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公開日:2025年11月1日  菅野 洋充

解体現場の廃材は埋めたらあかん! 危ない地中埋設物と土壌汚染について

不動産流通システム【REDS】の宅建士、菅野です。

2025年10月23日に、解体現場に工事のがれきを埋めて捨てた廃棄物処理法違反の疑いでトルコ国籍の男らが逮捕された、という事件がありました。

トルコ国籍の男2人逮捕 420キロ以上の廃材不法投棄か

今回の容疑は廃棄物の投棄禁止違反ということで、有罪になると「5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下(法人は3億円以下)の罰金またはこの併科」となります。かなり重い罪です。

こちらが埋まっていた建築廃材の一部で、約420kgもあったそうです。

今回は、土地取引の際に気になる地中埋設物について解説します。

地中埋設物

(画像はイメージです)

土地の売買で地中埋設物はどのように扱うか

土地の売買では、地中埋設物に関する契約条項を入れることが一般的です。

・建物の解体後、売主の負担において試掘工事をし、本物件地下に一戸建分譲住宅の造成工事・地盤改良工事・建築工事に支障をきたすと買主が判断する地下埋設物(ガラ・杭・産業廃棄物・地下改良杭を含む)がないことを確認後、残代金支払および所有権移転登記を履行するものとします。また、これらが引渡しから3カ月以内に発見された場合には、売主の責任と負担において撤去するものとします。

・本物件の売買契約締結後、買主の負担にて速やかに土壌汚染調査を実施します。調査の結果、土壌汚染が判明した場合は、本売買契約は白紙解除とします。測定方法は土壌環境基準に準拠するものとします。

以上のような条文が入っている場合があります。

最近では、宅建業者が土地を仕入れる場合の売買契約書でも、契約不適合免責とすることは少なくなっています。なぜかというと、地中埋設物の処理は高額な費用がかかる場合があり、また土壌汚染などがあった場合には住宅などを建築することが困難になるためです。

今回の事件は、本来であれば解体して基礎を取り除き、地中に建築の支障になるものがない状態にするはずが、そこに解体して出た建築廃材を埋めていったという状況のようですので、非常に悪質です。

地中埋設物にはどんなものがあるか

土地取引で問題になる地中埋設物ですが、さまざまなものが埋まっています。

建築廃材

今回の事件では、解体時に出た「コンクリートガラ」「瓦」「石膏ボード」「ガラス」「タイル」などの不燃物、「木くず」「紙くず」「廃プラスチック」などの可燃物などがごちゃごちゃに埋められていたようです。

本来であれば、分別しそれぞれ決められた方法で処分されるべきものです。処分費用についてですが、2トンダンプ1台分あたり、おおよそ10万~15万円ほどかかるそうです。

配管

地中には水道管、下水管、ガス管などが埋まっています。解体時には撤去し、道路に近い部分のみ残して取り出し部分がわかるようにしておくのが一般的です。ところが、たまに隣地の配管が埋まっていることがあります。使用中などで撤去できず、移動するのも難しい場合があり、知らずに売買してしまうとトラブルになることがあります。

杭といっても土地境界を示す杭については処分することはできません。無断で撤去した場合「境界損壊罪」となり「5年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金」という、結構重い犯罪となります。

埋設物として問題になりがちなのは、地盤が軟弱な場合に土地改良のために打ち込む「地中杭」と呼ばれるものです。これは次に土地をどう利用するかによって対応が分かれます。駐車場などで利用する場合にはそのままで引き渡すこともありますが、建物を建築する場合は撤去を求められることが一般的です。

杭抜きは1本数千円から1万円ほどかかるそうですが、4m以上の深い杭は抜けないこともあり、その場合には途中で切ってしまうそうです。

浄化槽

戸建ての浄化槽についてはFRP製のものが多く解体時に一緒に撤去するのですが、工場や古い家などの場合、コンクリート製の浄化槽を使用している場合があり、撤去費用が高額になりがちです。工場排水処理を兼ねたものの場合、土壌汚染への配慮も必要となり、処分費が跳ね上がります。

不発弾

古い家の解体現場から不発弾が見つかる場合があります。撤去費用について、公費で行ってくれる自治体と、土地所有者に費用を負担させる自治体とがあるそうで、処分費用は数百万~数千万円になるとの話もあり、見つかった場合は運が悪かったとしか言いようがありません。

埋蔵文化財

マンガ『正直不動産』でもありましたが、解体中に土器や陶器のかけらなどが出た場合、工事は中断となります。文化財保護法で埋蔵文化財包蔵地とされた場所での土木・建築の際には、試掘を行い遺跡等が埋まっていないかを確認することが義務付けられています。

こちらの試掘についても、土地所有者の費用負担が発生する場合があり、また遺跡が発見されてしまった場合、発掘調査が終わるまで建築することができなくなってしまいます。

その他

大きな岩石は撤去移動費用が高額となる場合があります。自動車やバイクなどが埋まっていた現場もありました。先日は、葛西駅近くの元駐車場を掘っていたらガスボンベが埋まっていて大爆発する事故もありました(60年前のガスボンベだそうです)。

人骨が埋まっていて事件となるようなこともあります(新国立競技場の工事の際には187体もの人骨が発見されたそうです)。

とにかく、土の中に何があるかは、掘ってみないとわからないのです。

汚染された土壌の除染はお金がかかります

土壌汚染対策法に基づき、健康被害の恐れのある土壌汚染が発覚した場合、土地所有者には汚染の除去が義務となります。その場合、一般的な地中埋設物の撤去費用を上回る処理費用がかかります。

鹿島さんのホームページに土壌汚染地域に対する措置をどのように行うかが、わかりやすく書かれています。

鹿島建設株式会社|土壌汚染対策法への対応|汚染の除去等の措置の例

見ていただくとわかると思いますが、汚染土壌の回復措置には非常に手間がかかります。単に土の入れ替えをするだけでも1㎥当たり4万~5万円かかるそうで、100㎡の土地を1m掘って入れ替えるだけで400万~500万円と、途方もなくお金がかかります。

そのため、土壌汚染のおそれがある土地を売買する場合には、土壌汚染が確認された場合に白紙解除とする特約条項を付けることが一般的となっています。

最近は土壌汚染についてニュースで取り上げられることは少なくなりましたが、新宿区の戸山公園では2024年に鉛と水銀による土壌汚染が発覚し、公園の大久保地区が閉鎖となっています。

東京都公園協会ページ

まとめ

土地の取引で最も注意しなければならないのは、境界と地中埋設物です。古い建物がある土地には、必ずと言っていいくらい、何かしら埋まっています。土地を買う際には、以前の使用状況がどのようであったかを確認し、リスクに備えることが必須と言えるでしょう。

逆に、売却する際には、少々安くても契約不適合免責で買ってもらえる宅建業者などに売るのが最も安全と言えます。埋まっているものが何かは、掘ってみないとわかりません。出てきたものによって撤去にかかる費用が大きく変わり、場合によっては売却条件を悔やむようなことにもなりかねません。

ご心配でしたら、ぜひREDSへお問い合わせください。REDSの宅建士であれば、土地取引の経験も多く、適切な助言ができると思います。土地の取引は、不動産流通システム【REDS】をどうぞご利用ください。

 

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菅野 洋充
(宅建士・リフォームスタイリスト)

社会に必要とされ人に役立つ企業を目指します

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※2025年11月09日現在 本社・首都圏営業所の数値

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