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近藤 未来(宅建士・リフォームスタイリスト)

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公開日:2023年12月11日

REDSエージェント、宅建士の近藤未来です。今回はマンションに住み始めると毎月、支払いが必要となる修繕積立金について、その概要や金額の目安について解説します。

修繕積立金

修繕積立金について

マンションの外壁や屋根、エレベーターなどの共用部分は、マンションの区分所有者で構成する管理組合が主体となって維持管理・修繕を行います。マンションの共用部分の大規模修繕工事は長い周期(国土交通省のガイドラインによると大規模修繕工事の周期は12年に1回が目安)で実施されるものが多く、大規模修繕工事の実施時には、多額の費用を要します。

こうした多額の費用を大規模修繕工事の際に一括で徴収することは、区分所有者にとって大きな負担となってしまいます。そのため、将来予想される修繕工事に要する費用を、長期間にわたり計画的に積み立てていくのが「修繕積立金」です。

修繕積立金は、マンションを長期間にわたり、良好な状態に維持していくため、また資産価値を維持していくために必要なものです。

修繕積立金の額の目安について

長期的に計画される大規模修繕工事に備えて、中古マンションの修繕積立金の額はどのように決められるのでしょうか。国土交通省が2021年9月に発表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に修繕積立金の額の水準について、購入予定者およびマンションの区分所有者・管理組合が判断する際の参考になるよう「修繕積立金の額の目安」を示しています。

目安の金額は長期修繕計画の期間全体に必要な修繕工事費の総額を、当該期間で均等に積み立てた場合の修繕積立金(月額)をもとに示しています。

また、マンションに機械式駐車場がある場合は、修繕工事に多額の費用を要し、修繕積立金の額に影響する度合いが大きいことから、機械式駐車場に係る修繕積立金を特殊要因として別に加算することとしています。

●計画期間全体における修繕積立金の平均額の目安(機械式駐車場を除く)

地上階数と建築延床面積 月平均額 事例の大部分が収まる金額の幅
20階未満 5000㎡未満 335円/㎡・月 235円~430円/㎡・月
同 5000㎡以上~1万㎡未満 252円/㎡・月 170円~320円/㎡・月
同 1万㎡以上~2万㎡未満 271円/㎡・月 200円~330円/㎡・月
同 2万㎡以上 255円/㎡・月 190円~325円/㎡・月
20階以上 338円/㎡・月 240円~410円/㎡・月

 

マンションを購入する際には、表に記載された月平均額に、対象となる部屋の専有面積をかければ、修繕積立金の平均的な金額と、支払う可能性のある金額の範囲が分かります。

また、機械式駐車場がある場合の加算額は、下記のとおりです。

機械式駐車場の1台あたり月額の修繕工事費(下表)×台数÷マンションの総専有床面積(㎡)

●機械式駐車場の1台あたり月額の修繕工事費

機械式駐車場の機種  機械式駐車場の修繕工事費
(1台あたりの月額)
2段(ピット1段)昇降式  6,450円/台・月 
3段(ピット2段)昇降式  5,840円/台・月 
3段(ピット1段)昇降横行式  7,210円/台・月 
4段(ピット2段)昇降横行式  6,235円/台・月 
エレベーター方式(垂直循環方式)  4,645円/台・月 
その他  5,235円/台・月 

 

※駐車場の維持管理・修繕工事費や駐車場使用料について、管理費や修繕積立金と区分して経理している場合など、機械式駐車場の修繕工事費を駐車場使用料収入でまかなうこととする場合には、「機械式駐車場がある場合の加算額」を加算する必要はありません。

修繕積立金の積立方法

修繕積立金の積立方法には、「段階増額積立方式」と「均等積立方式」の主に2種類があります。「段階増額積立方式」は、当初の積立額を抑え段階的に積立額を値上げする方式です。一方、「均等積立方式」は、長期修繕計画で計画された修繕工事費の累計額を、計画期間中、均等に積み立てる方式です。

そのほかにも、購入時にまとまった額の基金(「修繕積立基金」と呼ばれます)を徴収することや、修繕時に一時金を徴収する、または金融機関から借り入れたりすることを前提とした積立方式を採用している場合もあります。

「段階増額積立方式」は、将来の負担増を前提とする積立方式ですが、増額しようとする際に区分所有者間の合意形成ができず、修繕積立金が不足する事例も生じていることに留意が必要です。

将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、「均等積立方式」が望ましい方式といえます。新築マンションの場合は、ほとんどが「段階増額積立方式」を採用しており、あわせて、分譲時に修繕積立基金を徴収している場合も多くなっています。このような方式は、購入者の当初の月額負担を軽減できるため、広く採用されておりますが、注意が必要です。

最後に

これまで述べてきた中古マンションとは異なり、修繕積立金がなし、もしくは少ないという物件もあります。修繕積立金の設定がないというのは、長期的に見て、後で大きな出費をすることになる可能性があります。長く住む場合は注意が必要です。

中古マンションを購入する場合は、物件の購入価格だけでなく、ランニングコストについても十分に確認しておくことが必要です。また、これまでの修繕履歴、長期修繕計画の作成時期や内容を確認し、修繕積立金の上昇について検討することが大切になってまいります。

 

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