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大西 進(宅建士・リフォームスタイリスト)

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公開日:2023年11月11日

こんにちは、REDS不動産流通システムエージェント、宅建士の大西(おおにし)進(すすむ)です。私のブログをご覧いただきありがとうございます。少し時間がたちましたが、2020年4月1日に施行された改正民法によりこれまでの不動産の「瑕疵担保責任」という言葉は、契約不適合責任に置き換えられました。しかしながら、不動産取引をしている中で、売買仲介の相手方「業者」には「見えないキズに対して、売主側が責を負う保証」という意味で「瑕疵担保」というの言葉を当たり前のように話す「残念な業者」が多くみられます。

もしかすると、物件のご案内中やご購入を申し込む際に誤った説明を行い、その後お客様は重要事項説明を聞き、売買契約書に「瑕疵担保責任=契約不適合責任」と勘違いしたまま、署名押印をしているお客様もいらっしゃるのでは、とすら思います。

今回はこれまでの「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に置き換えられて何がどう変わったのかについて解説します。

不動産の契約

瑕疵担保責任と契約不適合責任とは

瑕疵担保責任と契約不適合責任についてそれぞれ解説します。

■瑕疵担保責任
売買や請負などの契約に基づき引き渡された目的物に欠陥があった場合に、売主や施工業者が負う法的責任でした。欠陥が「隠れた」ものであること、すなわち契約締結時点において、買主や施主が欠陥の存在について善意無過失であったことを要求していました。

■契約不適合責任
目的物の種類・品質・数量が契約の内容と適合していない場合に、売主や施工業者が負う法的責任です。欠陥が隠れていても、隠れていなくても「契約内容に適合しているかどうか」という点が重要になります。

具体的に瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いは、以下のような点が挙げられます。

・契約不適合責任では、契約責任説を明示的に採用し、目的物が特定物・不特定物のいずれである場合にも適用されます。瑕疵担保責任では、法定責任説が一応の通説とされ、目的物が特定物である場合にのみ適用されていました。

・契約不適合責任では、買主や施主が利用できる救済手段が増えました。瑕疵担保責任では、損害賠償請求と契約の解除のみが可能でしたが、契約不適合責任ではこれに加えて履行の追完請求と代金減額請求が認められています。

・契約不適合責任では、「隠れた瑕疵」の要件が撤廃されました。契約不適合責任が発生するかどうかは、専ら目的物が契約内容に適合しているかどうかによって判断されますので、買主や施主の善意無過失は要件となりません。

では、契約不適合責任と瑕疵担保責任のどちらが有利なのか、という問いについては一概に答えることはできません。売主と買主の立場や契約の内容によって、有利不利は異なるからです。しかし、一般的に、以下のような点が考えられます。

・契約不適合責任では、買主が行使できる権利が増えました。瑕疵担保責任では、損害賠償請求と契約の解除のみが可能でしたが、契約不適合責任では、これに加えて履行の追完請求と代金減額請求が認められています。これは、買主にとっては有利な変更といえます。

・契約不適合責任では、損害賠償の範囲が広くなりました。瑕疵担保責任では、損害賠償の範囲は信頼利益に限られていましたが、契約不適合責任では、履行利益も含まれます。これも、買主にとっては有利な変更といえます。

・契約不適合責任では、責任追及できる期間が延長されました。瑕疵担保責任では、瑕疵があることを知った時から1年以内に損害賠償や解除をしなければなりませんでしたが、契約不適合責任では、不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知すれば責任を追及できます。これも、買主にとっては有利な変更といえます。

まとめ

以上のように、契約不適合責任は、瑕疵担保責任に比べて、買主の「救済手段を強化する」内容となっているといっていいでしょう。したがって、売主は契約不適合責任を免除する特約を結ぶことでリスクを回避しようとするかもしれませんが、その場合は無効になる可能性があります。

また、売主もしくは買主のいずれかが宅建業者なのかによっても異なりますので、売主も買主も、契約内容とその条項や約款の意味をよく理解しておく必要があります。

当社では、ご契約いただく際にはその条項や約款もご理解いただくことに努めており、説明が漏れることはありません。また、新築住宅以外の中古戸建て、中古マンション、土地については、売主様にご協力いただき現状を説明した「物件状況報告書」「付帯設備表」といった書類も作成し添付することにより、後々の「契約不適合責任」のトラブルにならないようにしております。

ご購入・ご売却の際には、不明点がございましたら、株式会社不動産流通システム、REDSエージェント 大西 進(おおにし すすむ)まで、何なりとご質問ご相談くださいませ。

 

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