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公開日:2024年10月28日  大西 進

ペット飼育禁止のマンションを飼育可能に変更する方法

こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにし すすむ)です。私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。

ここ数年、マンション購入をご検討になるお客様で、ペットが飼育できる物件をお探しの方がとても増えています。以前は、「マンションはお家でペットが飼えないから戸建てにする」といったことからマンションをあきらめるケースがほとんどでした。

たしかに、以前はペットが飼育できるマンションのほうが少なかったのですが、10年以上前ごろから新築マンションでも「ペット飼育可」が標準的になっています。今後は少子高齢化・核家族化が進むなか、ペットは「家族の一員」としてますます飼育ニーズが高まっていくと予想されています。

今回は分譲マンションでペット飼育不可のマンションを「ペットを飼育可能にするための細則づくり」についてご紹介します。

ペット

(写真はイメージです)

ペットを飼育禁止から飼育可能にするためには

そもそもペットの飼育が禁止されている分譲マンションで途中から飼育可能にすることなどできるのでしょうか?

結論から言うと、総会決議により変更することは可能です。

ペット飼育が禁止されているマンションでは管理規約を変更することになります。近年は、分譲当時はペット飼育不可だったマンションがペット飼育可に変更されている物件も増えてきましたので、決して不可能なことではありません。

ちなみに国土交通省が発行しているマンション標準管理規約の第18条関係コメントによると、「犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続き等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。」と記載されています。

つまり、飼育の可否を管理規約で定めて、詳細なルールは飼育細則で定めることになります。

一方で、分譲当初からペット飼育不可であった場合、その環境を気に入ってマンションを購入された方もいますし、アレルギーをお持ちの方もいます。飼育ありきではなく、ペット飼育可にすることも選択肢のひとつとして、全体のバランスを見ながら反対者の意見も尊重して検討することが必要です。

まずは飼育細則をつくりましょう

さっそくペット飼育細則の作成に取りかかりましょう。

ポイントは「ペットを飼育しない方のための細則であり、飼育しない方の住環境を守るための細則」であるということです。もともと飼育が禁止されていたマンションとして購入している所有者ばかりなので、最大限配慮して進めていかなければなりません。

では、最低限定めておくべき項目を5つに分けてご紹介します。

飼育細則に定めること①:数の制限 

いくらペット飼育可能といっても、その種類や数には制限を設けておかないと大変なことになります。極端な例ですが、過去には猛毒を持った爬虫類を飼ったり犬を10匹以上も飼ったりした方がいました。

<種類や数の例1>

  1. 飼育できる動物の頭羽数は、一の専有部分につき2頭羽を限度とする
  2. 観賞用の小鳥、観賞用魚類及び小動物の飼育については別途定める
  3. 犬及び猫(体長(胸骨から尾骨まで)の場合、50センチ以内、体重がおおよそ10キロ以内のもの※介護犬、盲導犬を除く
  4. 小動物は、うさぎ、リス、ハムスター等とする

<種類や数の例2>

  1. 水槽で飼育する観賞魚
  2. 鳥かごで飼育する鳥類(3羽まで)
  3. ケージ・水槽で飼育する愛玩用小動物(体長20cm以下2匹まで) 
  4. 体高と体重の積の値が250以下の猫
  5. 小型犬・中型犬(抱きかかえ可能なもの、もしくはケージ、キャリーバッグ等に入れて運搬できること。犬種の基準は飼育細則別表参照)

4と5は合わせて2匹まで、中型犬の場合は1匹までです。飼育する際は所定の手続きおよび制限があります。

<種類や数の例3>

  • ペットの飼育を希望する者は、管理組合に対して所定用紙により事前申請を行い、管理組合はその申請に対して、認否の決定をするものとする。

飼育可能な動物は、成長時の体長が概ね50㎝以内の犬又は猫であわせて2匹まで、などといった制限があります。

<種類や数の例4>

  1. 他の組合員等に迷惑または危害をおよぼす恐れのある動物を飼育することは禁止されています。(ただし、居室のみで飼育できる小動物は除く)。
  2. 犬・猫の飼育はできません。

その他、飼育禁止動物を別表として定めるケースもあります(危険動物・猛獣及び猛禽類・毒を持つ動物を特定しておく)。

飼育細則に定めること②:届出や登録のルールを定める

せっかく飼育できる動物の種類や数を定めても、管理組合としてその内容を把握していなければ遵守されているかどうか判断ができません。

〈届出・登録の細則例〉

  • 動物の飼育を開始しようとする住戸の区分所有者は、事前に申請書を理事長に提出し、許可を得なければならない。
  • 理事長は、承認又は不承認を決定した場合は、遅滞なく書面により通知しなければならない。

飼育細則に定めること③:飼育方法を定める(専有部分・共用部分における注意事項)

ペットの飼育場所は専有部分(部屋内)になりますので、専有部分における飼育方法は細かく設定します。また、住人の中にはペットが苦手な人もいますので、共用部分における注意事項も重要になります。

〈飼育方法の細則例〉

  • ペットの飼育及び生活範囲は専有部分のみとすること。また、ペットが共用部分等に逃げ出さないよう、脱出防止に努めること。
  • 法令等によって定められた予防注射、登録等を確実に行い、登録を受けた標識を玄関扉付近等の見やすい箇所に明示すること。
  • ペットを廊下、エレベーター、エントランス、バルコニー、ポーチ・専用庭等の共用部分等に放さないこと。
  • 共用部分等で餌や水を与えたり、排泄をさせたりしないこと。万一、排泄行為のあった場合は、速やかに処置すること。
  • 専有部分よりペットを外へ連れ出す際、共用部分等では籠等の容器に入れるか抱きかかえるものとし、ペットを共用部分等において歩行させないこと。
  • 道路等、敷地外においては首輪にリードを付ける等、ペットが飼育者から離れない措置をとること。また敷地外における排泄物等は必ず後片付けを行い、近隣住民、商店、その他外部者から苦情が生じないよう処置すること。
  • 万一に備えペット対象の損害賠償保険の加入に努めること。
  • ペットの鳴き声、体毛、臭い、その他つめとぎなどの習性等で特に居住者、近隣住民に迷惑をかけないこと。特に発情期、体毛の抜ける時期、臭いの強い時期等は十分に注意すること。
  • ペットは常に清潔に保つとともに、疾病の予防、害虫の発生防止等の健康管理を行うこと。
  • ペットを繁殖させ販売する等、営利を目的とした飼育をしないこと。
  • ペットが死亡した場合には、適切な取り扱いを行うこと。
  • 他の住戸や近隣住戸に迷惑がかからないように、できるだけペットを住戸内に残したまま外出しないこと。
  • ペットの体毛や羽の手入れ、つめの手入れ、水槽、籠等の清掃、汚物処理等は決められた場所にて行い、共用部分では行わないこと。
  • 専有部分でのペットの体毛や羽の手入れ、籠等の清掃、汚物処理等を行う場合は必ず窓を閉め、体毛や羽の飛散を防止すること。また、体毛等のついた布等をはたく等の行為を行わないこと。

飼育細則に定めること④:違反者に対する措置

せっかくペット飼育細則を定めても、違反者がいた場合には厳しい対応をしなければなりません。共同生活の中でルールを順守しない場合の措置についてもしっかりと定めておきます。

〈違反者に対する措置の例〉

  • 飼育者が本細則事項及び指示等に従わない場合、理事長はその動物の飼育を禁止することができる。
  • 動物の飼育を禁止された者は新たな飼い主を探す等、速やかに適切な措置をとらなければならない。
  • 飼育禁止者は再度動物を飼育してはならない。

飼育細則に定めること⑤:その他諸規定

上記に紹介した規定以外にもマンションの実情に応じて細かく規定を定めていきます。以下に実際のマンションで導入されている諸規定の事例をご紹介します。

<その他諸規定の例>

  • 動物の飼育を開始した者は、別に当マンション管理組合が発行した標識を玄関に貼付し、動物を飼育していることを明示しなければならない。
  • 飼育者は年1回定期的に最新の飼育動物の写真を理事長に提出しなければならない。
  • 飼育者は動物に獣医師による健康診断を年1回以上受けさせなければならない。
  • 飼育動物が犬の場合、飼育者は毎年「狂犬病予防法」(昭和25年法律第247号)第4条で定められた登録及び第5条で定められた予防注射を行わなければならない。
  • 動物の飼育者は1頭(匹)あたり月額○○○円の飼育負担金を管理組合に納入しなければならない。

まとめ

核家族化や一人暮らしの高齢者が増えていく日本において、ペットは大切な家族の一員となっています。分譲マンションでペット飼育を認める場合には、十分に協議の時間を設け、ペットを飼育しない方の住環境をしっかりと守ることを第一に考えて、全区分所有者の問題として検討していくことが必要となります。

総会決議により変更が認められた場合においても、ルールやマナーを守って、同じマンションで生活する住民に最大限配慮することが重要です。また、できるだけマンションでの飼育に向いた動物を選び、しっかりと快適な環境をつくってあげることで、ペット自身にも余計な負担をかけません。

飼い主がさまざまなポイントに気をつけることで、ほかの住民もペット自身も快適な生活が送れるよう心がけましょう。

最後に

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