REDSエージェント、宅建士の大西です。
2025年から不動産業界で幅広く行われている「囲い込み」は、2025年からは是正の指示処分の対象となります。前編では、そもそも「不動産の囲い込み」とはなにかについて説明しました。後編の今回は「囲い込み」を防止する方法について説明したいと思います。

(写真はイメージです)
囲い込みに関係ある「レインズ」について
まず、囲い込みとも大いに関係のある「レインズ」について説明します(※国土交通大臣指定 公益財団法人 東日本不動産流通機構HPより)。
レインズ(REINS)とは、不動産物件の情報を交換するためのコンピューターネットワークシステムです。不動産流通機構が運営しており、不動産業界のインフラサービスとして重要な役割を果たしています。
レインズの特徴
不動産会社が専任媒介契約などによって物件売却の依頼を受けた場合、その対象不動産の情報がレインズに登録されます。登録された情報は他のすべての不動産会社に提供されます。
レインズには登録物件や成約物件に関する膨大なデータが蓄積されており、不動産流通機構は不動産取引に関する各種統計を発表しています。
レインズがもたらすメリット
レインズは不動産流通の円滑化を促進しています。買主は買いたい物件、売主は物件の売却先をスピーディーに安心して見つけることができるからです。
不動産会社による「囲い込み」を防ぐためにも重要で、売主にとっても買主にとっても多くのメリットがあります。
レインズが関係する不動産の囲い込みのパターン4選
不動産の囲い込みにはレインズが関係しています。そのパターンを4つ紹介します。
売却依頼した不動産会社が「レインズ」に登録をしない
そもそも売却物件を受任した業者がレインズに登録をしないと、他の不動産会社が物件を見つけることができません。これは最も悪質な囲い込みのパターンです。
1社だけに売却活動を依頼する専属媒介契約または専属専任媒介契約を結んだ場合、レインズに登録しないことは宅建業法違反となります。売主であれば自分の物件が実際にレインズに掲載されているかどうかを確認することができます。
レインズに規定の情報を入力しない
レインズに販売図面や所在地、沿線名など規定のデータを正しく入力登録しないと、業者間の物件への問い合わせが減ります。このように故意に省略したデータしか入力しないというケースもあります。
レインズの取引状況を操作する
レインズでは取引状況の表示について「公開中」「書面による購入申込あり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つから選択できます。
「公開中」にしない限り、他の不動産会社から連絡はきません。
他の不動産会社からの問い合わせに対応しない
レインズで物件情報を見た他の不動産会社からの連絡があった場合に「担当者が不在なので」「担当者が本日は休みなのでわかりません」などと応対して、折り返しの連絡もしない不動産会社があります。
何度連絡してもこのような対応をされると「これは囲い込みをしているな」と同業者ならすぐにわかります。
「その物件は売り止めです」「商談中です」「売主の都合でしばらくは内見できません」などと明らかに嘘の言い訳をしてくることもあります。こんな感じでのらりくらりと他の問い合わせをかわしている間に、自社で買主を見つけようとするのです。
囲い込みを避ける方法
囲い込みを回避できる方法がいくつかあります。主な方法を6つ紹介します。
囲い込みをしないように質問する
不動産会社との契約前に「御社は両手にこだわらないで売却活動してもらえますか?」と営業担当者に念を押しておくといいでしょう。
この約束そのものに何か効力があるわけではありません。しかし「このお客様はよく知っているから囲い込みしたら危ないかもしれない」と思わせる効果はあります。
レインズの登録をこまめに確認する
専属媒介契約または専属専任媒介契約を不動産会社と結んだ場合は、レインズの「登録証明書」という書面がもらえます。
所在地などの物件情報が正しく入力されているか、取引状況を必ず確認しましょう。売却活動中にもかかわらず「公開中」となっていなければ、囲い込みが行われている可能性が濃厚です。
媒介業務報告書を確認する
専属専任媒介契約を結んだ場合は1週間に1回、専任媒介契約では2週間に1回、売主に対して媒介業務報告書の提出をしなければならないことになっています。この報告書には前回の報告書提出以降「どのような営業活動をしたのか」「反響はどうだったか」といった内容が記載されています。
いつも同じような内容しか書かれていない、反響がなかったといった報告が多い場合には、囲い込みが疑われるだけではなく、熱心に売却活動を行っていない可能性もありますので、不動産会社に確認をしましょう。
熱心にいつも確認してくる売主に対しては、手を抜かずに売却活動を行ってくれる可能性も高まります。囲い込みを行っていることによって買主をなかなか見つけられない場合は、しつこく催促していると囲い込みをやめる可能性もあります。
他の不動産会社から連絡してもらう
内見の依頼がまったくないような場合には、囲い込みが行われている可能性があります。
裏技ですが、知り合いに不動産会社がいればその不動産会社から問い合わせてもらうという方法もあります。内見がないにもかかわらず、その物件は商談中だと言われたら、囲い込み確定です。
担当者がいま不在と言われた場合、その電話の直後に自分から担当者に電話をしてみましょう。さっきは不在と言っていたのに、売主からの電話にすぐでたのであれば、これも囲い込み確定です。
解約を申し出るかそれが嫌であれば、契約期間は原則3カ月間なのでその期間が満了したら他の不動産会社と契約しましょう。
不動産会社のフリをして連絡してみる
これも裏技です。
不動産会社に知り合いがいない場合は、兄弟や友人などに不動産会社のフリをして電話をかけてもらいます。折り返し電話がかかってくる可能性があるので、携帯などから非通知でかけてみるといいでしょう。
依頼中の不動産会社に「〇〇不動産の〇〇です。A市B町の6,980万円の戸建てですが、紹介可能ですか?」と質問してみます。
「紹介可能です」「大丈夫です」「あります」などと言われれば、囲い込みはされていないと判断できます。「紹介可能ですか?」とはなんのことかわからないと思うかもしれませんが、これは不動産業界では物件確認、通称物確(ぶっかく)といいます。その物件の案内や紹介が可能かどうかを、必ず買主側の不動産会社は確認するのです。
先方の不動産会社から「紹介可能です」と言われれば、そのあとは「分かりました。ありがとうございます」で通話を終わりにしてOKです。
ここまでするほど不動産会社を信頼できなくなってしまったら、契約期間満了を待って他の不動産会社と契約するか、次に説明する一般媒介契約にしたほうがいいかと思います。
一般媒介契約にする
囲い込みが起こるのはそもそも売主と契約している不動産会社が1社だけだからです。
専任媒介契約や専属専任媒介契約であれば、1社だけしか販売活動を行うことができません。これに対して一般媒介契約にすれば、販売活動を行う不動産業者が複数になるので囲い込むことは物理的に不可能になります。
ただ、一般媒介契約にはデメリットもあります。不動産会社が頑張って売却活動をしても、最終的に他の不動産業者が売却にこぎつけた場合、タダ働きになってしまうため、あまり頑張って販売活動をしてくれない可能性が高いのです。
まとめ
囲い込みは宅建業法違反なのにもかかわらず、防ぐことは現実問題として非常に難しいといえます。
しかし、防ぐことがまったくできないかというとそうではありません。ここに記載した内容を試してみれば、囲い込みを回避できるかもしれません。囲い込みをしている、またはしようとしている同業者としてはあまり書いてほしくないような内容です。参考にしていただければ幸いです。
しかし、そもそも「囲い込みをしない不動産業者を選ぶ」ことが最も望ましいのではないでしょうか。
やはり、会社の規模や知名度で選ぶのではなく、「囲い込みをしない」「両手仲介にこだわらない」業者を選ぶのがよいと思います。
すでに、不動産会社に依頼している場合は、弊社REDSをセカンドオピニオンとしてご利用いただき、囲い込みの確認をすることも可能です。その際には、エージェントの大西(080-3316-8123)までご連絡くださいますようお願いいたします。
最後に
当社では、上場企業グループ会社ならではの安心サポートをお約束いたします。REDSは、プライム上場 ヤマダホールディングスのグループ会社です。
安定した経営基盤を活かした提携住宅ローンや、法律・税務の専門家ネットワークによるアフターフォローまで安心のサポートを一貫してご提供いたします。不動産を売却したい、その他不動産に関することであれば何でもご相談ください。常にお客様のことを考え、お客様の利益を最優先したお仕事をさせていただくことをお約束させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。
この記事を執筆した
エージェントプロフィール
大西 進
(宅建士・リフォームスタイリスト)
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