大西 進(宅建士・リフォームスタイリスト)
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公開日:2024年12月6日
仲介手数料最大無料REDSの不動産エージェント、宅建士の大西 進(おおにし すすむ)と申します。こちらのページをご覧いただきまして、誠にありがとうございます! 皆さまのご期待にお応えできるよう、毎日一生懸命お仕事をさせていただいております。
2025年から不動産業界で幅広く行われている「囲い込み」が処分対象となると、国土交通省が見解を発表しました。宅地建物取引業法の通達を改正し、囲い込みを確認すれば2025年からは是正の指示処分の対象となります。この記事では、法改正の内容や影響、そして不動産会社が取るべき行動について2回にわたって説明します。
まず1回目では、そもそも「不動産の囲い込み」とはなにかについて詳しく説明します。弊社は以前からこの「囲い込み」を問題視してきました。2017年1月17日のこちらのコラム(不動産の囲い込みとは?囲い込まれた物件の悲惨な末路)をご覧ください。
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不動産会社が、より収益の多い「両手仲介」を執拗(しつよう)に目指すがために、売主から売却の依頼を受けた不動産物件を、他の不動産会社に取り扱わせないようにする行為のことを、不動産会社では、「囲い込み」(不動産・物件の囲い込み)と言います。
その方法は、売却の仲介を依頼された物件を意図して他社に紹介せず、自社でその物件を買う人を見つけ、売却も購入も自社の顧客でのみで完結させようとすることです。
宅建業法では、専属専任媒介契約、もしくは専任媒介契約を結んだ不動産会社は、「レインズ」(Real Estate Information Network Systemの略)という、不動産業者向けの物件情報の共有を目的とした、ネット上のデータベースに物件を登録する義務があります。
しかし、レインズに登録をしなかったり、またはすぐに削除をしたり、問い合わせの連絡が来ても「その物件はすでにお申し込みが入っています」「売主様の都合で今週は内見できない」「売主様の希望により他社様には紹介できない」などと嘘をついたりして、他社に物件を売却しないようにするのです。
嘘のような本当のお話とはこのことです。いうならば売主は、依頼をした会社に「囲い込み」されたことになります。
これにより、より多くの住宅購入希望者へ広く情報を公開し、一人でも多くの内見希望者を集めることで競争の原理を働かせることにより、売主の希望の金額での成約機会を設けなければならないにもかかわらず、「囲い込み」により妨げられるケースが多く発生しています。
弊社には、おそらく他の不動産業者で囲い込みされたであろう売却希望者から、「おたくは囲い込みをしないと言っているが本当なのか?」というお問い合わせを多数いただいております。
※REDSでは「囲い込み」はもちろん「両手仲介」も原則禁止にしていますので、安心して不動産売買をお任せください。弊社ではリアルな「囲い込み」実態を、ご売却のご依頼をいただいたお客様にお聞きいただいております。
囲い込みをされると、ほとんどの場合、他社に物件情報が流通せず、買主が見つかりにくくなり、売却まで時間がかかります。
さらにタチの悪いことに、囲い込みをしている不動産会社は、「なかなか売れないので値下げをしましょう」などと提案してくるのです。
値下げをして買主を見つけたとしても、会社側は両手仲介となり、売主、買主の両方から仲介手数料を貰えるため、囲い込みをせずに片手仲介になってしまった場合と比べても十分な利益を得られます。つまり、売却まで時間がかかろうが、値下げをしようが、損をするのは売主だけ、ということなのです。
ある会社に内見を依頼したら「申し込みが入ったので内見できない」と言われたにもかかわらず、販売を依頼された会社に連絡をしたら「その日時でしたら内見できますよ」と返事が来たといったケースもあります。
「囲い込み」をする特定の不動産業者の提案に偏ることで、買主は物件選択が制限され、希望条件の物件を見逃すリスクが高まります。また、複数の業者や物件を比較検討する機会が減少し、より良い選択肢を見落としてしまうと考えられます。
結果として、買主にとっては不利な条件での契約を余儀なくされたり、本来なら出合えたはずの理想の物件を逃してしまったりする可能性が高くなります。このような状況は、買主の利益を損なうだけでなく、不動産市場の健全な競争を阻害する要因にもなりかねません。
安心安全なお取引が第一の、REDSのエージェントへお任せください。
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公開日:2024年10月28日
こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
ここ数年、マンション購入をご検討になるお客様で、ペットが飼育できる物件をお探しの方がとても増えています。以前は、「マンションはお家でペットが飼えないから戸建てにする」といったことからマンションをあきらめるケースがほとんどでした。
たしかに、以前はペットが飼育できるマンションのほうが少なかったのですが、10年以上前ごろから新築マンションでも「ペット飼育可」が標準的になっています。今後は少子高齢化・核家族化が進むなか、ペットは「家族の一員」としてますます飼育ニーズが高まっていくと予想されています。
今回は分譲マンションでペット飼育不可のマンションを「ペットを飼育可能にするための細則づくり」についてご紹介します。
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そもそもペットの飼育が禁止されている分譲マンションで途中から飼育可能にすることなどできるのでしょうか?
結論から言うと、総会決議により変更することは可能です。
ペット飼育が禁止されているマンションでは管理規約を変更することになります。近年は、分譲当時はペット飼育不可だったマンションがペット飼育可に変更されている物件も増えてきましたので、決して不可能なことではありません。
ちなみに国土交通省が発行しているマンション標準管理規約の第18条関係コメントによると、「犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続き等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。」と記載されています。
つまり、飼育の可否を管理規約で定めて、詳細なルールは飼育細則で定めることになります。
一方で、分譲当初からペット飼育不可であった場合、その環境を気に入ってマンションを購入された方もいますし、アレルギーをお持ちの方もいます。飼育ありきではなく、ペット飼育可にすることも選択肢のひとつとして、全体のバランスを見ながら反対者の意見も尊重して検討することが必要です。
さっそくペット飼育細則の作成に取りかかりましょう。
ポイントは「ペットを飼育しない方のための細則であり、飼育しない方の住環境を守るための細則」であるということです。もともと飼育が禁止されていたマンションとして購入している所有者ばかりなので、最大限配慮して進めていかなければなりません。
では、最低限定めておくべき項目を5つに分けてご紹介します。
いくらペット飼育可能といっても、その種類や数には制限を設けておかないと大変なことになります。極端な例ですが、過去には猛毒を持った爬虫類を飼ったり犬を10匹以上も飼ったりした方がいました。
4と5は合わせて2匹まで、中型犬の場合は1匹までです。飼育する際は所定の手続きおよび制限があります。
飼育可能な動物は、成長時の体長が概ね50㎝以内の犬又は猫であわせて2匹まで、などといった制限があります。
その他、飼育禁止動物を別表として定めるケースもあります(危険動物・猛獣及び猛禽類・毒を持つ動物を特定しておく)。
せっかく飼育できる動物の種類や数を定めても、管理組合としてその内容を把握していなければ遵守されているかどうか判断ができません。
ペットの飼育場所は専有部分(部屋内)になりますので、専有部分における飼育方法は細かく設定します。また、住人の中にはペットが苦手な人もいますので、共用部分における注意事項も重要になります。
せっかくペット飼育細則を定めても、違反者がいた場合には厳しい対応をしなければなりません。共同生活の中でルールを順守しない場合の措置についてもしっかりと定めておきます。
上記に紹介した規定以外にもマンションの実情に応じて細かく規定を定めていきます。以下に実際のマンションで導入されている諸規定の事例をご紹介します。
核家族化や一人暮らしの高齢者が増えていく日本において、ペットは大切な家族の一員となっています。分譲マンションでペット飼育を認める場合には、十分に協議の時間を設け、ペットを飼育しない方の住環境をしっかりと守ることを第一に考えて、全区分所有者の問題として検討していくことが必要となります。
総会決議により変更が認められた場合においても、ルールやマナーを守って、同じマンションで生活する住民に最大限配慮することが重要です。また、できるだけマンションでの飼育に向いた動物を選び、しっかりと快適な環境をつくってあげることで、ペット自身にも余計な負担をかけません。
飼い主がさまざまなポイントに気をつけることで、ほかの住民もペット自身も快適な生活が送れるよう心がけましょう。
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公開日:2024年9月21日
こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
ここ数年、マンションご購入のお手伝いをさせていただく際、多くのお客様からのご質問で次のようなものがあります。
「この物件、修繕積立金高くないですか?」
「近いうちに、上がる可能性はあるのでしょうか?」
「上がるとすればいくらぐらいありますか?」
住宅ローンの返済のほかに、管理費と併せて毎月のお支払いに直結する費用ですので、マンションをご購入される方にはその金額はとても重要になります。
営業担当としては、まず管理会社から現況と計画を聴取しそのまま正直にお答えします。そして、ご質問内容に応じて、以下のようなご説明や、経験したことをお伝えさせていただくようにしています。
(写真はイメージです)
修繕積立金は、マンションの共用部分の修繕や維持管理のために、住民が毎月積み立てるお金のことです。具体的には、建物の外壁や屋上、エレベーター、共用廊下などの修繕費用に充てられます。
大規模な修繕が必要な場合、一度に多額の費用を徴収するのは難しいため、毎月少しずつ積み立てることで、将来的な修繕に備える仕組みです。
修繕積立金の主な用途は、マンションの共用部分の修繕や維持管理です。具体的には以下のような項目に使われます。
これらの修繕や更新を計画的に行うことで、マンション全体の資産価値を維持し、住民の安全と快適な生活環境を保つことができます。
修繕積立金はマンションの将来的な修繕や改修工事には絶対に必要なものですが、その金額の高さは多くのマンション所有者にとって共通の悩みとなっています。金額はマンションの規模や築年数によって異なりますが、最近では値上げが相次いでいることが多いです。
では、なぜ修繕積立金は上がるのでしょうか。修繕積立金の値上げにはいくつかの理由があります。
●修繕費用の増加:建物の老朽化が進むと、修繕にかかる費用が増加します。特に大規模修繕が必要な場合、その費用を賄うために積立金を増やす必要があります。
●物価の上昇:建材や工事費用の物価が上昇すると、修繕にかかるコストも増えます。そのため、積立金もそれに応じて引き上げられることがあります。
●予備費の確保:予期せぬ修繕や緊急対応が必要な場合に備えて、十分な予備費を確保するために積立金を増やすことがあります。
●法令や規制の変更:建築基準法や消防法などの法令が改正され、新たな基準に適合するための修繕が必要になる場合があります。このような場合、追加の費用が発生するため、積立金の値上げが必要となることがあります。
●管理組合の方針:管理組合が将来的な修繕計画を見直し、より高い水準の修繕や改修を目指す場合、その費用をまかなうために積立金を増やすことがあります。
多くのマンション購入者は、月々の住宅ローン返済額と修繕積立金、管理費を合算して検討します。このため、分譲会社は販売競争力の低下を危惧し、契約時の初期費用が低い段階で増額積み立てを設定することがあります。
具体的な値上げの理由や計画については、管理組合の総会や説明会で詳しく説明されることが多いです。
上記のように値上げの理由があっても、ここ数年、修繕積立金に関するトラブルが、マンション管理においてよく見られる問題です。以下は、よくあるトラブルの例です。
●費用の不足:大規模修繕工事が必要となる段階で、積立金が不足していることが発覚するケースが多いです。これは、当初の計画よりも修繕費用が高騰したり、積立金の額が適切でなかったりするためです。
●悪質なコンサルタント:一部の悪質なコンサルタントが、管理組合から高額な手数料を取るために不正を行うことがあります。住民が積み立てたお金が無駄に使われることになります。
●値上げのトラブル:修繕積立金の値上げが必要となる場合、住民の同意を得るのが難しく、トラブルになることがあります。値上げのタイミングや金額についての透明性が求められます。
●管理会社の不手際:管理会社が適切に修繕計画を立てず、結果として費用が不足することがあります。また、管理会社が関連企業に高額な工事を発注し、住民に負担をかけるケースもあります。
●修繕積立金の滞納:修繕積立金を滞納する住民がいると、マンション全体の修繕計画に影響が出ます。まずは文書や電話で督促を行い、それでも解決しない場合は少額訴訟や競売などの法的手段を検討します。
●前所有者の滞納:前の所有者が滞納していた修繕積立金が、新しい所有者に引き継がれることがあります。契約時に滞納の事実を確認し、もし見落としていた場合は前所有者に返還請求を行います。
これらを参考に、マンションの修繕積立金に関するトラブルを未然に防ぎ、適切に対応していくことが重要です。そのために、他の住民と協力して修繕積立金の問題を解決するためには、以下のような行動が必要になってきます。
●住民会議を開催する:まず、住民全員に声をかけて会議を開きます。問題点や意見を共有する場を設けることで、共通の理解を深めることができます。
●アンケートを実施する:住民の意見を集めるためにアンケートを作成し、修繕積立金に関する不満や提案を収集します。これにより、具体的な改善点が見えてきます。
●管理組合と協議する:住民の意見をまとめた上で、管理組合に相談します。修繕積立金の見直しや、費用削減のための具体的な提案を行います。
●定期的なコミュニケーション:問題解決には時間がかかることもありますので、定期的に住民会議を開き、進捗状況を共有し合うことが大切です。
●専門家に意見を聞く:必要に応じて、建築士や不動産コンサルタントなどの専門家に相談し、修繕計画や費用の適正化についてアドバイスをもらいます。
これらのステップを踏むことで、住民全員が納得できる解決策を見つけやすくなるでしょう。やはり大切なのは、「マンションだから」「高い管理費を払っているのだから」と管理会社や理事長さん、理事・監事さんに管理と修繕を丸投げせず、普段から他の所有者や居住者とコミュニケーションをとり、管理会社とよく打ち合わせをし、早めに対応することが大切だと思います。
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公開日:2024年9月20日
REDSエージェント、宅建士の大西進です。
ペアローンに関し、今年になって特に注目されているものに、ペアローン向けの新たな仕組みの団信(以下、ペアローン団信)があります。ペアローンを利用する際には各自が団信に加入しますが、契約者の死亡時などに完済されるのは本人の債務のみのため、遺された配偶者は自分のローンを払い続ける必要がありました。
新登場のペアローン団信の場合は、上のイメージ図が示すように配偶者の債務も一緒に免除する仕組みになっているため関心が集まっています(※夫婦いずれかががんと診断された場合にも残債を免除したり、50%分を免除したりなどの特約もある)。
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この仕組みは「収入合算」の「連帯債務」で利用されていた夫婦連生団信と同様のものですが、「ペアローン」でも使えるようにした点が大きな話題を呼んでいます。
2024年6月現在、PayPay銀行がカーディフ生命・カーディフ損保と組んで提供を始めており、下の表に示すように複数の保険会社で導入されることが見込まれています。保険会社主導で導入されているため、今後は取扱い金融機関が増えていく様相です。
ペアローン団信は、確かに高額な借入時のリスクを抑えられる素晴らしい商品ではありますが、利用に当たっては上乗せ金利を必ずしっかりと確認しましょう。
たとえば、PayPay銀行の商品の例では3つのプランが用意されており、本人の死亡や高度障害状態などで配偶者の債務も含め免除するタイプでは、ローン金利に年0.2%を上乗せする形で保険料を支払うことになります。
また、がんと診断された場合(がん特約)や、1年以上の入院で就業不能が続いた場合も2人分の債務を免除するタイプでは、金利の上乗せは年0.4%です。がん特約などを付け、免除される配偶者の債務を%にするタイプでは、年0.3%の上乗せになります。
仮に、夫婦で3,000万円ずつ、年利0.4%、35年返済、元利均等返済、金利は変わらないものとして試算した上乗せ金利分の額は次の表のとおりです。
従来の一般的な団信であれば上乗せ金利なしで毎月返済額は合計約15.3万円となるところ、0.2%の金利を払い2人分の債務を免除する団信を付ければ、毎月返済額は約5,300円増え、利息総額は約222万円増えることになります。0.4%を上乗せしてがん特約を付けると、毎月返済額は約1万700円の増加となり、利息総額は約450万円アップする計算です。
従来の団信でペアローンを利用する際も、前述のように、それぞれ生命保険を上乗せする形で死亡時のリスクを抑える工夫が可能なため、民間の収入保障保険などで相見積もりを取ったり、今まで入っていた生命保険で代用できないか検討したりしましょう。たとえば、0.2%台の変動金利を借りて、夫婦連生団信の利用で倍以上の金利負担になることもあり得るため、費用対効果を見極めたうえで活用したいところです。
大都市圏では特に物件価格が高止まりのなか、金利上昇の兆しが見えたという報道が続いています。共働き夫婦がペアローンを利用して住宅を購入するには、やはり大きなリスクが伴うでしょう。
以前は、金融機関は頭金2割の用意を求めていました。その背景には、もしも返済が滞っても頭金を入れている分だけ担保割れとなるリスクを抑えられるため、任意売却などの際にも家計破綻を回避できる可能性を高められたことが理由のひとつでした。
確かに今は、競争激化のなかで頭金が少なくても購入できる時代にはなっていますが、2024年になってネット銀行を中心に、頭金が1割または2割を用意できる人には、適用金利の引下げを行う動きが加速していることは要注意です。頭金を用意できる人は割安な金利で借入額も抑えて、より有利になる一方、フルローン(頭金なし)の人は割高な金利と高額な借入額でよりリスクの大きい住宅ローンプランで借りる、という格差がジワリと広がりつつあります。
ペアローンのアドバイスをするにあたっては、単に借入額が増えるというメリットだけに注目するのではなく、2人で住宅ローンを組むことによる「死亡」「減収」「離婚」といったリスクを理解し、ライフプラン上のリスクを抑える工夫にも言及することが大切です。
特に20~30代といった若い世代では、十分な貯蓄が少なめで無理のある借入れをしがちなため、親や祖父母からの贈与による頭金づくりや、ライフプランに合わせたペアローンの組み方についても触れたアドバイスが大切な時代になっています。
2回にわたって、「ペアローン」「ペアローン団信」について、ご説明させていただきました。前回のブログもお読みいただけますと幸いでございます。
ブログはペアローンでご説明いたしましたが、住宅ローンの金利と団体信用生命保険の上乗せ金利のバランスも考えなくてはなりません。
私はお客様に「住宅をご購入されるということは、35年のローンを買うこととご理解ください」とご説明させていただいています。当初は全く同じ条件で住宅ローンをスタートしても、お支払いが完済となる時にはトータルの支払い額に大きな差が出ます。
「ペアローンや一般的な住宅ローンをより具体的に相談してみたい」とお考えの方は、ご相談いただく際に【REDSエージェント大西】をご指名くださいますと、直接ご説明させていただくことができます。お気軽にお問い合わせ、お申し込みくださいますようお願い申し上げます。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
公開日:2024年8月10日
こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
夫婦それぞれがローンを組み、互いの連帯保証人になる「ペアローン」。今回は注目される「新登場のペアローン団信」についてアドバイスできればと思います。長くなりますので前後半の2回に分けて書いていきます。
以前のブログでも触れましたが、日本銀行が2024年5月に金融政策の一部修正を行うなど正常化に動き出したことをきっかけに、長期金利が上昇傾向にあります。また近年、マンションをはじめ住宅価格が高騰しており、それに合わせて住宅を購入する際に、住宅ローンの借入額も増加しています。
以前は、物件価格に対し2割程度の頭金が求められ、住宅ローンとして借りられる額は物件価格の8割までが主流でした。そのため、20~30代前半での住宅購入は、比較的難しかった時代があります。しかし、近年は低金利が続くなか、金融機関の競争激化で、頭金が少額またはゼロでも住宅ローンを組めるケースが増えています。
そのため、住宅ローンの利用状況では、借入額を増やすため、夫婦で借り入れるペアローンを利用する割合も多くなってきています。新たなペアローン向けの団体信用生命保険が登場していますので、ペアローンを利用する際にはぜひ知っておきましょう。
ペアローンを利用するにあたっては、夫婦ともに年収300万円以上など、各金融機関ごとに所定の年収を求められるのが一般的です。
ペアローンでは住宅ローンを2本組むことになるため、印紙税、融資手数料、保証料、登記費用などの諸費用が2本分かかる点に留意が必要です。
ペアローンを組む際のメリットのひとつとして、単純に借入額を夫婦で分担するのではなく、「夫は35年返済の固定金利型、妻は15年返済の変動金利型」というように、ライフプランに合わせた返済期間・金利タイプで組むことができる点が挙げられます。
たとえば、子どもの教育費に強く不安を感じている夫婦の場合、妻の分は子どもの大学進学前に完済できるような返済期間にしておくことで、子どもの大学進学時期にはこれまで妻のローン返済に充てていた額も教育費に回すことができるため、不安解消につながります。
また、歳の差がある夫婦で、年上のほうの住宅ローンは団体信用生命保険の恩恵を受けてできるだけ長く組んだままにしておきたいものの、退職後の住宅ローン返済は家計的には軽くしたいといった希望がある夫婦の場合では、退職までに一方の住宅ローンを終わらせる借り方にすることで、年金生活におけるローン返済の負担感を軽くすることが可能です。
夫婦の借入額の配分や金利タイプの選択にあたっては、個々のケースの状況や考え方によって異なりますが、いま挙げた2つの例では、早めに完済する方の住宅ローンは、返済期間が短めで金利上昇時のリスクも少なくなることから、変動金利型や期間が短めの固定金利選択型などが広く用いられています。
夫婦でペアローンを組むことを希望されているお客様には、特に「死亡」と「減収」、そして「離婚」の3つに留意することが必要であることを、あえてお伝えさせていただいています。
夫婦で住宅ローンを組むときは特に、配偶者の死亡に備えて生命保険に入っておくことが重要です。「団信に入っているから大丈夫なのでは」と思われるかもしれませんが、「ペアローン」の例でいえば、どちらかが死亡したとき、死亡した人の住宅ローン残債は団信で完済されるものの、遺された配偶者分はそのまま残ります。
子どもがいるご家庭の場合は特に、子育てで残業も思うようにできないなかで、仕事と家事、育児をひとりでこなすことはなかなか難しいものです。手が回らずベビーシッター代や総菜代などもかさむ一方で、住宅ローン返済も生活費も教育費もすべて担う生活は想像以上に大変です。お互いにもしものことがあったときには住宅ローンを完済してしまえるように、生命保険をかけて備えておきましょう。
「収入合算」の「連帯保証」で借りた場合も、主債務者の死亡時は団信で住宅ローンが完済されますが、連帯保証人である配偶者の死亡時には住宅ローン返済はそのまま続きます。
もともと主債務者単独では借りられないほど高額な住宅ローンを夫婦2人分の年収を合算することで借りたというケースでは、連帯保証人である配偶者の死亡後も夫婦2人分の収入を前提とした返済額を返し続けることはまず無理です。
返済が滞れば、競売にかけられるなどして家を失い、返し切らない借金も残り、自己破産する人もいます。住宅ローンを借りる際には、連帯保証人である配偶者に、生命保険をしっかりとかけておくことが重要です。
同様に、「収入合算」の「連帯債務」で借りる場合も、住宅金融支援機構のフラット35で「デュエット」を利用するといいでしょう。一部の金融機関で夫婦連生団信を利用しない場合は、連帯債務者である配偶者について生命保険で備えておくと安心です。
住宅ローンを組むときは、病気やケガで収入が減ったり、途絶えたりする事態に備えておかないといけません。「団信があるから大丈夫なのでは」と思われる方もいるかもしれませんが、一般の団信は“死亡”と“高度障害”のときに住宅ローン残債が完済される仕組みのため、病気やケガによる収入減には対応していません。
所定の病気になったときに、一定期間の住宅ローン返済を肩代わりしたり、残債を返済したりする「疾病保障付き団信」や、がんと診断されたときに住宅ローンの全額や半額を保険金で返済する「がん団信」などの利用も一策です。
親の介護や子育て、健康などの理由で、いずれは仕事をやめる可能性を感じている人は、ペアローンや収入合算で住宅ローンを組むのは避けたほうが無難です。たくさん借りられるからと夫婦で住宅ローンを組むのではなく、できることなら単独の借り入れでも手が届くような、身の丈に合った物件選びを心掛けたいところです。
夫婦で住宅ローンを組むうえでの最大のリスクは、実は「離婚」かもしれません。ペアローンを組むと、お互いに連帯保証人または連帯債務者になっているため、夫婦としての縁は切れてもローンが残っている限りお金の縁は切れないからです。
家を処分しようにも、ローンの残債よりも高く売れなければ売却は困難で、やむなく、どちらかが住み続けて、それぞれに返済を続けるという選択をする夫婦が多いようです。たとえば、連帯保証の例では、別れた配偶者が返済を滞納すると連帯保証人に返済負担がのしかかり、潤沢な収入がない連帯保証人は、返済できず自己破産するしかないケースもあります。
離婚時に連帯保証人の変更をしようとしても、実質的に困難なため、多くは離婚後も完済まで不安を抱えながら返済を続けることになります。夫婦でペアローンを組むなら、完済までは絶対離婚しないという強い覚悟が必要です。
次回の≪後編≫は、注目される「新登場のペアローン団信」について、再確認していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
公開日:2024年7月29日
こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、住宅のご購入にあたり、皆さんが加入される火災保険の特約として加入する地震保険の損害認定について書きたいと思います。
地震保険の調査や損害認定の基準についてのポイントは以下の3点です。
2024年初めの能登半島地震では、支払い件数6万7000件超、610億円超の地震保険金が支払われています。2011年3月の東日本大震災を筆頭に、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災に次ぐ歴代第7位となる巨額の支払額であり、被害の深刻さを改めて感じずにはいられません(2024年3月8日現在)。
DX化が進む火災保険では、損害状況の写真をスマートフォンでアップロード、立会調査なしに即日で保険金が請求できるようにもなっています。
他方で地震保険では、原則として被害物件全件について鑑定人の立会調査が行われます。同時に今回は、保険金の支払いの迅速性をより高める損保会社各社による「共同調査」も実施されました。地震保険の損害認定について、以下で確認しましょう。
ひとたび地震災害が起きると、広域にわたり数多の世帯が被害を受けることが少なくありません。地震保険制度では、被災者がいち早く生活再建に取り組めるように、迅速な保険金支払いが求められます。
そこで地震保険の全件立会調査では、火災保険と異なり軸組や柱、壁などの主要構造部の損害に着目し、受けた損害の大きさに応じて「全損・大半損・小半損・一部損」の4つの区分でざっくりとした保険金が支払われる仕組みが導入されています。
たとえば、揺れにより住宅が損壊して「主要構造部の損害が50%以上となった」あるいは「火災で建物の延べ床面積の70%以上が焼失したとき」は「全損」と認定され、地震保険金額と同額となる満額の保険金が支払われます(表1参照)。
木造住宅や一定の鉄骨造住宅などの津波および液状化の損害には別途、認定基準が設けられています。津波損害は浸水深(表2参照)、液状化は傾斜および沈下量(表3参照)で損害が認定されます。
これらは地震保険独自の認定基準で、自治体が罹災証明書(り災証明書)交付のために住宅を調査するときの基準とは、着目点が異なります。罹災証明書(り災証明書)で全壊と認定された住宅が、地震保険で必ずしも全損と認定されないのは、こうした理由からです。
保険金支払いの迅速性が確保されているとはいえ、広域にわたり甚大な被害が生じたときに全件立会調査を実施すれば、保険金の支払いにかなりの時間を要すると考えられます。そこで2011年の東日本大震災の際に初めて導入された「共同調査」による損害認定が今回再び実施されました。
共同調査では、損保会社の派遣要員で構成された共同調査団が、航空写真や衛星写真を用いて被災地域の状況を確認します。そのうえで、火災で焼失、または津波で流失が認められる地域については、個別ではなく地域単位で損害を認定します。
認定には2つの方式があります。ひとつめが「全損地域」です。建物がすべて焼失または流出している街区内の建物と家財は、立会調査不要ですべて全損とします。
もうひとつが「一部全損地域」です。一部の建物を残し、建物が流失または焼失した街区内にあり、自治体発行の罹災証明書(り災証明書)で全壊とされる建物は、立会調査不要で建物・家財とも全損とします。航空写真で建物全壊が確認できれば、罹災証明書(り災証明書)も不要です。
今回、石川県珠洲市・輪島市の一部地域が全損地域、石川県珠洲市・羽咋郡・鳳珠郡および輪島市の一部地域が一部全損地域に認定されました。また、深刻な建物倒壊被害が発生している珠洲市・輪島市・穴水町・能登町の立ち入りが困難な一部地域では、今回初めて地域単位ではなく一軒単位で倒壊建物の損害を認定する共同調査も行われており、この手法で「全損建物」「全損の可能性が高い建物」が認定されました。
最後に触れておきたいのが、保険金の認定に関してときおり耳にする「時価」という用語についての誤解です。地震保険約款には「保険金は時価が限度」などの記載がありますが、これを「古い建物ほど保険金があまり受け取れないのでは」と考える方が少なくないようです。
一般に「時価」とは、老朽化を加味した現状相当の金額を指します。時間経過に応じた価値減少を反映した価額であり、不動産取引上の住宅価格は数十年で価値がなくなるともいわれます。
これに対して、火災保険および地震保険上の「時価」の意味は異なります。火災保険は通常、住宅を再建できる水準の「再調達価額」で契約します。古くても居住実態があり、適切な管理状態の住宅であれば、通常は同水準の新築住宅価格の50%が火災保険上の「時価」の下限となります。
たとえば、現時点で新築価格3,000万円の住宅と同じ部材、同規模・同水準の中古住宅の火災保険上の「時価」は最低でも1,500万円となります。地震保険金額の上限は火災保険金額の50%なので、火災保険金額3,000万円の住宅には1,500万円まで設定できます。
つまり、古い建物でも時価100%となる1,500万円まで地震保険に加入でき、全損の場合には結果として「時価を上限」に保険金が支払われるので、契約した地震保険金額ベースで保険金が支払われると考えて差し支えありません。
もちろん、何よりも大切なのは「保険加入すること」ではなく「命を守ること」です。あくまで保険は「災害後」の経済的リスクを補うものにすぎません。しかしながら、地震保険は被災者が生活を立て直していくうえで大いに役立ちます。その意味で、常に地震のリスクにさらされている日本で暮らす私たちにとって、地震保険の必要性は非常に高いといえるのではないでしょうか。
以前のブログにも書きましたが、地震はいつ、どこで、どんなタイミングで起こるかわかりません。いざというときの一瞬の行動が生死を分けます。あらかじめ、家や外出時、職場などシーン別での避難方法を知っておくことで緊急時でも心に余裕をもって避難できます。このページをご覧いただき、ご自身がどれだけ避難場所や避難方法を理解しているか確認していただけましたら幸いです。
公開日:2024年7月2日
こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
≪後編≫は住宅ローン控除など、一番身近な税制について再確認していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
住宅ローン減税の借入限度額と控除期間についてのポイントは3点です。
1.令和6(2024)年に入居の場合、子育て世帯と若者夫婦世帯の場合の借入限度額が2022年、2023年の水準に維持されました。
2.「その他住宅」は、住宅ローン減税が2024年以降の入居の場合は、適用されなくなりました。ただし、2023年までに新築の建築確認をされた住宅を取得した場合、借入限度額は2,000万円。
3.所得要件が1,000万円以下の場合、取得する住宅の床面積の緩和(50㎡→40㎡)の取り扱いが、2024年12月31日まで延長されました。
※(参考)「令和6年度国土交通省税制改正概要」Q&Aより(抜粋)
子育て世帯・若者夫婦世帯とは、具体的にどのような世帯を指すのでしょうか。
→①年齢19歳未満の扶養親族を有する者②年齢40歳未満であって配偶者を有する者、又は年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者が住宅ローン減税の適用を受ける場合が対象となります。なお、上記の年齢については、入居年の12月31日時点における年齢とすることを想定していますが、関係税制法の成立後、国土交通省HPにおいてご案内をさせていただきます。
令和5(2023)年度の税制改正大綱において、相続時精算課税選択者が2024年1月1日以後に、相続時精算課税制度を選択した父母から贈与を受けた場合は、一般の贈与の基礎控除とは別に年間110万円の基礎控除を受けられることになりました。
また一般贈与は、相続人に対する3年以内(2030年までに段階的に7年に延長)の贈与の相続財産に加算されるという持ち戻し規定が変更されることになりました。
相続時精算課税制度は、一度選択すると、その選択した父母などからの贈与については、一般贈与(暦年贈与)に戻ることはできず、その選択した父母などが死亡するまで、その贈与者からの贈与は相続時精算課税制度による贈与ということになります。
相続時精算課税制度は、2,500万円まで非課税で贈与できますが、これはあくまでも相続財産の前渡しにすぎないので、その贈与者が死亡したときには、すべて相続財産に加算されることとなっています。
また、一度、相続時精算課税制度を選択すると、年間110万円以下の少額の贈与でも毎年、申告をする必要があり、累積で2,500万円を超えた年以降は、少額の贈与であっても20%の税率による仮払い贈与税を支払う必要があります。
このように相続時精算課税制度は、一般贈与とは違い、贈与額のすべてが相続財産に加算されるなど一般贈与の10分の1以下の利用となっているようです。
ところが令和5(2023)年の税制改正において、相続時精算課税制度を推進する観点から、相続時精算課税の選択者が2024年1月1日以後に、相続時精算課税制度を選択した父母から贈与を受けた場合は、一般贈与の基礎控除とは別に年間110万円の基礎控除を受けられることになりました。
たとえば、父親からの贈与は相続時精算課税制度を選択し、母親からの贈与は一般贈与であった場合は、母親からの贈与に対する一般贈与の基礎控除110万円と別に、父親からの相続時精算課税制度による贈与に対しても110万円の基礎控除が受けられることになりました。また、一般贈与について、相続人に対する一定期間内(2030年までに段階的に3年から7年に延長。以下同じ)の贈与は相続財産に加算されるという持ち戻し規定があります。
そのため、母親からの贈与は3年間から最長7年間の持ち戻し期間が過ぎるまでの分は相続財産に加算されるのに対して、父親からの相続時精算課税制度による贈与は110万円の基礎控除によって110万円までの相続時精算課税贈与は申告しないでよいだけでなく、父親の死亡時にも持ち戻し不要となりました。
ただし、これはあくまでも相続時精算課税制度の中での基礎控除であるため、例えば相続時精算課税制度を選択していた父からその後に受けた贈与110万円以下の年については父親の相続時には加算されませんが、300万円贈与を受けた年であれば、110万円を控除した190万円が加算されることになります。このため、2024年からは、大資産家を除き、相続人のある子に対しては一般贈与よりも相続時精算課税制度を選択したほうが有利になるケースがあると考えられます。
相続時精算課税により贈与した財産は、あくまで贈与したときの評価額で相続財産に加算されることになっています。このため、例えば贈与を受けた建物が相続開始までに災害などにより滅失してしまったとしても、贈与時の評価額で相続財産に加算する必要がありました。
しかし、2024年1月1日以降に起きた災害によって、土地や建物が一定の被害を受けた場合は、贈与の評価額から災害による被害額を控除した額で再評価することが認められることになったことも確認しておきたいポイントです。
2回にわたって「令和6年度税制改正で確認しておきたい住宅関連分野のポイント」を書きましたが、いかがだったでしょうか?
税の優遇だけを考えても、いい住宅を購入できるわけではありません。そのタイミングがとても大切なので、税の優遇も受けつつ、いい物件を購入するためには、やはりまめな物件チェックが必要となりそうです。
ご購入・ご売却の際には、不明点がございましたら、株式会社不動産流通システム、REDSエージェント大西 進(おおにし すすむ)まで、何なりとご質問ご相談くださいませ。
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公開日:2024年5月24日
こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
令和6年度税制改正では、デフレ脱却(毎年同じことを言っているような気もしますが)に向けた税制面での取り組みに加えて、人口減少、経済のグローバル化など、国内外の経済社会の構造変化を踏まえた施策が図られています。
住宅関連分野では、令和6(2024)年末までの措置として、子育て世帯に対して住宅ローンの借入限度額を認定住宅は5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円とするとともに、固定資産税などにおける適用期限を延長・拡充することが含まれています。また、相続時精算課税制度において、110万円の基礎控除が適用されています。
今年も半分が過ぎようとしていますが、改めて住宅または住宅取得に関するもので、確認しておきたいポイントをまとめてみました。
住宅ローン減税が受けられる借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯が2024年に入居する場合に一定の上乗せ措置を講ずることで、2022年、2023年入居の場合の水準(認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)が維持されます。
また、コンパクトマンションも住宅ローンの減税の対象とするため、新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る)について、建築確認の期限が延長されます(2024年12月31日まで)。
〇贈与を受ける年の適用期限を3年間延長(2026年12月31日まで)
〇非課税限度額が1,000万円に上乗せされる「良質な住宅」の要件について、新築住宅の省エネ性能要件がZEH水準に(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上)
※2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅または2024年6月30日までに建築された住宅については、現行要件(断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上)が維持されます。
〇認定住宅等を新築した場合の所得税額の特別控除
※認定住宅等を新築した場合に、標準的な費用の10%(最大65万円)を所得税から控除される期限が延長されます(2025年12月31日まで)。※所得制限あり
〇新築住宅の固定資産税減額措置(2026年3月31日まで)
※住宅を新築した場合、税額を3年間(マンションの場合は5年間)2分の1に減額の取扱いが2年延長されます。
リフォーム促進税制の適用期限が2年間延長されます。
一定のリフォーム(耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修・三世代同居リフォーム・長期優良住宅化リフォームまたは子育て対応リフォーム※1※2)を行った場合、所得税額から最大80万円を税額から控除されます。
※1 一定の所得制限あり。
※2 子育て世帯・若者夫婦世帯の場合の一定のリフォームを行う場合、所得控除の適用あり(2024年12月31日まで)。
※3 カッコ内の金額は、太陽光発電設備を設置する場合。
耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修または長期優良住宅化リフォームを行った場合、翌年度の固定資産税額が2026年3月31日まで最大3分の2減額されます。
※耐震改修:1/2、バリアフリー、省エネ改修:1/3、長期優良住宅化リフォーム:2/3
住宅の買い換えに伴い譲渡所得が生じた場合の課税繰り延べ措置および、住宅の買い換え・譲渡に伴い譲渡損失が生じた場合の所得金額の計算上最大4年間にわたる繰越控除の適用期限が延長されます(2025年12月31日まで)。
〇住宅用家屋に係る所有権の保存登記等に係る特例措置が3年間延長されます(2027年3月31日まで)。
(参考)住宅用家屋に係る登録免許税率の特例措置:
①所有権の保存登記:本則0.4%→0.15%
②所有権の移転登記:本則2.0%→0.3%
〇買い取り再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置が3年間延長されます(2027年3月31日まで)。
(参考)買取再販事業者により一定のリフォームが行われた既存住宅を取得する場合、
家屋の所有権移転登記の税率を軽減する特例措置:一般住宅0.3%→0.1%
〇認定長期優良住宅・低炭素住宅に係る特例措置が延長されます。
※一般住宅に係る特例措置 (認定低炭素住宅は登録免許税のみ)
・登録免許税:(所有権保存登記:一般住宅0.15%→0.1%等)3年間(2027年3月31日まで)延長。
・不動産取得税:課税標準から1,300万円控除(一般住宅特例1,200万円)2年間(2026年3月31日まで)延長。
・固定資産税:新築住宅特例(1/2減額)の適用期間も延長(戸建て5年・マンション7年、2年間(2026年3月31日 まで)延長。
〇住宅の取得に係る不動産取得税の税率の特例措置が延長されます(2027年3月31日まで)。
(参考)住宅の取得に係る不動産取得税の税率について軽減の特例措置:本則4%→3%
次回の≪後編≫は住宅ローン控除など、一番身近な税制について再確認していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
公開日:2024年4月16日
こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、「令和6年能登半島地震」に学ぶ建物に関する注意点について解説します。
2024年1月1日16時10分に発生した能登半島を震源とした地震から4カ月が過ぎました。石川県によると、死者は輪島市106人、珠洲市103人、穴水町20人、能登町8人、七尾市5人、志賀町2人、羽咋市1人の計245人で、うち災害関連死は15人。住宅被害は7万6125棟にのぼります。
一方、台湾の東部沖で4月3日に起きた地震では、これまでに13人の死亡が確認され、6人と連絡が取れなくなっています。お亡くなりになった皆さまのご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方やそのご家族の方にお悔やみを申し上げます。
過去の経験から、地震による被害の多くは、建物の倒壊そのものや倒壊した建物によるものです。今回の地震では、住宅用建物の3分の2が倒壊し、その多くは老朽化した木造の建物でした。
この地震から、以下の2つの点に注意すべきことがわかりました。
伝統的な木造建築や土壁、瓦屋根は、鉄筋コンクリート造りなどに比べて倒壊しやすい傾向があります。
商業や工業用建物の多くは鉄骨造りで高い耐震性を持っているため、被害は比較的少なかったといえます。一方、住宅用建物の多くは木造で、耐震性が低いため、多くが倒壊するという結果となりました。石川県の住宅の3分の1は、1981(昭和56)年以前に建てられた建築物で老朽化したものが多く、これが被害拡大の一因となりました。
日本経済新聞の調査によると、能登半島北部では、1970(昭和45)年以前に建てられた木造建築の割合が、全国平均の7%に対し、珠洲市で40.6%、輪島市で34.6%、能登町で32%と、非常に高いことがわかりました。
地震によって、地盤の孔隙水圧(こうげきすいあつ:土や岩石に含まれている隙間にある流体の圧力)が上昇し、土が液体状になる現象を地盤液化といいます。
地震発生時に、SNSなどで地面が隆起したり、道路が割れたり、水が噴き出したりする映像が拡散されたのをご覧になった方もいるでしょう。これは地盤液化によって、地面が沈下したり、地盤が弱くなったりしたために起こったと考えられています。
東日本大震災では、震源から遠く離れた東京都内や千葉県内でも、地盤液化が発生し、多くの建物が倒壊しました。能登半島地震では新潟県内でも地盤液化が発生し、900棟以上の建物が倒壊しました。
NHKが1月9日に地震による地盤液化のリスクを予測する調査を行いました。首都直下地震で液状化リスクが起こりやすいのは以下の場所だということです。
東京都建設局の「東京都の液状化予測図」ウェブサイトも参考にすることができます。土壌液化リスクが高い地域がすべて危険な場所であるとは限りません。
専門家によりますと「リスクの高い場合、100パーセントの安全性は達成できませんが、より強固な鉄柱を深く地面に打ち込んだり耐震技術を利用したりなどの対策を講じることで、倒壊後も修復が容易になり、被害の深刻さを軽減することができます」と指摘しています。
軟弱な地盤だからといって、建物を建てることができないわけではありません。土壌の特性や地質状況を考慮して、より強固な改良工事が行われているかどうかにかかっています。
地震による建物の倒壊は、防災において重要なリスクです。建物の建造や購入に際しては、建築構造や築年数に注意することをおすすめします。鉄筋コンクリート造りなどの耐震性に優れた構造の建物を選ぶことで、地震による被害を軽減することができます。
また、土壌液化リスクが高い地域で建物を取得した場合でも、過度に心配する必要はありません。不動産仲介業者や建て主に、建物の耐震性や地震保険の加入などを確認しておくことで、万が一の際には保険金の支払いを受けることができ、被害を最小限に抑えることができます。
もちろん、何よりも大切なのは「命を守ること」です。地震はいつ、どこで、どんな時に起こるかわかりません。いざというときの一瞬の行動が生死に関わります。あらかじめ、家や外出時、職場などシーン別での避難方法を知っておくことで緊急時でも心に余裕をもって避難できます。このページをご覧いただき、ご自身がどれだけ避難場所や避難方法を理解しているか確認していただけましたら幸いです。
参考:地震発生時の行動から生活再建までのポイント|東京都防災ホームページ
公開日:2024年3月9日
こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログをご覧いただいた方で「原野商法」とは何かご存知の方はいらっしゃいますか? 値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野を、「将来、開発計画があるので高く転売できる」「リゾート・別荘地の誘致が進んでいるので価値が上がる」などと騙して売りつける悪徳商法のことです。1960年代から1980年代が全盛期であり、新聞の折り込み広告や雑誌の広告などを使った勧誘が盛んに行われていました。
結局は、道路の整備がされることがなければ、電気・上下水道の生活インフラも整備されることもなく、そして建築を目的で購入したにもかかわらず建築許可も取得できず、タダでも売れないような土地だけが残り、お荷物財産になっています。そのような処分に困っているような購入者を、もう一度ターゲットとした「原野商法」の二次被害トラブルの話題は、ドラマ『正直不動産』でもしっかり描かれていました。
今回はこの「原野商法」について徹底解説します。
近年、この「原野商法」によって取得した土地をめぐる二次被害トラブルの相談件数が急増、被害額が高額化しています。特に「売却勧誘下取り型」という巧妙で複雑な手口が目立っています。
この手口では、まず不動産業者を名乗り、電話や訪問して「あなたの土地を高く買い取ります」などといった電話勧誘が行われます(売却勧誘)。その後、業者は契約内容の詳細を説明せずに「節税対策」などといった名目でお金を請求してきます。しかし、この説明は適切ではなく、実際は土地の売却と同時により高い金額で新たに別の土地をさせる手法です(下取り)。
また、原野商法で買ってしまった土地を子供が相続してしまったら、子供に負担を押しつけてしまうことになると考える人も多いでしょう。「自分が元気なうちに清算したい」との気持ちにつけこんで、業者は勧誘を行っていることも考えられます。
最近、どのような原野商法トラブルが起きているのか、実際の例をご紹介します。
宅地建物取引業の免許を持つ見知らぬ業者から電話があり、相続した雑木林の売却話を持ちかけられた。この雑木林は両親が昔400万円で購入した土地。最初は断っていたが、「オリンピックまでにその土地一帯に複合レジャー施設を造る予定」「約5,000万円で買い取る」と何度も電話で勧誘され、根負けし喫茶店で話を聞いた。
その際、「他の土地を購入すれば節税になる」「購入費用は税金対策処理後に返す」などと勧められた。よく分からなかったが、買い手のつかない雑木林が売れるならなどと思い、約400万円を支払って契約書にサインした。その後、期日になってもお金は支払われず、業者は電話に出ない。改めて売買契約書を確認したところ、雑木林を約1,200万円で売り、原野を約1,600万円で購入する契約になっていた。(60歳代・女性)
40年前に30坪と100坪の山林を購入し所有している。先日、「30坪の方の土地を欲しがっている人がいる」と不動産業者から電話があり、了解した。その後、不動産業者から、売るに当たり調査や整地が必要と言われ、請求されるままに合計190万円を支払った。
30坪の土地の売却代金が入ると思っていたが、今度は「同じ人が100坪の土地も欲しがっているので調査費を80万円払ってほしい」と言われた。「先に30坪の土地を売ってからにしたい」と伝えたが、「まとめて売れば3カ月以内にお金が入る」と言われた。子供に相談したところ、原野商法の二次被害に手口が似ていると言う。(60歳代・男性)
覚えのない管理業者から、約25年前に購入した別荘地について「管理費を滞納しているので支払え」との通知が届いた。その後、その管理業者から電話があり、「購入した別荘地の管理を担当している。管理費用が20年前から滞納となっている」として、管理費約70万円と滞納金約50万円の合計約120万円を請求された。しかし、購入当初の管理サービスについてはすでに解約しているし、業者名も違う。あやしいので支払いたくない。(50歳代・男性)
(参考:国民生活センター「より深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル-原野や山林などの買い取り話には耳を貸さない!契約しない!-」)
「原野商法の二次被害」トラブルでは、契約後は業者と連絡がつかなくなることがほとんどであり、一度お金を支払ってしまうと、取り戻すことは非常に困難です。以前購入した原野の買い取り話を不用意に聞いてしまうと、さらなるトラブルに遭ってしまう恐れがありますので、「土地を買い取る」といった勧誘には、耳を貸さずきっぱりと断りましょう。
そもそも、購入した「原野」はこれまで値上がりもせず、開発することもできなかった土地です。「値上がりする」「買いたい人がいる」といったうまい話ほど、まずは疑ってかかりましょう。業者の説明に少しでも不審な点があったり、不安を感じることがあったりした場合は、決してすぐにお金を支払わず、お近くの消費生活センターなどに相談しましょう。
昔買ってしまった原野を処分したいと思っても、その場で話を聞いたり判断したりせず、家族など周囲の人に相談することが大事です。
また、70歳代、80歳代と特に高齢者が被害に遭いやすくなっています。ご本人が用心するだけでなく、ご家族や地域の方々が高齢者の方を見守ることが重要です。口数が減る、買い物をあまりしなくなる、借金を申し込んでくるなど、高齢者の生活に変化がないか気を配りましょう。不審な勧誘を受けている、お金を支払ってしまったなど、困っているときは、消費生活センターなどへ相談するよう勧めましょう。
不動産業者を名乗り、電話や訪問で「あなたの土地を高く買い取ります」といった勧誘には警戒しましょう。契約書をよく読み、売却する土地と購入する土地の差額分を支払う契約になっていないか確認しましょう。疑問や不安があれば、専門家に相談することをお勧めします。