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公開日:2024年9月27日

「既存不適格」の不動産を売買する際の注意点。「違反建築」との違いも解説

こんにちは。不動産売買の仲介手数料が【無料・割引】の【REDS】のエージェント、宅建士・宅建マイスターの小野田(おのだ)です。

中古の戸建てやマンションの物件情報を見ていると、「既存不適格」と記載されていることがたまにあります。

本日はこれら「既存不適格建築物」について解説します。また「違反建築物」、「違法建築物」との違いもご説明します。

既存不適格

(写真はイメージです)

「既存不適格建築物」と法律上の取り扱い

「既存不適格建築物」とは、建築された当時には合法な建築物だったものが、その後の法改正などによって、現行法制下での基準を満たさなくなった建築物のことをいいます。

建築基準法では、「既存不適格建築物」とその取り扱いについて、次のように規定されています(建築基準法に「既存不適格建築物」という文言はありませんが、下記の建築基準法3条2項の規定が「既存不適格建築物」についての規定となります)。

【建築基準法 3条2項】
《この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際、現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。》

簡単にいうと、「新たな法令などが施行された時点で現存する建築物および工事中の建築物については、新たな法令で不適合となる部分があっても、その新たな法令は適用しない」ということが定められているのです。

「既存不適格建築物」の具体例

「既存不適格建築物」の具体例としては、下記のようなものが挙げられます。

接道条件の変更による既存不適格

大正時代の1919年に制定された市街地建築物法(1920年12月1日施行。1950年11月22日廃止)では、建築に際しての接道条件は「幅員2.7m以上」でしたが、建築基準法では要件が強化され、「幅員4.0m以上」にすることが求められています。

ただ、現状では、古くからの市街地では幅員4.0m未満の道路とこれに接して建築されている数多くの建築物(既存不適格建築物)が存在します。

用途地域の変更による既存不適格

現在は都市計画により定められた用途地域ごとに、建築可能な建物の用途が決まっていますが、用途地域が定められる以前から建物が存した場合や、建物の建築後に用途地域が変更されたことにより、建物の用途が既存不適格となった場合があります。

建ぺい率・容積率・高さ制限の変更による既存不適格

建物の建築後に都市計画の変更が行われ、用途地域・建ぺい率・容積率・高さ制限等が変更されたことにより、既存不適格となった場合があります。

耐震基準変更による既存不適格

建物の建築後に耐震基準が改正された建築物の中には、現行の基準では耐震強度が不足し、既存不適格となっているものがあります。

耐震基準に関する大きな改正としては、1981(昭和56)年5月の耐震基準改正があり、これ以前に建築確認を取得したものを「旧耐震基準」、これ以降に建築確認を取得したものを「新耐震基準」と呼んでいます。

「違反建築物」との違い

「既存不適格建築物」と似た言葉に、「違反建築物(違法建築物)」というものがあります。一見同じようにも思えますが、実は意味が大きく違います。

「違反建築物」とは、建築当初から既に法律に適合していない建築物、および、法律に適合していない増改築をした建築物も「違反建築物」に該当します。

既存不適格建築物も違反建築物も、現時点で法律の基準に不適合となっている点は同じですが、建築時(または増改築時)に当時の法律に適合しているのか否かが大きく異なっています。

「違反建築物」の場合は(違反の程度にもよりますが)、住宅ローンの融資は基本的に断られてしまいます。他方で、「既存不適格建築物」については、融資してくれる金融機関が比較的多いように思われます(ケースバイケースですが)。

既存不適格建築物に住み続けても大丈夫?

既存不適格建築物にそのままの状態で住み続けても大丈夫なのでしょうか。結論としては、既存不適格建築物であっても、基本的にはそのまま住み続けることができます。住み続けても罰則はありません。

例外として、建築基準法では「著しく保安上危険」または「著しく衛生上有害となるおそれがある」と認める場合に建物の所有者は建物の改築や解体(除却)などを命じられることがある、と規定されています。

ただし、増改築(建築確認が必要な大規模リフォームなど)や建て替えをするときには、その時点の法規制の基準に適合させなければなりません。建て替えの場合には、基準に適合させることによって建物が小さくなってしまうこともあります。

また、現在の基準を無視したまま増改築や建て替えすると違法建築物になってしまうので注意しましょう。

「既存不適格建築物」を売買する際の注意点

「既存不適格建築物」は建て替えや増改築するには今の基準に適合させる必要があり、現在の建物よりも小さくなったり、増改築に多額の費用が必要になったりする場合があります。

また、接道義務を満たしていない場合などでは、新たな建物の再建築ができないこともあります。「既存不適格」の物件は、相場に比べて割安で売りに出されていることが多々ありますが、これらのリスクがあることを十分に理解した上で、購入されることが必要となります。

さらに「既存不適格建築物」の場合、金融機関によっては住宅ローンを組めない場合もありますので、この点もご注意ください。

他方で売主様は、既存不適格建築物は売却しづらい場合もあるので、それを隠して売却活動をしたいと考えるかもしれませんが、「既存不適格建築物」ということを買主に告知せずに売却すると、損害賠償を請求されたり売買自体が無効になったりすることもあります。

まとめ

今回の記事では、既存不適格建築物と違反建築物の違いや売買するときの注意点について解説しました。

既存不適格建築物の売買は、一般的な物件の売買に比べて、上記のようなリスクがあるため、物件の売買をお考えの場合には、弊社【REDS】のように既存不適格建築物についても、経験の豊富なエージェントが在籍する不動産会社を選ぶことをお勧めします。

不動産流通システム【REDS】では、引き続き皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。

では、また。

 

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小野田 浩
(宅建士・リフォームスタイリスト)

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