えること、所在等不明共有者以外の共有者の持分の過半数により管理に関する事項(抵当権の設定等の所在等不明共有者が共有持分を失うことになる行為を除く)を決定することができる。

(5)共有物の管理者を選任できる(明文化)。

(6)遺産共有状態にある共有物に共有に関する規定を適用するときは、法定相続分(相続分の指定があるケースは、指定相続分)により算定した持分を基準とする(明文化)。

なお、区分所有建物の管理については、「建物の区分所有に関する法律(区分所有法)」の定めが適用されます。

 

 

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公開日:2022年11月20日

借主が、貸主から金銭を借り入れてその金銭を消費し、その借入額と同額の金銭(利息付の場合は利息分も含めて)を貸主に返済するという契約のことです。
住宅を購入するために、住宅ローンを金融機関から借り入れる場合には、購入者は購入する住宅に抵当権を設定し、抵当として金融機関に差し入れるのが一般的です。
この場合には、金銭消費貸借契約と抵当権設定契約をまとめて一つの契約書に盛り込むことが多く、こうした契約は「金銭消費貸借抵当権設定契約」のように呼ばれています。
金銭消費貸借抵当権設定契約には次の契約条項が記載されるのが通例です。

1.借入金額・利率・返済期日・遅延損害金
2.返済の延滞や債務者の信用状況の悪化が生じた場合の措置
3.不動産に対する抵当権設定
4.不動産の滅失等の場合における追加担保の差し入れ
5.不動産の売却・賃貸借等の制限
6.火災保険への加入
7.保証人または保証会社による保証

金銭消費貸借契約が成立した場合、諾成的ではない金銭消費貸借契約の場合は、 貸主が金銭を交付した後に契約が締結するため、貸主には金銭を貸す義務は生じません。 借主は、貸主に借りた額と同額の金銭を返還する義務を負います。 逆に、諾成的金銭消費貸借契約の場合、貸主は、借主に金銭を交付する義務が発生します。 借主が、貸主に借りた額と同額の金銭を返還する義務が生じる点は諾成的ではない金銭消費貸借契約と同様です。また、利息付きの金銭消費貸借契約の場合は、借主は、さらに利息を返還する義務を負います。 金銭消費貸借契約には当然に利息が付いているわけではなく、契約で利息を定める必要があります。 多くの金銭消費貸借契約は、利息を定めています。

 

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