由里 拓也(宅建士・リフォームスタイリスト)
ご納得の物件に巡り会えるまでご案内します。
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公開日:2024年12月7日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
今回は、昨今の住宅ローンの金利上昇を受け、多くの方が利用をされている変動金利型住宅ローンについて、解説をさせていただきます。
(写真はイメージです)
住宅ローンの金利は、主に変動金利型、固定金利期間選択型、固定金利型の3つのタイプに分けることができますが、変動金利型は短期金利の影響を受けやすく、固定金利型は長期金利の影響を受けやすいといえます。
変動金利型の特徴を解説します。借入後の適用金利は、半年ごとに1回見直されます。返済額は、5年ごとに1回見直され、その変動幅は従前の1.25倍を上限としています。
仮に、適用金利が急激に上昇すると、「未払利息」が発生し、借入残高が減らない事態が起こる可能性があります。「5年ルール」は、適用金利の急激な見直しがあっても、5年間の返済額は一定であること、毎月の指定口座から引き落とされる額は一定になるというものです。
適用金利が見直されると金融機関から新たな返済額予定(変更)表が通知されてくるので、元金部分と利息部分の内訳を確認することができます。通帳の引き落とし額の表示は、元金部分と利息部分の合計額である場合が多く、通帳で利息部分を確認することはできないと思われます。
また、元利均等返済の返済額には、元金部分と利息部分が含まれていますので、適用金利が上昇していくと利息部分が増加し、一方で、元金部分は縮小し、残元金の返済スピードは遅くなるということになります。
一部の金融機関では、「5年ルール」「125%ルール」を採用していないケース(PayPay銀行、SBI新生銀行、ソニー銀行など)もあります。これらのルールの有無ととともに、契約条件で定められている金利の見直しの条件についてもそれぞれの金融機関によって異なりますので、変動金利型を選択する場合には注意が必要です。
変動金利型の金利変更の指標となる金利として、多くの金融機関では「短期プライムレート」(短プラ)を採用しています。
これは、金融機関が信用力のある貸出先に対して適用する期間1年未満の短期貸し出しの最優遇金利をいいます。金融機関では、この短プラに一定幅を上乗せした「基準金利」を定め、公表しています。実際にお客さまに提示している「適用金利」は、お客さまの信用度、キャンペーン期間の設定や他行との競争などを考慮し、この「基準金利」から優遇幅を差し引いて算出しています。
「基準金利」は、金融機関が店頭またはホームページで公表している「店頭金利」で、言い換えれば「定価」となります。金融機関からみれば、低い預金コスト(短期の金融市場)で資金を調達し、短期の貸出金利(短プラ)をもとに設定した「基準金利(定価)」から、一定の優遇幅を引き下げた「適用金利」で販売するという仕組みともいえます。
多くの人が利用している住宅ローンは、金融機関ごとに設定した基準金利から、諸条件を満たした場合に、引き下げた金利(以下「引き下げ金利」)を適用しています。引き下げ金利は、契約上、住宅ローンの延滞が起こると、適用されなくなる可能性があります。一般的に、引き下げ金利が適用されなくなると、基準金利の適用に切り替わります。
基準金利が適用されると、相当程度、毎月の返済額が増加し、結果として返済はなおいっそう厳しくなります。今後の返済に不安を感じる場合、延滞してからではなく、延滞する前に、なるべく早い段階で金融機関に相談することをおすすめします。
当面の返済負担を軽減するす方法として、以下のようなものがあります。
延滞により引き下げ金利が適用されなくなる可能性がある点は、固定金利型、固定金利期間選択型の住宅ローンを利用している人も同じです。
基本的に変動金利型の金利が上昇するタイミングでは、すでに(長期)固定金利のほうも相応に上昇しています。このため、変動金利型の適用金利が上がってから(長期)固定金利型に借り換える場合は、想像以上に割高と感じる金利になっている可能性が少なくありませんので、注意が必要です。
住宅ローンの金利は今後どのようになるかは、誰にも分かりません。現在の経済状況では、低金利の変動金利が魅力的に映りますが、マイホームの購入は生活の安定も目的のひとつと考えられますので、住宅ローンも返済額が安定する長期固定型を選択したほうがよいと考えることもできます。
住宅購入は、価格やローンの選択等、経済合理性も重要ですが、生活の安定も重要な要素ですので、時間をかけて、納得のいくマイホームの購入をご検討ください。
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公開日:2024年10月25日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
相続時精算課税選択者が2024年1月1日以後に、相続時精算課税制度を選択した父母から贈与を受けた場合は、一般の贈与の基礎控除とは別に年間110万円の基礎控除を受けられることになりました。
また、一般贈与は、相続人に対する3年以内(2030年までに段階的に7年に延長)の贈与の相続財産に加算されるという持戻し規定が変更されることになりました。
※持戻しとは、遺産分割において、生前被相続人から特別受益を受けた者がいる場合に、その特別受益を相続財産に加えて具体的な相続分の算定を行い、相続人間の公平を図る制度のことをいいます。
今回は、この「相続時精算課税制度」について解説します。
≪国税庁|相続税及び贈与税の税制改正のあらまし≫
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相続時精算課税制度を一度選択すると、その選択した父母らからの贈与については、一般贈与(暦年贈与)に戻ることはできず、その選択した父母らが死亡するまで、その贈与者からの贈与は相続時精算課税制度による贈与ということになります。
相続時精算課税制度は、2,500万円まで非課税で贈与できますが、これはあくまでも相続財産の前渡しにすぎないので、その贈与者が死亡したときには、すべて相続財産に加算されることとなっています。
また、一度、相続時精算課税制度を選択すると、年間110万円以下の少額の贈与でも毎年、申告をする必要があります。累積で2,500万円を超えた年以降は、少額の贈与であっても20%の税率による仮払い贈与税を支払う必要があります。
このように相続時精算課税制度は、一般贈与とは違い、贈与額のすべてが相続財産に加算されるなど一般贈与の10分の1以下の利用となっているようです。
≪国税庁|暦年課税及び相続時精算課税別の申告状況の推移≫
ところが令和5年税制改正において、相続時精算課税制度を推進する観点から、相続時精算課税の選択者が2024年1月1日以後に、相続時精算課税制度を選択した父母から贈与を受けた場合は、一般贈与の基礎控除とは別に年間110万円の基礎控除を受けられることになりました。
たとえば、父親からの贈与は相続時精算課税制度を選択し、母親からの贈与は一般贈与であった場合は、母親からの贈与に対する一般贈与の基礎控除110万円と別に、父親からの相続時精算課税制度による贈与に対しても110万円の基礎控除が受けられることになりました。
また、一般贈与について、相続人に対する一定期間内(2030年までに段階的に3年から7年に延長。以下同じ)の贈与は相続財産に加算されるという持戻し規定があります。そのため、母親からの贈与は3年間から最長7年間の持戻し期間が過ぎるまでの分は相続財産に加算されるのに対して、父親からの相続時精算課税制度による贈与は110万円の基礎控除によって110万円までの相続時精算課税贈与は申告しないでよいだけでなく、父親の死亡時にも持戻し不要となりました。
ただし、これはあくまでも相続時精算課税制度の中で基礎控除であるため、例えば相続時精算課税制度を選択していた父からその後に受けた贈与110万円以下の年については父親の相続時には加算されませんが、300万円贈与を受けた年であれば、110万円を控除した190万円が加算されることになります。
このため、2024年からは、大資産家を除き、相続人のある子に対しては一般贈与よりも相続時精算課税制度を選択したほうが有利になるケースがあると考えられます。
相続時精算課税により贈与した財産は、あくまで贈与したときの評価額で相続財産に加算されることになっています。このため、例えば贈与を受けた建物が相続開始までに災害などにより滅失してしまったとしても、贈与時の評価額で相続財産に加算する必要がありました。
しかし、2024年1月1日以降に起きた災害によって、土地や建物が一定の被害を受けた場合は、贈与の評価額から災害による被害額を控除した額で再評価することが認められることになりました。
1.相続時精算課税は、原則として、①贈与者が贈与の年の1月1日において60歳以上であり、②受贈者が同日において18歳以上で、かつ、贈与時において贈与者の直系卑属である推定相続人または孫である場合に選択することができます。相続時精算課税を選択した場合、その後、同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ変更することはできません。
2.特定贈与者とは、相続時精算課税の選択にかかる贈与者をいい、令和5年分以前の贈与税の申告において相続時精算課税を選択した場合も含みます。
3.同一年中に、2人以上の特定贈与者からの贈与により財産を取得した場合の基礎控除額110万円は、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格であん分します。
(注) 相続時精算課税を選択した場合、その特定贈与者からの贈与について暦年課税の基礎控除の適用はできません。
≪国税庁|相続時精算課税の選択≫
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公開日:2024年9月18日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
2023年10月現在のわが国の空き家数は、900万戸で過去最多を記録しました。
【令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果】
そのうち、賃貸や売却の予定がなく、別荘でもない個人の空き家は385万戸とこちらも過去最多となりました。
放火されて損害を受けたり、住宅の損壊によって第三者に損害を与えたりして賠償請求されるおそれもあることから、空き家でも火災保険は不可欠です。ただし、空き家は住宅向けの火災保険には加入できず、必要な課題もいくつかあります。今回は空き家と火災保険の関係について解説します。
(写真はイメージです)
空き家は住宅向け火災保険には加入できません。その理由は、建物が損害を受けるリスクが住宅よりも高まるためです。
建物が住宅として使用されている場合は、火災を起こさないよう、所有者が日々注意して生活されることと思いますが、他方で放置され適切に管理されていない空き家は、放火のリスクが高まったり、侵入者が入り込んで火事を起こすリスクが増したりします。建物の老朽化によって、自然災害による損害も受けやすくなります。
こうした理由から、空き家は「住宅物件」とはみなされず、住宅向けの火災保険に加入できません。
火災保険上、空き家は店舗や事務所などの用途で使用される「一般物件」として、企業向け火災保険に加入しますが、負担する保険料は損保会社により異なります。複数の損保会社による保険料の試算によれば、一般物件として特に差異を設けることなく引き受ける損保会社もあれば、保険料が住宅の2倍超となる損保会社もあります。
なお、別荘または一時的な転居の間の空き家など、家具が備えられ住宅として機能する建物であれば、常に人が居住していなくても住宅用の火災保険に加入できます。ただし、取り扱いは各社で異なります。
火災保険には、契約者の「通知義務」があります。そのため空き家になったら、保険会社に速やかにその旨を通知しなくてはなりません。通知を怠ると、損害を受けても保険金が支払われなかったり、契約が解除されたりするおそれがあります。
また、火災保険約款には「保険契約者、被保険者またはこれらの者の故意もしくは重大な過失または法令違反」によって、生じた損害には保険金を支払わないと記されています。よって適切な管理がなされず放置され事故が起きた場合、保険契約者の重大な過失を問われ保険金が支払われないことも考えられます。
過去には実際、電力会社から漏電の可能性を指摘されながら漏電火災防止措置をとらずに起きた火災、施錠せずに長期間放置していた空き家が侵入者に放火された事例で保険会社の免責が認められています。空き家を維持する以上、適切な管理は不可欠であり、それなしでは火災保険も役立てられないことがありうるのです。
自然災害の多発により、損保業界の火災保険収支は2011年度以降赤字続きです。こうした状況への対応として、大手損保は2024年10月に保険料を引き上げる決定をしています。
一方で、火災保険の引き受け審査を厳格化する損保会社も出てきました。損害を受けるリスクが高いとみられる空き家は50万円くらいの高額の免責金額が設定されたり、補償の範囲が限定されたり、状態によっては、火災保険の契約自体が難しくなったりすることもあります。
住宅物件でないため、空き家は地震保険を付帯できません。り災証明書の区分に応じて受けられる300万円限度の現金支援「被災者生活再建支援制度」はもちろん、住宅の公費解体支援などの公的支援も受けられないことがあります。
これらは被災した生活者に向けたものだからです。それでも損壊建物は放置できませんし、修理するにせよ解体するにせよ、費用がかかります。
また、空き家の損壊などで近隣の住宅や他人の身体に損害を及ぼせば、所有者が法律上の損害賠償責任を負うことになります。ただし、空き家所有者の個人賠償責任保険では対応できません。一般に、管理する建物(施設)が原因で生じた賠償責任には施設賠償責任保険で対応することになりますが、昨今、空き家の加入引き受けをしない損保会社も複数あります。
ただし、解体費用の支払い対象は火災・落雷・破裂・爆発が原因の事故に限られ、火災保険を代替するものではありません。
日本の空き家数は、1968年以降一貫して増え続け、1993年から2023年までの30年間で約2倍となりました。他方で日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少が続いており、世帯数も2030年の5773万世帯をピークに減少に転じると見込まれています。そうなれば、空き家は今後さらに増えていくことになりそうです。
また、2023年12月に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が改正施行され、適正管理されない空き家は、特定空き家のみでなく、管理不全空き家の敷地も、固定資産税軽減が受けられなくなりました。もはや放置は許されない、ということでしょう。
これまで述べてきたように、空き家のリスクをカバーできる火災保険は必要ではあるものの、加入のハードルは高まってきています。今後は住宅を所有する段階から、将来の住宅の利活用について、大まかな方向性を持っておく必要があるかもしれません。
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公開日:2024年8月6日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
先月から、大手銀行やネット銀行は、固定型の住宅ローン金利を引き上げました。そこで今回は、金利上昇の場合に備えて、解説させていただきます。
変動金利型の住宅ローンを選択される場合、下記のようなご不安があるかと思います。
このような問題点や将来の不安について事前に備える3つの方法をご紹介します。
変動金利型の住宅ローンの金利変動リスクへの対応策として借り換えが考えられますが、一般的に、借り換えが経済的に効果をもつ場合は、優遇金利幅が十分拡大する局面です。つまり、基本的には金利低下局面で、固定金利型から固定金利型への借り換え、変動金利型から固定金利型に借り換え、または組み合わせ商品に借り換え、固定金利型から変動金利型に借り換える場合です。
逆に、金利上昇局面でもうまくいく方法として、変動金利型から変動金利型への借り換えで、期間選択型で借りられた方は特に、固定金利型期間が終了すると固定金利幅(優遇金利幅)が縮小することから、優遇の終了した後の金利を選択するよりも、この時点における変動金利型へ移行するケースが多いと考えられます。今借りている変動金利型の水準が十分高いのであれば、有効な戦略になりうる可能性と考えられます。
ただし、借り換えに必要な手数料を含め総返済額が少なくなるか検討することが重要です。借り換えの場合、通常事務手数料として2.2%の手数料や(金融機関によって異なる)、ほかにも抵当権設定などに必要な各種手数料がかかります。これらを考慮しても効果的で有効なのか考える必要があります。また、住宅ローン残高も返済期間も十分残っているのであれば、借り換えが有効になることも考えられます。
昨今の住宅ローンの適用金利が低い水準で推移しているなかで、日本銀行の金融政策の一部修正もあって、変動金利型と固定金利型の金利差が拡大しています。このため住宅ローン利用者は、金利のより低い変動金利型の住宅ローンを選択する傾向が高くなっています。
変動金利型か固定金利型かの選択は、利用者のリスク許容度に応じて選択すべきで、リスク許容度が低いほど、利用者は資金余力の拡大など、戦略的な備えと家計の見直しが重要となります。
仮に、将来の金利上昇に備えるには、借り換えよりも、繰り上げ返済で対応する方が効果的と考えられます。一般的に金利上昇局面では、変動金利型から固定金利型への借り換えは経済的な効果は難しくなります。
住宅ローンをあくまでも住宅取得という目的を達成するための手段としてとらえ、安心して家族と自分の家に住むという目的のためには、金利変動があっても最低限の住宅ローンのリスク管理が求められることを認識することが重要です。
注意しなければいけないのが、昨今、変動金利型住宅ローンについて多くの金融機関が取り扱っている「5年ルール」と「125%ルール」を融資条件の規約内容から外し、その代わりに金利水準を下げるなど、ほかのサービス水準をよくするということで対応する金融機関が出てきた点です。
一般に変動金利型で5年ルールとは「金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額が変わらない」というものです。125%ルールとは「変動金利型で金利が上昇しても、6年目以降は元の返済額の125%までしか増えない」というものです。
これらのメリットは、変動金利型で借り入れ後に金利が上昇しても、返済中の家計の収支については大きく変動せず、また、ゆっくりと家計の見直しを進めることができるというものです。
一方で、変動金利型のデメリットは、仮に金利が上昇し利息の支払いが増加しても、未払いの利息も含めて住宅ローンを完済する義務は免れないことです。また、未払いの利息が増える可能性もあり、結果的に総返済額が大きくなることも注意事項かと思います。
昨今、これらのルールを撤廃する代わりに、見栄えのいいかたちで商品を提供する銀行も増えています。商品説明書の中身をしっかり確認し、このようなルールの有無を確認することが大切かと思います。
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公開日:2024年6月28日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
マンションの修繕積立金の積立方式には、「均等積立方式」「段階増額積立方式」の2つがあります。将来にわたり安定的に積み立てるという観点からは、均等積立方式が望ましいといえる一方で、段階増額積立方式を採用しているマンションの中には、計画期間中に必要な修繕積立金の水準が大幅に上昇したのに、予定どおりの引き上げができずに、積立金不足につながる恐れがあります。
そこで国交省は「今後のマンション政策の在り方に関する検討会」を設置。同検討会のとりまとめに基づいて設置した「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」が公表した「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」について、「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」および「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に反映すると、2024年6月7日に発表しました。
今回はこの件と、「均等積立方式」「段階増額積立方式」それぞれのメリットとデメリットについて解説します。
国交省の発表によると、段階増額積立方式における適切な引き上げについて、以下のように示されています。
段階増額積立方式における月あたりの徴収金額は、均等積立方式とした場合の月あたりの金額を基準額とした場合、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、計画の最終額は基準額の1.1倍以内とする。
■留意事項
「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」については、実現性をもった引上げにより、修繕積立金の早期の引上げを完了し、均等積立方式へ誘導することを目的とするものであり、例えば、工事費高騰等の状況を踏まえた長期修繕計画の見直しにあたって、管理適正化のために現在の修繕積立金額の額を大幅に引上げる等を制限するものではない。■管理計画認定基準の見直し等に向けて
「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」は、区分所有者、管理組合、管理業者、マンション管理士、管理組合を支援するNPO法人、不動産事業者、地方公共団体等のマンション関係者に対して、広く周知を行うこととし、その後、活用状況、実効性の把握や、修繕積立金の引上げ状況に関する更なる分析等を進めつつ、将来的に管理計画認定基準への反映について検討を行うこととする。なお、管理計画認定基準への反映の検討にあたっては、それぞれの内容を全国的に一律の基準とすることの妥当性を考慮して行う。
国土交通省|標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループとりまとめ
国土交通省|長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント
国土交通省|マンションの修繕積立金に関するガイドライン
新築マンションは当初の月額負担を軽減するため段階増額積立方式を採用する傾向がありますが、これは営業的側面が非常に大きいと考えられます。一般的に、新築マンションでは修繕積立金の金額設定は分譲業者などが行います。マンション購入当初の金額を低く抑え、経済的な負担感を少なくすることで販売促進につなげる狙いがあります。
新築当初は修繕も少なく、多額の積立金を必要としませんので、新築購入当初からしばらくの間は負担が少なく支出が抑えられます。修繕費用の資金需要に沿った積み立てを行うことが可能です。
総会での合意形成が必要で、金額を改定する場合はほぼ増額となることから、そのつど区分所有者への合意形成が必要となります。合意形成が難航すれば、円滑な積立金徴収が困難になると考えられます。
段階的に支払額が増加するので居住者の資金計画が立てにくいこともデメリットといえるでしょう。支払額が増額することによって他の支払いを圧迫する恐れがあるため、居住者が資金計画を立てにくくなります。また、徐々に金銭的な負担を感じるようになります。
均等積立方式は、修繕積立金の徴収額が一定なので、居住者の資金計画が立てやすく家計にも負担が少ない徴収方式です。管理費やその他の支払いとともに計画的な支払いが可能となります。
また、修繕積立金を着実にためられるので修繕予定が立てやすく、必要な修繕資金を効率的、かつ安定的にストックしていくことができます。
築年数が浅いうちは段階増額積立方式に比べて金額が割高になりますが、永住を予定する居住者にとっては修繕積立金の増額がないので、老後の生活設計にゆとりを持たせることができるともいえます。
マンションの購入直後は手元資金が心もとないことから、支出はなるべく減らしたいところです。均等積立方式は段階増額積立方式と比べて最初から割高となるので、購入直後は負担に感じる人もいるかと思います。また、当初は必要性の薄い積立金を徴収していることになっています。
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公開日:2024年5月22日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
2022年12月15日、東京都議会において、新築住宅に太陽光パネルの設置を義務づける環境確保条例の改正案が賛成多数で可決・成立されました。この条例は、2025年4月に施行される予定となっており、2025年4月1日以降に建築確認済みとなった建物が対象となります。
東京都はエネルギー大消費地の責務として、2030年までに都内の温室効果ガスを50%削減する「カーボンハーフ」の実現に向け、再生可能エネルギーの利用拡大を目的としているようです。また、建物は建築されると長期にわたり使用されるため、2050年時点では、建物の約半数(住宅は7割)が、今後新築される建物に置き換わるようです。
東京都の太陽光パネル条例の対象となるのは、年間供給2万㎡以上を供給する新築住宅で、注文住宅の場合はハウスメーカー、分譲戸建住宅の場合はビルダーが対象となります。既存の住宅は対象外です。
都内大手住宅メーカー約50社が対象見込みで、都内での年間新築棟数の半数程度の規模を想定しているようです。「10㎡未満の屋根」「60°以上の急こう配の屋根」「北向き」といった屋根の条件により、設置が免除される建物もあります。
例えば屋根に4kWの太陽光パネルを設置した場合、年間約4000kWhの発電量を確保できると推測されます。一般家庭の平均年間電力消費量は約4573kWhなので、太陽光発電設備を導入すると、単純計算で年間8割程度の電力量を賄うことができると考えられます。
家庭用の太陽光パネルの初期費用は、1kW当たり20万~30万円程度が相場です。メーカーによってパネルの発電量が違うため、必要なパネル枚数は異なりますが、1kW当たり30万~40万円程度の初期費用を見込んでおく必要があります。
太陽光パネルを含む太陽光発電設備は、設置後メンテナンスフリーとはいきません。長く安定した発電を保つために定期的なメンテナンスが必要です。発電するための太陽光パネル自体は可動部がないので故障することが少なく、寿命は20~30年といわれています。しかし、例えば発電設備のひとつであるパワーコンディショナという機器の寿命は、多くが10~15年のようです。
また、故障の原因は経年劣化以外にも、大雨や台風といった自然災害による場合もあります。
住宅の構造と防水の欠陥に関する修理が必要になった場合、新築から10年間は住宅供給事業者が修理を行うことが「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって定められています。修理費用は当該事業者が加入する保険などから賄われます。
また、住宅瑕疵担保履行法により、建設業許可に基づく住宅の新築工事や宅建業免許に基づく新築住宅の販売を行う事業者は、「新築住宅かし保険」への加入、もしくは法で定められた額の保証金の「供託」のいずれかの措置をとることが義務化されており、十分な修理費用を賄えるようにしたうえで新築住宅を引き渡すこととされています。
新築住宅の工事請負契約に含めて設置した太陽光パネルや新築住宅の購入時にあらかじめ設置された太陽光パネルの施工不良が原因で、品確法上の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に生じた不具合について、その修理費用は住宅瑕疵担保履行法上の保証対象となり、住宅供給事業者が加入する保険から賄われます。
太陽光パネルを設置することで大きく以下の3つがメリットに挙げられます。
以下、それぞれ簡単に解説します。
1.補助金や助成金を受けられる:太陽光パネルを導入することで、マイホームの購入における補助金や助成金を受けられるケースがあります。
2.自家発電できて電気代が節約できる:環境省によれば、一般家庭の平均年間電気消費量は4175kWh。一般的な太陽光パネルの1kWごとの年間発電量は約1000kWhといわれており、4kWの設備を使えば大半の消費電力をカバーできる計算になります。さらに消費しなかった分の電力は、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度(FIT制度)などによる売却も可能です。
3.災害への備えになる:自然災害が増えている近年では、停電時のライフラインとして活用できるのもメリットです。電気が通らなくなったときでも太陽光パネルの設備から直接電力が使うことができるものもあり、スマートフォンや家電製品などが利用可能になります。
【下記リンクより、詳細をご確認いただけます。】
太陽光パネル設置に関するQ&A
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/qa-1
【お電話でのお問い合わせ】
クール・ネット東京 電話 03-5990-5065
環境局環境都市づくり課 電話 03-5388-3566
以上、ご参考になりましたら幸いです。
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公開日:2024年4月12日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
本日は、不動産売買でよくあるご質問のうち、手付金と自己資金について、解説いたします。
不動産売買契約において、契約を締結する際に買主から売主に支払う売買代金の一部を「手付金」といいます。
手付金は、不動産売買契約の締結にともない、契約が成立していることを明確にするという大切な役割があります。契約成立時に買主が手付金を支払い、売主が受領することで、売主・買主双方が不動産の売買について明確な意思表示をした証となるのです。
売買契約を締結した後に、どちらかが契約を解除しなければならない状況になった場合に、一定期間内であれば、買主は支払った手付金を放棄する、売主は手付金を倍にして買主に返還することで契約を解除することができます。
多くの売買契約において、住宅ローン特約を契約内容に組み込んでいます。住宅ローン特約の期間中に、審査が通らなかった場合は、手付金は返金されます。
手付金は、原則として、売買価格の5%が目安となります。
※法的に上限・下限金額の取り決めはありません。減額交渉が可能な場合もありますが、少額の場合、売主・買主双方が、手付金放棄にて、契約解除をしやすい(されやすい)ため、あまり少額にはならないほうが、望ましいでしょう。また、同時期に複数件の購入申込みがあった場合は、手付金額が多い方を優先する売主も多いため、少額の場合、一番手として確実に物件を確保できない可能性があるため、注意が必要です。
手付金に関して注意点が2点あります。
手持ちの現金が不足している場合、キャッシングローンなどでの現金捻出は、厳禁です。住宅ローン事前審査、本審査の際に借り入れ履歴は大きく影響するからです。金融機関によっては、消費者金融からの借り入れがあるだけで、審査ではねられる場合があります(金融機関は、買主の自己申告がなくても、借入の有無を確認できます)。
どうしても手付金が用意できない場合は、親や親族を頼るなどして金融機関や貸金業者を通さない方法で資金調達をすることが必要です。その場合の借り入れであればローンの審査に影響を及ぼすことはありません。
その場合でも、贈与税の観点で注意が必要です。贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
したがって、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。この場合、贈与税の申告は不要です。
また、住宅取得等資金の贈与税には非課税措置があります。親や祖父母といった直系尊属から住宅の購入や増改築のためのお金を受け取っても、一定額まで贈与税がかからない制度です。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限(2023年12月31日)が2026年12月31日まで3年延長となりました。申告には、非課税の特例制度を利用する旨を記載した贈与税の申告書、戸籍謄本や住宅購入などの契約書の写しなどが必要です。贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日までに、納税地の所轄税務署に提出します。
不動産に関して「自己資金」とは、不動産購入をする際に捻出できる資金の総額を指します。不動産を購入する際には、司法書士へ支払う登記費用や、ローン利用時の金融機関に支払う費用、不動産会社への仲介手数料、火災保険料などの「諸費用」が必要となります。このような費用に充てられる「自己資金」がどのくらいかによって、購入に必要なローンの借入金額が変わってきます。
一方、頭金とは本体価格に対してのみ、準備ができる資金を指します。
自己資金0でも、住宅購入をすることも可能です。以前のブログにて、解説をしておりますので、ご参照いただければ幸いです。
例として、パターン別にお金の流れを解説いたします。
≪自己資金が手付金を超える場合≫ ※手付金400万円
総資金(8,380万円)=売買価格(8,000万円)+諸経費(380万円)
借入・自己資金合計(8,380万円)=借入金額(7,000万円)+自己資金(1,380万円)
『売買契約時』 ※必要資金400万円 手付金として売主にお支払い
↓
『引渡日(決済日)』 ※必要資金7,980万円
金融機関より7,000万円が口座に融資されます。自己資金1,380万円から手付金400万円を引いた980万円を、事前に本人口座へご入金いただきます。手付金400万円を引いた残代金7,600万円と、諸経費380万円をお支払いいただきます。
≪手付金と自己資金が同額の場合≫ ※手付金380万円
総資金(8,380万円)=売買価格(8,000万円)+諸経費(380万円)
借入・自己資金合計(8,380万円)=借入金額(8,000万円)+自己資金(380万円)
『売買契約時』 ※必要資金380万円 手付金として売主にお支払い
↓
『引渡日(決済日)』 ※必要資金8,000万円
金融機関より8,000万円が口座に融資されます。手付金380万円を引いた残代金7,620万円と、諸経費380万円をお支払いいただきます。追加資金は必要ありません。
≪自己資金0の場合≫ ※手付金400万円
総資金(8,380万円)=売買価格(8,000万円)+諸経費(380万円)
借入・自己資金合計(8,380万円)=借入金額(8,380万円)+自己資金(0万円)
『売買契約時』 ※必要資金400万円 手付金として売主にお支払い
↓
『引渡日(決済日)』 ※必要資金7,980万円
金融機関より8,380万円が口座に融資されます。手付金400万円を引いた残代金7,600万円と、諸経費380万円をお支払いいただきます。金融機関からの借入8,380万円から必要資金7,980万円を差し引いた400万円が、口座に残ります。手付金と同額の380万円が口座に残りますので、自己資金は0となります。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
弊社、不動産流通システムでは、諸経費の中でも大きな金額となる仲介手数料が、必ず、割引もしくは、無料となります。住宅資金のご相談もお気軽にお問い合わせください!
公開日:2024年3月7日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
令和5年12月22日に、令和6年度税制改正大綱が閣議決定されました。今回の税制改正は「子育て世帯優遇」の傾向にあるようです。今回は、その中から不動産にかかわる内容について、一部内容を解説いたします。
税制大綱の措置は、今後の国会で関連税制法が成立することが前提となります。下記、成立までの予定となります。
・2024年3月頃 税制改正案の可決・成立
・2024年4月頃 各種改正法が施行
子育て特例対象個人が、住宅ローンで認定住宅の新築をするなどして令和6年中に入居した場合に、住宅ローン控除の計算の控除借入限度額が上乗せされます。
住宅の区分(新築・買取再販):借入限度額
●認定住宅:5,000万円(通常は4,500万円)
●ZEH水準省エネ住宅:4,500万円(通常は3,500万円)
●省エネ基準適合住宅:4,000万円(通常は3,000万円)
※子育て特例対象個人とは本人が40歳未満、または本人が40歳以上で40歳未満の配偶者または19歳未満の扶養親族を有する者となります。
夫婦のいずれかが40歳未満もしくは、19歳未満の扶養親族がいる場合に、一定の要件を満たした住宅をローンで取得した場合に、住宅ローン控除の限度額が上乗せになります。
令和6年分のみの暫定的な措置とされています。
国土交通省「住宅ローン控除について」
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置とは、親や祖父母といった直系尊属から住宅の購入や増改築のためのお金を受け取っても、一定額まで贈与税がかからない制度です。
●省エネ等住宅:非課税限度額1,000万円
●上記以外の住宅:非課税限度額500万円
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限(2023年12月31日)を2026年12月31日まで3年延長となりました。
「省エネ等住宅」の家屋の要件について、一部要件が見直しとなりました。
≪改正前≫
断熱等性能等級4以上 又は 一次エネルギー消費量等級4以上であること
⇩
≪改正後≫
断熱等性能等級5以上 かつ 一次エネルギー消費量等級6以上であること
≪改正なし≫ ⇨ 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上 又は 免振建築物であること
≪改正なし≫ ⇨ 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること 改正なし
上記、省エネ等基準の3項目のうち、いずれかに適合する住宅家屋であることつき、一定の証明がされる住宅が該当となります。
【受贈者の要件】
・贈与者(贈与する方)の直系卑属(子や孫)であること
・贈与された年の1月1日時点で18歳以上であること(令和4年3月31日以前の贈与については20歳以上)
・贈与を受けた年の所得税の合計所得金額が2,000万円以下であること(床面積が40㎡以上50㎡未満の場合には、1,000万円以下)
・住宅取得等資金の贈与税非課税特例の適用を受けたことがないこと
上記とは別に、暦年贈与の基礎控除額、年間110万円までは、贈与税は非課税となります。
中古住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化リフォームにかかる所得税の減税措置は、2024年度税制改正で延長となります。加えて、2024年から新たに、子育て世帯および若者夫婦世帯による子育て対応化リフォームも減税の対象となります。子育て世帯が子育てに対応した住宅へのリフォームを行う場合に、標準的な工事費用相当額の10%(最大控除額25万円)を所得税から控除する措置となります。
※子育て世帯とは、「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」となります。
対象工事 | 対象工事限度額 | 最大控除額 【対象工事】 |
---|---|---|
耐震 | 250万円 | 25万円 |
バリアフリー | 200万円 | 20万円 |
省エネ | 250万円 (350万円) |
25万円 (35万円) |
三世代同居 | 250万円 | 25万円 |
長期優良住宅化 〈耐震+省エネ+耐久性〉 |
500万円 (600万円) |
50万円 (60万円) |
長期優良住宅化 〈耐震or省エネ+耐久性〉 |
250万円 (350万円) |
25万円 (35万円) |
子育て[拡充] | 250万円 | 25万円 |
カッコ内の金額は、太陽光発電設備を設置する場合となります。
【子育て対応改修工事】
① 住宅内における子どもの事故を防止するための工事
② 対面式キッチンへの交換工事
③ 開口部の防犯性を高める工事
④ 収納設備を増設する工事
⑤ 開口部・界壁・床の防音性を高める工事
⑥ 間取り変更工事(一定のものに限る)
その他、下記内容についても特例措置の延長が行われる予定です。
●住宅用家屋の所有権の保存登記にかかる特例措置(登録免許税)
⇒3年間延長(2027年3月31日まで)
●居住用財産の買い換えにかかる特例措置(所得税等)
⇒2年間(2025年12月31日まで)
●買取再販住宅の取得にかかる特例措置(登録免許税)
⇒3年間(2027年3月31日まで)
●既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化リフォームに係る固定資産税の特例措置(固定資産税)
⇒2年間(2026年12月31日まで)
以上、ご参考になりましたら幸いです。弊社では、不動産売買仲介の程、リフォーム工事におきましても、専門のエキスパートが、ご提案をさせていただきます!
公開日:2024年1月28日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。今回は国土交通省の「子育てエコホーム支援事業」について解説します。
国土交通省は2023年11月14日、「質の高い住宅ストック形成に関する省エネ住宅への支援(仮称)」事業の名称を、「子育てエコホーム支援事業」とし、2023年11月2日以降に、新築は基礎工事より後の工程の工事に、リフォームはリフォーム工事に着手したものを対象に、子育て世帯と若者夫婦世帯に対し、新築住宅では長期優良住宅に100万円、ZEH住宅では80万円を補助すると発表しました。
省エネ改修や子育て対応改修、バリアフリー改修などのリフォーム工事に対しては、基本は子育て世帯と若者夫婦世帯に対し最大30万円、その他の世帯に対しては最大20万円を補助。予算案では新築住宅への補助に対して1,700億円、リフォームへの補助に対して400億円の計2,100億円を計上。工事事業者側が申請し、交付申請期限は予算が上限に達するか、2024年末までとなります。
以下の①②を満たすことが条件となります。
①子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかである
子育て世帯とは申請時点において、2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯です。※令和6年3月31日までに建築着工するものについては、2004年4月2日以降。
若者夫婦世帯とは申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯です。※令和6年3月31日までに建築着工するものについては、1982年4月2日以降。
②エコホーム支援事業者と請負契約もしくは、売買契約締結をし、住宅を取得する方
以下の1・2のいずれか、かつ3~8を満たす方が対象になります。
1.証明書等により、長期優良住宅に該当することが確認できる
2.証明書等により、ZEH住宅に該当することが確認できる
3.所有者(建築主)自らが居住する
4.住戸の床面積が50㎡以上240㎡以下である
5.土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
6.都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていないもの
7.未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの
8.交付申請時、建築士による証明書にて工事完了が確認できること
【補助額】
●長期優良住宅:1住戸につき100万円
●ZEH住宅:1住戸につき80万円
以下の①②を満たすことが条件となります。
①エコホーム支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする方
②リフォームする住宅の所有者等であること
・住宅を所有し、居住する個人またはその家族
・住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人
・賃借人
・共同住宅等の管理組合・管理組合法人
【対象となるリフォーム工事】
以下の1~8に該当するリフォーム工事を対象とします。
1.開口部の断熱改修
2.外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
3.エコ住宅設備の設置
4.子育て対応改修
5.防災性向上改修
6.バリアフリー改修
7.空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
8.リフォーム瑕疵保険等への加入
【補助額】
●原則、1戸あたり20万円
詳細は、子育てエコホーム支援事業・ホームページをご確認ください。
子育てエコホーム支援事業は、ZEHレベルの省エネ性能を満たす新築住宅や省エネ化を含む幅広いリフォームを対象にした事業で、開口部の断熱等改修にも補助を行います。
「先進的窓リノベ2024事業」は、先進的な窓の断熱等改修に特化した事業で、求める性能と補助額が高いことが特徴です。どちらの事業も、住宅省エネ2024キャンペーンの参加事業ですが、補助対象となる製品や契約、着工の時期等の要件が異なります。
以下①②を満たす方が、補助対象者となります。
①窓リノベ事業者と工事請負契約を締結し、窓のリフォーム工事をすること
②窓のリフォーム工事をする住宅の所有者等であること
・住宅を所有する個人またはその家族
・住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人
・賃借人
・集合住宅等の管理組合・管理組合法人
【補助対象となる住宅】
以下の1に行うリフォーム工事を対象とし、2により補助対象になる製品や補助額が異なります。
1.既存住宅
リフォーム工事の工事請負契約日時点において、建築から1年が経過した住宅または過去に人が居住した住宅(現に人が居住している住宅を含む)をいいます。
2.戸建住宅もしくは、集合住宅
【対象となる工事】
対象製品を用いたリフォーム:ガラス交換、内窓設置、外窓交換、ドア交換
対象製品とは、メーカーが登録を申請し、事務局が一定の性能を満たすことを確認した製品です。メーカーから、製品の性能やサイズが記載された「性能証明書」が発行されます。
【補助額上限】
●1戸あたり200万円を上限
詳細は、先進的窓リノベ2024事業・ホームページをご確認ください。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
弊社、不動産流通システムでは、諸経費の中でも大きな金額となる仲介手数料が、必ず割引、もしくは無料となります。住宅資金のご相談もお気軽にお問い合わせください!
公開日:2023年12月20日
REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
子育て世帯を応援する住宅ローン「【フラット35】子育てプラス」という制度が、2024年2月13日にスタートします。フラット35子育てプラスとは、子育て世帯や若年夫婦世帯に対して、子どもの人数や住宅の性能などに応じて、一定期間住宅ローンの金利を引き下げる制度です。最大で年1.0%の金利引き下げが受けられます。このフラット35子育てプラスのように、子育て世帯に有利になる住宅ローン商品について解説します。
下記、【フラット35】子育てプラスの適用例を解説します。お子さまが増えるにつれて、金利が下がります。
●若年夫婦世帯または子ども1人の場合 当初5年間▲0.25%
●子ども2人の場合 当初5年間▲0.5%
●子ども3人の場合 当初5年間▲0.75%
詳細は下記リンクよりご確認いただけます。
https://www.flat35.com/lp/19/seido202402/index.html
その他、各金融機関におきましても、子育て支援を応援した住宅ローン商品があります。
1.返済額増減サービスの手数料が無料になります。子育て期間中の収入や支出の変化に合わせて、返済額を増やしたり減らしたりできるサービスです。
2.多目的ローン[住宅ローン利用者専用口]の金利が年率0.1%引き下げられます。子育て期間中のさまざまな資金需要に対応できるサービスです。
3.ライフスタイルサービスで、出産・育児、旅行・スポーツクラブなどの商品・サービスを割引価格で利用できます。日々の生活をサポートするサービスです。
子育て応援サービスを利用するには、20歳未満のお子さまがいることが条件となります。
詳細は、下記リンクよりご確認いただけます。
https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/loan/housing/summary/kosodate/index.html
1.お子さまが6歳のお誕生日、15歳のお誕生日を迎えられたら、その都度住宅ローンの金利を1年間年0.1%優遇されます。
2.ご出産時には、子供服・マタニティ・ベビー用品専門店や家事代行サービスのクーポンをプレゼントされます。
資産運用ご相談、投資信託自動購入プランや三井住友信託ダイナースクラブカードのお申し込みをされた方、2021年1月4日以降に住宅ローンをお借り入れのお客さまで、お借入日以降にお子さまがお生まれの方、お子さまが6歳、15歳のお誕生日を迎えられた方が条件となります。
詳細は、下記リンクよりご確認いただけます。
https://www.smtb.jp/personal/loan/house/junior-support-n
1.お借入期間中、イオングループでのお買い物が毎日5%オフになります。
2.ライフイベントに合わせて、住宅ローンの返済金額を一時的に減らすことができます。
3.がん保障付住宅ローンや全疾病団信住宅ローンなど、保障が充実した団体信用生命保険を選ぶことができます。
子育て世帯応援を利用するには、2021年1月4日以降にイオン銀行住宅ローンをお借り入れのお客さまで、お借入日以降にお子さまがお生まれの方、お子さまが6歳、15歳のお誕生日を迎えられた方が条件となります。
詳細は、下記リンクよりご確認いただけます。
https://www.aeonbank.co.jp/housing_loan/ikujikyugyo/
住宅ローンをご利用中に、ご本人さまより出産前から出産後6カ月以内にお申し出いただくと、お申し出から1年間、適用金利よりさらに年0.2%優遇されるサービスです。
詳細は、下記リンクよりご確認いただけます。
https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/hensai/index.html
病児保育サービスや家事代行サービスなど、子育て世帯に嬉しいサービスがクーポンで提供されます。コントロール返済というサービスで、一部繰上返済をすると、元金返済を一時的に休止できます。安心保障付団信というサービスで、死亡や所定の要介護状態になった場合に、残債を免除されます。自然災害時債務免除特約というサービスで、自然災害による損害の程度に応じて、月々の返済額を免除します。
上記サービスを利用されるには、以下の条件が必要です。
●お借り入れ金額が1,500万円以上であること。お借り入れ期間が25年以上であること。
●当初固定金利タイプか長期固定(全期間固定)金利タイプを選択すること。
●サービス提供会社が対応している地域にお住まいであること。
詳細は、下記リンクよりご確認いただけます。
https://www.sbishinseibank.co.jp/retail/housing/relievedpack/
子育て支援・応援等のある民間金融機関の住宅ローン商品は、それほど多くはありませんが、都市銀行や地域金融機関、ネット銀行で販売されています。特典としては、子どもの出産や人数に応じた住宅ローンの金利優遇、期限前返済や返済額の変更に伴う手数料に関する優遇やオプション、団体信用生命保険のオプション、出産・入学に伴うギフト(割引クーポン、カタログギフト)、住宅ローン以外の多目的ローンなどの金利優遇、引越等の提携サービスの割引など、各々の商品内容や付随サービスなどがあります。
住宅ローンの選択は、金利水準や当面の返済額抑制の視点のみではなく、子育て支援など、社会的な政策誘導と連携した支援、親世代からの支援を加味した贈与、住宅ローン控除等の税制も上手く活用し、住宅ローン選択を支援することが重要です。
弊社、不動産流通システムでは、諸経費の中でも大きな金額となる仲介手数料が、必ず割引、もしくは無料となります。住宅資金のご相談もお気軽にお問い合わせください!