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最終更新日:2025年4月6日
公開日:2025年3月31日  島崎 正輝

売買契約が成立したら支払う手付金、その意味や相場は?

REDSエージェント、宅建士の島崎です。今回は不動産売買契約時の「手付金」に関して考察します。

不動産の売買契約時にお支払いいただく手付金は、特に問題もなく引渡しとなれば、最終的に売買代金の一部に充当されるというものです。手付金の本来の意味や金額の相場、ほか手付解除などについてご説明します。

手付金

(写真はイメージです)

手付金とは

手付金とは不動産の売買契約が成立した際に買主が売主に支払う金銭のことです。売買契約の手付金は、本来買主側と売主側が売買契約を成立、契約を履行させるための重要な役割を果たします。

滞りなく契約が履行されて引き渡されたら、手付金は売買代金の一部に充当されます。ちなみにこの場合の「契約の履行」というのは、売買契約によって定められた「法律上の義務」を果たすための行為を指します。

手付金は買主が売主に対して売買契約と同時に支払うことが一般的です。まれに売買契約と決済・引渡しが同時の場合を除き、売買契約締結から売買代金のお支払い、そして決済・引渡しまでには「一定の期間」があります。この「一定の期間」の手付金は、売買契約の売主と買主の「法律上の関係を担保」する役割を果たします。

手付金が持つ3つの意味

売買契約時の手付金には以下の3つの意味と役割があります。

証約手付

証約手付は不動産の売買契約が成立した証としての役割を果たします。売買契約締結で契約自体は成立しますが、手付金を支払うことにより「契約締結に合意」したことを意味します。ほか証約手付は、売買契約の締結から物件の決済・引渡しまでの間、売主と買主の「意思を担保」する意味もあります。

解約手付

解約手付は、その支払いを行うことによって売買契約の当事者である売主か買主のいずれかが、「一方の都合で解約できる役割」を持つ手付金のことでもあります。売買契約を手付放棄にて解約する場合は、以下の流れになります。手付解除には通常期限が決められています。

(例)
・買主:支払った手付金を放棄する手付放棄
・売主:買主から受け取った手付金を返還し、手付金と同額を買主に払う手付倍返し

違約手付

違約手付は、債務不履行が発生した場合に備えて、契約時にあらかじめ交付しておく手付であり、「違約金」としての役割を果たします。

(例)
・買主:手付金が「違約金」。売買契約書に記載された「違約金の額」が手付金の金額を上回る場合は、不足分を追加して売主に支払う
・売主:手付金相当額を買主に返金することに加えて、手付金相当額を違約金として買主側に支払う。ただし、売買契約書に記載された「違約金の額」が手付金の金額を上回る場合は、不足分を追加

債務不履行の例として以下のようなものがあります。

  • 買主が中間金(内金)や最終残代金を支払わない
  • 売主が物件の引渡しを期日までに行わない
  • 売買契約自体の対象物件が契約内容に適した物件でなかった
  • 買主、売主のいずれか一方が売買契約書に定められた条項に対して違反した

中間金(内金)とは売買契約締結後から物件引渡しまでの間に「買主が支払う売買代金の一部」を指し、内金とも呼ばれます。例えば不動産会社が売主である場合には、中間金が手付金と合わせて一定の金額を超えてしまうと「保全措置」の対象となります。

手付金の相場

手付金の額は売買物件価格に応じて売主と買主の「相談」で決定するのが一般的です。相場としては売買価格の5~10%です。

例えば5,000万円の売買価格の場合、手付金は250万~500万円前後となることが一般的です。

宅地建物取引業法で定められた上限額

売主が宅地建物取引業者(不動産会社)の場合には、最初から上限が設定されており、売買代金の20%を超えて受け取ってはならないと宅地建物取引業法で決められています。買主が不当で高額な手付金を支払ったり、契約解除権を制限されたりすることを防ぐ目的があります。

宅地建物取引業者の要求する手付金が20%を超える場合、超えた部分はそもそも無効になり、契約解除権を制限する特約事項も無効になります。例えば5,000万円の売買物件を宅地建物取引業者から購入する場合には、手付金の上限は1,000万円となります。手付金が1,000万円を超えた場合、1,000万円を超えた部分はそもそも無効になり、契約解除権を制限する特約自体も無効になってしまいます。

保全措置が必要な条件

宅地建物取引業者が物件の売主で、手付金や中間金の合計金額が一定額を超える場合は、保全措置をとる必要が出てきます。保全措置とは、売主である不動産会社が「売買契約中に倒産」またはそれをはじめとする何らかの理由で、「契約の履行をすること。および損害賠償をすることもできなくなる」場合に、買主に対する手付金返金を一定額まで保証する「保険」のようなものです。保全措置が必要なケースは以下のような場合です。

  • 未完成物件…手付金が売買代金の5%または1,000万円を超える場合
  • 完成物件…手付金が売買代金の10%または1,000万円を超える場合

保全措置をとる場合、銀行をはじめとする金融機関と「保証委託契約」を結んだり、保険会社と「保証保険契約」を結んだりする必要が出てきます。

手付金による契約解除の期限と方法

手付金による契約解除の期限と方法について考察します。手付解除ができる期限として、民法上の規定では「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」と記載があります。また売買契約書に「日付」や「期間」として「手付解除期限」が定められている場合は、相手方の同意なしで契約の解除が可能です。その場合に手付金額の放棄や、手付金の倍額の返還が必要となってきます。

「契約の履行に着手する」ことは判例で「客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す」とされています。正直なところ曖昧な部分がありますので、民法に対する特約として「手付解除期日」を売主買主双方の合意で定めることで、手付解除の期限を定めるケースがほとんどです。

買主の「履行の着手」と見なされる例には、以下のようなものが挙げられます。

  • 中間金の支払い
  • 引越し業者への発注など「新居への入居を前提とした行為」の実施
  • オーダーの家具をはじめとする「明確に新居に向けたもの」とわかるようなものの購入
  • 物件残代金の支払い

売主の履行の着手と見なされる例は以下のとおりです。

  • 買主との契約条件に応じて土地の「分筆登記」を行う
  • 買主との契約条件に応じて、売買物件の「一部引渡し」を行う
  • 所有権移転登記や抵当権抹消の必要な書類を司法書士に渡し手続きを行う

売主が契約解除をする方法

手付解除期限内に、仲介の場合には仲介業者を経由して買主に手付解除を伝えます。その後、買主から預かっている手付金に加え手付金と同額のお金を買主の口座へ返還します。

買主が契約解除をする方法

手付解除期限内に、仲介の場合には仲介業者を経由して売主に手付解除を伝えます。その後に売主に支払っていた手付金を放棄します。そのまま売買契約が履行されていれば、手付金は物件代金の一部に充当されるのですが、手付放棄した場合は違約金として扱われることになります。

最後に

手付金については、なかなか初めての方にはその役割を理解するのが難しい部分もございます。これを正しく理解することで、売買契約に対する不安も少なくなり、取引をスムーズにする効果が期待できます。

皆様のお役にたてましたら幸いです。

 

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島崎 正輝
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