由里 拓也(宅建士・リフォームスタイリスト)
ご納得の物件に巡り会えるまでご案内します。
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公開日:2023年10月9日
REDSエージェント、宅建士の由里です。共働きが当たり前になった現在、住宅ローンを組む際に2人が債務者になる夫婦が増えてきました。ペアローンと収入合算がありますが、その内容とメリット・デメリットについて解説します。
ペアローンとは、夫婦がそれぞれ自分の持分の住宅ローンを別々に組む方法です。お互いが連帯保証人となり、同一金融機関に申し込みます。夫婦それぞれが自身の借入可能額まで住宅ローンを組むことができるため、単独でローンを組むよりも、購入する物件の選択肢が広がります。
最近は「パワーカップル」と呼ばれる高年収の夫婦がペアローンを組んでタワーマンションを購入するケースが増えていますね。所有権は夫婦共有名義となり、別々に住宅ローンを組むため、それぞれが負担する債務割合に応じて、2人とも住宅ローン控除を受けられます。
ただ、夫婦の一方に収入がなくなっても支払い額は変わらないため、特に妻が出産や育児で現在の収入が大きく落ち込んだ場合、それまで同様の返済は難しくなることも考慮しなければなりません。
夫婦の一方が死亡したり障害を負ったりした場合、団体信用生命保険から残債に充当されるのは死亡した方のローン分だけとなります。団体信用生命保険は、債務者に万が一のことがあった場合に、住宅ローンの残債が保険によって弁済される制度ですが、ペアローンでは、夫婦それぞれが債務者となり住宅ローンを組むため、弁済されるのは死亡した方の住宅ローン分だけです。一方の住宅ローンはそのまま残ります。
ペアローンは多くの銀行で取り扱われており、「夫は30年返済の固定金利型、妻は20年返済の変動型」というようにライフプランに合わせた返済プランを立てたい夫婦や、共有名義で住宅を手に入れたい方に向いています。
マイホーム購入の際、購入を希望している物件に対して、住宅ローンの借入金額が少ない場合に、夫婦や親子などで収入を合算し、住宅ローンを組む方法があります。収入を合算し、世帯収入を増やすことで、ひとりで住宅ローンを組むよりも借入額を増やせます。
合算できるのは多くの銀行で同居する配偶者または親子に限られており、合算できる金額も「本人の収入の50%まで」「合算者の収入の50%まで」「合算者の収入全部」など金融機関によってまちまちです。
収入合算は多くの金融機関で扱われており、配偶者の年収が100万円程度でも収入合算できる手軽さが魅力ですが、上記のように各金融機関で合算額に制限が設けられています。妻の収入を合算して、夫1人で借り入れた場合、妻の収入をいくら充当しても持ち分は夫が100%となるため、持ち分を持てない妻が不満を持つというケースもよくあります。仕組みをよく理解したうえで、検討しましょう。
収入合算には「連帯債務型」と「連帯保証型」の2つのタイプが存在します。
収入合算・連帯保証型とは、主債務者と合算者(配偶者や親)が連帯保証人の関係となり、主債務者が返済できないときに、連帯保証人が返済の責任を負います。
団体信用生命保険に加入できるのは主債務者だけです。主債務者に万一のことがあった場合、住宅ローンの残債は保険金で全額完済可能ですが、連帯保証人である配偶者の死亡時には住宅ローン返済はそのまま残ります。
もともと主債務者ひとりでは借り入れが難しい住宅ローンを夫婦2人分の年収を合算することで借りるわけですから、連帯保証人である配偶者の死亡後も夫婦2人分の収入を前提とした返済額を返し続けることは通常、大変難しくなることに注意しましょう。
返済が滞れば、競売にかけられるなどして家を失い、住宅ローンも残ります。住宅ローンを借りる際には、連帯保証人である配偶者に、生命保険をかけることも有効となります。物件の所有権は主契約者のみとなり、住宅ローン控除を利用できるのも主契約者のみです。
一方、連帯債務型とは、主債務者と合算者は連帯債務者の関係となります。主債務者が返済できないときに、夫婦が同等の返済責任を負います。ローンの契約は1本で、団体信用生命保険も基本的には主債務者のみが対象になりますが、夫婦の共有名義になるため、住宅ローン控除を夫婦の両方ともが利用できます。
団体信用生命保険に関しては、住宅金融支援機構のフラット35にデュエットというプランを利用する場合や、一部の金融機関で夫婦連生団体信用生命保険に加入する場合には、夫婦2人とも団信の対象にできるので、いずれか一方が亡くなった場合でも2人分のローン残債務を完済できます。ただし、取り扱う金融機関は限られているため、事前に金融機関への確認が必要となります。
ペアローンや収入合算で住宅ローンを組む場合、病気やケガで収入が減ったり途絶えたりなど不測の事態に備えておきましょう。団体信用生命保険は死亡と高度障害のときに住宅ローン残債が免除となる仕組みのため、病気やケガによる収入減には対応していません。
所定の病気になったときに一定期間の住宅ローン返済の肩代わりや残債務を返済する「疾病保障付き団信」や、がんと診断されたときに住宅ローン残債務の全額や半額を保険金で返済するしくみの「がん団信」を利用するのも一策です。
また、親の介護や子育て、健康などの理由でいつか仕事をやめるかもしれないと感じる人は、ペアローンや収入合算で住宅ローンを組むのは避けたほうが無難です。たくさん借りられるからと夫婦2人で住宅ローンを組むのではなく、単独での借り入れでも手が届くような、身の丈に合った物件選びを心掛けたいところです。
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