エージェントブログ
AGENT BLOG
公開日:2026年2月21日  菅野 洋充

令和8年4月1日施行「改正区分所有法」解説(その2)~再生の円滑化について

株式会社不動産流通システムREDSの宅建士・宅建マイスター、菅野です。

前回のブログに引き続き、令和7(2025)年5月23日に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」について、解説させていただきます。

改正区分所有法

(画像はイメージです)

老朽マンションの再生を目指す

こちらの法律は、昨今問題となっている管理不全マンションや老朽化して維持が難しくなっているマンションの管理の円滑化や“再生”を推進するために制定されたものです。

「再生」という言葉は、「建替えだけでなく一棟リノベーションや土地建物一括売却という問題解決方法もあるよ!」ということを包含した言葉として使用されています。

この法律は、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます)、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(以下「被災区分所有法」といいます)、国土交通省が所管するマンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、マンション管理適正化法といいます)、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下、マンション建替円滑化法といいます)など(以下、これらを総称して「マンション関係法」といいます)を一括して改正するものとなっています。このうち、区分所有法及び被災区分所有法の改正に関する部分については、令和8(2026)年4月1日から施行されます。

この改正区分所有法を「管理の円滑化」と「再生の円滑化」の二つに分けて解説し、前回のブログでは「管理の円滑化」について解説いたしました。

「管理の円滑化」まとめ

  1. 通常の管理・修繕等:欠席者に引きずられない「出席者多数決」へ
  2. 連絡不能所有者問題:裁判所認定により「所在等不明者」を母数から外す
  3. 管理不全・所有者不明住戸/共用部:マンション管理に特化した管理命令・管理人選任

いない人、連絡が取れない人、所有者不明、自分の部屋自体もちゃんと管理できていない人への対策となる改正内容といえます。

主な改正内容(再生の円滑化)

今回は「再生の円滑化」について、主な改正内容(再生の円滑化)を解説します。

建替え決議の要件緩和(区分所有法62条)

1.原則は「5分の4」維持(62条1項)

建替え決議は引き続き、区分所有者・議決権の各5分の4以上が原則です。

2.一定の客観的事由があれば「4分の3」へ(62条2項)

改正で重要なのは、次のような客観的な支障(安全性・衛生など)がある場合に限り、建替え決議の多数決要件を各4分の3以上へ緩和できる点です(新62条2項)。

代表例(条文内に類型化されているもの)として、耐震性不足、火災安全性不足、外壁等剥落のおそれ、給排水管腐食などによる衛生上有害のおそれ、バリアフリー基準不適合が挙げられています。

上記の「客観的な支障」をどのように明示するかという課題はありますが、やはり問題のある建物に対しての建替え決議の議決権緩和は、これまでに求められていた改正内容といえます。

「建替え以外」の再生手法を多数決で可能に(建物更新/売却/取壊し)

今回の改正の中核は、従来は(法上での明文化がされていなかったため)原則として全員同意が必要になりがちだった「建替え以外の再生」を、建替え決議と同様の発想で“新たな多数決決議”として明文化した点です。国交省も、令和8年4月1日施行事項として「建物更新決議等の新たな多数決による決議の創設」を明示しています。

1.建物更新決議(いわゆる一棟リノベ)— 64条の5

  • 改正で「建物更新決議」が新設され、建替えに至らないが大規模な性能向上などを図る“更新(リノベーション)”を、多数決で進める道が制度化されました。
  • 多数決要件は原則として区分所有者(議決権を有しない者を除く)・議決権の各5分の4。

実務的には、「建替え」だけが“多数決でできる再生”だった状態から、“解体しない再生”を事業として成立させやすくなる点が大きいです(ただし計画・費用配分・工事中の使用制限等の設計が重要になります)。

2.建物敷地売却決議 — 64条の6

  • 老朽・危険等のマンションについて、建物と敷地を一体で売却して区分所有関係を解消するための多数決ルートが、区分所有法上の決議類型として明文化されました。

3.建物取壊し敷地売却決議 — 64条の7

  • 建物を除却(取壊し)した上で敷地を売却する、といった手法も、決議類型として明文化されました(64条の7)。国交省資料でも「建物取壊し敷地売却決議」への対応が施行事項として整理されています。

4.取壊し決議 — 64条の8

  • 売却まで含めない「取壊し(除却)」自体についても、多数決決議の枠組みが整備され、明文化されました(64条の8)。

反対者・賃借人がいる場合の“実行可能性”を上げる仕組み(64条の2の準用)

再生・再建を円滑化するうえで、意思決定(決議)だけでなく、実行段階で詰まりやすい論点に手当てが入っています。

賃貸借の終了請求(64条の2)を横展開

建替え決議があった場合、賃貸人でなくても一定の者が賃借人に対して終了請求でき、請求から6か月経過で終了させ得る仕組み(64条の2)が整備されました。

そしてこの64条の2の枠組みは、建物更新決議(64条の5)、建物敷地売却決議(64条の6)、建物取壊し敷地売却決議(64条の7)、取壊し決議(64条の8)にも準用される整理です。

実務では、「賃借人がいるから再生が進まない」という詰まりどころに対し、“決議→明渡しの工程”を制度として描きやすくなるのがポイントです(もちろん補償の設計もセットになります)。

決議だけで終わらせず、事業手続(組合・権利変換等)に接続する(関連法との連動)

国交省は、令和8年4月1日施行の整備として、区分所有法側の新決議(建物更新決議等)に対応して、「マンションの再生等の円滑化に関する法律」(旧:マンション建替法)側の事業手続を整備するとしています。

具体的には、区分所有法の「建物更新決議、再建決議、一括建替え等決議」に対応したマンション再生事業(組合設立、権利変換計画等)の整備や、区分所有法の各種売却決議に対応した売却事業・除却事業の整備が、施行事項として明示されています(隣接地・底地の権利を権利変換の対象に追加する等の“事業性向上”策も、この枠組みで整理されています)。

まとめ(再生の円滑化として何が変わるか)

  • 建替え:原則5分の4(62条1項)を維持しつつ、客観的な支障があれば4分の3へ(62条2項)。
  • 再生手法の多様化:建物更新(一棟リノベ)・売却・取壊しを、区分所有法上の多数決決議(64条の5〜8)として明文化。
  • 実行可能性の向上:賃借人対応(64条の2)を、建替え以外の新決議にも準用して“工程”を描きやすくした。
  • 事業手続に接続:新決議に対応する再生事業・売却事業・除却事業の枠組みを関連法で整備。

最後に

「建物の区分所有等に関する法律」は、昭和37(1962)年に成立してからもうすぐ64年を経ようとしています。いろいろと課題のある法と言われている区分所有法ですが、成立当時には想像できなかった様々な課題に対応しながら現在まで続いています。その間に、東京のマンション価格はバブルで上がり、その後の「失われた30年」で下がり、また平成の終わりから令和にかけて高騰し続けています。

その一方で、旧耐震マンションや管理不全マンションの対策は、南海トラフ地震が必ず来るといわれている昨今、待ったなしと言えるでしょう。

本法律が施行されることによって、少しでも問題解決が進んでいくことを願うのみです。

 

記事を執筆したエージェント

菅野 洋充

回答数 6

宅建士・リフォームスタイリスト

プロフィールページへ
このエージェントに相談する

REDSではすべてのお客様に、
Googleクチコミの投稿を
お願いしています。

※2026年03月15日現在 本社・首都圏営業所の数値

※2026年03月15日現在 本社・首都圏営業所の数値

  • 平均評価
    5.0
  • 投稿数
    209

    2 週間前

    不動産の売却と購入を両方お願い致しました。
    ご担当の小室様には依頼当時は先行して購入したりできることなどすら知らない知識レベルですが、丁寧に売り先行、買い先行なども教えて頂き依頼主の状況に応じて臨機応変に対応頂きました。
    結果売却も購入も予想通りに進み非常に満足です。サイトでは仲介手数料無料やなどの魅力が入口で気になる方は多いと思いますが、依頼した後のサポートが丁寧で迅速で非常に頼りになる会社様だと思います。
    知識がない方でも依頼主に寄り添った対応でアドバイス頂けますので、悩まれる方は是非ご相談頂くことをおすすめします。
    私もまたお世話になる機会がありましたらご依頼させて頂きます。
    本当にありがとうございました。

    2 週間前

    ご担当の堀さんに大変お世話になり、このたび無事に住宅を購入することができました。

    当初は、仲介手数料が比較的低額であることを知り、「知名度の高い最大手仲介会社と比べれば、サービス内容が多少見劣りするのもやむを得ないだろう」と考えたうえで問い合わせましたが、実際には、これ以上望みようのない素晴らしいサポートを頂きました。

    内覧については、何度もお時間をいただくのが心苦しく感じておりましたが、堀さんから「納得したうえで購入された方が良いから」と何度も内覧を勧めていただき、その都度丁寧にお付き合い頂きました。疑問点にも一つひとつ真摯にお答えいただき、安心して検討を重ねることができました。

    また、売主側から提示された資料や条件についても、細部まで目を通したうえで注意すべき点を的確にご指摘くださり、大変心強く感じました。最終的には、「堀さんが買って良いと言っている物件であれば問題無い」という考え方に至りました。

    検討していた物件が金融機関の融資を受けにくいことが判明した際には、複数の銀行へお問い合わせいただき、最終的には融資可能な金融機関を見つけてくださり、担当者の方との調整まで行っていただきました。

    加えて、私どもが40年以上前の施工時の情報について関心を持ち問い合わせた際には、施工を担当したゼネコンにまで問い合わせて確認を取って頂き、懸念点を解消してくださいました。

    振り返りますと、どの場面を取っても、堀さんがご担当でなければ、途中で購入を諦めていたのではないかと思います。

    このように書くと、堀さんが検討者が購入するように仕向けるやり手営業マンという風にも読めるかも知れませんが、実際にはこちらが検討を棚上げしていた時期には検討を促されるようなことは全く無く、こちらがサポートを必要とする時だけ必要なサポート頂いたように思います。ですので大変納得感を持って住宅を購入することができました。

    不動産の購入を検討されている方には強くお勧めしたいと思います。また私自身、引き続き不動産の売買を検討することがあれば、ぜひまた堀さんのお世話になれればと考えています。

    3 か月前

    自宅(中古戸建て)の売却でお世話になりました。

    まず何よりも、営業(小室様)の方に、超丁寧&超迅速&超親身なご対応を頂き、★5では足りないです!!

    当方、介護や仕事や新居(二世帯住宅)の建築対応や仮住まいへの引越しで日々バタバタしてしまい、必要な物を紛失してしまったり、諸対応が遅くなってしまったり、、、と、色々ご迷惑をお掛けしてしまいましたが、都度、豊富な専門知識で臨機応変に気持ちの良いご対応を頂き、本当に心強かったです。感謝しかありません。

    隅々まで行き届いたサービスにも関わらず、仲介手数料は他社様の半額以下という、申し訳なくなるほどありがたい内容でした。

    また、買主様も先方の仲介業者様も素晴らしい方々で、非常に恵まれたお取引ができました。

    こだわりを詰め込んだ思い入れのある注文自宅でしが、まさにそのこだわりを気に入って頂けた買主様に引き合わせて頂き、ご購入頂く事ができ、大変嬉しく思っております。

    また何かありましたら、絶対REDS様にお願いしますし、お友達に不動産取引を検討している人がいたら、全力で勧めようと思います!

    もういくら御礼を言っても足りないです!
    本当に本当にありがとうございました!!

    3 か月前

    担当して頂いた 菅原さん には約1年程お世話になりました。

    不動産のことはもちろん、法律の事などとても知識が豊富な方で色々な事を教わり勉強になりました。些細な質問にも的確でわかりやすくお返事を下さるとても親切な方でした。家探しに疲弊していた時も、とくに営業電話などもなく私達のペースに合わせて頂き本当に助かりました。都内・神奈川県と私達夫婦のわがままにも付き合って頂き、ありがとうございました。

    決済も無事に終わり、念願のマイホームを購入する事ができました。

    とても信頼のできる不動産屋さんです!
    また機会があれば、宜しくお願い致します。

    1 か月前

    中古マンションの購入を検討し始めて約1年、10軒ほどの内見に根気強く同行してくださった担当の山崎さんには、本当にお世話になりました。
    契約を急かされるようなことは一切なく、漠然としていた条件も山崎さんに相談を重ねるうちに、自分たちの中で明確にまとまっていきました。おかげさまで、心から納得して大きな決断ができました。
    巧みな営業トークというよりも、知りたいことに対してメリット・デメリットを隠さず正直に答えてくださる姿勢に、深い信頼を寄せることができました。レスポンスの速さも抜群で、こちらが「ちゃんと休めているかな?」と心配になってしまうほど(笑)。素敵なご縁をいただき、心から感謝しています。